転職と年齢・性別・経歴・etc…の関係性【第一回】

みなさん、こんにちは。

自分の友人や知人などの周りの方々に、人間性は良いのに、なかなか転職出来ない人っていませんか?私の周りにはいます。

これは本人の責任というよりは、採用する企業に隠れた思惑があるためなのです。
企業が新たに人を採用する場合、有期雇用の契約ではない限りは無期契約になります。

そのため、業務粗悪程度の理由で解雇出来ないので、採用段階では非常に神経質になります。

また、企業にとって従業員を解雇するのは簡単なことに思えますが、実はデメリットの方が多いのです。

今回は転職希望者にとって、自分の年齢や性別、学歴や職歴などが、
どれほど転職活動に大きな意味を持つのか、重要であるのか、ご紹介します。

紹介の前に、前提知識として次の二点を把握しておきましょう。

  • 企業がなぜ採用に神経質であるのか
  • 企業にとって解雇という事態がなぜ非常に大きなマイナス的な要素になるのか

この二点を把握しておくことで、今回のお話への理解が深まるので、最初に説明します。

また、今回のお話は第1回と第2回に分けてとなります。

企業にとって従業員を解雇することが大きなマイナスになる理由

企業規模や業界その他のカテゴリーに関係なく、日系企業は余程のことがない限り従業員を解雇するという事態は避けたいのです。

その為、採用段階では非常に神経質になります。この、採用段階の選定方法はエントリーマネジメントと呼ばれ、近年企業の採用活動に定着してきました。

求職者からすると転職活動を経て、『入社してしまえばこっちのもの』と思っている方も多いと思います。これは間違いではないです。

しかし、企業からすると『採用してしまえばこっちのもの』ということにはなりません。冒頭でお伝えした通り、企業は有期契約の場合を除き、その求職者が入社すると一生面倒を見ることになります。また、業務粗悪レベルでは解雇出来ません。

企業は、原則入社を受け入れた従業員を、解雇してはいけないことになっています。これを法的には『解雇権の乱用法規』と言います。

この法規で国は、企業に対して『労働者たる従業員を簡単に解雇しないように』と義務化しています。

解雇のデメリット①助成金の支給停止

また、法規の他、企業が解雇した場合はその後の企業活動や採用活動に大きな障害となります。

一つは助成金です。特に中小やベンチャー企業はまだまだ資金面で潤沢ではない為、従業員を新規に採用する場合はコストが発生します。

しかし、国の取り組みで、フリーターまたは非正規雇用(有期契約や派遣契約)の労働者を安定度のある正規雇用(無期契約)への転換を積極的に行っています。
そのため、企業が採用した場合は、国から1名の採用につき数十万円の助成金が支給されます。

中小やベンチャー企業は、この助成金を支給されることで、採用コストの圧縮出来るのですが、解雇実績がある企業にはその後数年間、一切の補助金が支給されません。

また、採用の他にも教育関係など様々な助成金がありますが、1人でも解雇した場合はその様々な助成金の一切が支給対象外となるのです。

解雇のデメリット②噂や評判による企業の信用低下

もう一つは、採用における不利益状況です。最近は情報化社会である為、どの企業が解雇したという情報は、広まるケースが多いです。(中には、知られない場合もありますが)

近年の労働環境で解雇を行うことは、解雇を行った企業が『あの企業は、すぐ解雇するから、危険、ブラック企業』という噂や評判になる危険性をはらんでいます。

解雇を行った結果、新卒や中途に限らず、求職者が応募を控えるケースにつながることが多くあります。

そうなると、新規人材の確保が必要であっても、優秀な人材の応募がなく、採用に苦戦するということになるのです。

企業は人なりという言葉があるように、企業にとって人材確保は企業繁栄や業績拡大には必須条件です。

助成金と人材確保の大きく2つの理由で、企業は解雇するとその後の経営に大きなマイナス効果を持ってしまいます。

企業のエントリーマネジメントと転職希望者の持つ要素について

企業は選考においてエントリーマネジメントを強く意識しています。このエントリーマネジメントが、転職希望者にとって自身が持つ要素に、大きく影響します。

それぞれの項目に分けて、転職希望者にとってその事項がどれぐらい重要かをお話します。

転職希望者の年齢と企業のエントリーマネジメント

転職活動を行う求職者の年齢は10代から60代と幅広くあります。では、年齢がその求職者の転職活動にどのような影響を持ち、重要であるのかですが、やはり年齢は、大きなチェックポイントです。

