企業へ直接応募する際の注意点と選考通過のコツ

現在、転職エージェントを利用した転職が主流ですが、中には転職サイトや企業のHPへ直接応募する求職者の方もいると思います。

これらをまとめて直接応募と言いますが、この直接応募は、転職成功にはかなり神経質になる必要があります。

今回は、直接応募する際の注意点と選考通過のコツをご紹介したいと思います。

筆者プロフィール
名前: 小玉崇
転職エージェント歴:10年
転職経験:3回
利用したエージェント:27社
現在の年齢:41歳
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企業のHPへ直接応募

最近では、どの企業も採用活動の費用対効果を上げるために、転職エージェントへ求人を公開することが一般的ですが、同時にHP内の採用ページにも募集要項を記載して応募を受け付けることもあります。

応募する際の注意点

まず、応募する際の注意点ですが、転職エージェントを経由して応募する場合と異なり、キャリアアドバイザーのレジュメ添削や、企業がどのようなポイントで書類選考するのか全く分からない状態となります。

そのため、かなり細かく具体的に定量的に記載したレジュメを提出する必要があります。

ただ、これは企業により全く基準は全く異なりますので、もしかするとポイントを抑えたレジュメの方が見易いため、良いという場合も考えられます。

こればかりは、この書き方が良いということは言えないのです。

ですので、ここでは一般的な企業人事が希望するレジュメの書き方をご紹介します。

直接応募の履歴書は転職エージェントのフォーマットを使うべし

まず、履歴書は自分で作成したフォーマットよりも転職エージェントから入手したフォーマットを使った方が良いと思います。

企業は転職エージェントからのレジュメフォーマットに見慣れているためです。

転職エージェントの履歴書は、各社のホームページで公開されていることも多いので、参考にしてみてください。

また、履歴書内に記載する求職者自身の希望条件、特に給与面ですが、具体的な金額を記載するのではなく『御社規定に準じます』としましょう。

具体的な金額を書いてしまうと、採用基準を超えた金額の場合はその段階で見送りとなる可能性があるためです。

職務経歴書には定量的な実績を記載しよう

続いて職務経歴書ですが、これもフォーマットは転職エージェントから入手したものを利用しましょう。

履歴書と同様に企業の人事担当は、転職エージェントからの職務経歴書フォーマットで見慣れているためです。

内容については、具体的な記載ではなく、ポイントを記載してその後に定量的な実績を記載するようにしましょう。

見出しや、文字の変化で読みやすい構成を心がけよう

また、箇条書きではなくポイントごとにまとめることが重要で、見出しを作ったり、文字を大きくしたり、太字にしたり、読み安い構成が必要です。

また、転職エージェントの場合は求職者のアピールポイントを紹介状の中に記載してくれますが、直接応募の場合は、自分で作る必要があります。

職務経歴書の中に、A4用紙1枚分程度にして提出する方が良いでしょう。

書類選考通過後の注意点

書類選考を見事に通過すると面接になる訳ですが、直接応募の場合は、面接日程の調整も求職者自らが行うことになります。

面接調整はメールで行うことが多いのですが、メールを受信したその日に必ず返信することが必要です。

しかも、平日の場合は日中は絶対に返信しないようにしましょう。

企業からすると、『現職中なのに、平日の日中に転職活動しているのかな?』とネガティブに取られることがあるからです。

実際、企業の人事担当をしている私の友人は、直接応募の場合は本人からダイレクトに連絡が来るため、連絡が来る時間帯も選考に含むと言っていました。

また、返信のレスポンスも、その日中に必ず行うことが必要です。レスポンスの早さが志望度を表すとも言われますので、レスポンスが早ければそれだけ求職者からすると有利になります。

