通信業界への転職がもたらす求職者への影響
みなさん、こんにちは。
今回の記事の目次
今回のテーマは?
今回のテーマは、『通信業界への転職がもたらす求職者への影響』としてご紹介しますが、通信業界とは?と聞かれて、求職者のみなさんのなかに具体的に業界について答えることができるという人はどれだけいるでしょうか。
実は、この通信業界は、実に業界の範囲が広いことで知られています。
通信業界は、昔から強いそして強烈な営業力を武器に今のように確固たる地位を確立した背景があります。
営業力と聞くと、営業を経験した方であれば、『ちょっと、不安だな』という風に、少なくとも前向きに感じることができないという人は多いと思います。
なぜかと言いますと、通信業界を含め、営業力を強い武器にする業界や企業は、一方間違えるとブラック企業と勘違いされる場合もありますし、実際に、ブラック企業であることも多いです。
通信業界には、ブラック企業も多いですので、このあたりについては後述で詳しく紹介したいと思いますが、まずは、通信業界とは?というところから今回の話を起こしていこうと思います。
通信業界とは?
何らかの情報についてその情報を伝達したり加工したりするサービスに関する事業を行う企業が集まる業界
情報を扱う業界だと思っていただければと思います。
実は、私も新卒で入社した会社はこの通信業界でして、普通よりもこの業界については詳しいと自負しています。
通信業界はIT業界とも重複する点もあり、広義の意味ではIT業界も通信業界に含まれるという人もいます.今回は、IT業界は除いた範囲の通信業界としてご紹介できればと思います。
通信業界は、代理店を除いては新規参入がしにくいと言われる業界で、『金持ち業界』とも言われます。
と言うのは、通信を扱う場合、必ずインフラを整備する必要がありますし、そのインフラへの初期投資が非常に多額となります。
私が通信業界で働いていた時代は、通信=電話と考えることが一般的でした。実際、今でもそうなのですが、今は、電話以外の通信的なインフラが増えています。
昔は今の時代のように、インターネット環境が万全ではなく、携帯電話の普及も老若男女問わずという時代ではありませんでした。固定電話全盛の時代です。
この固定電話も含めて携帯電話やインターネットを接続する際の設備はすべてインフラが整備されて成り立ちます。
このインフラを整備するためには起業する経営者に資金力がなければ参入することが難しいです。
そのため、代理店を除いてはどの通信業を事業とする企業も大手企業であったり、資本金が大きかったりすることが特徴です。
通信業界では、『キャリア』という言葉がよく使われます。このキャリアとは自前で通信のインフラを持っている企業のことを言い、一種キャリアと言われます。この一種キャリアになるためには、国からの許可が必要です。
一種キャリアと二種キャリア
一種キャリアのほかに二種キャリアと呼ばれる企業もあります。
二種キャリア
- 一種キャリアの代理店
- 再販という仕組みを持ち事業展開
- 一種キャリアほどではないが、それなりの初期投資も必要
- 自前でインフラを持っていないとは言っても、資金力のある企業が参入できる
一種キャリアの電話回線や通信回線を一種キャリアから安い金額で卸してもらい、二種キャリアの企業がその電話回線や通信回線を一種キャリアとは違うサービス名称で再販するのです。
求職者のみなさんは、自宅の固定電話から国際電話サービスを利用して海外の友人などに電話したことはありますか?
