中高年の転職は人生に直結する!

みなさん、こんにちは。

求職者には多くの属性の方がいます。

採用する企業が特に注目する求職者の属性はいつくかありますが、その中でも、その部分だけ見て書類選考不採用ということも非常に多くあるのが『年齢』です。どの企業もまずは、年齢条件を大事にします。

本来、年齢を理由に採用を制限することは雇用対策法により違法行為なのですが、この規制は、正直なところほとんど機能していない状態です。

誰でも確認できる転職サイトには、年齢制限の記載はありませんし、転職エージェントでも後々、証拠になるため年齢制限の記載はありません。

実際はどうかと言いますと、紹介する際に年齢制限をあらかじめ転職エージェントへ伝えておけば、転職エージェントは対象外となる求職者へその求人を紹介することはありません。

こちらからも分かるように年齢は求職者にとって極めて重要です。

転職エージェントを含む人材業界では、『中高年』という言葉がキーワードのようになっています。

というのも、中高年に該当する求職者の転職支援をうまく行うことができず、また、採用する企業もこぞって中高年を採用外とする傾向が強いためです。

中高年の求職者の実情や取り巻く環境

中高年に限らずとなりますが、求職者のなかには、転職先に求める『裏希望』として、

  • できれば楽な企業や職種で転職したい
  • 給料はそこそこで良いから、できれば仕事量が少ない企業で仕事がしたい

 といった希望を持つ求職者がいます。

この『裏希望』とは、簡単に言うと本音であり、選考を受ける企業の面接では絶対に求職者の口から出ることはないことです。

しかし、求職者の転職を支援する転職エージェントには、『ここだけの話』として、求職者が本音となる、『裏希望』を話すこともあります。

これらの『裏希望』をかなえるために、表向きは他のキャリアアップなどを前向きな理由で転職活動する求職者と同じように転職を希望しています。

このような『裏希望』を持っているのは社会人経験が浅い20代の求職者ではなく、今回フォーカスしている中高年の求職者にこの傾向が見られます。

20代後半から30代は不景気を経験しており苦労を重ねている

労働市場では、日本国内における景気の影響を大きく受けます。これは企業で働く労働者や今の転職市場で転職活動する求職者にも直結します。そのため、各世代により、経験する景気が違います。

転職市場で最も多いとされる20代後半から30代の求職者のみなさんは、景気が良い時代というよりも、どちらかと言えば、不景気の方が印象深いという場合の方が多いと思います。

学生時代には、なかなか内定をもらえない、転職市場でも求人が少ないということで、就職や転職で苦戦するという経験をされてきたと思います。

企業の労働者として仕事をするなかでも、不景気の影響でその企業の業績が傾き、同僚や先輩、後輩がリストラされるシーンを見てきた人や、頑張っても企業の業績が悪いために、昇給や賞与に反映されないという歯がゆい思いもしてきたと思います。

中高年層はバブル期と終身雇用制の経験者

しかし、中高年世代はどうでしょうか?

就職活動や転職活動、そして労働者としての労働環境において、中高年世代が20,30代の頃には、バブル期であり、就職活動ではあり得ないぐらいの売り手市場でした。

就職活動をしなくても企業から声が掛かり、企業が入社してほしいために、学生に対して接待などをする時代です。

また、企業の文化としても終身雇用制度であり、頑張っても頑張らなくても結果に関係なく年齢とともに昇給や昇格する時代を中高年世代は経験しています。

そのため、頑張ってもっと役職や給料を上げようという向上心がない人が多いです。

今は、景気も変わりバブル期ではないですし、また、どの企業も終身雇用制度を取りやめて、実力主義に切り替えています。

中高年世代の求職者は、今では考えられない『甘い労働市場』を経験しているため、今の労働市場の実力主義に耐えることができないのです。

このように、かつての『甘い時代』を若いうちに中高年世代の求職者は経験してしまっているため、実力主義の労働市場では、『もっと楽をしたい』、『残業をしたくない』というような考えになってしまっています。

そうすると、その考えや気持ちは行動に出てしまい、企業内で、自分の活躍する機会を失い、または、自分の居場所がないとして、ほかの企業を探すために、もっと楽な道を探すために転職活動をするようになります。

この中高年世代の甘い考えを持った求職者に近い求職者世代を聞いたことはありませんか?