中には電話する企業人事もいる

あまり聞きませんが、書類選考通過の連絡と面接案内を電話で行う企業もあります。

メールもそうですが、基本的に事務的な連絡をする人事担当は人事部内でも一番、下っ端、新米人事、または派遣スタッフが担当することが多いです。

しかし、この新米人事に横柄な対応をすると、とんでもないことになります。

理由は、この後の面接での注意点と共通することですのでここでは割愛しますが、丁寧な対応を心掛けましょう。

面接で企業へ訪問する際の注意点

面接調整が終わると次は面接となります。受付での間ち合いスペースから面接室へ案内されますが、直接応募の場合は特にここが注意点です。

直接応募になりますので、かなり珍しい目で見られます。

そして、面接室へアテンドする担当は事務処理を担当する新米人事か派遣スタッフですが、ここで、しっかり挨拶など礼儀正しくしなければここでもチェックされています。

この求職者は、人によって態度を変えるタイプかどうかを、面接官である人事の責任者はアテンドする担当者へチェックするよう指示しています。

アテンドだからといって無礼な態度を取ると、その感想はそのまま面接官である人事責任者の耳に入り、いくら面接で良い評価でも総合的で基準に満たず不合格となることがあります。

実際、私は企業の人事責任者をしていましたが、今回ご紹介したように、アテンド担当へ求職者の対応を見るように指示しましたし、他の企業の同様もようです。

面接内での注意点

面接内では終始、面接で失敗したらその後のフォローが出来ないということを念頭に置きながら望んで頂きたいです。

先述の通り、直接応募は失敗してもフォローしてくれる味方である転職エージェントがいません。

失敗がそのまま不合格に直結することが多くあります。また、下手に攻めた面接をするのではなく、下手、下手に出て、相手に合わせる面接を心掛けた方が無難と言えます。

面接内で意見が合わない場合は、あまり良い印象を与えないためなるべく意見が合うように対応する必要があります。

意見が合わなくても、転職エージェント経由の場合はその背景を面接後に企業へフォローしてくれるのですが、直接応募は、頼るべきは自分だけです。

企業HPから直接応募の場合の選考通過のコツ

これまでご紹介した注意点をしっかり行うことで、それがコツとも言えるのですが、HPからの直接応募の場合は、熱意を伝えることが重要と言われています。

手紙で伝える企業への熱意!

その一例としては、手紙があるでしょう。

面接では伝えきれない内容を手紙にして面接後に面接官へ直接渡すことです。手紙は、面接内において言葉でアウトプットするよりも、相手の心に強く響きます。

企業の人事担当をしている私の友人は、この手紙がポイントで直接応募の求職者に内定を出したことがあると言っていました。

その求職者は緊張により面接の評価は低かったものの、その手紙によりどうしても入社したい熱意が伝わり、その熱意を買ったとのことでした。

面接では、手紙は魔法のように面接官の心を惹きつけます。

深い質問力が選考通過のカギになる!?

また、その他のコツとしては質問力です。この質問力は転職エージェント経由であれば、そこまで強く求めません。

なぜならば事前に転職エージェントから求職者を紹介しますし、面接後もフォローとして面接では聞けなかった質問が求職者から来ていますとなります。

しかし直接応募の場合は後日に質問する機会はありません。また、質問の質も上げておくことが必要です。

質問して面接官から回答があり次の質問という流れではなく、質問に対する面接官の回答にさらに質問をぶつける深い質問が必要です。

ですので面接前に質問に対する面接官の回答を自分で想定して、さらにそこに質問を被せる準備が必要です。

これにより、企業理解の評価に繋がります。

企業HPから直接応募は、実は有利!?

これまで不利な面を多く紹介してきましたが、企業HPから直接応募は有利な点もあります。

企業側のメリットは採用コストの差

企業は、採用する際に採用コストが発生します。企業としては出来れば採用コストは抑えたいのですが、転職エージェントを利用すると採用した段階で紹介手数料として年収の30%前後を支払う必要があります。

しかし、企業HPから直接応募であれば求職者と直接のやり取りとなるため、採用コストは一切発生しません。

確かに、応募から面接までは厳しい面の方が多いのですが、仮に転職エージェント経由の求職者と直接応募の求職者が同等の評価であれば、間違いなく採用コストがない直接応募の求職者に内定を出すはずです。

直接応募は志望意欲が高く評価される!?

