【求職者からもアプローチできる】ヘッドハンターの実情
私はこれまでに3度ほど転職したことがあり、現在は求職者の転職支援を目的として転職エージェントとして活動しておりますが、転職エージェントなどを活用して転職した求職者で前職よりも年収が上がったという例はほとんど見ません。
つまり、大半の求職者の年収は現状維持か下がった状態で転職することになります。
転職関係の情報が少ない求職者は『必ず年収を上げる』と意気込んで転職エージェントへ登録する人がいますが、年収が上がることは稀です。
しかし、世の中にはある意味で『おいしい話』が舞い込んでくることがあります。
今回は、転職活動の中の『おいしい話』として、ヘッドハンターについてご紹介したいと思います。
今回の記事の目次
ヘッドハンターとは?
ヘッドハンターはどの業界にも存在するものですが、転職市場では『優秀な人材をヘッドハンティングする人』を言います。
個人で行っている場合もありますし、企業の事業の一つである場合もありますが、人材関係のヘッドハンティングの個人や法人は日本にはそこまで多くはありません。
転職市場では誰しも1度は耳にしたことがある存在だと思いますが、実際にコンタクトを取ったり引き合いがあった方は少ないと思います。
どんな収益モデル?
収益源が企業であることは転職エージェントと何ら変わりはありませんし、求職者から費用を徴収することは一切ありません。
私の転職エージェントに「ヘッドハンターから企業紹介の支払いを催促された」という求職者がいましたが、それは怪しいケースですのでご注意ください。
彼らのような人材引き抜き業者は、報酬を受けるタイミングが転職エージェントと異なります。
転職エージェントの場合は求職者の転職決定のタイミングで報酬を受けますが、ヘッドハンターの場合は求人の発注を受けたタイミングで報酬を受けます。
これを、着手金と言います。
この着手金の額は、一つの求人あたり200万円~300万円が相場です。
求職者が転職決定した場合には、さらに転職後の年収の50%程度の成功報酬を受けることになります。
ちなみに、転職エージェントが受ける成功報酬の額は年収の30%程度が相場であり、仮に求職者が500万円の年収で転職決定した場合は150万円が成功報酬の額になります。
ヘッドハンターは求人を受けただけで転職エージェントを上回る額の報酬を受けることが可能なのです。
どちらも企業の採用支援、求職者の転職支援を行うモデルであり、この金額の差と報酬を受けるタイミングが全く違います。
どういった求職者がヘッドハントの対象になる?
転職エージェントとは異なり、ヘッドハンターの数は日本の人材業界には少ないということはお伝えしたかと思います。
そのため、求職者が出会う機会は非常に少ないと思った方が良いでしょう。
膨大な情報収集量
ヘッドハンターが求職者を探すには、まず膨大な情報収集が基本になります。
どの業界やどの職種でも、優秀な人材のうわさや評判というのは広まるものです。
このうわさや評判を聞きつけると、対象者となる求職者に転職を促すようにコンタクトを取ります。
転職エージェントの場合は、求職者が自ら転職エージェントへ登録に出向きますが、ヘッドハンターの場合は彼らの方から求職者へ出向く形になります。
出向くと言っても、まずは求職者に対して電話することが始まりです。
みなさんは、会社に突然個人名で電話があったという経験はありませんか?
つまり、優秀な人材が在籍する企業へ個人名を名乗り、その求職者へ直接アプローチするのです。
個人情報の観点ではどうなのかと違和感を持つと思いますが、法令上この接触については特に問題がありません。
ヘッドハンターは膨大な情報を基本として優秀な人材を確保するために、地道なテレアポを日々行っているのです。
なぜ未登録にアプローチするのか?
ここで、『なぜ、ヘッドハンターは転職エージェントに登録していない求職者にアプローチするのか?』と疑問を持つ方もいると思います。
この理由を簡単に言うと、「対象となる求職者は転職しようと思っていないから」です。
会社で大活躍していたり高い地位や高い報酬を受けている人材は大半の場合、現状に満足してその企業で働き続けようとしています。
『求職者が自分から転職活動する場合』と『企業の依頼によりヘッドハンターから転職勧誘を受けた場合』では内容に随分と違いがあります。
ヘッドハンターからすると、自ら情報を集めて転職する気のない求職者に対してアプローチする必要があるため、求職者の気持ちを転職に傾ける工夫に時間を要したり、優秀な求職者を集めることに苦戦しているのも事実です。
そのため、最近は転職エージェントと同じように求職者からの登録を受けるスタイルも構築しています。
転職志向の強い人なら積極的に利用することも可能?
