保育士が足りない!?保育士としての転職が求職者の将来を救う!

求職者のみなさんのなかには女性の方も多くいると思いますし、既にご結婚され、小さなお子さんの育児をしながら転職活動を並行している方もいると思います。

お子さんが一定の年齢を超えると育児期間はある程度終了して、保育園にお子さんを預けて仕事へ向かうというケースが多いと思います。

今回は、保育士の転職市場についていくつかの視点からご紹介できればと思います。

まず、保育士とは、資格を保有していなければ保育士として働くことはできませんので、保育士という資格について話をしていこうと思います。

保育士の資格について

日本では保育士養成学校などを卒業すれば免許を取得することができます。

学生時代から保育士を志していた方は、学校を卒業すると同時に免許を取得することができます。

ただ、社会人になって一度は民間企業で働き、何らかの理由で保育士として転職したいと考えた求職者の方は、保育士の国家試験に合格でも免許を取得することができます。

基本的に国家資格は年に1回の試験となり、日本各地で受験することが可能で、試験内容や試験日は各都道府県で統一されています。

求職者のみなさんは、現職をお持ちで転職活動をされている方が多いと思いますし、現職を持ちながら国家試験の勉強をするのはかなり大変ですが、時間的には学校に通うよりも効率が良いと思います。

保育士の国家試験内容

保育士の試験は、2段階方式になっています。

まず1次試験は筆記試験となります。
問題形式はマークシートで択一式です。

試験科目は子供の成長や教育に必要な科目になっていて、児童福祉、精神保健、教育原理などなどがあります。

すべての科目は6割~7割が合格ラインになっていますので、合格ラインという点ではそこまで高いとは言えないと思います。

この筆記試験に合格した方は2次試験として実技試験があります。

つまり、まず筆記試験に合格しなければ、その年の保育士としての試験は終わりで、また来年以降に受験することになります。

実技試験

  • 一般保育
  • 音楽
  • 語学
  • 絵画制作

のうち2科目を選択することができます。

自分で選択した科目は、1次試験と同じく6~7割程度が合格ラインになっています。

保育士は独学でも十分合格可能な国家資格で、資格の学校に通わずに本屋などで参考書や問題集を買って試験勉強している方もいます。

保育士として転職するためには、転職活動の前に国家試験に合格しなければなりませんので、試験への合格と、保育園の選考を通過するという二つの関門を通過する必要があります。

保育士の求人

現在、私は転職エージェントとして求職者のみなさんの転職支援をしている立場ですので、ある程度、どの職種の求人が多いのか少ないのか把握しています。

把握している範囲でご紹介させていただきたいと思います。

保育士が働く職場は保育園になりますが、保育園には二つの種類があります。

一つは公立の保育園で、もう一つは私立の保育園です。

この二つの保育園のうち、転職市場に求人を公開している保育園は私立の保育園になります。

公立の保育園の場合は公務員という立場になりますので、公務員試験に合格する必要がありますし、転職市場とはなじみがないです。

私立の保育園は民間企業と同じように、経営者が保育園を立ち上げて保育園を運営しているということになります。

保育士として転職を希望する求職者の方は、転職市場には私立の保育園の求人になりますので、このあたりの予備知識はあらかじめ把握いただきたい点です。

公立の保育園への転職を希望する場合は、転職活動をしても非効率ですので、違う方法を考えた方が良いと思います。

保育士の求人数

保育士の求人数は、転職市場に多くあります。

これには時代背景もあり、保育士として転職を希望する求職者の方には良い環境だと思います。

保育士の求人は、転職エージェントよりも、転職サイトやハローワーク、求人情報誌などを利用した方が多く拾うことができると思います。

保育士の求人が多い理由

保育園は、これまで国が運営することが多かったのですが、女性の社会進出が大きなきっかけで保育事業の法律改正があり、民間企業も保育園を運営することが容易になりました。