海外に電話するためには、相手先の電話番号の前に3桁や4桁の番号を押す必要があると思います。
通常は一種キャリアの3桁や4桁の番号を使うのですが、二種キャリアが再販する国際電話サービスを利用する場合は、番号が違います。
国際電話の音声などの品質は何ら変わりませんが、番号だけが違う仕組みになっています。
新卒当時の私は一種キャリアと呼ばれる会社に在籍していました。
通信やインフラは言葉で表現することも難しいですが、目に見えないものですので、イメージすることも大変ですし、その内容を知識として習得することはもっと大変だと思います。
私は身を持って経験しているので、これから代理店を除く通信業界に転職をお考えの方は、本当に通信が好きという方か、地頭が良い方でなければ、転職当初は勉強する日々が続くと思います。
通信業界には代理店が多数
通信業界の中心は自前でインフラを整備している一種キャリアとそのインフラや通信回線を再販する二種キャリアですが、通信業界には、異常とも言えるぐらいの数の代理店があります。
ちなみに、大手量販店も一種キャリアの代理店の位置づけになります。
この大手量販店を除いても通信業界には無数と言っても良いぐらいの大小それぞれの代理店があります。
通信業界はブラック企業の宝庫とか、通信業界は営業力がものすごいとか評判を聞いたことがあると思いますが、この代理店の存在が通信業界のそれらの評判をつなげています。
この評判は良い内容もなかにはありますが、大半はあまり良い評判ではありません。私も新卒で入社した会社は通信業界のトップとなる一種キャリアにいましたが、この代理店の存在がかなりややこしかったです。
と言うのは、私が当時、働いていた会社も多くの代理店に通信回線などの販売委託をしていたのですが、そのやり方や手口があまりにひどく多くのクレームをもらったことがあるからです。
通信業界は、代理店文化の業界とも言われているぐらいです。
通信業界の一種キャリアや二種キャリアは初期投資が大きいため、そう簡単に参入することはできないですが、代理店を立ち上げることは難しくありません。
今の時代、1円で起業することができますし、今は昔よりも通信業界の代理店が多いと言われています。
次に求職者にとって通信業界への転職はどのようなメリットやデメリットがあるのかご紹介したいと思います。
転職市場からみる通信業界
求職者のみなさんが今、活動している転職市場には多くの求人があると思います。
今は景気の回復もあり、多くの企業が中途採用で即戦力の人材を確保したいと考えていますので、求人の豊富さは間違いないと思います。
このような売り手市場のなか、通信業界に属する企業の求人はどのような状況だと思いますか?
通信業界に属する企業は、今も昔と変わらず営業力を武器にすることが有名であり、営業職についてはかなりの数が求人として転職市場にあります。
また、この営業職の特徴は、1名や2名を採用するということではなく、ソルジャー採用といって、一度の採用活動で複数の人材を同時に採用しています。
転職エージェントを利用されていてる求職者の方は、『通信業界の営業職はそんなに多くないけどなぁ』と感じると思いますが、まさに、その通りです。
通信業界の営業職の求人は転職エージェントではなくソルジャー採用であるため、採用コストを抑える目的で転職サイトを中心に採用活動を行っています。
補足・・・
ちょっとここで補足をさせてください。転職するにおいても、この通信業界も『一種キャリアと二種キャリア』と代理店で大きな違いがあります。
一種キャリアや二種キャリアの企業の採用方法は、転職エージェントを利用することが多いです。
理由は、営業職であっても、その他の職種であっても1度の採用活動で複数の人材を採用するというケースは少ないため、転職エージェントを利用した方が採用コストに対して確実に採用することができます。
一種キャリアや二種キャリアはとてもクリーンで、代理店のようなブラック企業やそれに近い企業はありません。
通信業界の評判の悪さは代理店のイメージが強いためですので、転職活動で通信業界の求人を見た求職者の方は、その求人企業が一種キャリアや二種キャリアと代理店かどうか見極めてください。
代理店でないようであれば、応募する価値は高いと思います。
一種キャリアと二種キャリアの選考は、人気の高い企業となります。
一般的に選考基準がそこまで高くないとされる営業職であっても相対的な判断でその基準が高くなり、簡単に内定を勝ち取れるということはありません。
代理店である通信業界に属する企業は、一度の採用活動で複数の営業職を採用しますので転職サイトを利用することが多いです。
通信業界の代理店となる企業の採用基準
一種キャリアと二種キャリアについては、すべての業界からみても選考の難易度は高いですが、代理店となればその基準は一気に下がります。
言い換えると求職者にとっては、代理店は内定をもらえる可能性が高いということです。
しかし、一般的に選考基準が低く、内定をもらえる可能性が高い場合は、転職後は厳しい状況になると言われています。この典型が通信業界の代理店です。
先述の通り、通信業界の場合、代理店となるためのハードルは低く、ある意味会社であればどこでも代理店になることも可能なレベルです。
また、通信業界の代理店となる企業の特徴は事業の軸がまだないために、『とりあえず利益を確保したい』ということで代理店手数料が高い通信業界の代理店として活動することが多いです。
私の個人的な経験上を基にしたイメージですが、通信業界の代理店は、経営者の見た目が『チャラい』場合が多いです。分かりやすく言いますと、茶髪でひげを生やし、ピアスをしている経営者もいます。一種キャリアや二種キャリアも代理店基準はありますが、一種キャリアや二種キャリアと代理店契約する際の打ち合わせでは、代理店となる企業も普通の格好で来社しますのでなかなか気づくことができないです。
私も一営業マンとして、代理店をコントロールしたことがありますが、その多くの代理店の経営者は、『社会人かな?』と思えるぐらいの風貌でした。
見た目は心の乱れとはよく言ったもので、代理店のやり方がひどく、顧客から大クレームを受けたことも多々あります。
選考基準が低く、選考フローも極端に短い場合注意が必要
このように代理店の経営者がちょっと普通ではないことが多いですので、そこで働く従業員も同じようなタイプが多いです。
このような代理店の場合、採用基準を下げて、とりあえず労働力として中途人材を雇用して、ぼろ雑巾のように飛び込み営業などをさせます。
成果が上がらなければ、無茶な理由をつけてそのまま解雇したり、自主退職に追い込んだりする場合もあります。
これは労働基準法違反ですが、通信業界の代理店はこのあたりは、うまく対処しているのであまり明るみに出ることなく状況を沈静しています。
代理店の選考基準は本当に低く、書類選考がなく面接も1回で終わりという場合があります。このように選考基準が低く、選考フローも極端に短い場合、求職者のみなさんは要注意です!