また、直接応募は応募する段階で志望意欲が高いと思われ、この点も有利に働きます。

どの企業も転職エージェントを介して応募する求職者への不満としては、どんなに面接が素晴らしい内容でも、『本当に、当社に入りたいのか?』と疑問を持ちます。

しかし、企業HPから直接応募の場合は日頃から採用オープンしているかどうかをチェックしていない限り、応募することができないため、この点は利点とされています。

多くは不利であり注意点も多いのですが、このように有利に働くこともあります。

実際にあった直接応募の話

これは、私が企業人事を担当していた時の実際にあった話です。

熱意で勝ち取った内定

当時の企業のHPからある求職者が直接応募してきたのですが、この求職者はすごかったです。

当時の私が勤めていた企業は有名な企業でしたので、転職エージェントや転職サイトを活用せずとも直接HPからそれなりに応募がありました。

そんな中、ある求職者から直接応募がありました。

結果的に書類選考で見送りになったのですが、その後がすごいのです。合計10回程度応募してきて、直接、手紙まで送ってきたのです。

私の当時の上司はその熱意に負けて面接することとなったのですが、面接内容もそこまで優秀とは言えなかったのですが、面接内で土下座までしていました。

そして、面接が終わってから面接結果が出るまでの数日間、毎朝、毎晩、当時、私が勤めていた企業の入り口に立って、通る人全てに挨拶をしていたのです。

そのうち、社内でもその求職者は話題となり、気付くと、『あの人、入社させてあげたら?』という声が多くなったのです。

面接評価もそこそこで合否ギリギリだったのですが、その求職者は入社したい熱意で内定を勝ち取りました。

直接応募では熱意が重要!

私がこのエピソードで何を皆さんに伝えたいかと言いますと、特に直接応募は熱意が重要ということです。

また、転職エージェント経由では応募は基本的に1回のみですが、直接応募は何の制約や縛りもありませんので、ある意味では玉砕覚悟で何でもありなのです。

本当に入社したいのであれば、1回や2回、見送りになったからと言って諦める必要はありません。

直接応募は、企業と直接やり取りができると前向きに考えるならば自分という商品を自分が営業マンになって売り込むことができるのですから。

結果、その求職者は営業職で入社したのですが、入社から1年程度で、500名の営業マンの中で№1セールスとなりました。

直接応募は、合法的なことであれば何でもありです。最後は熱意と執念です。

今回ご紹介したエピソード以外でも他社でも、いくつか同じ出来事があったと聞いたことがあります。

確かに、直接応募は味方となる転職エージェントがいませんし、事務処理も煩雑で手間がかかる割には、通過率も物凄く低いのですが、最終的には求職者本人の入社意欲で何とでもなります。

このエピソードから分かること

どんな転職方法にも言えることですが、直接応募の場合は特に、『必然性』が求められます。

先程ご紹介したエピソードから熱意はご理解頂けたと思いますが、本質は必然性です。この求職者の諦めない行動は必然性を意味しています。

私の上司も面接をしようと思いましたし、社内の従業員も入社させてはどうかと思ったのです。

必然性とは、その企業でなければならない理由を具現化すること体現することです。

この必然性は、直接応募では不可欠と心得て頂きたいと思います。

転職サイトから直接応募

直接応募のもう一つの方法である転職サイトに掲載している企業へ直接応募する方法です。

この場合は、当然に転職サイトの管理画面を介して直接応募することになります。

注意点の大半は企業HPから直接応募と同じですが、若干、転職サイト特有の注意点がありますのでご紹介します。

転職サイトから応募する場合は、管理画面で予め転職サイトへ登録した際のレジュメ関係を、応募する企業に内容を修正して提出する手間があります。

絶対に避けたい!応募先を間違えるというミス

ここで、是非注意頂きたいことがあります。

何かと言いますと、転職サイトの管理画面は使い勝手が悪く複数の企業へ応募する際に混乱します。

つまり、応募先を間違えた状態でレジュメを提出してしまうことがあります。そうすると一発アウトです。

企業の人事担当として転職サイトで採用活動を行った際、他社用のレジュメが提出されるというケースがありました。

『あれ?これって、当社ではなく、他社に応募しようとしたレジュメではないか?』と不愉快に思った覚えがあります。

転職サイトの管理画面はあまり使いやすいとは言い難いため、応募する際は何度か確認する必要があります。

経歴や功績の漏れを防ぐレジュメのこまめな更新

次の注意点としては、レジュメの更新です。

転職活動が長期化すると特に注意が必要です。レジュメは定期的に更新しアップデートしなければ、経歴がおかしくなります。

経験したことや功績の更新漏れにより、書類選考の通過が出来なかったりしますので、こまめなアップデートを心掛けましょう。

転職サイトへ掲載している企業は、基本的に大量採用を行います。職種で言うと営業系の職種が多いとされています。

転職サイトからの直接応募の最大の注意点!!(3つ)