まさに第2新卒と呼ばれる新卒で入社した企業を3年以内に退職した人です。

第2新卒と転職理由が同じである中高年の求職者

この世代もまた、中高年世代と同じように義務教育時代に中高年世代が経験した『甘い汁』を吸いまくってきた世代です。

そのため、社会に出ると自分がそれまで経験したことのない厳しさに耐えることができず、甘い考えを持った中高年世代と全く同じ理由で企業を退職して、もっと楽な道を探す手段として転職活動をするのです。

第2新卒と呼ばれる世代は、年齢的にまだ若いため、ビジネスマンとしてはこれからであり、何とかリカバリーすることもできると思います。

しかし、ビジネスマンとしてはもうベテランの域であり、定年に近づいている中高年世代の求職者が20代前半の求職者と同じ理由で転職活動してしまってはまずいとのです。

中高年の転職は人生に直結する可能性が極めて高く、このようにネガティブな理由で転職活動しても、転職後にうまくいくということは考えにくいです。

実力主義の現職を退職することで、その環境から逃げることができますが、今の時代はどの企業も終身雇用制度を持っておりません。

転職しても実力主義の社風を持っている企業である可能性が極めて高く、転職しても『実力主義から実力主義になっただけ』ということが多いです。

中高年世代にも2割と8割の法則がある

中高年世代と言っても、この世代は二極化します。『現役バリバリで企業の上層部として企業経営に関わっている中高年世代』と『かつての甘い時代を忘れることができない適当に仕事をしている中高年世代』です。

どのような環境にも『2割8割の法則』が存在して、中高年世代では、前者は2割、後者は8割と言われています。

中高年世代の求職者の方は、このままネガティブな理由で転職しても転職後にも同じ状況が待っています。

考え方や気持ちを切り替えて現職に残るか、または、実力主義に対応できることを前提で転職しましょう。

中高年世代が転職を考えるきっかけは社内異動

どのような労働者も、企業で長く働いていると昇格も異動もあります。恐らく、入社から定年までまったく同じポジションで仕事をしているという人の方が少ないと思います。

私も、かつては企業で働いていましたが、1度、異動を経験していますし、他の同僚も異動を経験しています。

企業では、同じ業務を経験させるよりも、その労働者の年齢や経験を踏まえてほかの部署へ異動させることも一つの文化になっています。

中高年世代も企業で働いていれば、労働者になりますので、企業内では異動も想定内の範囲です。しかし、この『異動』こそが、中高年世代が転職を考えるきっかけの一つになっていることが実情です。

求職者が転職市場で自分の経験を武器に活動するように、誰しも自分のそれまでの経験を生かしたいと考えています。

異動となれば、経験のない全く違う業務になりますので、それまでの経験を生かすということは難しい場合が多いです。

中高年世代も異動となれば、それまでの経験を考えず、新しいことにチャレンジしなければなりません。

ただ、ここで中高年世代には、

『この歳で、新しい仕事なんかできない』

という気持ちになってしまい、先ほど、紹介した自分の居場所がないと異動を前向きに考えることができないのです。

中高年世代の方は、誰しも業務経験もあれば人生経験も豊富です。経験があるために、新しい発想を受け入れることが難しい精神状態にあり、異動も新しいことになりますので、受け入れることができないのです。

中高年世代の本来は武器になるはずの経験が異動においては、邪魔や障害になってしまい、異動するぐらいならほかの企業で働きたいということで転職活動を始めるようになる
傾向があります。

中高年世代の方で、現職で異動を拒否すると、企業は組織で成り立っていますので、組織になじめない、しかも、年齢的には経験はあっても世代交代の対象となりますので、そうなるとリストラの対象にもなりかねません。

中高年の転職状況

ビジネスマンとしては既にベテランの域にある中高年の求職者は、最近、増えています。

自分のキャリアを上げたいなど前向きな理由で転職活動する求職者もいますが、そのような求職者は、私の転職エージェントとしての経験上、大体転職決定し転職後も企業で活躍していることが多いです。

ただ、中高年の求職者の多くは、企業が求める人材の年齢制限により応募できる企業が少なく書類選考であっさり見送りになるケースが多いです。

中高年の求職者が転職市場で苦戦する理由は、現在の転職市場そのものにも理由があります。

転職市場にはベンチャー企業の求人多数だが…

今の転職市場にある求人を見ると、もちろん大手企業の求人もありますが、全体的な割合としては、ベンチャー企業の求人が多くなっています。

ベンチャー企業となれば、求職者のみなさんはどのような組織構成をイメージしますか?

