合否を分ける微妙な差はどこに!?転職の1次面接突破のために知っておきたいこと

中途採用は書類選考でかなり落とされる、と聞いたことはありますか?

新卒採用と違い、中途採用の場合には求めている要件に経歴が合わない場合すぐに書類選考で落とされてしまうのです。

私が採用担当をしていたときの書類応募の通過率はわずか1割未満。

しかし、書類通過した後の1次面接も実はかなりの難関です。

職種によりますが、私の経験では1次面接も通過率は2割程度。

私のいた企業のように2次面接=最終面接という企業も最近は増えてきているようで、その場合1次面接でかなり厳しく審査することになります。

今回はその1次面接の突破する方法、また合否を分ける微妙な差がどこにあるのかについてお伝えできればと思います。

執筆者の情報
名前:吉田 透(仮名)
性別:男性
現在の年齢:26歳
面接の経験人数:約400人
面接経験時の役職:-
企業・業種:ヘッドハンティング会社のスタッフ

1次面接にも効いてくる、職務経歴書の書き方のポイント

なぜ職務経歴書が面接の結果に関係するのか

まず書類応募の段階で提出することが多い職務経歴書ですが、面接の結果にも大いに関わってくることをご存じですか?

面接で候補者に質問をする材料に職務経歴書が使われているというのはよく知られている事実ですが、その他に見過ごされがちな点があります。

それは「すべての候補者は同じラインに立っているということはありえない」ということです。

私の前職の場合には書類選考を行う人間が1次面接の面接官を担当していたので、書類選考の段階で「期待できる候補者」なのか「とりあえず面接してみる候補者」なのかという大まかな認識をすりあわせていました。

そのため、まず1次面接通過を目指すには面接官に好印象を与える職務経歴書を作成するのは非常に大切といえます。

職務経歴書の効果的な書き方の中でも、今回は少しのコツで印象を変えることができる方法をお伝えします。

細切れになってしまった職務経歴は一つにまとめる

よくやってしまいがちな例として、正確に経歴を記載しようとするあまりに同じような職務内容を細切れに記載してしまうということがあります。

201X年X月~ ◯◯株式会社経理部にて入出金の管理など……を担当
201Y年Y月~ 株式会社△△(◯◯株式会社より出向)管理部経理チームにて月次・年次などの決算業務……を担当
201Z年Z月~ ◯◯株式会社経理部にて月次・年次などの決算業務……をリーダーとして担当

といったように記載してしまうということです。

一見すると経歴が数年ごとに途切れているように見えて、携わってきた職務が一貫してしないように見えてしまいます。

この場合、一貫して経理業務に携わっているのですから

201X年X月~ ◯◯株式会社にて経理業務に一貫して携わる

と、ひとつに記載し、それに続く詳細説明の部分に出向やリーダー昇格といった経歴を記載していくのがよいでしょう。

そうとは言ってもどうしても細切れになってしまう経歴がある、という場合があると思います。

やむを得ず試用期間だけで退職してしまった、契約社員としていくつかの職を転々としたことがあるという場合です。

その場合も事実とかけ離れない範囲で一つにまとめることで、職務経歴をすっきり見せることができます。

記載例としては、

201X年X月~Y月 契約社員として数社と契約する

とはじめにまとめて書いてしまい、それに続く詳細説明の部分に在籍した企業名を具体的に記載しましょう。

答え方一つが命取りに!転職・離職理由を伝えるときのポイント

すぐに辞められてしまうと困る企業側の心理

即戦力がほしくて中途採用を行う企業ですが、「能力のある人がほしい」という気持ちと同時に「すぐに退職されると困る」という心理があります。

それは中途採用するのに多大なコストがかかっているからです。

企業は中途入社の社員を採用したら新卒社員と違い、最初からある程度以上は給与を支払わなくてはなりません。

社会保険や備品などのコストもあります。

業務としての面でも最初から裁量を持ってもらうことになるので、せっかく途中まで仕事を覚えてもらった社員を失うことは多きな損失になります。

さらに転職エージェントを介しての転職する場合、企業側は成功報酬をエージェントに支払わなければなりません。

その金額はおおよそ想定年収の30~35%と言われています。

実際に、すぐに辞めてしまうかもしれない人材にそれだけの金額を支払うことはできない、という理由で合否ボーダーライン上の候補者を不採用にしたという場面を見たことは多々あります。

不利になる転職回数は?

前述したように企業としては中途採用した人材にすぐに辞められてしまうと困るので、今までの転職回数や転職理由に敏感になります。

ではどれくらいの転職回数があると不利になるのでしょうか?

