採用担当が語る採用担当は履歴書の「離職期間」をどう考えるか

執筆者の情報
名前:きくくま(仮名)
性別:男性
現在の年齢:48歳
面接の経験人数:-
面接経験時の役職:採用責任者
企業・業種:IT上場企業

離職期間(ブランク)のある職務経歴書を囲んで、私は面接官の同僚たちと、ときどきこんな会話をします。

「この人、退職してからの1年間・・・何も記載がないです。何をしていたんでしょうね?」
「さあな・・・。」
「どうします?面接にお呼びしますか?」
「今回は、応募者が多いいからいいだろう。」
「どうせ○○かもしれないし・・・。

今回は、採用者側が送られてきた履歴書や職務経歴書に記載されている職歴(応募者に離職期間がある場合)をどう考えるのかを紹介していきます。

離職期間を企業がどう考えているかを認識して、今後の転職・再就職活動の参考にしてみてください。

ブランク、どれ位までならセーフ?

職業訓練校などで再就職希望の方々にセミナーや講座をひらいていると、よく質問されるのが「ブランクはどれくらいの期間までならセーフ(企業は認めてくれるか)ですか?」という質問です。
転職事情は各人で違いますし、年齢によっても変わってきますので(年齢が上がるほど離職期間が長いのは不利になります。)正確な基準はありませんが、長引けば長引くほど不利になるのは間違いありません。
私は3ヶ月を超えると現在の転職活動についての見通しと振り返りや他の行動方法が無いか等を中心に活動自体を見直す事をお勧めしています。
また、離職期間中に何をしていたのかを履歴書や職務経歴書に記載しない方も多くおられますが、私は記載する方が良いと考えています。その事をお話すると「呼ばれてから口頭で説明します」という方もいらっしゃいますが、応募者が多ければ多いほど(人気の職種や条件の良い仕事ということ)企業側の選考効率などもあって、書類選考は厳正になります。冒頭の「面接官たちの会話」の様に、あなたに会ってもいないのに「どうせ○○」という今までの離職期間のある方との面接で培われた偏見や先入観(つまり、採用者側の勝手な想像・経験値)で、あなたを判断してしまう可能性も生じてくるかもしれません。書類選考ではそれほど考慮されなかったとしても、ブランクを隠したり・ごまかしたりしていると面接でのあなたのパフォーマンスに影響があるかもしれません。むしろ包み隠さず記載してある方の方が採用側としても本来の注目点である
「この人は何ができる人なのか」
「なぜ、この会社で働きたいのか」
「チームに馴染みやすいか」
などにスムーズに注目できるようです。

離職期間の記載がないと、どの様な想像を勝手にしてしまうのか

離職期間に何をしていたかの記載がないと採用者側はどのような偏見や先入観で、あなたを判断してしまうのでしょうか。

・仕事への考え方や意欲の低下
長く仕事から離れているとモチベーションが落ちてしまって、仕事への考え方や意欲が鈍っているのではと思われてしまいます。
また、社会人としてのマナーや身だしなみ・エチケットなども同様に思われる可能性があり、職業訓練校などで改めてマナーや身だしなみなどを学習し直すカリキュラムがあるのもそのためです。

・転職プランの柔軟性や判断・流され感など
仕事はPDCA(プラン(計画)・ドゥ(実行)・チェック(確認・振り返り)・アクション(次のプラン立案))の積み重ねです。離職期間が長いと転職プランに甘いとこがあるのではと見られてしまう可能性もあります。また、採用条件が厳しいのでは?とか、現状に流されて本人が言うほど転職に力が入っていなかったのでは?と思われる可能性もあります。

・自分の会社などで働いている同年齢の人と比較して幼いのでは?
以前にも言いましたが中途採用は花屋に例えると“種(育てること)を買うのではなく、花を買う(即戦力)”が一般的です。離職期間が長いと採用条件の厳しさなどと相まって考え方が“幼い(自分の会社などで働いている同年齢の人と比較して)”のではと思ってしまう方も多いようです。例えば
「教えてくれますよね」(教えは相手から引出すものであって乞うものではない)
「勉強させてもらいます」(仕事は勉強ではない)
「がんばります」(どの様に頑張るのかをアピールして欲しい)
「自分のやりたい仕事しかしない」(その様な仕事はあり得ない)
などを面接時に話される応募者には少なからずこの様な想いを抱く面接官は多いようです。

・ビジネスの感覚や情報、スキルの劣化
ビジネスの世界はどの様な業界でも日進月歩です。ブランクが生じると自分がキャリアを積んできた業界の最新情報やスキルなどが劣化してしまう可能性があり、それを懸念する採用担当者も多いのです。

離職期間をスッキリ説明するには

離職期間の説明で多いのが資格取得のための勉強ではないでしょうか。
しかし、資格取得が採用企業にブランクを含めて評価されるのはいわゆる“士業(弁護士・司法書士・中小企業診断士・公認会計士・一級建築士など)”のみで、その他の資格はあまり重要視されません。どの様な資格でも企業が評価するのは、その取得が在職中になされた場合のみに限られるのです。
但し、資格取得のためのプロセス(工程)や目的意識・実行力などはPDCAに通じるものがあるので、おおいに評価の対象になる場合があります。資格というネームバリューに惑わされずに資格取得のためどの様な計画を立てて、どう行動をしたのかを棚卸しておくことは大変有効です。
ある職業訓練校の卒業生は「○○という資格は、専門学校生でも取得できますが我々は○ページのテキストを○ヶ月でこなし取得した。その為に私は・・・」と力強く話していましたがその心意気ではないかと感じました。

どうしてもモヤモヤしてしまうのが、うつ病・統合失調症などの精神障害療養や他の病気療養のために生じたブランクではないでしょうか。
「記載しないでよい」「記載したほうがよい」と賛否両論ありますが、私は記載したほうが良いと思います。但し、その療養期間中にどのような事を考え何をしていたかをつけ加えアピールする事が重要です。特にメンタルヘルスに関する問題は、ストレスチェックの義務化が推進されている昨今、隠し通せるものではありません。
ブランクを採用側が懸念を持っているという事を客観的に認識し、入社したらどうブランクを挽回するのか(どう取り組むのか)を考え伝えてブランクをプラスに変えるようなアピールを心掛ける事が重要です。

この記事の筆者

きくくまさん(仮名)
1966年生まれの48歳。地方のIT上場企業の採用責任者でありながら、8年前から専門学校の非常勤講師も行う。非常勤講師先の専門学校生の就職活動についての悩み・就活対策をアドバイスするうち、その評判が広がり現在では大学・専門学校・再就職支援の職業訓練校生にて就職活動に関するセミナーや講座を行っています。
モットーは、「就職活動とは、正社員化(内定)・維持継続・再雇用の3つのハードルがあり正社員化で悩むのではなく、バンバン内定を取ってどの企業に行くかで悩む。だから企業の考え方を徹底的に指導します。」特に、非正規社員の正社員化を積極的に応援中!

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