ここからは、転職サイトを使っての直接応募における最大の注意点を3つご紹介します。

直接応募における三つの注意点

  • 職サイトに掲載されている求人の『モデル年収』
  • 長期間掲載している求人
  • 掲載されている求人内にある画像

これは、私が求職者として、また、人事担当として多くの企業人事の意見も含めていますので、参考にして頂きたいと思います。

現実とかけ離れた「モデル年収」

まず1つ目ですが、転職サイトに掲載されている求人の『モデル年収』という欄には要注意です。

このモデル年収は転職サイト側の営業マンが掲載する企業の採用成功を実現するために、求職者を惹きつける訴求となりますが、大体は架空です。

架空とはウソではなく、企業の希望を意味します。

入社後にはこのモデル年収にあるような活躍を期待しているという希望です。

ですので、実際はモデル年収に記載されている従業員はほぼ存在しないと思った方が良いです。

実際、私も企業の人事としてモデル年収を掲載した求人に付け足したことがありますが、そのモデル年収の従業員はいませんでした。

転職サイトの営業マンは掲載した企業が採用成功しなければ次の掲載はないため、ある意味どんな手を使ってでも採用成功させたい思惑があります。

長期間掲載求人が意味する高い離職率

2つ目は、長期間、掲載している求人は怪しいと思った方が良いです。

どういうことかと言いますと、長期間掲載される求人は採用に至っていないことはもちろんですが、それ以上に離職率が高いため、採用しても退職してしまう環境だということを意味します。

そのため企業は何度も掲載する必要があります。仮にその企業の選考が通過しても、恐らく求職者の当初の予測とはかけ離れた現実となると思いますので、時間の無駄です。

よほどのことがない限り、その求人には応募しない方が良いと私は思います。

私は求職者として、長期間掲載されている求人に応募したことがあり、内定を頂いたことがあるのですが、求人内容とは大きく異なる条件でした。

基本的に良いところ撮り!?求人内の画像

3つ目は、掲載されている求人内にある画像です。画像は職場環境を求職者に紹介する役割がありますが、良いところ撮りがほとんどです。

転職サイトを運営する企業は、求人を掲載するために求人内容の設計を行います。

カメラマン同行で企業に足を運び、社内の良いところを撮影してそれを求人の画像に当て込みます。

良いところだけをピックアップしますので、当然求職者からすると『この社内環境は良さそうだな』と思う訳です。

転職サイトを使って直接応募する場合は、この3点は大きな注意点になりますので、是非念頭に置いて頂きたいと思います。

直接応募で差別化を狙おう

現在の転職市場は転職エージェントを利用する方法が主流ですが、だからこそ、ニッチな直接応募、特に企業のHPから直接応募することは、企業側からすると物珍しく、他の応募者との差別化になります。

もちろん、これまでお伝えしたようにデメリットも多くありますし、いつその企業が求人を公開するかも分かりませんので、タイミングも必要であると思います。

しかし、全てを前向きに捉えると全てが好転することもあります。

応募していない中でも、ダメ元で問い合わせしてみることも強行突破としてありだと思います。

直接応募は採用する企業からすると採用コストはゼロで、本当に志望度の高い必然性を持った求職者からの応募が確実にあります。

今は転職エージェント主流ですが、近い将来、また直接応募の時代が来るのかなと、私なりに考察しています。

最後になりますが、今回ご紹介した内容が皆さんの転職活動の一助となればと思いながら、これで終わりにしたいと思います。

転職活動の成功を祈っています。

筆者プロフィール
名前: 小玉崇
転職エージェント歴:10年
転職経験:3回
利用したエージェント:27社
現在の年齢:41歳
実績の詳細はこちら

土下座するほどの情熱はさすがに無い……という方へ
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