代理店と転職エージェントの関係性
普通、大量採用を行う通信業界の代理店は、転職サイトを利用しているのですが、最近、転職エージェントを利用する場合も少しずつ増えています。
私も現在、転職エージェントとして求職者のみなさんの転職支援を行っていますが、個人的な経験があり、通信業界の代理店の求人は取り扱っていません。
これからご紹介するお話は私の実体験ではなく、転職エージェント業界では情報共有や懇親を深めるために定期的に懇親会があり、そのときに入手した内容がもとになります。
転職エージェントには、いろいろなタイプ、考え方を持った業者がいます。そのなかで、代理店と好意的に取引する転職エージェントは、会社として営業体質の転職エージェントです。
営業体質の転職エージェントは、求職者の転職支援というよりも取引する企業の採用支援と自社の利益を何より優先的に考える傾向があります。
転職エージェントを利用する通信業界の代理店は、転職サイトでは優秀な人材を採用することはできないために、優秀な人材を確保するため、転職エージェントを利用することがあります。
通信業界の代理店は、基本的に中途採用人材は労働力としか考えていません。たまに、企業の中核人材が必要だということで転職エージェントを利用して採用活動を進めることがあります。
この場合、代理店は、通常よりも高い報酬を支払う契約を転職エージェントと交わします。
優秀な人材については、ゴリ押しでも構わないので応募するように、そして、選考辞退しないように、内定辞退しないように強烈な依頼をかけています。
転職エージェントも営業体質ですので、キャリアアドバイザーは求職者の転職支援よりも自分の個人業績を優先して、ゴリ押しに乗じます。
求職者の全員がこのゴリ押しに負けて応募したり内定を断れず転職したりしてしまうということはないと思いますが、このような代理店と転職エージェントとの強い関係性に負けて転職してしまっては、本当にもったいないです。
代理店にはブラック企業が多い!
もうご存じの求職者の方もいると思いますが、通信業界の代理店にはブラック企業やブラック企業に近い企業が非常に多いです。
代理店にも1次代理店と2次代理店、場合によっては3次代理店もあります。
この代理店が下に行けば行くほど、ブラック企業である可能性は高まります。また、代理店の特徴は10名前後の企業規模であることが多いです。
オフィスで判断してはいけないのですが、通信業界の代理店はオフィスのエントランスがあまり衛生的ではないため、もし万が一面接に行った場合一つの判断材料にできると思います。
このようなことを私が言えるのは通信業界の一種キャリアで代理店担当の経験もあり、1次代理店、2次代理店、3次代理店のすべてに訪問したことがあるからです。
通信業界の代理店は、経営者が比較的、若い年齢ですし、話し方もちょっとビジネスマンっぽくない感じがあります。
代理店の営業力
ある意味で、通信業界の代理店に転職すると、絶対的に身に付けることができるスキルがあります。それが営業力です。通信業界はどの業界と比べても営業力が並外れてレベルが高いです。
この営業力とは、もちろん、トーク力も含みますが、それ以上に営業活動量と強引さです。
一種キャリアや二種キャリアの場合、企業の名前を汚すような営業活動は避けるように指導されていますので強引な売り込みや営業は行いません。
しかし、代理店の場合はそのような指導はありませんし、むしろ豊富な営業活動量と強引さを義務付けていることがほとんどです。
また、代理店の営業マンはやらざるを得ない状況があるのです。
本来、労働基準法違反の行為になりますが、毎月のノルマがあり、そのノルマを達成できなければ、その月の給料は未達成率に応じて減額されてしまう仕組みがあるためです。
ノルマ達成できていないという理由で月給を減額することは労働基準法違反になりますので、求職者のみなさんでこのような対応を受けた場合、行政などに相談に行った方が良いと思います。
通信業界の代理店は、このように違法行為は当たり前ですし、有無を言わさずという社風があります。
私は、一種キャリアで代理店担当をしていた時代に、代理店へ訪問したことがよくありましたが、打ち合わせ中に隣のブースから怒鳴り声や罵声が飛び交うことが普通にありました。