みなさんは『待機児童』が社会問題になっているという話を聞いたことはないでしょうか。

近年、出産し子育てを終えた女性が復職したり、一度退職しても転職活動を経て再度社会復帰したりする女性が増えていますが、子供がいる限り働くのは難しい状況です。

そのため、多くの女性は保育園に子供を預けて仕事をすることを考えるのですが、少子化と言われている時代でも保育園が受け入れる数を超える子供が多くいて、保育園に子供を預けることができない女性が多いです。

女性が働きたいと願っても、子供を預ける先がなければ働けない状況です。

この事態を是正しようと国は保育園の運営に関して参入ハードルを下げて保育園の数を増やすことを狙ったのですが、保育園の数が増えても保育士の数が不足しています。

現在、保育士の免許を持つ方は、日本に約100万人いると言われていますが、実際に保育士として仕事をしている方は30万人程度と言われています。

保育士は売り手市場

100万人もの保育士がいるなかでその半数にも満たない数の保育士しか働いていない状況を鑑みて、保育園を運営する企業は多くの求人を公開しています。

この状況は、保育士として転職を希望する求職者の方にとって有利な売り手市場になります。

転職市場にある保育士の求人が求職者の数より多くなっているため、求人が余るということになります。

今の日本の転職市場はそもそも全体が売り手市場であり、保育士の求人がそれ以上の売り手市場になっていますので、保育士への転職を希望する方はどれだけ有利な状況にあるかご理解いただけると思います。

私の転職エージェントにも、保育士の免許を持っている方がいますが、その方は民間企業でOLとして転職することを希望しています。

保育士の転職市場はこれだけ有利な状況にありながら、保育士の免許を持っていても保育士としては転職を希望しない理由はどこにあるのでしょうか。

保育士の働き方は意外とハード

保育士としてやりがいがある面も多くありますが、労働環境という意味では責任も大きく失敗が許されないきつい状況にあります。

保育士の仕事のほとんどは、ご家庭から預かる子供のお世話をすることです。

実際に子供と直接接することになる保育士は、子供の両親の期待と安心を背負って仕事をしますので、かなりプレッシャーがあり、とにかく安全な環境を整備するということに神経を注ぎます。

保育園児は危険察知能力がまだ養われていませんし、子供は無邪気です。

ちょっと目を離すと口にしてはいけない物を口にするなど、日々危険があります。

就業時間中は常に責任を持って子供の面倒をみなければなりません。

しかも、保育士1人が担当する子供の数は、1人や2人ではなく10~20名にもなります。

子供1人でも育児は大変であるなか、保育士は自分の子供ではない子を複数名を同時に世話する必要があり、肉体的にも精神的にも厳しい職場環境になっています。

保育士の離職率

このように保育士の職場環境はハードな面が大きく、夢を持って就職・転職しても、理想と現実があまりに違い過ぎるということで、働くことを辞めてしまう場合が多いです。

保育士の離職率は50%弱ぐらいです。

この割合は非常に問題で、待機児童を是正することにつながっていません。

保育園の数がいくら増えても、保育園で子供の面倒を看る保育士の数が少なければ、保育園は新規の入園を受け入れることができないのです。

今、国は保育士の労働環境を整備して、本質的な意味で待機児童・女性の社会進出の課題を解決しようとしています。

保育士の労働条件

今、ご紹介したように保育士の職場環境は、気を抜くことができない責任が重い環境です。

それに見合った労働条件があればまだ良いと思うのですが、保育士の労働条件はどうでしょうか。

今は、保育士専門の転職サイトが立ち上がっているぐらい保育士の需要が増えていますが、転職サイトなどで保育士の求人を見ると、実際の労働環境と比べると低賃金、重労働となっています。

保育士の労働は肉体労働の面が大きく、それに見合った労働条件が求められます。

転職サイトに掲載されている保育士の求人を見ると、その大体は月給が20万円以下となっています。

私は転職エージェントとして求職者の方の転職支援をすると同時に就活生の就活支援もしているのですが、今の時代、新卒入社でも初任給は22万~24万程度です。

なかには初任給が30万円という企業もあります。

それに比べると、転職で給料が20万円というのはあまりに安いと思います。

保育士は国家資格です。

国家資格を保有していても給料が新卒者よりも安く、肉体労働が大半で、子供への看護の責任やプレッシャーがあるなか、新卒者よりも安い給料ですと、保育士を長く続けられない状況は理解できます。

プロの評価は何で決めるのか?

