人気職種の広報職とPR職。この2つの職種の勘違いと転職活動を教えます!
求職者のみなさんにとっては、自分が希望する職種の有効求人倍率が低ければ、それだけ、転職しやすい求人ということになります。
有効求人倍率が低いということは、つまり、転職市場では求職者の方の人気が低いということです。
何かしらの短所があるとも言えます。
転職活動をする際に、ぜひ、有効求人倍率も気にしながら転職活動をしてみてはいかがかと思います。
私は、転職エージェントとして求職者のみなさんの転職支援をさせていただいている立場にあります。
転職エージェントをしていると、当然に多くの求人を扱い多くの求職者の方の転職支援をする機会が多くあります。
現在の転職市場は、求職者のみなさんが転職活動しやすい売り手市場であり、求人数の数と求職者の数が求職者のみなさんにとっては良い意味でバランスが悪いです。
転職市場全体で考えるならば、現在の有効求人倍率は非常に低いということで、転職活動しやすいということになります。
有効求人倍率が低い=人気がない
は、あくまで職種単位で見た場合のことです。
有効求人倍率は職種ごとに見たほうが、自分の転職活動には役立つものだと思います。
今回のテーマは?
さて、有効求人倍率が高い。言ってみれば人気が高い職種は、時代の変化とともに多少の違いはありますが、いつの時代も変わらぬ人気を誇る職種もあります。
私は、かつて企業で人事として働いた経験があります。この人事も転職市場では人気職種の一つですし、他にも人気がある職種はあります。
性別や年齢により、人気職種の違いはありますが、特に女性の求職者の方には鉄板とも言える人気職種があります。
それが、広報という職種です。
広報は基本的にどの業界、企業にもある職種で社内的にも花形と呼ばれる職種です。
社内的なイメージそのままに、転職市場においても女性の求職者の方を中心に人気があります。
そのため転職活動をしている女性は、経験があってもなくても希望職種に広報を入れている方が多いです。
私の転職エージェントを利用していただいている求職者の方に、広報を転職希望の職種にしている方は多いです。
他の転職エージェントから話を聞いても、女性の求職者の方は広報を希望する求職者の方が多いそうです。
人気がある広報ですが、広報と似たイメージを持つ職種にPRがあます。
求職者のみなさんは、広報とPRの違いを分かりますか?
広報とPRを同じと考えて転職活動をする求職者の方が多いのですが、広報とPRでは違いがあります。
この違いを分からず同一の職種と考えていると、転職後に自分が期待した仕事内容や働き方ができないという場合もあります。ぜひ、これを機会にご理解いただければと思います。
PR職とは?
広報とPRの関係性についてです。
広報は単独で求人になっている場合があっても、PRが単独になっているということはほとんどありません。
PR職は、広告系の職種や業界とマーケティングの職種の一部として含まれていることが多いです。
PRを希望する求職者の方もいますが、それは少しPRという職種に関して勘違いしている気がします。
PRの仕事内容は、企業が一般社会に対して、自社の情報や自社が提供する商品やサービスを知らせることになります。
ただ、PRとは日本の労働文化として、広報の方が強い立場にあります。
その仕事内容も広報と類似関係にあるため、広報の仕事のなかにPRがあるという位置づけになります。
私も以前は広報とPRの違いをよく分かっていませんでした。
恐らく、一般的に見ても広報とPRの違いを明確に言える、分かるという方は少ないと思います。
広報、PRを希望する求職者の方は、ぜひ、この違いを把握してほしいと思います。
PRという職種、仕事内容は、広報と類似関係にあるため、求人視点で考えると広報のなかにPRが含まれていることが多いです。
また、PRは広報と区分して、広告系の職種やマーケティングの職種にひもづくこともあります。
PRという職種は転職市場において、PRという単独の職種で求人が成立しているということはほとんどありません。
広報という職種
本当の意味で、人気があり花形と呼ばれる職種は広報です。
広報は先述の通り、女性の求職者からの人気が強く女性との相性も良い仕事だと言われています。
広報は企業の管理会計上、間接部門に含まれます。
管理会計上の立場としては総務や人事、経理などと同様、直接、企業の業績に関わる職種ではない場合が多いです。
ただし広報の仕事内容を見ると、直接部門の代表的な営業職の要素も含まれているため、直接部門に割り振る企業もあります。
広報の大きな特徴の一つは、その仕事内容を間接部門と考える企業も多いことから、創業間もない企業にあることは少ないです。
どちらかといえば、ある程度、業績を拡大している企業や大手企業と関係性が強いと言われています。
誤解を恐れず言います。
企業にとって広報の仕事が、創業間もない時期から機能してなければ経営にインパクトを与える、ということはないです。
極論を言えば、その企業に在籍している従業員は、その日々の仕事や私生活を通して結果的に広報のようなことをしていることになります。