そして、極めつけは、テレアポです。テレアポとは電話版の飛び込み営業ですが、私も営業マン時代に経験していますが、このテレアポは精神的にかなりきついです。
断られることは当たり前ですし、アポを取らなければ外出することもできません。
そして上司が近くでテレアポの内容を聞いていますし、そのプレッシャーは半端ではないです。
某大手通信代理店のテレアポのやり方は有名だと思いますが、受話器と手をガムテープでぐるぐる巻きにして縛り、受話器から手を離さないようにするのです。恐らく大半の方はこのやり方を実際に見たことがあるという人は少ないと思いますが、私は代理店担当時代に、この光景を見たことがあります。
かなり異常な光景で、人として扱われていないように感じるぐらい悲惨な状況だと思いました。
余談ですが、ガムテープ地獄に耐えることができず、数日後のその日に、『ちょっとトイレに行ってきます』と行ったきり、そのまま二度とその代理店に帰社することはなかった人もいたそうです。
このような営業環境ですので営業力は身に付くと思いますし、根性も身に付くと思います。
ちなみに当時担当していた代理店の経営者から、『電話機をある個人経営のクライアントへ売り込みに行き、無理やり契約書に印鑑を押させた』と自慢げに話していましたが、このようなことは普通の世界だとのことです。
荷物なども置いたまま、連絡しても音信不通になった人もいるとのことで、このように本当に厳しい、普通では考えられない労働環境になっています。
これは、昔の話ではなく、今も通信業界の代理店はこのような環境を持つ企業があるようです。
代理店へ転職したあとの働き方
今、営業職についてどれだけ過酷な労働環境でどれだけ過酷な営業環境かご紹介しました。
他の職種も営業職ほどではないですが、長時間労働、残業代未払いも当たり前です。
通信業界の代理店は、とにかく中途採用の人材を人として考えていないようですので、極端な話奴隷のような接し方をされますし、非常識な理由で解雇されることや自主退職を促すこともあります。
事務職については1人で数人分の仕事をやらされることもありますし、事務職で転職したはずが無理な理由で営業職に異動になることも当たり前にあります。
通信業界の代理店のすべてがそうではないですが、可能性としては高いと思います。長時間労働と残業代の未払い、そして有休はもらえないということは普通だと思った方が良いと思います。
それと、通飲み会が毎晩のように行われますので、日頃の過酷な営業活動に加えて飲み会も強制参加で、飲み会が終わる時間は朝方の場合もあり、そのまま朝を迎えて営業をするということが日常的にあります。
この話は大げさな話ではなく、実際の話です。
通信業界の代理店の離職率はものすごく、離職率100%という企業も私は知っています。離職率とは、1年単位で測定しますので、1年後にどれだけの従業員が在籍しているかを測定しますが、その100%の代理店は、1年前のメンバーは1年以内に全員が退職して、全員違うメンバーということがありました(汗)
この100%は異常です。
通信業界は二極化している!
通信業界は、一種キャリアと二種キャリア、代理店でその採用活動や採用方法、転職後の働き方が二極化しています。
企業としての安定感や働き方を考えても圧倒的に一種キャリアや二種キャリアへ転職した方が良いと思います。むしろ、通信業界の代理店には死んでも転職しないと考えた方が良いと思います。
転職活動は求職者の人生のきっかけを作る活動でもあります。その大事な活動の結果がブラック企業やそれに近い企業であっては悔やんでも悔やみ切れないと思います。
通信業界の一種キャリアや二種キャリアは豊富な資金力で安定的な経営をしていて、なかにはプロ野球球団の経営をしている企業もあります。
社会的な信用を得るという意味でも、通信業界に興味があるのであれば、一種キャリアや二種キャリアの方が適切であり件名な判断だと思います。
通信業界の転職は、その転職先の企業によっては天国にもなり得ますし地獄にもなり得ます。
しつこいようですが、絶対に通信業業界の代理店に転職する安易な転職はやめましょう。