Uターン転職が流行っている!?

私は過去に何度か転職したことがあり、現在は転職エージェントとして転職者の支援を行っています。

現在、都心部に居住している求職者は都心部で一生過ごすと考えている人が多いと思いますが、最近は企業が拠点を地方や海外に置くことが珍しくない世の中になっています。

また、今後は企業のドーナツ化の動きが加速するという予測もあります

転職してある時に、地方で過ごしたい・地方が働きやすいと思うこともあるでしょう。

今回は、こういった状況を踏まえて求職者のUターン転職についてご紹介できればと思います。

Uターンの転職

企業が地方へ進出することが増えているため、求職者も地方で転職するUターンが増えています。

Uターン転職を積極的に行う企業は、選考を地方で行う場合は都心部に住んでいる求職者に交通費を支給します

地方に進出してコストが抑えられている分、採用活動に充てるコストが増えており、交通費を支払ってもコストを抑えることが可能になっているのです。

Uターン転職の求職者メリット

求職者にとって仕事があることが一番のメリットだと思いますが、その他にもメリットがあります。

一つは家賃が安いということです。

都心部は家賃が非常に高く家賃が家計を圧迫していることが多いです。

一方、地方は明らかに人や物が少ないため、人口密集率が低く、土地が余っている状態で家賃の安さに還元されます。

都心部よりも給料は下がりますが、給料の下げ幅よりも家賃の下げ幅が大きければ家計は上向きとなります。

二つ目は助成金です。

正式には労働移住助成金と言いますが、国がUターン転職する労働者に対して引っ越し代などの諸経費を補助しているのです。

私の友人にもこの助成金を使ってUターン転職した人がいますが、非常に便利で良いと言っています。

転職エージェントとして、Uターン転職をする求職者に抱き合わせで助成金を案内していますが、この存在を知らない求職者は多いです。

求職者の家庭環境

Uターン転職が増えている背景は、これまでご紹介した企業の地方進出や助成金だけではありません。

求職者の中にはお子さんがいらっしゃる方も多いと思いますが、都心部では子育てに不向きな環境と聞いたことはありませんか?

特に待機児童が大きな問題です。

待機児童のほかに、都心部では遊び場が減少しており子供らしい遊びができないことも問題となっています。

地方に目を向けると、人口が少なく子供の数も減少していることから保育園は待機することなく預けることが可能です。

また、都心部のようにビルやマンションが密集していることは少ないため、子供の遊び場も確保されます。

このように、自身の生活だけを考えるのではなく、家族を考えて仕事をした方が都合が良いとしてUターン転職を選ぶ求職者が多い傾向にあります。

Uターン転職に有利な業界

同じ求職者でも、希望する業界によって地方へ積極的に拠点を広げる業界があります。

中でもIT業界やコールセンター業界は、Uターン転職に非常に有利です。

IT業界はインターネットを駆使して事業場所はどこであっても事業を展開することが可能な特徴があります。

求職者からしても、IT業界であれば都心部で仕事をすることにこだわる理由はないと感じているようで、積極的にUターン求人に応募・転職しているようです。

また、IT業界と並んで求職者に有利な業界はコールセンター業界です。

コールセンター業界は、電話があればどこでも顧客のサービスを行うことが可能な業界です。

現在のようにUターン転職が多くなる前からコスト削減として地方に拠点を持っている企業が多くありました。

今はコールセンター業界の地方展開はさらに加速しています。

Uターン転職に有利な職種

求職者にとって有利な職種は、顧客と直接コミュニケーションを取る機会が少ない間接部門です。

ここ最近、求人の数も明らかに増えています。

特に人事や経理、事務関係は狙い目だと思います。

もし、私が人事の仕事をしているのであれば、長期的な視点で都心部で働くよりもUターン転職により地方で働くことを選ぶかもしれません。

Uターン転職に向かない業界

不動産業界や車のディーラー業界はUターン転職に不向きと言われています。

顧客となる消費者が都心にあり、出張で地方から都心に来ることが多くなりデメリットとなることが多いからです。

実際に私が抱える求人の中にもこれらの業界のUターン求人はないです。

Uターン転職に不向きな職種

業界とともに、Uターンに不向きな職種は営業系の職種です。

不向きな業界と同じように顧客が都心部にいることが多いため、デメリットの方が大きいです。

しかし、地方に支店を持ち、地方で営業活動ができる環境であればUターン転職も全く問題ないと思います。

未経験者職種のUターン

Uターン転職は、未経験者も優遇されるといった特徴があります。

通常、未経験者を優遇する求人はかなり少なく、あったとしてもあまり良い求人ではないことが多いです。

ところが、Uターン転職となれば未経験者も優遇するという一般的な求人が目立ちます。

特に農林水産系の求人です。

地方は後継者がいないという問題が大きく、中でも農林水産系の職種はこの傾向が強いのです。

Uターンを考えていた方で農林水産系に興味がある方は、今は非常に熱い時期です。

助成金も他の職種よりも優遇されます。

ブラック企業も地方進出!?

