化粧品業界へ転職したい!転職前に知っておきたい化粧品業界の常識と現状
化粧品業界って女性も活躍していて華やかなイメージがありますよね。ひとことで「化粧品」と言っても実はいろいろな分野に分かれています。
化粧品業界に転職したい方のために、「こんなはずじゃなかった」と間違った転職をしないためのアドバイスをお届けします。
- 執筆者の情報
- 名前: 匂坂 鎮(仮名)
性別: 男性
年齢: 49歳
業界(歴): 化粧品業界(26年)
職種(歴):営業(24年)マーケティング(2年)
今回の記事の目次
大きく分けると三種類の化粧品業界
いわゆる「化粧品会社」という会社は実はかなりたくさんあります。一般の人が聞いたこともないような化粧品会社もありますし、業界歴30年の私でも知らない会社はたくさんあります。
さて、その化粧品会社を簡単に三つに分けるとすると、
- 大手国内化粧品会社(資生堂、カネボウ、花王、コーセーなど)
- 大手外資系化粧品会社(シャネル、イブサンローラン、クリスチャンディオールなど)
- その他(ポーラ、ちふれ、レブロン、メイベリン、など)
ということになります。
この分類は私の経験値によるものですが、基本的には「商品をどこで売っているか」をもとにグルーピングしています。
それぞれの販売ルートの特徴ですが、
1の大手化粧品会社は百貨店、大型スーパー(業界ではGMS【ジェネラルマーチャンダイジングストア】と言います。覚えておくと使えます。)からドラッグストアや町の化粧品専門店まで幅広く網羅しています。
2の大手外資系化粧品会社は基本的に百貨店で販売しています。「プレステージブランド」と言ったりもします。
3のその他はちょっとくくりが大きすぎますが、プラザやロフトなどのバラエティストアや大型スーパー、ドラッグストアを中心に販売しています。訪問販売化粧品会社も便宜上ここにいれてあります。
化粧品業界への転職に向けてのミニ知識その1 どんな会社を目指せばいい?
化粧品業界に就職したい方は、あなたが新卒や第二新卒なら1の大手化粧品会社をまず狙いましょう。もちろんハードルは高いですが、新卒で入っておかないと大手の国内化粧品会社はなかなか中途採用がありません。
そして2の大手外資系化粧品会社は逆に新卒での採用がほとんどないからです。
転職でよくあるパターンは、中小の化粧品会社に転職し、そこからスキルを身につけてステップアップしていくというものです。化粧品業界での転職って、同業他社に転職する人がとても多いのです。
久しぶりにあった化粧品会社のひとに名刺をもらったら別の化粧品会社に転職していたなんていうことはよくある話です。
化粧品業界への転職に向けてのミニ知識その2 その会社、ホントに化粧品会社?
化粧品業界に転職したいあなたにちょっとした化粧品会社の見分け方をお知らせしておきます。
化粧品会社と一言で言ってもいろいろ種類があるんですよね。
- 自社で工場を持っていて化粧品を「製造販売」している会社
- 自社では工場を持っておらず、他会社に製造を委託し、化粧品を販売している「販売会社」
- 他社の化粧品を製造する「製造会社」(これがいわゆるOEM会社というものです。)
- 自社ブランドを持っていたり、ブランドの総代理店になっている化粧品問屋
などがあります。
通常化粧品業界に転職したい方は1か2をターゲットにすることになります。2の自社工場を持っていない化粧品会社は最近特に増えています。「異業種参入」という奴ですね。
例えばアパレルメーカーさんが化粧品を出したり、美容機器のメーカーさんがメイクアップ商品を出したりするのがそれに当たります。
このうち見分けにくいのは4番です。いろんなブランドを持っているので一見化粧品メーカーに見えますが、実は化粧品問屋さんだったということがあります。
私も新卒で化粧品会社に就職を目指していた頃に見分けがつかなかったことがあります。最近では「メーカーベンダー」と言ったりします。
問屋さんはブランドを持っていても8割方は問屋さんとしての業務になりますので、化粧品メーカーに転職したい方はご注意ください。
化粧品業界への転職に向けてのミニ知識その3 化粧品業界に有利な資格
この資格があれば化粧品業界への転職が有利!という絶対的な資格と言うのは実はあまりありません。
一般的に言うと、経理に入りたければ簿記があれば有利でしょうし、商品開発に入りたければ化学的な知識があれば有利ですが、それは「職種」によるものであって、「化粧品業界」に有利なものではありません。
アロマ検定などもそれほど必要なわけではありませんし、ネイリスト検定などもネイリストとして就業するのには必要ですが、そのほかの部署では優遇されるわけでもありません。
しかし得意分野によって転職しやすい部署も違ってきますので書いておきますと、
- イラストレーター、フォトショップの知識:社内で企画書や販促物などを製作するマーケティング部門がある場合、イラストレーターやフォトショップが使えると有利です。この技術を持っている方は他業種から転職する方も多いです。
- 化学の知識→工場を持っている化粧品会社での商品開発の場合、化学の知識は必須になります。もちろんマーケティングレベルでも化学の知識があると有利です。
- 薬剤師免許:化粧品は「薬事法」の支配下にありますので化粧品会社で「薬事」の部門に入りたい方は持っていると有利に働きます。
- 色彩検定関係:化粧品ですので、「色」について語るとき持っているといばれる場合があります。
- アロマ検定関係:化粧品ですので「香り」について語るとき持っていると説得力が出ます。
- 販売士:私は二級を持っていますが、話のタネに使える程度ですね。資格としてはさほど有利なものではありませんが、販売士の試験内容そのものは理解しておくと化粧品業界では役に立ちます。
化粧品業界への転職に向けてのミニ知識その4 実際の待遇は?