ヘッドハンターは求職者の数を担保することに苦戦しているため、依頼があった企業にマッチする人材の紹介に苦戦しています。
この苦戦が、転職を希望する求職者にとっては幸運となっているのです。
一般的に、自ら積極的に転職活動する求職者よりも転職意思のない人材の方が優秀であるという意見がありますが、これは絶対とは言えません。
自ら積極的に転職活動する求職者にも当然に優秀な人材は多くいますし、その人材がヘッドハンター経由で転職することができれば、転職エージェント経由よりもはるかに高い年収条件で転職することができます。
ヘッドハンティング会社のホームページを実際に確認していただきたいのですが、求職者の登録ページを開設している企業が増えていますので、ぜひ登録した方が良いと思います。
ハイクラス転職の救世主か、怪しげなブローカーか
求職者にとって、ヘッドハンターとはどのような存在でしょう。
最近では求職者からの登録を受けるヘッドハンティング会社も増えているので転職エージェントとの違いが薄まってきているのですが、やはり転職決定時の年収が全く違います。
ヘッドハンターは前職と比較して高い年収を確保できる貴重な存在だと私は思います。
でも怪しい人たちなんじゃ?
今もヘッドハンターに対して怪しさを覚える方がいますし、昔はもっと強い不信感がありました。
もともとヘッドハンティングという仕組みは欧米からの輸入されたビジネスです。
昔の日本企業は終身雇用制が多かったため、転職そのものに否定的で、それまで会ったこともない知らない人から突然連絡してくるとなれば、誰でも怪しさを覚えると思います。
かつて、私も会社に突然個人名で連絡があり『どこから自分の情報を手に入れたのかな?』と不信感を覚えたことがあります。
その時は業務中であったため、私の携帯番号を伝えて後日携帯に連絡してほしいと伝えました。
後日、ヘッドハンターから連絡があり、事情を聞くと企業が私のような人材を探しているため、一度会ってほしいとのことでした。
怪しさ100%だったため会うことすらなかったのですが、私の情報をどこから仕入れたのか聞いたところ、私の取引先から情報を仕入れたとのことでした。
中には怪しい業者もありますが、最近はヘッドハンター経由で転職することは転職時の条件は現状よりもはるかに良いものであることが認知されつつあり、ネガティブな考えは少なくなりました。
「人材引き抜き業界」の実情
私の友人にヘッドハンティング企業で働く友人がおり、その友人から聞いた話をご紹介します。
一般的な働き方
ヘッドハンターといえど、皆さんと同じように1人の労働者であることに変わりはありませんから、特別変わった働き方ではありません。
しかし、転職エージェントとは異なり企業の経営者と日頃から密接にお付き合いしているため、求人に関係する企業情報は非常に細かい部分まで把握しています。
先ほど個人情報の話をしましたが、知らない相手から個人名で連絡があるのを不愉快に感じられ警察に通報された経験もあるそうです。
また、面談は基本的にどこかのホテルのラウンジを利用するようです。
面談の段階では、どのような企業に必要とされているのか具体的な社名の公開を行わないことが原則になっています。
ヘッドハンターが抱える求人はトップシークレットであるため、どこで求人情報が漏れるか分からずかなり慎重に求人を扱うとのことでした。
ヘッドハンティングの手法は今後もっとメジャーになる!!
現在の転職市場において、メジャーな転職方法は転職エージェントや転職サイトだと思います。
他にも求人情報誌やハローワーク、転職フェアなどいくつかありますが、今後はヘッドハンターを活用しての転職方法が今以上にメジャーになると思います。
ヘッドハンターを活用すると転職エージェントを利用するよりも高い年収を確保することが可能であり、役職も現状よりも高くなることが多いです。
転職エージェント経由での転職は年収や役職ともに現状維持か低下が基本で、ヘッドハンターとは大きく異なります。
昔は、ヘッドハンターと知り合うためには彼らかれの連絡を待つしかありませんでしたが、最近は求職者を積極的に勧誘しています。
この仕組みの変化は求職者にとってかなり好都合です。
彼らは怪しい存在ではなく、転職時の好条件を提供してくれる最高の転職パートナーです。
今回、ヘッドハンターについて細かい情報をご紹介しましたので、怪しいイメージは払拭(ふっしょく)して積極的に活用した方が良いと思います。
最後になりますが、求職者の皆さんの転職が最高のものになるよう祈り今回はこれで話を終わりにしたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。