気まずさを乗り越えて円満退職する方法
みなさん、こんにちは。
転職活動により、見事、内定を勝ち得た後は残り1つ、大きな仕事が待っています。現職への退職意思含む退職交渉がありますです。
私の転職エージェント経験では、この退職意思含む退職交渉に結構、苦戦して最悪、現職に留まることになった人や、転職先と約束した入社時期を変更することになり、のっけから躓いてしまう人が多くいます。
今回は、転職に伴う、退職決定後の現職で、どのように仕事をするのか?また、現職との人間関係について、対応策などを、実例を交えながらご紹介したいと思います。
まずは、退職決定の前提となる退職意思のうまい伝え方と退職交渉について、話を起こしていこうと思います。
今回の記事の目次
退職意思表示の伝え方と退職交渉
求職者によっては身近な同僚に退職することを告げている人もいると思いますが、大体に場合は水面下で転職活動を行い内定が出てから退職意思を社内に伝えると思います。
企業の人事担当は基本的に、その人の人生であり無理な引き留めはしないことを人事ポリシーとして持っているため引き留めることはしませんが、問題は直属の上司と、ベンチャー企業の場合は社長です。
ベンチャー企業の場合は末端の社員でも日頃から社長とコミュニケーションを取る環境にあり、社長としては、優秀な人材であれば退職して欲しくないと考え、あの手この手で引き留め策を講じてきます。
企業によっては、部下の退職が自分のマネジメント評価に繋がる場合もあるため、本音は退職しても良い部下でも自分の保身や評価のために、部下の退職を何が何でも食い止めようとする上司がいます。
直属の上司へ退職意思表示について
直属の上司への退職意思表示は、大きく2つのパターンがあります。
直属の上司への退職意思表示2パターン
- 社内の個室で伝える
- 社外での休憩中に伝える
社内の個室で伝える場合
1つは、社内の個室で、伝える方法です。これが一般的で、引き留めにあっても、最もトライに押し通すことが可能な方法です。
そして、退職理由については、本音は上司の指導に不満があったとしても、絶対に言わない方が良いです。
この後具体的にお話しますが、仮にベンチャー企業、特にIT業界のベンチャー企業の場合は、業界自体が狭いために求職者の退職後も企業間で取引がある場合があり、そうなると、取引時に気まずい思いをすることも想定できるためです。
ですので、自分、または、プライベートの自分を取り巻く環境を理由にしましょう。
自分を理由にする場合は「キャリアの見直し」等と表現する
自分を理由にする、後々、波風が立たない言い方は、自分のキャリアを見直して違う環境で出直しを図りたいという風な内容です。
そして、何を言われても、これを貫き通し、ある意味、頑固になって構わない場面です。
直属の上司は、日頃からコミュニケーションを多くとっているため、情が入ることもあるでしょうが、終始一貫としてドライな対応をしましょう。
女性の場合は、男性にはできない涙も演技として入れると、上司が男性であるならば、それ以上は引き留めることはないと思います。
社外の休憩中にランチをしながらの場合
次のパターンは、社外で休憩中にランチをしながらの方法です。
日頃、ランチを共にしない部下から突然、誘いあると、私も経験がありますが、妙に嫌な予感がして、何となく気付きます。
社内ではなく飲食店を利用する方法は、周りに人がいるため、上司は社内と異なり思い切った引き留めをすることができないのです。
それを逆手に取って、退職意思を伝えるのです。退職理由は、社内と変わらず自分や自分の周りの環境にしましょう。
社長へ退職意思表示について
直属の上司から退職承認があると、次は社長になります。
大手企業の場合は、基本的に上司の承認があればそれで終わりになりますのでハードルはそこまで高くありませんが、ベンチャー企業の場合はそうはいきません。
家族経営だからこその去り際の辛さ
ベンチャー企業の売りの一つは家族経営、つまり、全社が家族という意識で日々仕事をしていることです。
そのため、ベンチャー企業の社長からすると退職されることを、非常に嫌がります。
退職意思表示の場合は、マネジメントツリーとして求職者から上司へ、上司から社長へという報告が一般的で、上司から社長へ報告してから社長と求職者が面談するまでの期間がかなり気まずいです。
社長は社長で知らぬ顔をしていますが、当然、上司から報告を受けているため頭では分かっています。
面談までのタイムラグが気まずさを増長する
また、本人も社長へ直接伝えてはいないものの、社長は自分が退職の意思があることを知っているんだと分かっていますし、その微妙な空気間がたまらなく居心地が悪いのです。
退職はどの企業でもギリギリまでオフレコにするため社内に相談することも出来ず、社内ですれ違うときなどはいつもと同じように振舞っているつもりでも、お互い意識しているためどこかぎこちないのです。
私も、何度か転職を経験しているため退職交渉も行っていますが、上司から社長へ報告があり社長と私との面談までの期間は非常に気まずいです。
私もそうですが、大体の求職者はその期間は許されるのであれば、休んで会社に行きたくないと思っています。それぐらい、気まずいのです。
社長との面談
社長との面談については、結構メンタルがやられます。
社長もどこから切り出したら良いか分からないのだと思いますが、その場を少しでも和ませようとアイスブレークでどうでも良い話から始まるのですが、求職者からすれば、『早く核心の話をして欲しい』と強く思うはずです。
核心の話となり、退職意思を伝え、退職理由を伝えても、社長はそう簡単に引き下がりません。退職理由に合わせた社内の解決策を提案してきます。
情に流されてはいけない、社長であってもドライな対応を
これが非常に厄介なのです。ここで、求職者によっては自分のためにそこまでしてくれるのかと感動して、情に流されて退職意思を取り下げる人もいます。
しかし、良く考えて頂きたいのですが、誤解を恐れず言いますとたかだか社員1人のために全社を動かすような解決策を実際に遂行すると思いますか?