求人要綱には、対象年齢という欄があります。例えば、ある求人に20代後半から30代前半と記載があれば、この段階で応募しても書類選考すら通過しません。

または、転職エージェントを利用している場合は、キャリアアドバイザーから応募しない方が良いとアドバイスされます。

法令で企業は年齢による選考基準を設けてはならない規定があるのですが、実情は違います。

ただこの法令があるため、企業は選考見送りの理由を応募者へ伝える際に、募集年齢より、求職者の年齢が高かった、低かったは絶対に言いません。

伝えた段階で、法律違反であることは人事を長く経験している人材がその企業にいれば、この話は把握しているので。

つまり、本当は、年齢で見送りになったことを、求職者は違う理由で見送りになっていることはあります。

転職経験のある方で、転職活動中に『納得いかない理由』や『違和感のある理由』で見送りになったことはありませか?これが理由です。

企業が募集基準に年齢を設ける理由

企業が募集基準に年齢を設ける理由は、組織体制の問題と給与の問題があります。

大体の企業の各部署は、数名または数十名単位のユニットを組んで業務を遂行しますが、ユニットのトップから普通社員は、年齢順であることが多いです。

年齢を無制限とすると、年齢が下の者が、年齢が上の者に教育したりマネジメントしたり、気まずい、違和感のある組織体制になります。

また、給与面についても年齢が関係していて、どの企業も実力主義で年齢は関係ないとしていますが、給与体系の中の基本給には、年齢を考慮して給与レンジを設定しています。

例えば、ある企業の50歳の基本給の給与レンジは、50万、30歳の基本給の給与レンジは30万とあります。

そこに、50歳の求職者が、『私は、給料にはこだわりません。50歳でも30万で大丈夫です』と熱く主張されても、その企業は、採用後のことを考えると絶対に採用しません。

採用におけるエントリーマネジメントは、入社時のことだけではなく、入社後のことも考えている為、企業は慎重になるのです。

これらの理由により、求職者の年齢が転職活動において、大きな影響を持ちます。今回はマイナス面を強調しましたが、もちろんプラスの要素もあります。

年齢が若いから、採用され易いということも往々にしてあります。求職者からすると、採用されることは嬉しいでしょう。

しかし、企業が年齢が若いことを理由に採用するのは給与が易く済む為です。あまり嬉しくはないでしょうが、これはどの企業にもあることですので理解した方が良いでしょう。

転職希望者の性別と企業のエントリーマネジメント

続いては、転職希望者の性別が、転職活動においてどれほど重要か影響があるかについてご紹介しましょう。

性別とは、当然に男女となる訳ですが、あと一つ、私は企業にて人事担当と、現在は転職エージェントとして活動していますが、最近では同一性の求職者もおります。

ですので、三つのパターンでそれぞれどのように性別が重要であるかお話したいと思います。

職種や業界の特徴で性別の重要性が変化!?

まずは、男性の場合ですが、男性の場合は、性別の重要性や影響が大きいことは比較的少ないですが、職種によっては女性の方が有利、または企業としては優遇したケースがあります。

例えば、人材業界です。人材業界は昔から女性上位という業界文化があります。人材業界は人に関わるビジネスモデルである為、企業との交渉や、特に、求職者の管理やサポートは男性よりも対応にきめ細やかさがある女性の方が向いている為です。

その為、人材業界を筆頭として男性が敬遠される業界や職種はあります。

性別不問の裏に隠された女性に厳しい採用の実情

次に女性です。女性は、男性と違って差別が大きいです。本来、男女雇用機会均等法という法令により年齢を理由に採用を決めてはいけない規定があります。しかし、この点についても年齢同様に実情は差別のオンパレードです。

