転職エージェントをしてみての大変さ・喜び
読者の皆さん、こんにちは。
今回は、私の転職エージェント活動をして、この仕事で大変だったこと、また嬉しかったことなどを赤裸々にお伝えしようと考えています。
全て事実としてご紹介しますので、ネガティブにならず、実情として捉えて皆さんの転職活動に役立てて頂けたらと思います。
まずは、私の自己紹介
私が、転職エージェント業を開始してから約3年が経とうとしています。転職エージェントと一言に言っても、中途採用の支援の他、新卒紹介の支援や派遣支援、アルバイト支援と多岐に渡り事業として展開しています。
その中で、中軸になるのは、やはり市場規模が最も大きい中途採用支援です。この3年で、約300名程度の転職支援を実現してきました。売上で言うと約5億円です。
その300名の方の転職にはそれぞれにエピソードやドラマがあり、事業ということを忘れて喜んだり、悲しんだり、悔しがった思い出があります。
そんな様々な出来事から今回は特に忘れがたい出来事をご紹介します。
第二新卒の転職
まず、第二新卒について軽く説明すると、第二新卒とは、新卒入社から3年以内の方を指します。この第二新卒の転職希望者は、正直なところ、あまり印象が良くありません。
なぜか?石の上にも三年という言葉があるように、企業においても、『入った会社に3年もいれない人材は、長続きしなさそう』という事で、転職先企業も敬遠することも中にはあります。
私の転職エージェントでも、第二新卒枠の20代前半の若者が転職の為に登録に多くきます。その中の一人の登録者との出来事です。その登録者は男性で、地方出身者で、大学は有名大学ということではなく、そこそこというぐらいでした。
彼は新卒で、悪名高いブラック企業に入社し、毎晩泊まり込みで営業の仕事をしていたそうです。その環境を約2年ほど耐えたのですが、体力的に精神的に厳しくなり、退職を決意しました。
実績は、優秀とは言えないまでも、普通よりも良かった為、彼の頑張りが伺えました。なぜ、彼はその会社に就職したのか。
彼は、母子家庭で、地方で暮らす母に仕送りをする為に、また、生活の面倒を見る為に、早い段階から頑張れば頑張った分の報酬が得られる、営業会社であり、また、営業として勝負したのです。
30歳を超えていた私は、『このご時世でも、こういう立派な青年がいるんだな』と、全力でサポートすることを約束しました。
彼には運もあり、私の転職エージェントには、第二新卒枠の求人がちょうどその時、いくつか入ってきた為、彼の希望を聞いた上で、いくつか企業を紹介できたのです。
その場では、決めさせず、いったん持ち帰ってもらい後日、応募するかどうか連絡が来るようにし、後日、彼からその中から3社ほど興味があるので、応募したいとの意思表明がありました。
しかし、結果的に3社とも面接で見送りでした。
その3社は、人気企業で、いずれも300名ほどの応募者の中から内定は1名だけという狭き門だったのです。
彼は、現職を退職せず、並行して転職活動を続けていたのですが、早く決めたいという焦りがあり、その焦りから緊張に繋がり面接で固まってしまったようです。
そこで、私はまた来社してもらい、しかも来社した時間は、午後11時・・・。決して若くない私も、頑張った覚えがあります(笑)
面接の質問集を取り出し、いくつも受け答えを反復練習しました。彼も死にもの狂いだったように思います。時には、お互い終電を逃し、私の会社に泊まったこともありました。
そんな中、また、彼にビッグチャンスが到来したのです。その企業は私が好意にしていた企業で、私の転職エージェントで特にお勧めの求職者については、書類選考をフリーパスで良いというありがたい話をもらい、面接に入りました。
その企業もなかなかの人気企業で、既に応募が100名を超えていました。彼もこの会社に魅力を感じ応募したいとあった為、後日、早速、面接です。
夜中にまで及ぶ面接練習と、泊まり込みのそれのおかげで、彼は見事に内定を取りました。しかも、その企業以外にも同時に選考していた企業があったのですが、同時に3社も。
彼は、どこに入社するか相談に来ましたが、一度、まずは自分で面接の状況や募集要項を見直して、自分がやりたいことが出来る企業に、かつ、短期ではなく中長期的にキャリアを積めそうな企業に入社してはと伝えたのです。
彼は、その中から私が好意にしていた企業に転職を決めました。
そして、現職を退職し気持ち新たにその企業へ入社し、活躍しています。彼の転職成功は非常に嬉しかったですね。転職エージェント冥利に尽きると言いますか、夜中から面接の練習をした経験もありませんでしたし、登録者と会社に泊まったことは後にも先にも彼だけです。
母子家庭という家庭環境と現職の劣悪な環境を考慮して、少しでも早く良い会社で働かせてあげたいと思えました。
転職エージェントも、人間ですので、その人のバッググラウンドや意欲により対応も変わってくのです、これから転職活動をする方は、是非、意欲的に頑張りましょう。