転職するにあたって気になるのはやはり待遇面ですよね。平成26年度の化粧品業界の平均月収は「560万」というデータがありますが、この平均値は高いとみた方が良いでしょう。
(※参考サイト http://nensyu-labo.com/gyousyu_kesyo.htm)
転職する場合、転職先の会社の基準値もありますが、やはり前職の給与体系が基準になることが多いです。わたしは転職組の多い会社にいたことがありますが、同時期に転職しても人によって年収で100万以上違うこともありました。
比較的老舗の大手は給与が高く、ベンチャー企業は低い傾向にあります。やはり企業規模の大きい会社に転職したほうが待遇は良いです。
また、外資系の化粧品会社は年俸制が多く、年俸を12ヶ月で割ってボーナスのない会社もあります。ボーナスがなくて淋しい部分もありますが、これ実はいいことなのです。
ボーナスは会社の業績や個人の評価によって上下することも多く、年収が変動することもありますが、年俸の場合基本的に保障されるので年収が変動することがありません。
化粧品業界の現在
化粧品会社って女性が多いの?
女性が多く華やかに見える化粧品業界ですが、少し前まではやはり男性社会でした。物流や工場はもちろん、営業さんもほとんどが男の人でした。ただ、化粧品会社の営業の男性は物腰の柔らかい人が多かったです。
おそらく女性の美容部員さんと話すことが多いからでしょう。
女性が多いというイメージは、お店で見かけるのが女性の美容部員さん(Beauty Adviserを略してBAさんと言うことが多いです。)なので、そういうイメージがついているのだと思います。
しかしここ10年くらいで営業さんも女性がどんどん増えてきました。やはり化粧品を使う立場である女性の方が化粧品に対する知識も経験値も豊富なことがひとつの要因だと考えられます。
また、販売店側のバイヤーなども女性が増えてきたため、女性目線から化粧品を語った方が説得力がありますね。マーケティングなども最近は女性の方が多く、会社によっては女性の方が多い会社もあります。
新しい化粧品会社の乱立
今、化粧品業界は新しい会社がどんどん増えています。通販専門で化粧品を売っていた会社が店頭販売に参入してきたのがきっかけとなり、アパレル業界や美容機器業界などの異業種からの参入が相次ぎました。
富士フィルムさんがアスタリフトで化粧品業界に殴りこんできたのは記憶に新しいところです。さらにはIT業界や企画会社が化粧品を企画してくるというケースもあります。
また、新規に化粧品会社を立ち上げるケースも昔に比べて増えています。化粧品って目新しいものが売れたりするので、商売としては参入しやすいと考えている方も多いようです。
今店頭を見てみると業界歴の長い私でも知らないメーカーの知らない商品がたくさんあります。ただ、長いこと業界で生き残っていく商品を作るのはなかなか難しいようです。
まとめ
いかがでしょうか?以下に今回の記事のポイントをまとめました。
- 化粧品業界は大手国内化粧品会社、大手外資系化粧品会社、その他の化粧品会社の三つに分かれています。
- 化粧品会社にも化粧品製造販売会社、化粧品販売会社、化粧品製造会社、代理店などがあります。
- 化粧品業界に転職するにあたっては、どの職種なら自分のスキルが活かせるかを見極めることも重要になってきます。
- 現在の化粧品業界は以前に比べ女性がとても増え、女性にとっても活躍しやすい業界と言えるでしょう。
- 異業種参入などにより化粧品会社自体が増えていますので、以前より化粧品業界に転職しやすい環境になってきています。
- 大手化粧品会社とベンチャー企業では待遇にかなり差がつくことがあります。まずは転職サイトなどで調べてみましょう。
あなたの納得のいく化粧品会社が見つかるよう応援しています。
この記事の筆者
匂坂 凜(仮名)
1961年生まれ。大学卒業から化粧品業界に入り、約30年間化粧品業界に在籍。職種は営業部をメインにマーケティング部経験もあり。外資系化粧品会社に約20年間勤務し、その後、ヘアケアメーカー、ネイルケアメーカー等に転職。直近ではベースメイクを主軸とした化粧品会社と業務委託を結びつつ、ランサーズにて記事を執筆している。