税理士の転職は希少価値が高い!
今回は、数ある資格のなかでも抜群の効果を発揮する税理士に特化して企業視点で税理士の市場価値などをご紹介したいと考えています。
私は現在転職エージェントとして活動していますが、求職者の転職支援をするなかで、業務に関係する資格があることで内定を勝ち取る求職者を何人も見てきています。
資格さえあれば、その求人内容の経験がなくとも十分に内定を勝ち取るチャンスがあるということです。
税理士とは?
求職者のみなさんは、税理士とは実際にどのような資格で、どのような試験があるか具体的にご存じでしょうか?
恐らく、企業の人事として活躍されている方も、税理士の資格について具体的に把握しているという人は少ないのではないかと思います。
私も企業の人事時代は、税理士という資格は知っていても具体的にどのような資格であるかまでは把握していない時期がありました(笑)
この段階では、税理士という資格は『とにかくすごい』ということをお伝えさせていただきます!
税理士の資格試験の概要
税理士の資格試験は5科目に合格することが必要で、必須科目が2科目、選択必須科目が1~2科目、そして選択科目が1~2科目になります。
必須科目は簿記論と財務諸表論の2つで、どのような受験者でも必ず受験して合格しなければなりません。
また、選択必須科目や選択科目は複数ある科目のなかから選択した科目で合格を得る必要があります。
5科目のすべてで合格しなければ税理士と名乗ることはできませんし、税理士登録することもできません。
税理士という資格は科目合格制度となるため、1回の受験で1科目だけの合格でも一応はその科目については知識を要しているということになります。
私の友人にも税理士の資格を持っている友人が何人かいますが、一度で全て合格した人はゼロで、みんな数回に分けて科目合格しています。
私の知る範囲ですが、税理士資格を持つ人や税理士資格を目指す人の大半が、2年から3年で税理士資格を保有するようです。
1科目ずつ合格を積み上げることで税理士資格を保有することができるのですから、現職を続けながら資格の学校に通ったりして、無理のない範囲で資格取得を目指すこともできると思います。
税理士資格の難易度
税理士の試験は難易度が極めて高いと言われています。
日本の資格にはS、A、B、C、D、Eと5段階でそれぞれの資格の難易度を示す指標がありますが、税理士資格は最高難度のSに該当します。
科目ごとの範囲も広く、難易度と科目ごとの範囲の広さにより、5科目同時合格でなくとも資格取得することができるとされています。
税理士の試験を受験する人は毎年いますが、この難易度と範囲の広さにより受験者数は減少傾向にありますし、科目合格は長期的な勉強が必要となるため、途中で挫折してしまう人が多いです。
毎年の科目の平均は10%弱ぐらいの合格率と言われていますし、1年で5科目すべてで合格する人は数える程度しかいないようです。
私もあるとき税理士に興味を持ち、人事よりも経理関係に特化した税理士の方が一生食べていけると考えたのですが、当時の現職との兼ね合いから勉強ができず、そのまま今に至っています(笑)
税理士の資格と転職市場
税理士という資格を持っていれば絶対に転職市場で高い評価を受けることは間違いないです。
私が企業の人事担当として従事していた頃は、税理士を持っている求職者の職歴をみることなく書類選考を通過させていました。
ほかの企業も税理士の価値を十分分かっていますので、競争優位性はかなり高いと言えると思います。
税理士の資格を持つ求職者の役職や年収の価値
転職市場では資格ごとに年収の目安がありますが、そのなかでも最高ランクの資格となる税理士は、都心部であれば1000万級の評価を受けることが珍しくありません。
税理士資格に関係する業務の経験がある場合は、1000万をさらに上回る提示があると思います。
未経験だったとしても、通常の職種の未経験では考えられない年収が提示されると思います。
私の転職エージェントで未経験の税理士資格保有者は年収700万円で内定を獲得していました。
通常、未経験ならば現職よりも低い年収提示になるのですが、税理士は未経験であっても現職の年収を大きく上回ることが可能となるハイスペックな資格だと思っていただいて良いと思います。
税理士資格限定の求人も!?
