スタートベンチャー企業への転職
みなさん、こんにちは。
日本には歴史があり古くから創業している企業もあれば、最近は特に目立つ歴史の浅いベンチャー企業が多くあります。
転職エージェントをしていると、企業それぞれに規模は全て違いますが、大きく分けるとこの2つが全てです。
中でもベンチャー企業の求人は非常に多く私の転職エージェントも含めてどの転職エージェントでもベンチャー企業の求人の割合は多いです。
そのため、求職者が紹介を受ける求人もベンチャー企業が多いと思います。
ベンチャー企業は、創業間もない歴史が浅く、また、創業者が比較的若いということが特徴にありますが、その中でも、創業して3年以内のベンチャー企業はスタートベンチャー企業と呼ばれています。
ベンチャー企業の求人の中には、このスタートベンチャー企業の求人もありますが、求職者にとってスタートベンチャー企業に転職することはどのようなメリットやデメリットがあるのか、このあたりを今回はご紹介したいと思います。
まずは、ベンチャー企業とスタートベンチャー企業の違いについて、ここから今回の話を起こしていこうと思います。
今回の記事の目次
ベンチャー企業とスタートベンチャー企業の違い
ベンチャー企業は冒頭でお伝えした通り、ある程度の基準があります.
しかし、この基準は特に法的な根拠に基づいたものではなく、世間一般的、また、人材業界において、『ベンチャー企業はこの特徴がある企業が多いよね』ということで定義づけしています。
ベンチャー企業の中に今回、主人公となるスタートベンチャー企業があるため、ベンチャー企業の特徴を説明することで一部は包括的にスタートベンチャー企業の特徴となることもありますので、軽視することなく確認頂ければと思います。
ベンチャー企業とは
先述の通り、ベンチャー企業についての法的な定義は一切ありませんが、転職エージェントを中心に人材業界である程度の定義づけをしており、その定義が求職者にも広がっています。
ベンチャー企業は、この後にご紹介するスタートベンチャー企業がある程度の年数を経過するとベンチャー企業と呼ばれるようになります。
ベンチャー企業の主な特徴
- IT業界や人材業界が中心
- 創業者の年齢も20代から30代前半であることが多く、資本金も数百万から多くても1000万程度である
- 働く従業員の年齢層も平均年齢が20歳代である
- 自由な社風を持っている
- 社内でのコミュニケーションを非常に大事にている
自由な社風とは、働く服装もオフィスカジュアルとして私服もOKであったり、また、労働時間もフレックスタイム制を導入して従業員に対して自由度の高い労働環境を提供している等です。
また、社員旅行や社内懇親会を積極的に行い従業員同士や経営層と従業員間のコミュニケーションを多く取るようにしていることも特徴の一つです。
この背景には大手企業ほどの規模ではないため、また、企業は人なりということを体現し、一枚岩で全社的に同じ方向を向いて企業成長に寄与しようとすることが一番の理由です。
ベンチャー企業は新卒が大好き
ベンチャー企業は、資金力が乏しいことがあり、なるべくコストを減らし労働量を増やしたいという考えを持っていることが多いです。
また、一枚岩経営を浸透させることに非常に重きを置いているため、文化が分散することを嫌がります。
そのため、前職を持ち前職の文化も経験している求職者よりも新卒採用が大好きな側面があります。
新卒採用は中途採用と大きく違うことは前職経験がないため、まっさら状態の人材であり、前職での業務経験がないため、給料面も低くて済みます。
しかし、新卒はやる気がある人材が多く、若いために体力のある人材が多いため、長時間労働にも耐えることができるため、ベンチャー企業にはうってつけの人材になっているのです。
スタートベンチャー企業とは?