それこそ、他の社員から非難の嵐で退職せず残ったとしても、居心地は悪くなる一方です。そもそもとしてその解決策は口だけで大半の場合、実際に遂行することはないです。
ですので、社長との面談でもドライな対応を心がけましょう。
退職理由は一貫性を保つ
そして、退職理由は、上司へ伝えた内容と同じことにします。
人によっては、上司と社長で理由を変える人もいますが、面談後、社長と上司は必ず内容の共有を行いますので、退職理由を変えてしまうと、面倒なことになりますので、絶対に統一させましょう。
立つ鳥、跡を濁さず
退職から転職までを、『立つ鳥跡を濁さず』と例えることが良くあります。
これはどういう意味かと言いますと、現職と転職先が取引関係にあったり、または、現職の社長と転職先の上司が知り合いだったり、現職の同僚と転職先の同僚が友人関係にあったりすることが、往々にしてあります。
何があるか分かりませんので、現職と転職先にもしかすると繋がりがあるかもしれないと踏んだ方が、無難です。
引き継ぎをせずに有給消化に走るのは転職先での評判を落とす
悪い典型的なパターンは、ろくに引継ぎもせずに、自分もホールドしている有休を全て消化することを第一に考えて退職日まで有給消化することです。
有給消化は全て使い切って頂きたいと思いますが、何もせずにいきなり有給消化してしまっては現職に迷惑がかかり跡を濁さすことになり、求職者自身の評判を下げることになります。
仮に、現職と転職先に繋がりがあり評価を下げたまま転職した場合、どうなるでしょう。
恐らく、現職から転職先へ評判が回り、転職先で変な先入観から仕事がし難い状況になることも想定できます。
計画的な引き継ぎがリラックスした状態での有給消化を実現!
退職と転職では、自分のホールドしている有休日数と転職先への退職日、そして、現職の引継ぎ期間をしっかり想定した中で決めた方が、無理や無駄のない時間を過ごすことができると思います。
退職意思表示から転職先への入社は約2カ月程度の期間を置き、その間、1ヶ月は引継ぎ期間、残り1ヶ月は有給消化とすると、引継ぎもしっかりでき、転職先への入社まで有給消化で給料が出る状態で1ヶ月、リラックスすることができます。
退職意思表示から退職日までの過ごし方
上司や社長から退職の承認をもらったあとは、業務に関わりのある部署へ退職の話が回ります。
そして、引継ぎが始まるのですが、一般的には退職意思から退職日までは有休消化を含めて2ヶ月で、前半の1ヶ月で引継ぎを行うため、前半の1ヶ月について、お話しようと思います。
引継ぎ期間の過ごし方は、退職後のことを考えて、絶対に手抜きをしないようにしましょう。引継ぎ期間は、残り僅かな現職での居心地を左右する大事な期間です。
まずは後任のためのマニュアル作成を
後任のために、まずは、業務のマニュアルを作成してあげることが理想です。
引継ぎといっても、全てを網羅することは難しいため、また、業務のサイクルは1ヶ月単位のものもあるため、引継ぎ期間が1ヶ月となれば、引継ぎできる機会は1回だけの業務もあります。
そうなると、1回だけで、後任者がマスターできるとは限りませんので、退職後に後任者がスムーズに仕事を進めることができるような環境を残すためにも、マニュアル作成は必須だと思います。
引継ぎがしっかりいかずマニュアルがないと、転職先へ入社したあとも、前職の後任者から業務について問い合わせがあったり、非常に手間です。
このマニュアル作成さえしっかりできれば、あとは後任者とできる限り一緒に業務を行うようにします。
退職することを同僚に周知しよう
業務以外の過ごし方としては、退職することを知らない同僚にしっかり伝えてあげることが良いです。
人によっては、『他が知っているのに、なぜ、自分には教えてくれないのだろう』と変な風に解釈する人もいますので、そうなると残り僅かな期間と言えども、気まずい人ができますので、居心地が悪くなります。
そして、できれば、同僚としっかりコミュニケーションを取るためにランチなどに誘い、極力、円滑に退職日まで過ごせるようにしましょう。
送別会やセレモニーが開かれる場合は必ず参加しよう
円満に過ごすと、退職日が近づくにつれて、同僚や自分の所属部署、そして他部署から送別会の誘いが入ります。
この送別会は、最優先で出席した方が良いです。それは、退職後もコミュニケーションを図れる環境を作ることと、現職と転職先との繋がりがある場合に備えてです。
とにかく、悪評が経たないように、無難に無難に過ごすことが、退職までは重要なことです。
最終出勤日となると、ベンチャー企業では全社的なセレモニーがあり、花束の贈呈があり、大手の場合は、部署内で同じようなセレモニーがあります。
求職者によっては、このようなセレモニーを不要として断る人もいますが、ここは我慢してありがたく受けた方が良いと思います。
退職日までの有給休暇中は後任から連絡が入ることが多い!?