保育士に限らず、どの職業でもお金をもらい働くということは、すべての労働者はプロです。

サラリーマンであってもOLであっても、お金をもらって労働を提供します。

全員がプロですが、プロとして何を基準に評価が高い・低いが決まるのでしょう。

プロスポーツの世界は年俸がその選手の価値となっていますが、これはビジネスの世界でも全く同じです。

仕事はお金だけではないですが、求職者の転職する一番の目的はお金だと思います。

きれいごとは抜きにしてストレートに考えると、ビジネスの世界では報酬がその人の価値となります。

保育士という職業は、保育士として転職するまでの過程が重い以上は、転職後にその重い過程と実際の労働に見合う条件があっても不思議はないと思います。

しかし、保育士という仕事は社会的にそれほど高い評価を受けていないという現実があります。

保育士の魅力

ここまで保育士のハードな労働環境や、そのハードは労働環境とは反比例する実際の労働条件についてご紹介しましたが、それでも保育士という仕事は夢や希望と隣り合わせの職業です。

まだ社会的な地位は低いですが保育士の仕事の魅力についてもご紹介したいと思います。

子供は将来の日本を支える存在で、子供の数だけ夢や希望があります。

夢や希望となる多くの子供と触れ合うことができる保育士という仕事は素晴らしいと思っています。

保育士の仕事の魅力は何より、子供の成長を一番近くでみることができることです。
複数の子供の成長を同時にみることができます。

子供の面倒をみるのは大変ですが、その分楽しみや喜びも多いと思いますし、子供の無邪気さが何より保育士のハードな仕事の癒やしにもなると思います。

保育士が関わる子供の年齢は、最も成長スピードが早く、いろいろな面を見ることができる時期です。

ある教育者が「保育園適齢期の子供については、両親よりも保育士の方が詳しい」と言っている通り、1日の時間で子供と接する時間が最も多いのは保育士です。

今は労働条件という観点では社会的な地位が低い保育士ですが、仕事自体は非常に魅力あるものだと思います。

労働条件さえ改善されれば今よりはるかに人気職種になると思いますので、国の支援や推進を期待したいと思います。

子供とともに自分も成長できる!

成長が早く子供と接する機会が多い分、逆に子供から何かを学ぶということも多い職業だと思います。

保育士は当然大人ですが、どのような大人であっても子供と一緒に成長することができると思います。

また、保育園に預けられた子供は社会的な教育を保育園で初めて受けることになりますので、子供の社会的な教育に関して初めて関わる重要な立場になります。

この部分は責任が大きいため、プレッシャーになる部分もあると思いますが、重要な立場を前向きに捉えるとこれ以上、充実する時間はないのではないかと思います。

個人的ですが、私が保育園、小学校、中学校、高校、大学といろいろな先生から教育を受けて一番、印象に残っている先生は保育園の先生です。

子供は保育園での教育や思い出が大人になってからでも生きるため、保育士という仕事は将来につながる大切であり、やりがいのある仕事だと思います。

保育士に向いている人

保育士に向いている人は、何より子供が好きという人です。

仕事内容や労働条件を見ると長く働くことが難しい部分もあり、保育士となるためには国家資格を取得することが必要です。

資格ももちろん重要ですが、保育士は子供に対して心の教育者ですので何より子供が好きであることが一番重要です。

私には保育士の知人はいませんが、近所にある保育園を見ると子供と楽しそうに遊んでいる保育士の姿を目にします。

子供が好きという求職者の方は、ぜひ保育士として子供の教育に関わってみてはいかがかと思います。

国も保育士の労働環境の改善に積極的に動き出すようですし、今の労働条件は長く続かないと思います。

最後になりますが、求職者のみなさんの転職活動が有意義なものであることを祈り、これで話を終わりにしようと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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