保育士にとって必要なスキルとは?

待機児童問題が叫ばれている昨今、保育士はひときわ社会的ニーズが高い仕事のひとつといえます。

子どもたちが健やかに育つため、そして女性がより安心して働ける環境を作るという意味でも、保育士は欠かせない存在です。

でも、その仕事の重要性にも関わらず、保育士の労働条件は決して良好とは言えません。

安いお給料や過度な残業を苦にして、保育の仕事から離れていく人も、残念ながらとても多いのです。

ところで、保育士を辞めた方は、一体どのような仕事に就きやすいのでしょうか?

今まさに保育士として勤めている方、あるいはこれから保育士を志す方にとっても見逃せない、保育士特有のスキルと、キャリアチェンジでの活かし方について解説します!

筆者プロフィール
名前:諏佐諒次
保育業界専門の転職エージェントに勤務
転職経験:2回
現在の年齢:29歳

保育士の仕事で培うことができるスキルとは?

保育士の仕事を通して得られるスキルは様々あります。

保護者対応で身につくコミュニケーションスキル

その中で最も強力なスキルは、なんといってもコミュニケーション能力といえるでしょう。

コミュニケーションといっても幼い子どもとだけのものでは?と思われるかもしれませんが、保育士の仕事には「保護者対応」が欠かせません。

保育士の仕事においては、子どもの向こう側にいる「保護者」との関係性が極めて重要なものとなっているのです。

そして、モンスターペアレントと呼ばれる厄介極まりない親御さんはもちろんですが、保護者との対応はとにかく気を遣う業務です。

些細なことで、あれやこれやとクレームを付けられることもあるでしょう。

そうした保護者とのやりとりの中で、保育士は必然的に細かな気配りや相手の立場に立ったモノの見方を身につけていくことができるのです。

事務処理能力と配慮する力

また、保育士の仕事はそうした子ども・保護者との関わり合いだけではなく、「書きもの=書類作業」も多く含まれています。

これは、保育士ではない方には意外に思われることも少なくありません。

保育の仕事は日々場当たり的に行われているのではなく、予め立てられた指導計画に基づいて行われています。

こうした計画書の作成も、保育士の重要な仕事のひとつです。

また、特に認可保育園に勤務する保育士の方であれば、自治体からの監査にも高頻度で対応する必要があります。

役所から求められる複雑で難解な書類の作成を行う中で、自然と事務処理能力も高まっていくのです。

次に、保育士の方がスキルアップを考えたときに、最適な「資格」にはどういったものがあるのでしょうか。

苦手を克服するのがポイント

純粋に保育士としての道を極めたい、という方であれば、特定の資格の取得を目指す必要はかならずしもありません。

ただし、ピアノや絵本の読み聞かせ、絵画のスキルなどは、保育をするうえでとても大切になってきます。

保育士の実技試験では、「音楽」「絵画」「言語」の内の2教科のみを受ければよいことになっていますから、例えば試験時に「絵画」と「言語(物語の暗唱)」を選択した方は、音楽が不得手ということも往々にしてあります。

そのような方であれば、ピアノを最低限でも弾ける努力を積むことで、保育の幅もぐっと広まるでしょう。自分に足りない保育のスキルは何かをきちんと見極めて、それに必要な努力を積むことが大切です。

隣接業界を目指すなら資格取得を

一方、保育士以外への転職を考えた場合、必要になるスキルは当然異なります。

取るべき資格についても、どこの業界を志すかで全く変わります。

例えば隣接する教育業界への転職を検討するならば、幼稚園教諭を取得しておくと、幼稚園での勤務が可能になります(専門学校を卒業している方であれば、保育士資格と同時に取得しているケースも多いですが)。

また、保育士としての実務経験が5年以上ある方であれば、障害児を受け入れる施設に配置が必要な「児童発達管理責任者」の資格取得なども目指せます。

いずれにせよ、他業種への転職を検討する場合は、目指したい業界で求められるスキル・資格を事前に調査しておくことが重要でしょう。

キャリアのことで相談したいなら?

保育士は一般的に潰しが利きにくい職業といわれますが、コミュニケーション能力や事務処理能力は、どんな仕事にも求められるものです。

でも、いざ転職を考えるとなると、自分のスキルに自信が持てない保育士さんはたくさんいるでしょう。

転職エージェントに相談するのがオススメ

そんな時は、もちろん親族や友人といった身近な方々に相談するのも悪くありませんが、ここでは転職エージェントへの相談をお勧めします。

エージェントというと近寄りがたいイメージがありますが、要するに人材紹介会社の営業職の方々です。

人材紹介会社(転職エージェント)は、企業と人材を結びつけることで収益を得ているので、新たなを職場を探す方々にとっては強い味方となる存在です。

仕事を求める方が転職に成功することこそが、人材紹介会社の利益の源ですので、文字通り利害が一致しているのです。

なにより転職エージェントは、多くの企業の求人情報を把握しています。

つまり圧倒的な情報量に基づき、仕事を求める方々の個別の事情を把握したうえで、最適な職場を紹介してくれる可能性が高いのです。

また、転職エージェントは、今転職を考えている“あなた”が、自分では気づいていない強みやスキルといったものを見出してくれることもありえます。

そして、一般に転職エージェントの利用は仕事を探す方々にとっては無料のサービスですから、使わない手はありません。

この先も保育士として、別の保育園を探すのであれば保育士専門のエージェントを、保育以外の仕事を志すのであれば、業種の枠がないエージェントに相談するのがよいでしょう。

この記事の筆者

名前:諏佐諒次
保険業界においてバックオフィスや営業など、様々な職種で7年間勤務。

その後、保育業界の転職エージェントを約1年間経験。

多くの保育士から転職相談を受け、よりよい職場を提供できるよう、転職理由の根本の把握に努めた。

現在は民間の教育機関の運営に携わり、主に人事関連の業務を行う日々。

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