広報の仕事内容は後述で詳しくご紹介しますが、簡単に言うと、PRと同じで企業の知名度を上げることです。
また、企業が抱える商品やサービスの知名度を上げるための宣伝活動です。
営業職と広報
私は元人事ですが、人事に異動する前は、新卒で営業職に配属され営業として仕事をしていました。
営業で成績が上がらないときに上司から、『君は、広報やってるの?』と指導を受けたことがあります。
この上司の何気ない指摘は、広報の仕事を意味しているとも言えます。
営業職は、営業活動を通して売り上げや利益を作る必要があります。
一方で広報職は、広報活動を通して売り上げや利益を作ることがミッションになっていません。
売れない営業マンは、結果的には、顧客に訪問して広報と同じように商品やサービスや企業を紹介しているだけです。
実質的に広報と同じということになります。
営業職をしている労働者からすると、『広報と同じ』と指摘されることは、営業職としては企業に貢献していないということになります。
一応、補足でお伝えしますが、営業職が広報の仕事を卑下しているということではありません。
あくまで、営業職の役割が広報の仕事内容とは違うということを指摘したいだけですので、誤解がないようにしてほしいと思います。
広報の転職後の仕事内容
転職活動の成功は転職決定、内定ではありません。
転職後に自分が理想とする仕事内容を、自分が理想とする働き方を、安定的に長期的に続けることができるかです。
転職後の、その職種の仕事内容や働き方を理解することが重要です。
では、今回のテーマの主役である広報の仕事内容について、ご紹介したいと思います。
先述の通り広報とPRをいっしょくたに考えている求職者の方も、広報の仕事内容を理解いただければ、PRという職種が広報ではなく広告系の職種やマーケティングの職種の部署に配属されることも、ご理解いただけると思います。
広報の仕事内容は、企業や商品、サービスの情報を一般社会に上方発信することです。
結果、企業が経営展開、事業展開しやすくなり、業績を上げることに間接的に寄与、貢献することが目的です。
広報は広報活動を通して、企業ブランドや商品、サービスのブランドイメージを上げることもミッションとなります。
最近、言葉として出始めていますが、IC活動とも言われています。
ICについては、ここではあまり深追いしても今回のテーマと違いがありますので、割愛します。
広報を希望する求職者の方は、ご自身でお調べになっていただければと思います。
メディア対応
広報は企業や商品、サービスだけではなく、その企業が属する業界も含めて関係する情報を発信します。
ICやブランドイメージを高めて、業績が向上する環境を作り社会や消費者のイメージの向上、維持を行います。
よく、企業が新商品やサービスをリリースする際にメディアに情報を提供して、記者会見や、商品やサービスの発表会を行うことがあります。
そうすることでテレビや新聞、雑誌が情報として取り上げてくれます。
これをプレスリリースとも言いますが、商品やサービスのプレスリリースを行うことで、結果的の企業の知名度を上げる効果もあります。
これら外部への情報発信に係るすべてのことを、中心的に行うことが広報の役割です。
またプレスリリースを行うと、その商品やサービスを自社の媒体に取り上げたいという問い合わせが多くなります。
その際、窓口として対応することも広報の仕事になります。
女性が広報に向いている大きな理由はここにあります。
外部との対応窓口は電話で受け付けることが普通ですが、窓口は『声』という意味で、男性よりも女性の方が相手に与える印象が良いとされています。
企業としては、各メディアが多く取り上げてくれることが企業認知度や商品、サービスのイメージアップにつながります。
業績にも大きな影響を持ちますので、問い合わせがあるメディアについては、なるべく印象良く対応することが必要です。
そのために、『声』の印象が良い女性の方が広報には向いていると言われています。
社内的なリリース
広報は主に業績への間接的寄与として社外対応が中心になります。
その仕事には社内的な広報も一つとしてあります。
企業の組織が大きければ、それだけ、企業の動きや動向を知る機会が薄れます。
そうなると組織の歯車に障害が生じて、各現場の仕事の方向性がブレてしまい、組織としての一枚岩が薄くなってしまいます。
それを未然に防止して、企業の社外活動を社内の従業員にも提供することが必要で、その役割を広報が担当することになります。
広報の仕事は、社内外問わずリリースすべき内容は360度展開することがほとんどです。
また社外にリリースすると必ず、その内容を社内用に変えてリリースすることが必要です。
一つの仕事が2倍になるということで、業務量は多いと思います。
また、従業員の個人に変化があった場合にも社内広報として取り上げることがあります。
社内の情報をキャッチアップするために、日頃から各現場とのコミュニケーションを図り、良好な関係を築いておくことも仕事を円滑に進めるためには必要な準備となります。
広報は、社内外の情報収集や資料の管理など地味で地道な仕事が多いです。