スタートベンチャー企業は創業3年以内のベンチャー企業をいうことが多いです。
創業者もベンチャー企業同様に若い年代の創業者が多く、業界としてもベンチャー企業と変わりはりません。
しかし、社風や従業員の働き方、規模など違いが大きい要素が多いです。
スタートベンチャー企業の社風
スタートベンチャー企業の社風は、創業して非常に年数が浅いために、あってないようなものです。
創業者は起業する際に、その企業の理念や行動指針を作ることが普通ですが、スタートベンチャー企業では、機能していることは少ないと言えるでしょう。
なぜなら、スタートベンチャー企業は従業員数が極めて少なく3人4人という極めて少数の人的リソースで経営をしていることが多いからです。
スタートベンチャー企業は、企業理念などは持っているものの、仕事量が膨大であるため、理念などを意識している暇や余裕がないため、どのスタートベンチャー企業もハードワークの社風を持っています。
スタートベンチャー企業の従業員
あえて従業員と表現させて頂きました。スタートベンチャー企業は、高い給料を支払える能力がまだないため、高い給料を支払う必要がある経験豊富な人材を雇う余裕がありません。
先程、お伝えしたように従業員も少人数であることが多く、その内訳は創業者1名とアルバイトやパートが数名ということが多いです。
中には、友人や元同僚同士で創業資金を出し合う形で創業したスタートベンチャー企業もあるため、経営陣が2人と数名のパート、アルバイトで経営を行っている場合もあります。
そのため、社員と呼べる労働者が存在しないことが特徴です。
アルバイトやパートの従業員は、労働時間という観点では給料が増えるため、時間的ハードワークを喜んで従事する人が多いです。
スタートベンチャー企業の労働環境
大半のスタートベンチャーはマンションの一室にある
スタートベンチャー企業は、ベンチャー企業のようにある程度の事業成功をしていることが少ないため、大半のスタートベンチャー企業は家賃の安いマンションの一室であることが多いです。
スタートベンチャー企業は先述の通り事業成功していない状況であり、従業員数も少ないため大きなスペースを必要としないのでマンションの一室の広さがあれば十分な訳です。
このマンションの一室で仕事をする訳ですので、通常のオフィスとは違いがあります。
サーバーの影響で夏場は暑い!
どの企業もPC環境があると思いますが、そのPCなどインターネットの大元はサーバーという簡単に言うと機械ですが、このサーバーがスタートベンチャー企業の労働環境を悪くします。
サーバーはマンションの一室に置くには大きいため、場所が取られます。
その分、働く従業員としは手狭になってしまいます。また、このサーバーの一番厄介なことは、異常な熱を持つため、マンションの一室であるオフィスが異常に熱いのです。
夏場は特に最悪です。エアコンで温度調節しても、オフィスはマンションの一室で、家庭用のエアコンですので、サーバーの熱による温度上昇を抑えるだけの冷房機能が付帯されていません。
スタートベンチャー企業の企業規模
資金的にもギリギリで経営していることが多く、また、スタートベンチャー企業は事業は当然あるものの、中心的な事業がまだ成熟しているという状況は作れていないため、従業員数やオフィス環境も含めて小さいことが特徴です。
特に資本金についてはベンチャー企業よりももっと少額であることが多く100万円程度の資本金で創業するスタートベンチャー企業が大半です。
スタートベンチャー企業への転職
これまでベンチャー企業やスタートベンチャー企業の特徴をご紹介しましたが、勘の鋭い求職者の方は、何となくスタートベンチャー企業へ転職することが求職者にどのような影響があるのか推測している方もいると思います。
スタートベンチャー企業への転職は、求職者にとってメリットが大きなものが1つで、それ以外はデメリットと考える求職者が多いです。
スタートベンチャー企業への転職メリット
一般的には、スタートベンチャー企業へ転職することは、メリットは1つと考える場合が多いです。
スタートベンチャー企業への転職で唯一のメリットは、企業が成長した後の職位や高報酬
その唯一のメリットは、転職直後では実現することはないです。将来的にそのスタートベンチャー企業が成長し企業として大きくなったときにメリットが現実化します。
スタートベンチャー企業は、労働環境がほとんど整備されていないため、また、従業員と呼べる雇用も正社員ではなくアルバイトやパートであり、資本も少額であるため、極めて不安定な状況です。
しかし、創業者からすると『会社として一番しんどい時期に自分を支えてくれた』、『会社に貢献してくれた』、『良く入社してくれた』という思いが強くあり、スタートベンチャー期に入社した求職者を非常に好意的に考えています。
そのため、スタートベンチャー企業がある程度成長しベンチャー企業レベルになったとき以降、その企業の中心的な人材として見るようになり、成長した段階のベンチャー企業期以降に転職するよりもはるかに高い職位や給料を得ることが可能です。
ハイリスクハイリターンなスタートベンチャー企業への転職