これで、退職日までの出勤日は終了となりますが、実は、退職日までの残りの有給消化期間も、結構、手間です。
と言うのは自分は有給消化ですが、会社はいつもと変わらず営業しているため、特に後任者からは、まだ在籍しているということである意味で遠慮なく業務に関する連絡があります。
この場合、できる限りレスポンスよく対処してあげることが良いですが、自分のペースを乱してまで、または、気分が滅入るぐらいまでストイックに対処する必要はありません。
かと言って、冷たくあしらうこともあってはいけないのですが。全ては今後の自分のためと捉えて、それまで通りの対応をしてあげることがベストだと思います。
退職意思表示後の人間関係
退職意思を伝えたあと、それまで親しくなかった同僚が急に親しげに接して来たり、または、その逆もあります。
どのようなことにも動じず、それまでの自分通りに接することが一番です。皆さんの中にも退職する同僚を見送った経験があるでしょう。
何となくご理解頂けるかと思いますが、退職する人の退職理由は、まさに本音と建て前の世界で、本当の退職理由を言わないことが普通です。
急に親しげに接してくるのは退職理由が知りたいから?
そのため、急に親しげに接してくる人は、本当の理由を聞き出そうと必死な訳です。
ゴシップ好きの同僚はいませんか?何となく想像がつくと思いますが、どのようなことがあっても、本音の退職理由を伝えてはいけません。
人によってはお酒が入ると本音を言ってしまいそうなため、退職意思後はどんなに誘われても飲み会に行かないという人もいるようです。
どこでどうなるか分かりませんので、この対応策は得策だと私も思います。
同僚が態度が冷たくなったら相応のケアを
また、同僚によっては、それまで親しかった同僚が急に冷たくなることがあります。
この場合の理由は、裏切られた気持ちと、親しかったのに、なぜ、退職を決める前に自分に相談がなかったのだという気持ちになるからです。
この場合の対処法は、若干、面倒ですが、ケアしてあげるようにしましょう。しっかり理由を説明することで問題なく解決できるレベルの内容です。
直属の上司でもドライな対応を徹底する
問題は直属の上司で、特に、企業の制度として部下が退職することが自分の評価に影響する場合です。
この場合の上司は、ギリギリまで引き留めようとします。もちろん、社長から裏で強いプレッシャーがあってのことですが。
最後まで本当の退職理由も言う必要もありませんし、最後までドライな態度で引き留めに応じないようにすることが大事です。
これは、自分で言うのも、恥ずかしい話ですが、私は1回目の転職で、それまで有休を全く使わなかったため、振休と合わせて60日ぐらいの残がありました。
この60日は、何が何でも使い切ると心に誓い、引継ぎは適当、退職までの期間も定時で帰ってしまっていました。
そうなると、当然、それまで良かった評価は一気に下がり、少しずつ周りから冷めた目で見られ、視線が痛く感じたものです。
それでも、残60日は捨てがたいと思いましたので、無理矢理に最終出勤日を迎えて、翌日から2カ月以上、ぐーたらな生活を送りました。
適当に引継ぎを行ったため、後任も業務で分からないことがあり、連絡がありましたが、折り返すこともなく、今思えば、随分なことをしていたなと思うレベルです。
途中、親しい同僚や先輩に、退職後も何があるか分からないのだから、最低限は対応した方が良いのでは?