ベンチャー企業の組織構成の特徴

  • 規模が小さい。資金力もそこまでないく
  • 組織としては未熟。経験や知識が豊富な人材は少ない
  • 平均年齢が20代後半。経営者自身も20代後半や30代

ベンチャー企業は、組織が小さく資金力もそこまで強くないため、組織の人員構成上、年齢的なバランスを考える必要があります。

これらの背景からベンチャー企業の求人がいかに多くても、ベンチャー企業が多くの中高年世代を採用するとは思えないと思います。実際に中高年世代を採用する企業も、採用人数としては多くても3人以内です。

経験や知識と言っても実業務も担当しますし、実業務を担当する人材はベンチャー企業には既にいます。そうなると、経験や知識を持つ中高年世代を多く採用しても全く意味がないのです。

採用コストや雇用後の人件費としては費用対効果が悪いですし、多くの中高年世代を採用すると組織構成のバランスも崩れ、ベンチャー企業の特徴を消す結果になってしまいます。

転職市場にはベンチャー企業の求人が多く、そのベンチャー企業と中高年世代では相性があまり良くないため、中高年世代は転職活動で苦戦する状況にあります。

再就職支援制度を持つ企業

企業によっては、企業を退職する労働者の転職をサポートするという意味で、再就職支援制度を持っている企業もあります。

この場合、転職を希望する求職者としては転職市場で転職活動を行うと転職エージェントのサポートはあっても基本的には自分ひとりで行うため、また必ず内定を勝ち取る保証はないため不安が大きいです。

年齢が上がればそれだけ応募できる求人数も少なく、その不安は相当なものです。

再就職支援制度は、確かに現職を退職する求職者からするとありがたいものですし、自分ひとりで行うよりも不安は軽減されます。

しかし企業の再就職支援は、内定が出るまで面倒を見てくれるということはなく、期間を設けた時限的な場合がほとんどです。

私の知るある企業の再就職支援の概要は、異動を理由に退職希望した労働者を限定としていて、しかも、40代以上としています。

また、再就職支援期間については、最長でも3カ月ということで、3カ月以内に転職先が決まっていなくても、転職期間中の経済的な支援は打ち切るという内容です。

このように、最長でも数カ月という企業がほとんどだと思いますので、再就職支援を活用しても転職市場では苦戦する中高年世代からすると不満も大きいようです。

希望給料と求人条件も給料

中高年世代は、場合によっては家庭を持ち、一家の大黒柱として生計を支える立場にあると思います。また、年齢により少なくとも20代前半などの若年層の求職者に比べると経験や知識もあるでしょう。

この二つの理由から、現職または前職で受けていた給料を鑑みて転職後に求める給料と求人企業が条件とする給料に開きがあります。

中高年世代は、生活もあり、それまでの経験があるため、相応の給料が必要としますが、企業側からすれば活躍してくれるかどうか分かりません。

そのため、中高年世代が希望する条件を提示することがないということが多いです。

そうなると、年齢制限を回避して応募できる求人を拾ったとしても次は給料面で相違があり、中高年世代の求職者自らが応募を見送ることもあります。

内定を勝ち取ったとしても、内定時の条件交渉で思うような条件がなく、辞退するということもあります。

中高年世代の求職者は、このような状況が続くと、精神的に疲れ果てて、場合によっては転職活動により、うつ病などの精神疾患になってしまうこともあります。

転職エージェントとして中高年世代の求職者の転職支援も私は行っていますが、ある中高年世代の求職者で、応募できる求人があっても条件面が合わないとして応募しないことが増えて、結果的に紹介できる求人がなくなり、クレームを受けたこともあります。

転職エージェントとしての、中高年世代へのアドバイスとなりますが、転職で自分の希望通りの給料条件を提示されるということはあまりありません。

その職種が、市場価値が高い場合は別ですが、中高年世代の求職者は、企業からすると不安も大きいのです。

転職決定のためには、自分の希望条件を少しぐらいは下げて考えないと、正社員での転職が難しくなってしまいます

今の日本の転職市場(2015年11月現在)は経済の景気が良いために、比較的、求人数も多いですが、それはあくまで20代後半から30代までの話です。

40代以降となれば、その数は一気に減ります。求職者有利の売り手市場ではなく、企業が選べる立場にあるということです。

2割の中高年世代

先ほど、2割と8割の法則について軽く触れましたが、ここでは2割の中高年世代の求職者についてお話ししようと思います。

2割の中高年世代の求職者は、企業からすると、非常に貴重な人材と考えています。

大手企業やベンチャー企業では特にその傾向があります。

大手企業の場合は、一見、十分な人員数がいるように見えますが、内情はちょっと違います。『砂時計』のように中堅層が少なく、そのため、新卒などの若手人材を採用しても教育できる人材が社内に少ないのです。

大手企業は、ベンチャー企業とは異なり新卒者などの若手人材を入社後にすぐ即戦力として現場に配属するというよりも、一定期間社内研修を行い、その後現場に配属するということになります。