どの企業もそうですが、必ず創業して間もないスタートベンチャー期がありますが、この段階からその企業に入社して会社貢献すると普通では考えられないような待遇となることが多いです
つまり、ハイリスクハイリターンの世界です。正直、スタートベンチャー企業でその後、順調に成長する企業はあまり多くなく、むしろ、企業としてなくなることの方が多いです。
この大きなリスクを背負って、自分の人生がかかっている転職で不安定なスタートベンチャー期に入社してくれた求職者には感謝する要素が多いため、成長後はハイリスクに対するハイリターンを教授する創業者が大半です。
スタートベンチャー企業への転職は求職者にとって、転職後の浅い期間ではメリットはないと思いますが、将来的な大きな見返りをメリットとして飛び込む求職者が多いです。
スタートベンチャー企業への転職デメリット
スタートベンチャー企業ではデメリットの方が圧倒的に多いと言われています。労働環境面や仕事量と給与バランスはもちろんのこと、最もデメリットとして考える要素は倒産リスクです。
スタートベンチャー期であり、抱える事業が収益性の少ない時代であり、その事業が成長して収益性を担保できる保証はどこにもないからです。
人生を左右する転職でスタートベンチャー企業へ転職することはかなりのリスクを伴いますので、家族を持つ方や、年齢がある程度いっている求職者はお勧めしていません。
転職するのであれば20代が良いでしょう、スタートベンチャー企業へ転職してその企業が倒産したとしても転職市場でやり直しできる可能性が高いからです。
スタートベンチャー企業の求人
求職者の中には、ベンチャー企業を希望している方が多くいます。
しかし、中にはベンチャー企業とスタートベンチャー企業の基準が曖昧であり、理解していないため、選考を受けたら面接場所が喫茶店だった、マンションだったということで、ある意味驚く求職者もいます。
また、選考段階ではこのような面接環境に不思議を持つことがなく、そのまま入社したら結果的にスタートベンチャー企業で不安定な労働環境で働いているという求職者もいます。
スタートベンチャー企業では不安定な労働がつきもので当たり前ですので、スタートベンチャー企業へ転職するためにはかなりの覚悟が必要です。
仮に判断基準が曖昧だったり、理解が浅い場合は、覚悟という面では絶対的に不足しているため、転職失敗になる求職者が多いです。
スタートベンチャー企業の求人数と在処
スタートベンチャーへの転職なら小規模エージェントの利用がオススメ
スタートベンチャー企業は先述の通り正社員を雇用するリソースがない場合が多いため、正社員の採用である求人があまり多くありません。
しかし、中にはスタートベンチャー期から正社員を1名雇った方が、複数のアルバイトやパートを雇うよりも将来的にメリットが大きいとして正社員の求人を転職エージェントに依頼する企業もあります。
スタートベンチャー企業の求人数は少ないため、スタートベンチャー企業への転職を希望する求職者の方は、大手の転職エージェントではなく小規模の転職エージェントを利用した方が紹介を受ける可能性が高いと思います。
審査の厳しい大手エイジェントにはスタートベンチャーの求人が少ない?
大手の転職エージェントでは、転職後にクレームになることを未然に防止するために、企業からの求人を受ける際、審査基準を高めに設定しています。この審査基準の項目は創業年数や業績などがあります。
スタートベンチャー企業は先述の通り倒産リスクがベンチャー期以降よりも高いため、求職者に安心を与えない可能性がある企業は受け付けないことが多いです。
しかし、小規模の転職エージェントでは審査基準が低く、取引する企業数を増やしたい思惑もあるため、スタートベンチャー企業の求人も引き受けることが大半です。
スタートベンチャー企業の求人内容
スタートアップベンチャーの求人は直接部門のポジションがほとんど
次に求人内容についてです。スタートベンチャー企業は管理体制の整備よりも企業の成長の中心的ファクトである売上や利益に貢献するポジションを求めます。
そのため、スタートベンチャー企業の求人は経理や人事、事務などの管理部門の求人は皆無に近いと考えた方が良いです。
営業や事業企画など直接部門のポジションがほとんどです。
幅広い業務領域と経営に関連する仕事が経験できる
そして求人の入社後の仕事内容ですが、これは物凄い領域を担当することになります。
通常の企業は、生産性を上げるため、労働者の業務量を軽減する目的で部署やポジションにより業務をセグメントしています。
しかし、スタートベンチャー企業は、そもそもとして組織がないため、経営者も含めて全員が全ての仕事をするという環境になっています。
一般事務、経理含めた経営に関係する全部の仕事を担当することになります。
そのため、スタートベンチャー企業を希望する求職者には、将来、自分も起業したいということでスタートベンチャー企業で経験を積むために全ての業務ができることを前向きに捉える求職者もいます。
スタートベンチャー企業の選考と労働条件
スタートベンチャーの採用面接は1回!?