そして、彼から後日、手紙が届き、また、その手紙には彼のお母様からのメッセージも入っていました。特にお母様からのお手紙は、非常に心温まる、自分の子供を心配する親心溢れるものでした。
その手紙は、今でも私のデスクに閉まっており、時折、目を通します。その都度、こんな仕事をずっと出来るようにとエネルギーになっています。
30歳、無職で職歴なし
転職エージェントとして活動している中で、たまにいます。それまで職歴がなく現在に至る方が。私としても初めての経験でしたので、最初は断ろうとしました。転職成功に繋げる自信がなかったからです。どうやら、他の転職エージェントにも登録しに行ったことも数回あるようで、やはり、最初の私のように登録すら出来なかったようなのです。
その方(以後、Aさん)は、見た目は本当に普通で、どこにでもいそうなと言ったら失礼ですが、普通に会社員として働いていそうな感じだったのですが、Aさんには幼少時代のある出来事により心に傷があり、長年、対人恐怖症だったようなのです。
高校も中退し、これではまずいと思ったようで、大検を受けた後、通信制の大学に通い、大学卒の学歴までは取得したのです。
しかし、どうしても対人関係に不安があり、ずっと自宅でインターネット系の仕事を細々としていたそうです。
私が会った面談した時は、対人恐怖症は緩和されていたのですが、ただ、30歳で職歴なし無職という状況が悪く、転職エージェントも登録すら断ったとのことです。
私も自信はなかったのですが、転職エージェントとして頑張ろうと決めたのです。しかし、やはり、いくら書類選考を出しても全て見送りで、その数、100社を超えていました。
しかし、その間、ただ絶望感があった訳ではなく、日に日に成長を感じたのです。最初はたどたどしかった会話も、転職活動後半ではスムーズに出来ており、数少ない面接に進んだ企業の担当者からは、何で職歴がないのか?無職なのか?普通に会社員でやれてそうだけどね、と言う反応まで出てくるようになったのです。
最初の頃では考えられない成長でした。
そして、転職エージェントとして、Aさんにアドバイスしたことは、彼はWEB系、特にWEBデザインに興味があり、独学でも構わないので、勉強してはどうか伝えました。
そうすると、Aさんは独学で勉強するとあり、一緒に本屋に参考書を購入しに行きました。その時の本は内定前祝いということで私が購入したのですが(笑)
Aさんのやる気はものすごく、みるみる成長し、私の転職エージェントにもWEBデザイナーがいて、Aさんのスキルを見てもらったことがありました。
感想は、本当に独学でここまでやったの?とのことでした。
そんな中、未経験でも構わないということで、ある企業からデザイナー案件の求人が届きました。早速、その企業にAさんの諸事情を伝え、土下座までして面接に進ませて頂いたのです。
これまでのAさんの頑張りと成長具合により、私には面接までいければ、何とかなるのではないかという、期待と希望があったのです。
結果的に見事に選考を通過して、Aさんはその企業から内定を頂き、現在もその企業でWEBデザイナーとして働いています。
Aさんからは、諦めず努力を重ねることで、いつか花開くということを教えてもらったように思います。ただ、Aさんはなかなか冷たい方で、入社以降、私に連絡は一切ありません(笑)
でも、それで良いのです。転職エージェントとは、転職活動中の支援により、求職者の方々が、今、楽しく働いてくれていれば何よりな訳ですから。
この2人の他にも、まだまだ記憶に残る方々はいますので、機会があったらご紹介したいと思います。
最後に・・・
今回は、私の転職エージェントとしての活動を通して、エピソードに乗せて大変だったことや嬉しかったことをお伝えしてきました。
転職エージェントとは、時には人身売買という言われ方をしますが、当の本人は、転職支援している時は、利益は二の次、三の次で、忘れています。
何とか、その人の転職成功を支援したい一心でいます。
もちろん、登録はしたものの、転職活動に真剣に向き合っていない方も中にはおりますし、面接ドタキャンなど、転職エージェントとしては企業に迷惑を掛けてしまうような出来事も何度もあります。
しかし、それ以上に、登録者の方々の転職成功により、生き生きと働いている状況を聞くと嬉しくてたまりません。
また、企業から求職者の内定連絡をもらい、求職者にその連絡をした時の電話越しから聞こえる喜びいっぱいの声は、何度味わっても良いものです。
これまでの苦労や努力が報われた瞬間ですから。
どの業界にもどの会社にも、私と同じ気持ちになる瞬間はあると思いますが、転職エージェント業は、人に密接に関係する仕事で、その喜びは恐らく何倍も違うのでないかと思います。
私は転職エージェントを仕事にしたことを嬉しく思います。
このお話が、少しでも皆さんと転職エージェントの関係性を良好にするものであれば、嬉しく思います。
転職成功をお祈りして、このあたりで終わりにします。