私が今までに見てきた経験からは2社経験くらいまではあまり問題にならないようです。

それ以上の転職回数を重ねている場合は一社あたりの在籍年数を重視します。

3年未満での転職を繰り返していると企業への定着可能性が低い人材と見られかねません。

また定着可能性を判断するため、過去の転職理由と今回の転職理由を聞かれ、それが合否の判断材料になることもあります。

マイナスの印象にならない転職理由は?

ではどういった転職理由を伝えれば、不利になることなく面接を通過することができるのでしょうか。

前向きなもの

  • 今の会社では◯◯の業務を任されているが、その分野でもっとステップアップしたい
  • 昔からの夢だった職種にもう一度チャレンジしてみたい

やむを得ない理由

  • 前職の会社で給与未払いが続いていた
  • 会社が倒産してしまった
  • 経営方針に社員が反発し、多くの社員がやめてしまった
  • 何日も終電や会社への泊まりこみが続き体調を崩してしまった、今は完治している

ポジティブな理由の他、明らかにやむを得ない理由での転職であれば受け入れられる可能性が高いと言えるでしょう。

×マイナスの印象を与える理由

  • 上司と意見が合わず対立し、退職した
  • (漠然と)もっと違う仕事をやってみたいと思った
  • なんとなく前職の仕事が嫌になってしまった

転職への目的意識が欠けているように感じられたり、今後も起こり得る理由だったりでの転職はマイナスポイントになりがちです。

もちろんうそをつくのはよくありませんが、どのような伝え方をするのかはよく練る必要があるでしょう。

なにか質問はありますか?の逆質問に悩んだら

面接官は将来のあなたの上司かも

中途採用では求める経歴・人物像が決まっていて、そこに当てはまる人材を探しているケースが多いと思います。

面接回数も少ないことが多いので直接自分の部下になれる人材を見極めている、すなわち面接官自身があなたの上司になる可能性が高いわけです。

「最後になにか質問はありませんか」と聞かれて何を聞いたらいいのか悩んだ場合、目の前の面接官が上司だったら、という仮定をしてみましょう

例えば

  • もし実際に入社した場合に、最初に私が任される仕事はなんですか
  • 今はどんなお仕事をされていますか?
  • 現在の部署(チーム)の構成を教えてください

なども、とてもよい質問だと思います。

意外にカジュアルな質問もOK

中途採用では新卒採用とは違い、会社説明会が別途行われないことがほとんどだと思います。

その場合、1次面接が企業と直接触れる初めての機会なので、会社説明会も兼ねているつもりでカジュアルな質問をするのも問題ないでしょう。

例えば

  • 社員の皆さんはどんな一日を過ごしているか一般的なタイムスケジュールを教えてください
  • 何時からそれぞれどのように昼食をとっていますか?
  • 会社の飲み会は多いですか?
  • 面接の帰りに食事を取って帰りたいので、近くのおいしいお店を教えてください

カジュアルな質問をすることによって見えてくる企業のカラーもあるかもしれません。

プラスにしか働かない!?自己PRの裏ワザ

自分をPRするものは履歴書、職務経歴書以外も有効

今まで見てきた中で評価にプラスにはなれど、ほぼマイナスにはならない自己PRの方法があります。

それは実際の作品や実績を面接官に見せる形で提出することです。

経歴だけで自分のできることを説明するのと、実際に見てもらうのでは説得力が違います。

私の経験では、

  • ゲームプランナー(企画職)志望者の方が任意提出の企画書をたくさん持ち込んで面接を通過したケース
  • ゲームプログラマー志望者の方がプログラムのソースコードを見せて通過したケース
  • 自作のゲームをその場で遊んでもらって通過したケース

があります。

ここで紹介したのはゲーム業界の例ですが、なにか工夫して履歴書、職務経歴書以外に自分をPRできるものを面接官に見てもらうのは全く違う職種でも使える技だと思います。

終わりに

転職活動は一生のうちでもそう何度も経験しない一大イベントだと思います。

今はどこの業界も人手不足と言われていて、たくさんの求人や情報があふれています。

転職活動を始めると一度にいろいろな情報が押し寄せてきて驚くことと思います。

冷静に吟味して失敗のない転職ができること、時に転職活動を中止し現職を続ける勇気を持つこと、公私共にさらなる飛躍ができることをお祈りしています。

この記事の筆者

吉田 透(仮名)
1989年生まれの26歳。
難関私立大学理工学部卒業後、新卒でゲーム開発会社へ入社。

プロモーション、プロジェクト進行管理などの経験を経て、採用担当となる。

当時、採用専任のスタッフがいなかったため、新卒・中途・契約すべての採用を1人で担当。

中途採用ではゲームクリエイターを中心に年間100名以上の面接に立ち会う。

2015年結婚を機に在宅ワーカーへ転向し、現在はヘッドハンティング会社のスタッフとして毎月約3000人の職務経歴書を閲覧、スカウト配信を行っている。

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