とアドバイスを受けましたが、一度、切れた気持ちはなかなか戻せず、ぐーたらな生活はなかなか戻らず、結果的にアドバイスを無視してしまいました。
親しい同僚や先輩とは今でも繋がりがありますが、当時の引継ぎ期間で私の怠慢で被害を受けた同僚とはそれ以来、連絡は途絶えたままです。
私のようにならないためにも、有給消化を一番に考えるのではなく、退職後の人間関係に重きを置いた対応をされた方が絶対に良いと思います。
今、転職エージェントとして求職者にアドバイスをしますが、有給消化を優先的に考えないようにと、自分の経験を踏まえて伝えています。
実際にあった退職の失敗事例その1
私が企業の人事担当だった頃の話ですが、この人は給料面で不満があり退職を決意したのですが、直属の上司に何度も何度も引き留めに合い最終的に役員にも引き留めに遭いました。
最初は違う退職理由を伝えていたのですが、引き留めに遭ううちに本当の退職理由である給与に不満があると言ってしまったのです。
そして、役員に対して退職しない条件として今より給料を上げて欲しいと伝えたのです。しかし、それを聞いた役員はそれまでとは手のひらを返したように辞めてもらって良いとなったのです。
結局、その人は退職して転職したのですが、退職までの期間は本当に悲惨なぐらい周りから無視されたり冷遇されたりかわいそうでした。
この人は、途中、心が病んでしまい、転職先への入社日も変更しなければならない状況になりました。
この退職失敗から分かるように、本当の理由は絶対に言わない方が良いです。
特に給料関係を不満にしたところで会社は組織で動いているため、一人の退職を引き留めるために給料を上げることはあり得ないです。
実際にあった退職の失敗事例その2
続いても私が企業の人事担当の頃の話です。
この人は人の意見に流され易いタイプの人でした。当時はベンチャー企業に私は在籍していたのですが、ベンチャー企業ともなれば上司の他、必ず社長が退職面談を行います。
何度も退職しないように説得されるうちに情に流され結局、転職を辞めて現職に残る道を選んだのですが、社長からすると一度退職すると伝えた人をその後、100%信用するはずもなく、それまでは信頼のある仕事を任されていたのですが、以降は作業系の仕事中心となりました。
また、直属の上司も退職さえしなければ、自分の評価が下がることはありませんので退職しないように説得していた期間は下手に回っていたのですが、その後はハイプレッシャーを浴びせるマネジメントととなり、本人から人事である私に仕事がしにくいと嘆いていました。
結果、その人は数か月後退職することになるのですが、その時、次の転職先も決まらないままでしたのでかなり切羽詰まった転職活動をしたと聞いています。
実際にあった退職の成功事例
冒頭で、現職と転職先に繋がりがある可能性があるため立つ鳥跡を濁さずを実践すべきであるとお伝えしましたが、この人は完璧にそれを想定していたのでしょう。どれをとっても完璧でした。
退職交渉でも、自分を理由にして直属の上司や社長、その他の同僚からの説得にもドライに対応しどんなことがあっても本当の退職理由は言いませんでした。
本当の退職理由は、上司との相性と社長との相性が合わないという決定的な理由でした。この理由を上司や社長以外での誰かに伝えたとすれば100%の確率で社内に広がります。
そうなると、いくら短期間とは言え居心地が良いはずがありません。そして、その人の転職先はたまたまですが、現職の社長の友人の会社で、現職での最後の引継ぎ期間を完璧にこなし建て前の退職理由も自分を理由にしていたため、現職の社長の評価を下げることなく、転職しています。
結果、転職先での仕事は現職の社長から転職先の社長へ評価の高い人材と伝わっていたため、非常にスムーズな人間関係や信頼を勝ち得たと聞いています。
この人は、残していた有休30日のうち10日しか消化していません。私のように有休を最優先したのではなく、人間関係を優先した結果が、転職先での評価に繋がったのです。
退職交渉は慎重に。引継ぎ期間は人間関係を構築する
転職において、現職との退職交渉は避けて通ることはできません。
必ずあることです。この退職交渉をしくじると、短い期間ですが、退職日までの居心地に大きく影響したり、転職先への評判にも繋がります。
本音と建て前をうまく使い分けて、大人の退職交渉を行いましょう。
また、引継ぎ期間は、現職での最後の大仕事です。この引継ぎをしっかり行うか行わないかにより、その後に人間関係に大きく影響します。
せっかく決めた転職先へ気持ちよく移行できるよう、現職を気持ちよく退職しましょう。退職交渉と引継ぎも転職活動の一貫です。
最後になりますが、現職でのトラブルなく、最高の形で転職できることを願い、今回はこれで終わりにしようと思います。