税理士人口が少ないなかでも、企業によっては税理士を応募条件の必須項目としている企業もあります。
転職エージェントとしては、どの期間でも登録している求職者のなかに税理士を保有している求職者がいるとは限らないため、そのような求人はできれば受けたくないと考えています。
私にも先日、ある企業から税理士資格を必須とする求人の依頼がありましたが、該当する求職者がいなかったためお断りさせていただいています。
税理士と親和性の高い職種
転職市場で税理士と親和性が高い職種が経理と財務です。
この二つの職種に共通することは、企業内のお金に関する仕事が主な業務内容であるということです。
経理については、月次決算や年次決算などのように一定期間の範囲で企業のキャッシュフローを管理して、お金の面で貢献することになります。
財務については、投資家などから資金調達をして新規事業などに活用するために必要な資金繰りを行うことになります。
税理士はその名の通り、税金関係もその仕事の範囲となりますし、その範囲はお金という面ではかなり広いものです。
そのため、もしかすると経理の方が親和性は高いと言えるかもしれません。
経理の求人の条件
経理の求人には必ずと言って良い程、尚可要件に税理士の文字が並んでいます。
経理の現場責任者と打ち合わせをすると、いろいろなスペック要件はありますが最終的には
『経理の実務経験はなくても、税理士の資格があれば書類選考は通してほしい』
と言われます。
業務経験がなくても、税理士の資格を持っているだけでアドバンテージをもてるということです。
最近の転職市場は企業のグローバル化が進み、資格よりも英語力が重宝される時代になっていますが、税理士は別格だと思います。
経理においては、英語力よりも税理士の資格の方が優遇されています。
恐らく、この税理士の最強伝説は今後の転職市場でも劣ることはないと思いますし、今後の需要もこれまで同様に高いものだと思います。
税理士資格を持った求職者の転職先
税理士=税理士事務所と考えることが一般的ですが、税理士の資格を保有している求職者が必ず税理士事務所に転職するとは限りません。
多くの民間企業も税理士資格を保有している求職者を求めていますので、税理士事務所以外の企業にも転職することは多くあります。
また、民間企業や税理士事務所のほか、会計事務所も税理士のニーズが高いことは一般的にも知られていることだと思います。
税理士資格の求職者の雇用形態
民間企業に転職する場合は、経理という職種で正社員として雇用されることが一番多いです。
この場合、求人という企業とのパイプ役を利用して、業務委託という形態を取ることがあります。
本来、税理士という資格は独立して自分で事業を行えるレベルの資格になりますので、表向きは転職活動としているものの、面接の場では業務委託契約を目指す税理士資格を保有する求職者がいるのです。
このやり方は賢い方法です。
税理士の資格を持つ求職者とは、どのような形であってもお付き合いしたいと考える企業も少なくありません。
ただ、転職エージェントとしては求職者を企業へ紹介して業務委託契約となった場合は、成功報酬のモデルが手間になったりしますのであまりありがたいことではないです(汗)
税理士の仕事内容
企業で働く場合は、基本的に経理の仕事内容とほぼ同じと考えて良いですが、経理の業務領域を超えた範囲を扱うこともできます。
税理士法という法令により、税理士だけが扱うことのできる以下のような業務があります。
税理士法という法令により、税理士だけが扱うことのできる業務
- 税関係の代理人
- 税関係の書類作成
- 税関係の相談
また、税理士の仕事の範囲にはコンサルティング業務なども含まれています。
企業で働く場合の業務とは異なりますが、なかには税理士を保有する求職者が転職したことにより、税理士業務を新規事業とする企業もありますので、補足レベルでご紹介しました。
企業の顧問の可能性
先ほど、税理士の仕事は独占業務やコンサルティングも業務範囲になると紹介しましたが、転職後に正社員として働き、ゆくゆくは企業の顧問となることも可能性としてはあります。
この流れはレアケースではなく、よくある話です。
転職後は税理士登録することなく税理士の知識を生かした業務に従事して、その後雇用形態を顧問契約に切り替え税理士登録する場合があります。
この場合は取締役待遇となりますので、正社員として雇用契約を結んでいた時代に比べるとはるかに条件が上がることになります。
転職活動以外で顧問契約を目指す場合も、社外取締役という肩書になります。
転職エージェントとしては、正社員を目指して転職市場で活動せずとも、自分で事務所を立ち上げて顧問契約のクライアントを探した方がメリットはあるかと思います。
ただ、リスクを回避するために税理士の資格を保有した状態で正社員として転職活動を行う求職者が多いのかなと思います。
地方から都心へ
税理士という資格は都心部限定でもなく地方限定でもありません。
今回の話のなかで税理士資格を持っている求職者の内定条件について軽く触れましたが、都心部の方が物価が高いため給料も当たり前のように地方より高いです。
地方で生活する税理士の資格を持つ求職者がより高い給料を目指して、地方から都心部に転職するケースもよく聞きます。
自分の市場価値を上げる方法としては十分理解できることですし、転職活動の戦略としても良い方法だと思います。
私がその立場でも、仕事内容は同じで労働市場の価値が低い地方にいるよりも、都心部で転職先を探すと思います。
第2新卒と税理士
次は、転職市場ではあまり印象が良くない第2新卒と税理士の話です。
転職市場では新卒入社から3年以内に早期退職した求職者はマイナスの先入観を持たれます。
しかし、そのマイナスイメージを覆すことができる資格が税理士です。
第2新卒で税理士の資格を持っている場合は『若いのにすごいな』というプラス評価になりますし、第2新卒で人生の岐路に立っているなかで、前職よりも明らかに高い条件で転職することができると思います。
税理士は求職者の人生を変える資格
今の転職市場は資格よりも語学が優先される時代になっていますが、このような時代背景であっても税理士という資格は本当に求職者の人生を大きく変えてくれる資格です。
私の知り得る範囲では、税理士の資格を保有して仕事がうまくいっていない人はいません。
全員が順調にビジネスマンとしてのキャリアを積んでいるように思います。
税理士と親和性の高い経理や財務という職種は、転職市場でもかなり専門性の高い職種で、どの企業も人材不足に悩んでいます。
税理士の資格のある求職者の平均的な転職活動期間は1カ月程度です。
転職活動をするとすぐに転職先が見つかるほど市場価値が高いということです。
みなさんも税理士の資格を目指しましょうと軽々しく言えるものではないのですが、自分のキャリアを鑑みて必要だと思えば取得する価値は十分にある資格だと思います。
最後になりますが、求職者のみなさんが転職市場で武器を持ち、企業に高い評価を受けて最高の転職をすることができることを祈り、今回の話を終わりにしようと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。