配属前の研修に対応できる人材が少なく、その対象として中高年世代を求めています。

みなさんも研修を受ける側として経験があると思いますが、講師の年齢が自分と差ほど変わりない場合、あまり真剣に受けようとしない傾向があります。そうなると研修の意味があまりありません。

これらの状況を回避して、しかも、経験や知識が豊富な、優秀な中高年世代の大手企業は採用しようとします。

ヘッドハンティングからの対象者

中高年世代は、同じ中高年世代と言っても2割に該当する人材は、どの企業でも必要としていて、特に経営陣として迎えたいと考えています。

転職エージェントなど通常の転職方法でも、経営陣クラスの求人はまれにありますが、多くの場合は、ヘッドハンティングに流れます。

ヘッドハンティングの対象となれば、その段階で今より好条件を手にすることもできるでしょうし、それまでの経験や知識を企業の経営として生かすこともできます。

優秀な人材はどの企業でも必要としますが、企業では、組織の低年齢化が進み、若手人材を育成することが課題になっております。

その課題を解決するために中高年世代を必要としていますし、場合によっては経営陣の1人として企業で仕事をすることができます。

中高年世代の場合は、この2割と8割の二極化が違い過ぎるため、ぜひ、2割の中高年世代となり転職活動を進めた方が良いと思います。

地方へ移住する中高年世代

このように転職市場は、中高年世代では特に格差社会が起こっています。

しかしながら、転職市場であっても地方の場合は、格差社会が比較的、緩い傾向があります。

しかも、地方の場合は、人材不足であり多くの企業は人材確保に苦戦しています。

そのため、Uターン転職として若手人材の採用を積極的に行っていることが最近多いですが、若手人材だと材教育をする必要があります。

2割に該当する中高年世代は都心部でも十分に活躍できます。

一方8割に該当する中高年世代は、都心部だと転職活動に苦戦するため、ライバルの少ない、都心部よりも選考基準が低い場合が多い地方の企業も転職先の候補にするべきです。

また、地方の企業であれば、都心部ほど実力主義が浸透しているということもなく、社風として年功序列制度ではなくとも、比較的のんびりした社風を持っている企業が多いです。

『できればのんびり仕事がしたい』という考え方を仕事に対して持っている中高年世代の求職者にもピッタリ当てはまります。

地方でのんびり仕事をするのもあり

都心部でこれまで仕事をしていた中高年世代の求職者が地方へ転職するということは、家族がある場合は、家族丸ごと地方へ移住するということになり、転職と移住となる場合が大半です。

中には、単身赴任で家族を都心部に残そうとする求職者もいますが、地方の場合は、都心部に比べると物価が安く、それに伴い給料も安いです。

単身赴任ということは二重生活になりますので、私、個人的な意見としては、家族で移住した方が経済的な負担もなく、のんびり仕事がしたいという希望もかなえることができるため都合が良いと思います。

私の転職エージェントでも、あまり前向きな考えを持って転職活動していない中高年世代の求職者が以前にいました

当時は地方の企業の求人も抱えていたため、その求職者に地方の求人を紹介したところ、移住になっても、この都心の仕事だけの人生は送りたくないということで地方の企業へ転職&移住した求職者も何人かいます。

中高年世代の求職者でなかなか転職活動が思うようにいかないという方は、地方へ目を向けてみることも一つの選択肢にしてはいかがかと思います。

転職は、その後の人生に影響しますし、転職が最終ゴールではなく、転職をきっかけに転職後に自分らしい生活をするための手段です。

時代の変化に柔軟に対応すること!

中高年世代の方は、年齢が若かった頃に日本経済のバブル期や終身雇用制度を経験していて、その経験が身に付いてしまい、今の労働市場の『実力主義』に対応できないという人が多くいます。

人は誰しも年齢とともにプライドが高くなる生き物です。

かつての時代背景やプライドに固執していては、なかなか思うような転職活動はできないと思いますし、そもそも論として、良いビジネスマン人生を送ることもできないと思います。

今の日本は、バブルは明らかに崩壊して、スピード社会になっています。どんどん時代は変わり、それに労働者もそれに対応する能力が求められます。これは転職市場においても全く同じです。

中高年世代の方は、求職者として転職活動を行う前に、今在籍している企業の文化になじむことが大切です。

そうすればもしかすると苦戦が前提の転職活動を行う必要がないかもしれませんし、転職活動するとしても、在籍する企業がもつ実力主義の文化に柔軟に対応することができていれば、転職理由も前向きになると思います。

何度も言いますが、中高年世代の転職は非常に難しく、転職が人生に直結する場合がほとんどです。中高年世代の求職者は、転職に対して人生設計も含めて検討した上で転職活動した方が良いと思います。

転職の失敗が人生の失敗となることもありますので。

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