転職エージェントや転職サイトに企業が公開する求人に、男女不問と記載があったり、または性別について一切の記載がない場合がほとんどです。と言うよりも、100%、求人上はないと思います。

これは、企業の法令対策です。求人に性別に記載することすら法令は禁止としています。その為、企業は求人におおっぴらに性別に関して条件を付加することはしませんが、裏ではかなりあります。

転職エージェントに対しては、『求人票には記載しないが、この求人のポジションは、女性は不可です』と証拠が残らないように口頭のみで伝えています。

また、転職サイトへ求人を掲載する場合は、選考の段階で女性であるだけで応募書類を見ずに不採用として、応募者への選考理由は性別以外の理由を伝えます。

私が転職エージェントとして取引する企業にも男性のみ採用という求人は多くあります。しかし、求人票には一切記載しません。

たまに、裏事情では女性不可の求人を女性の求職者に見せても、この求人はやめた方が良いと意味不明なアドバイスをするキャリアアドバイザーもいます。

企業が女性求職者を厳しく選定する理由

企業からすると、性別でのエントリーマネジメントの理由は、女性は結婚や出産、育児という女性特有の人生イベントがある為です。

それにより長期的に休業(法令により認められた労働者としては当然の権利)があったり、または、これらの人生イベントを機に退職することがあり、事業運営や部署運営において計算出来ないことが多いからです。

女性の求職者が、面接で『私は、結婚しません』、『子供は生みません』、『出産育児が終わっても働きたいです』とあっても、実際、その後、すぐ退職してしまうことが多いです。

そのため企業は、女性に対しては一様に『どうせ、この人も面接では、こんな風にいうけど、本当は違うだろうな』ということで見送りにします。

先述、求職者からすると、入社してしまえばこっちのもので、企業からするとそうはいかないとお伝えしましたが、まさにこれがこの典型です。

仮に、女性の労働者が面接では、人生イベントがあっても辞めませと言い、その後、仕事より家庭を優先ということで退職希望をその企業に伝えたとしましょう。

企業は、面接で辞めないと言いましたよね?とか、約束が違うので、これまでの給料は返して欲しいとか、一切言えないのです。

ですので、企業としてはこのリスクを未然に回避する為に、女性の求職者については性別を理由にエントリーマネジメントを行うのです。

一部の業界からは優遇も!同一性求職者の場合

最後に、同一性の求職者についてです。最近は、求職者自身が同一性であることを面接の場で面接官に伝えることがあります。私も、面接官として企業の採用に関わったことがありますが数人いました。

企業は、もちろん、同一性であることを理由に選考を見送りにすることは出来ませんし、求人を発注する段階でもこのような記載をしてはいけません。

ただ、女性と同様に裏事情は異なります。女性の場合と同じように、企業の採用基準にはしっかりと共通認識で、同一性の求職者は見送りという基準があることがあります。

しかし、同一性の方でも、ある業界については、優遇されることが多いです。それは女性をターゲットとした商品やサービスを事業として行う業界で、例えば化粧品業界です。この化粧品業界は、最近、積極的に同一性の求職者を欲しています。

私が知る化粧品業界のある企業でも同一性の求職者がいたら是非、紹介して欲しいと言われたことがあります。

これは、化粧品の特徴が大きいです。思考や心は女性でも見た目や体力は男性という場合は、化粧品業界の企業からすると最高です。

女性視点を持ち、また、仕事を頑張る体力は男性ですから、視点は商品開発に、体力はハードワークにマッチします。

もしかするとこの三つのパターンでは、性別を理由に影響が強く、また、性別が重要となることは女性が最も大きいかと思います。

転職希望者の経験企業規模と企業のエントリーマネジメント

次は、転職希望者の経験企業規模ですが、これは、転職先が大手企業である場合は特に顕著に影響があるか、または、重要です。

ベンチャー企業から大手企業へ転職する場合

まずは、ベンチャー企業を経験して転職先に大手企業を希望する場合です。

この場合は、この後ご紹介するパターンよりも比較的、重要性や影響は少ないと思いますが、ベンチャー企業を経験して次は大手企業にという求職者には次の特徴がある場合が多いです。