スタートベンチャー企業の選考には大きな特徴があります。通常は何度かの選考を行いますが、スタートベンチャー企業は面接1回ということが多いです。
1回という理由は、業務量が多く何度も面接する時間的な余裕がないということがあります。
また、スタートベンチャー企業は面接するレベルの人材が創業者だけということが多く、何度も面接するまでもないのです。
また、創業者の面接1回の場合は、面接の前半は職場環境を紹介する意味も含めて社内で行い、後半はじっくり見極めるという意味で食事をしながら2時間程度、要する企業が多いです。
スタートベンチャーの選考フローには書類審査や適正検査がない!?
面接前の書類選考はなしというスタートベンチャー企業もありますし、スタートベンチャー企業では適正検査はありません。
これには理由があり、適正検査には従量課金でコストがかかるため、なるべく採用コストは抑えたいということで適正検査は実施しない傾向があります。
人によってはブラック企業に見えるかも!?スタートベンチャーの労働条件
次に労働条件です。スタートベンチャー企業の入社時の労働条件はブラック企業かな?と思えるぐらい厳しいです。
給与面については年齢に関係なく平均以下であることが普通です。スタートベンチャー企業としては、成長後に転職直後に提示できなかった分を支払うという意識があります。
その将来的な大きな労働条件である恩恵を期待して一生懸命頑張って欲しいと考えています。
スタートベンチャー企業へ転職したいと考える方は、この見解に賛同できる求職者でなければ絶対にいけません。
ブラック企業ではないのか!?
スタートベンチャー企業には、労働環境の整備がなく、労働時間や労働量が多く、そして業務領域も非常に広いため、労働基準法などで違犯が多いのではないかと思っている方もいるでしょう。
また、社会保険は加入できるのか?と疑問を持つ求職者もいるでしょう。
スタートベンチャー企業はブラック企業であるという前提を持って応募したり転職を決めた方が良いと思います。
ベンチャー企業以降の企業は、社会的な責任が強く働くため、ブラック企業であってはならないのですが、スタートベンチャー企業はブラック企業の労働環境を排除しているということでは、100%倒産するでしょう。
スタートベンチャーで必要なのは経営者レベルの当事者意識とフルコミットへの覚悟
スタートベンチャー企業へ入社する方は、その間は、プライベートの時間や睡眠時間を削り、また食事をしながら仕事をするぐらいの覚悟がなければ、転職成功を掴むことはできません。
通常の場合、労働者1人が辞めたぐらいで会社が倒産するということはあり得ないのですが、スタートベンチャー企業では、労働者1人が辞めると経営インパクトが大きいため、倒産リスクもあります。
スタートベンチャー企業へ転職しようと考えている求職者は、労働者として転職するという意識ではなく、自分も経営者として捉えた転職でなければ務まりません。
また、本来、労働基準法などは弱者である労働者保護の観点で施行されているのですが、転職後にスタートベンチャー企業で働く場合は、求職者自ら労働基準法などは一切無視するぐらいの覚悟でいなければなりません。
一定基準を超えている場合は社会保険加入義務が発生
なお、社会保険については、スタートベンチャー企業でも一定の基準を超えた場合は、加入義務があります。
ここは将来の年金額やケガや病気などの負担額の軽減が関わりますので、スタートベンチャー企業だとしても加入義務がある場合は、しっかりと加入しているようです。
求職者ではなく経営者としての自覚と覚悟
ここまでスタートベンチャー企業を中心にベンチャー企業との差異についてご紹介してきました。いかがでしょうか?
私は転職エージェントとして求職者にとって最高の転職になるようにブラック企業や法令違犯の企業へ求職者を紹介しないようにしています。
しかし、スタートベンチャー企業の求人については例外です。そのため、希望する求職者には、求人を共有する段階で、どれだけの自覚と覚悟があるのか論文を提出してもらうようにしています。
論文すら書きたくないというレベルの求職者には絶対に紹介しませんし、それぐらいの覚悟しかないのであれば、スタートベンチャー企業での労働は務まりません。
スタートベンチャー企業は将来的な大きな恩恵は半端ないぐらいあります。その企業が上場したら、その段階で億万長者です。一生遊んで暮らせる人生を手に入れることも可能です。
しかし、確率としては極めて低いのです。人生のハイリスクハイリターンとなりますので、今、ご紹介したスキルや考えが自分は大丈夫だと思える求職者は挑戦しても良いと思います。
最後に、皆さんの人生が転職により有意義なものになるように祈りながら今回はこれで終わりにしようと思います。