リポーターという仕事の実情

リポーターと聞くと、華やかなマスコミの世界、アナウンサーと同じような仕事をしているんでしょ?と言われることも多く、花形の仕事として外部からはちやほやされます。しかし、本当に花形の華やかな仕事なのでしょうか。

アナウンサー、キャスター、リポーター、記者と区別をしているのは、もちろん仕事の内容が異なるからです。アナウンサーはニュースが読める、キャスターはスタジオで読んだり伝えたりすることを主とした職種です。

アナウンサー、キャスターともに外でリポートもしますが、主にスタジオでカメラに映るのが特権でもあります。一方、同じニュースに関わる職種で「記者」があります。

記者は現場に出て、目の前で起こっていることをリポートする仕事です。つまり、リポーターはアナウンサーよりも記者に近い仕事だと言えます。

記者は得た情報を基に一人でカメラに向かって話すことが多いのですが、リポーターは基本的にインタビューをすることが多い点が違います。さて、マスコミの表舞台に出る仕事は果たして本当に華やかなのでしょうか。

リポーターという仕事に焦点を当てて、見て行きましょう。

体験者の情報
名前: 山本みゆき(仮名)
性別: 女性
年齢: 31歳
業界(歴): マスコミ(3年)、IT・精密機器(3年半)
職種(歴): リポーター(3年)、司会業(8年)、OL(3年半)

リポーターは相手ありきの仕事

記者の現場からの中継はテレビで見たことがあるでしょう。現場で見たこと、聞いたことをまとめて自分の言葉で話す中継が多いです。

一方、リポーターは現場で直接相手に話しかけ、相手との会話をそのまま中継することが多いのです。つまり、リポーターの仕事では相手がいないと成り立たないことがほとんどなのです。

インタビューで大切なのは会話です。相手の言葉をしっかり受け止めて、そして質問を発することです。自分の聞きたい質問ばかりをぶつけていると、相手は自分の話を聞いてくれていないと感じ、話しにくくなってしまいます。

相手を話しやすい環境に置くという意味では、リポーターの第一印象が良いことも重要なポイントです。第一印象が悪いと、初対面で非常に話しにくいですものね。

報道記者は事実確認をすることが目的ですが、リポーターは現場の様子をよりリアルに、現場の声を引っ張ってくることが目的です。

テレビでタレントの卵がリポーターとして現場に行っているのは、その第一印象の良さから採用されたためかもしれませんね。

リポーターは話す仕事ではなく聞く仕事

リポーターは一見、臨場感を言葉で伝える仕事だと思われがちですが、実は自分の言葉はさほど重要ではありません。話す仕事ではなく、聞く仕事だと先輩から耳にタコができるほど指導されたのを覚えています。

インタビューをして足りない表現を自分の言葉で補うことはあっても、最初からすべて自分の言葉でまとめてしまわないのが鉄則です。では、相手の良い言葉や表現を引き出すにはどのようにすれば良いのでしょうか。

とにかく相手の話をしっかり聞くことが重要です。前もって疑問点を持って取材に臨むことは重要ですが、質問ばかりに囚われていては会話になりません。最初は質問が下手でも良いのです。

相手の話をしっかり受け止めることと自分が言葉を発することの割合は8:2と言っても良いでしょう。

うまく質問したり、切り返したり、自分の言葉でまとめたりするのは、相手の話を聞けるようになったベテランが目指すところなのです。まずは話を聞くことに徹する、これがリポーターの仕事の基本なのです。

下準備なしでは臨めない現場

リポーターの中継には3種類あります。1つ目は初めから現場が決まっていて、相手にアポイントメントを取っている場合です。2つ目は事故や交通状況や天候の乱れなど予期せぬ事態が起こったときに取材する場合です。

3つ目は現場に行って突撃インタビューをする場合です。一見、全く種類が異なるように見えますが、共通して言えることがあります。さて、それはどんなところでしょう?

下準備が必要ということです。割合で示すと下準備:本番=8:2と言っても過言ではありません。下準備なしで現場に出向くことは危険すぎます。

3種類の現場

1つ目の、現場も相手も分かっている場合には事前に調べておかないとトンチンカンな質問を相手にしてしまい、失礼な人になってしまいますよね。詳しいことは知らなくて良いのです。

詳しすぎるとインタビューする意味がなくなりますからね。視聴者目線で質問をしますが、あまりにも何も知らないとなると質問すらできなくなるので、下準備はしっかりします。

2つ目は予期せぬ事態で急遽現場に駆けつけるパターンが多いのですが、それでも下準備は必要です。その土地の地理や天候、現在の様子など何も情報がないとリポートできません。記者に近いリポ―トにはなるため、情報が頼りです。

多すぎるくらいの情報を持って中継に臨みます。

3つ目の突撃インタビューは相手の出方が不明です。話してくれそうだと思う人にマイクを向けても喋ってもらえなかったり、予期せぬ答えがかえってきたりすることもあります。

しかし、その現場の歴史や地理を知っていることで地元の人と話が膨らみ、会話が成り立つことがあります。また、事前に調べた知識があれば、間が空いたときも焦らず対応できます。

つまり、どんなリポートであっても下準備を怠ると良いリポートはできないということです。

まとめ:リポーターは本当に華やかな仕事なのか?

リポーターという仕事についてご紹介してきましたが、最初のイメージと比べていかがですか?笑って喋って、花形の仕事だなぁという印象のままですか?それとも案外、地道な仕事が多いんだなと思われましたか?

表に出てくる質問や言葉は膨大な情報の中のほんの一部なのです。100のうち20表に出れば十分、50も90も出すと良いリポートにはならないと言われたことがあります。

得た情報をすべてそのまま伝えるのではなく、厳選した一部の情報を、しかも相手の口から発してもらう、それがリポーターのあるべき姿なのだとベテランの先輩から教わったとき、奥の深い仕事だなと感じました。

ただ表に出たいという気持ちだけでは務まりません。下準備の苦労を厭わず、人の話をしっかりと聞ける人がリポーターには向いています。是非やってみたいという方はその点をアピールポイントにすると良いかもしれません。

この記事の筆者

山本みゆき(仮名)
1984年生まれ。リポーターを中心に、結婚式や会社イベントの司会も務める。会社でOLをやりながら並行して司会業を続けている。現在はクラウドワークスや他の媒体でライターとしても活動中。趣味の旅行やブライダル経験を生かして記事を作成している。

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