面接官の考える「面接で緊張すると、意外な行動や態度に出てしまう人」
面接で緊張するのは当たり前です。
しかし、緊張状態であっても平常心で受け答えできるようにするべきというのが私の考えです。
転職エージェントなどを利用すれば面接時につい出てしまう「ご自身の悪い癖」を知ることができるので、ぜひ積極的に利用したいものです。
今回は、緊張状態でつい出てしまう「悪い癖」について実際の事例を交えながらお話ししたいと思います。
- 執筆者の情報
- 名前:永井 成果(仮名)
性別:女性
現在の年齢:47歳
面接の経験人数:約500人
面接経験時の役職:-
企業・業種:-
にこやかな表情で好印象
面接中にまったく緊張している様子が見えないので感心していたら、実はやっぱり緊張していたって人がいます。
緊張の結果、予想もしない方向に行ってしまい不採用となった例です。
その時の募集職種は「事務ならびに受付業務」だったのですが、彼女は面接ルームに入室してきた時から非常ににこやかな表情でした。
今回募集している受付や接客応対には、ぴったりという好印象のスタートでした。
いくつか質問をしていくと、表情も豊かで笑顔を絶やさず質問に的確に答えてくれるので、安心して会話ができる人だと思っていました。
ただ、ちょっと気になるのが答え終わった後「あはは!すみません!」と、それまで伸びていた背筋を急に折り曲げ、ズッコケたように照れ笑いするのです。
私もつられて苦笑いすることがありました。
その笑顔は彼女のかわいさと相まって悪いようには感じられず、しばらくは無視して質問を進めていきました。
面接も終盤に差しかかって
募集職種が事務・受付職種なので、どちらかといえば難しいことは聞かずに前職での経験やPCのレベル、性格的な長所、趣味など本人に関することを聞いていました。
内容的にも満足のいくもので、いずれも端的に答えてくれて面接は進んで行きました。
終盤近くになり、そろそろ終えようかという時に少しだけ一般社会常識的なことを聞いてみようということで、
「最近のニュースや出来事で、何か印象に残っていることはありますか?」
という質問をしました。
出て来る話題によって特に選考に大きく影響するような質問ではなく、ちょっとした常識や本人の興味の範囲、その語り口などを見てみようというのが目的でした。
その時彼女の口から出てきた話題は、当時大きな社会問題になっていた高速ツアーバスの人身事故のことでした。
旅行会社の無理な運行計画や、運転手の勤務状況が社会問題にもなった話題でした。
こちらとしては経済ニュースや業界ビジネス関連の話題を期待していたのですが、私的にはちょっと暗い話だなあと思いつつ、あまり気にせず彼女の話を聞いていました。
「今のは笑うところ?」
しばらくすると、なんだか違和感があるのに気づきました。
深刻な死亡事故を話題にしているにもかかわらず、彼女は自己PRや志望動機などの時とあまり変わらずにこやかに話すのです。
話題に関して彼女がまとめとして言ったことは、
「楽しみにしていた旅行が一転にして悲惨な状況になってしまい、本人も家族も大変かわいそうだなと思いました。」
というものでした。
コメント自体はごく普通のコメントなので採否に影響するようなものではないのですが、問題はその話をしている時の彼女が終始笑顔だったのと、コメントを語り終えた後、また例のなんとも言えない不可解な態度が出てしまったのです。
「あはは、すみません!」と言いながら大きく腰を曲げ、前かがみになりながら照れ臭そうに笑うのです。
この時2人いた面接官は顔を見合わせ、今度は笑いはなく、「何?今の?」「ちょっと変だよね?」「今のは笑うところ?」と言わんばかりの目配せをしました。
もう面接も終わりかけで、この質問を最後にしようと思っていたので彼女が話し終えるのを待ち、追加質問はせずに終了しました。
実際にいる、緊張すると笑う人
面接後に評価ミーティングをしましたが、彼女のにこやかさと話し終えた後のズッコケ態度に意見が集中しました。
「あれは、何だろう?」という疑問に対して出てきたみんなの感想
- 緊張すると、自分でも統制できず笑ってしまうクセがあるのでは?
- 照れ隠しが無意識のうちに出てしまい、彼女自身も気づいていないのだろうが、印象としては非常に大人げなく見える
- 照れ隠し的な愛嬌(あいきょう)もイヤな感じはまったくしないが、ビジネスの世界ではどうなのか
期せずして、彼女は不採用となりました。
理由は、評価ミーティングでの面接官のコメントに尽きるのですが、笑顔がかわいい、愛嬌があるということとは別に、状況感受性が弱く実務の世界で誤解を招きやすいというものでした。
死亡事故のニュースをニコニコしながら話すと相手がどんな印象を与えるのか、結果は誰でも想像できますよね。
緊張場面でこそ実力を発揮
あの笑顔は捨てがたいという意見もありましたが、たとえばクレームで激怒している顧客に対しあの態度が出てしまえば火に油を注ぐようなものです。
まったく悪気がないのはわかりますが、あくまで受け手側がどう感じるかがすべてです。
面接場面では緊張して日頃の姿をなかなか見ることができないので、大目に見てあげなければならないという意見をよく聞きます。
ただ私は逆のことを考えていて、緊張状態でも平常心で行動できる人間かどうかを見極めることの方が大切だと思っています。
日常のビジネス場面で、緊張の中で仕事をしなければならない時はしょっちゅうあります。
納期が迫り、プレッシャーの中で仕事をしたり、上得意先との大きな商談を進めたりする時など例を挙げればキリがありません。
緊張状態になった時、自分がどんなクセを持っているのか本人にはなかなかわかりません。
今回の事例は、緊張すると笑ってしまうという例でした。
その他、体を異様にくねらせてしまう人、話す時に身ぶり手ぶりがあまりにも見苦しい人、耳障りな言葉癖がしょっちゅう出てくる人、いろいろあります。
改善する一番いい方法は、転職エージェントやハローワークで転職相談をすると模擬面接をしてみることです。ぜひ相談してみてください。
この記事の筆者
永井 成果(仮名)
企業で何人も転職者の面接をしてきました。
その後私自身が転職し、その経験から転職者を支援する仕事もしました。
企業の面接経験ではこんな人は絶対受からない、逆にこういう人は非常に好感を持たれ面接をパスできる人だというのがよくわかり、支援する仕事ではそれを転職者にアドバイスしてきました。
この両経験から、転職者の役に立つ体験談とヒントを紹介したいと思います。