  • 仕事量が多過ぎて、もっと楽な仕事をしたい。
  • ベンチャー企業を経験している人は我が強過ぎて協調性が足りない。

大手企業は、ベンチャー企業経験者にはこの二つからなることを懸念してエントリーマネジメントをしています。

仕事量とエントリーマネジメント

一つ目の仕事量については、ベンチャー企業は大手企業よりも人的リソースは少なく、その分1人に課せられる業務量は多く責任も大きいです。

この為、大手企業は応募書類の退職理由に、どれだけポイティブな理由を記載しても、『ベンチャー企業は仕事量が多いし、もっと楽でお金が貰える、うちのような大手を希望してるんだろうな』と深読みします。

この為、その企業への志望理由が浅い場合は、見送りになることが多いです。

また、大手企業はこの深読みで見送りにする求職者に対して、『この人が、うち入社したら、仕事を頑張ってくれなさそうだな』という入社後の働くイメージをしてエントリーマネジメントをします。

協調性とエントリーマネジメント

二つ目の、協調性についてですが、これは転職エージェントとして活動する私も、この特徴はあるかなと思います。

ベンチャー企業で働いる方の大半は、大手企業はその組織の歯車にしかなれない、だから、個人への裁量ある仕事へ就けて、自分が頑張れば頑張っただけ個の力で早く昇格昇給が見込めると考えています。

その為、ベンチャー企業経験の求職者の短所は協調性がない場合が良くあります。

大手企業では組織バランスや組織ワークを重んじる傾向があり、ベンチャー企業のように個人の意見を通すことはあまりありません。

その為、大手企業は、エントリーマネジメントとして入社後、『ベンチャー企業経験が多い、この求職者が入社すると個人の意見を無理に通そうとして周りが不快に感じてバランスが崩れてしまうだろう』と考え、見送りにする場合があります。

残念なことに数度の面接では、この特徴は隠しても表情や雰囲気から感じる場合が多く、言葉ではどれだけうまく包んでも、けっこう見破られます。

大手企業からベンチャー企業へ転職する場合

次は、経験企業規模が大手企業で、転職先がベンチャー企業である場合です。

このパターンは、前者よりも差ほど大きな影響や重要ということはありません。

しかし、大手企業経験の多い求職者の方は、受け身思考(自主的に仕事を作れるタイプではない、仕事において、何もない0の状態から1以上を作ることが出来ないタイプ)の場合が多いです。

この為ベンチャー企業は、選考において、『この求職者は、うちに入社しても、組織の歯車としての経験しかないだろうから、即戦力としては難しいだろう』という入社後をイメージしてエントリーマネジメントします。

そうなると、給与と業務スキルのバランスが悪く、求職者本人が居心地が悪くなり、早期退職や本人がモチベーションを低下させそれを周りに伝播してしまい組織に悪影響を及ぼす場合が想定されます。

ベンチャー企業でプライドを傷つけられた大手企業経験者が駆けこむ先は行政

過去に大手企業で企業ブランドもある企業での経験がある場合は、本人にもプライドが強くある為、自分の想定した評価より低く評価されるとネガティブな思考となる場合もあるようです。

退職の場合は会社の責任にして矢印が会社に向き、そのまま行政へ駆け込むという場合もあるようです。

これは、企業からすると最悪にパターンになります。なぜかと言いますと、ベンチャー企業で行政に元従業員が駆け込むと、恐らく最悪の場合は、臨検という厳しい調査があります。

労働時間など、その企業の労働に関係する全ての内容で厳しい調査となり、臨検対応に大きな時間を割くことで業務が止まります。

さらに、一度、臨検となれば向こう3年は行政からの通常より厳しい定期報告を義務付けられたりします。

これらの理由により、企業はエントリーマネジメントを行いますので、これまでの経験企業規模は重要ですし、大きな影響を持ちます。

次回は、この他に事項はありますのでそれらがいかに重要か、影響を与えるのかにスポットを当ててご紹介することにします。

今回のお話が、皆さんの転職活動に役立てば幸いです。

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