地道に仕事を進めることが求められます。企業の経営活動や事業活動は突発的なことも多く、それに臨機応変な対応や細やかな気配りが重要です。
細かい気配りという点においても、男性よりも女性の方が向いています。
よって、女性の方が広報として転職することが可能性として高いです。
広報として転職するためのスキル
資格やスキルがなければ転職できないという職種もありますが広報やPRの場合、特別な資格は不要です。
広報に特化した資格はありません。
ただコミュニケーション能力は必要なスキルです。社外との連携をすることもあり、また、社内の従業員とのコミュニケーションを図ることが多いからです。
広報という職種は、社内的にも誰でもすぐに就くことができる職種ではないです。
新卒採用においても、新卒者から絶大な人気を誇る広報ですが、新卒からいきなり広報に配属されるということはほとんどないです。
広報に配属されるためのキャリアステップは、営業から広報という流れが多いです。
営業と広報は、売り上げや利益に直接貢献するか間接的に貢献するかの違いだけで、その他の要素はほとんど同じです。
スキルとしてもコミュニケーションはどちらも共通になりますので、営業から広報という流れは企業内においてあると思った方が良いです。
というのは広報は人気が高く、冒頭でご紹介した有効求人倍率が高いため転職できない場合もあります。
その場合、広報の仕事をする手段としては、キャリアステップとなる営業職で転職する。
そして転職後の社内異動のチャンスを窺い広報に異動するということも方法としてはあります。
その他の広報のスキルとして、PCスキルは必須です。特にパワーポイントについては非常に使用頻度が高いです。
これは、プレスリリースなどの企画も仕事の範囲になるからです。
先述、広報とPRは似ているようで、求人視点では異なる場合がある。
類似するPRは、マーケティングに配置される場合もあるとご紹介したと思います。
広報は、PRの要素もあるマーケティングも仕事の範囲になります。
マーケティングの経験があれば、転職後は、広報として高いレベルで仕事ができると言われています。
広報とPRが同じになっている求人
今回は転職市場が舞台で、その転職市場にある求人視点で広報とPRをご紹介しています。
よって話の中心は広報になっていますが、PRとして転職活動する方は、PRという職種、単独で求人になっていることは少ないため転職活動で苦戦すると思います。
企業のなかには広報とPRを分けて、広報のキャリアステップの先にPRを考えている企業もあります。
私の転職エージェントとしての経験上、このケースは日系の企業ではあまりなく外資系企業の求人にその特徴がみられます。
最近、グローバル化の進展が強くなり転職市場にも外資系企業の求人はあります。
しかし割合として、やはり日系企業の求人の方が多いです。
それを考えるとPR単独になっている求人は少ないですので、私の意見としは、まずは広報とPRが一緒になった求人で転職活動を進めた方が良いと思っています。
PRを広報のキャリアステップの先に考えている企業は、マーケティング力のある企業が多いのです。
その企業の従業員のスキルという意味ではハイレベルですので、PR単体で求人を公開する企業への転職は、難易度も高く狭き門と言えると思います。
女性の求職者の方は、広報との相性は良いとは言えPRもその範囲に含める方が安全だと思います。
PRはまた違った要素を持ちますし、PRを単独で求人としている場合、広報とは違うマーケティングなどの仕事がメインになることもありますので。
実際に私の転職エージェントでは、広報を希望していてもPRで転職してしまい、配属後はマーケティングということで自分がやりたい仕事内容ではない場合もありました。
広報とPRは似ているようで似ていない
しかも広報、PRとの関係があるマーケティングは、特別なスキルを必要とするため、経験がない場合は苦戦すると思います。
その意味では、転職市場において広報とPR、関係性のあるマーケティングの求人と仕事内容にズレが生じていることも事実としてあります。
求職者のみなさんは、求人をしっかり理解することが必要です。
広報とPRは、その仕事の性格上似ている部分もあるため、求人では同じになっていることが多いのです。
しかし転職後に区分されることもあり、求職者のみなさんは求人を見る際に、「自分がどの部署に配属されるのか」確実に抑えた方が良いと思います。
名刺の肩書は広報でも、実際の仕事内容はマーケティングということもあります。
逆にPRが名刺の肩書でも仕事内容はマーケティングということになることもあります。
自分が希望する、広報やPRの求人ということだけで応募することを決めてはいけないと思います。
転職活動は転職後が大切です。
特に若い女性は、転職を機にキャリアチェンジということで、新卒では配属されなかった広報を希望して転職したいと考えている方もいます。
ところが転職活動はそこまで甘くないです。
その程度の理由であれば、現職で仕事を続け社内異動で広報になり、広報の経験を積んでから、広報やPRを希望して転職した方が良いと思います。