これまでUターン転職のメリットをご紹介しましたが、リスクとなる要素もあります。

地方に進出する企業はコスト削減が見込めるためとお伝えしましたが、人件費を下げるために地方へ進出する企業も多いです。

地方の人件費は都心部に比べると安いため、必要以上に低賃金で都心並みの仕事をさせるブラック企業もあります

ブラック企業は必要以上の低賃金が特徴的なので、判断基準は給与面です。

Uターン転職を検討されている方は、転職する地方の最低賃金を必ずチェックしてください

私の友人に、四国の企業にUターン転職した人がいますが、入社してみるとブラック企業で、結局無職となり、ハローワークを使って再就職しています。

再就職先が決まったために良いように見えますが、地方の企業は都心部に比べるとまだ少ないため、自分の希望する仕事に転職できるとは限りません。

Uターン転職を支援する転職エージェント

都心部に本社を構える転職エージェントの中でも、DODAという大手の転職エージェントは、求職者のUターン転職を積極的に支援しています

私が知り得る範囲では日本で今最もUターン転職の支援実績が豊富で、情報も豊富に持っています。

DODAがUターン転職に積極的に支援できる背景は、大手企業の求人を多く持っていることがあります。

地方へ拠点を移設する企業は大手企業が多いため、得意分野と親和性が強いのです。

求職者の中でUターン転職を希望する方は、登録しておいた方が有利に転職活動を進めることができます。

企業が地方進出する背景

経済の中心は首都圏という定説は今もありますが、それは少しずつ変わってきています。

都心部を中心に物があふれる時代となり、労働者も都心部に集まり、物価が高騰しています。

企業を経営する上は、コストを下げて利益を多くすることが大原則であるため、いつの時代も企業はコストを下げる取り組みを行ってきました。

どの企業も経営を長くすることを考えているため、長期的な観点で経営検討しています。

地方はコストが低い

都心部での経営はコストを圧迫する要因になっているため、企業が目をつけた施策が地方への進出です。

まずは、管理会計上の費用を減らし、利益率を上げようと考えているのです。

中にはオフィステナント料が都心部の10分の1以下という地域もあり、地方にオフィスを持った方が得だと考える経営者は多いです。

事業内容によっては都心部に拠点を持っていなければ不具合が出るという意見もありますが、出張を使って対処する方がオフィスの費用を支払うよりもコストが安くなるケースがあります。

インターネットの普及

物価が安いという理由のほかに、現在はインターネットの普及で全国各地の消費者とコンタクトを取ることが可能になっています。

このインターネットの普及により、特にBtoCを事業とする企業は地方への進出が増えています。

BtoC

Business to Consumer の略。スーパーやコンビニなど、消費者(一般大衆)を相手にした商売が「B to C」の代表例。

転職エージェントも地方拠点を増やしている

転職エージェントは、収益源となる企業が地方に進出すると、それだけ地方でのビジネスチャンスの機会が増えることになります。

また、地方へ進出することができれば他の転職エージェントからの差別化が可能となります。

企業が地方に進出すると、転職エージェントも地方へ進出し、求人が増えると地方へのUターンが増えるという流れが成り立ちます。

日本の企業が地方進出を進めていく中で、この動きはさらに加速するはずです。

地方活性の動き

国は、地方活性化を目的として地方の雇用創造を一つの政策としています。

その証拠に地方に進出・拠点拡大する企業に対して補助金や助成金を支給しています

地方の雇用創造

これまで、地方の雇用は都心部に流れる傾向にあり、企業は地方で業績を拡大するのが難しい状況でした。

そこで、若者を中心に地方の労働者を増やすべく、企業を地方に誘致する動きが活発になっています

国は企業の地方進出に関係する予算を多く作り、多くの企業に地方へ移転や事業拡大しやすい状況を作ったのです。

この施策は、コストを下げたい企業と地方の雇用創造したい国の利害が一致して成功しています

今までは仕事の多い都心部へ労働者が流れる傾向にありましたが、今は地方で就職や転職することが可能となっています

補助金や助成金

地方と言っても地方自治体ごとに補助金や助成金の内容が異なります。

私が知り得る範囲ですが、高知県、宮崎県、鳥取県は特に積極的に企業誘致を進めています。

各地方自治体で補助金や助成金が支給されますし、国からも補助金や助成金の対象となるため、これらの補助金や助成金だけで移転コストをカバーすることが可能となっています。

求職者にとって企業への補助金や助成金は関係ないのですが、この背景を理解することは転職活動の幅を広げます。

Uターン転職のまとめ

今の日本は都心部を中心にビジネス展開していますが、国や地方の補助金により、企業はより一層地方へ進出するはずです。

そうなれば、求職者も企業の選択肢は増えますし、都心部にこだわる必要はないように感じます。

中にはブラック企業と呼ばれる企業も混在していますので、求職者としてはしっかりと見極めることが重要です。

ただし、国や地方の助成金を支給される企業は審査基準が高く、ブラック企業の場合は環境を是正されることが多いです。

その中でも絶対ブラック企業がないとは言い切れないため、情報を集めてUターン転職に挑むことが必要です。

最後になりますが、求職者自身や求職者の家族を考えて、最高の転職ができるよう頑張っていただきたいと思います。

このページの先頭へ