面接官が気になる「視点が定まらない人」

執筆者の情報
名前:永井 成果(仮名)
性別:女性
現在の年齢:47歳
面接の経験人数:約500人
面接経験時の役職:-
企業・業種:-

本人も気づかない泳ぐ視線

面接で視点が定まらない人は何度も経験しました。結論を書くまでもないのですが、こういう人が面接で合格した試しがありません。

応募者自身は自分の視線が定まっていないという自覚症状はあまりないかもわかりませんが、面接官から見ると視線が定まらずキョロキョロする人はすぐわかると同時に、印象もよくありません。

逃げているように見えたり、挙動不審に映ったり、落ち着きがないといったように悪印象しか残りません。本人としては、あちこち目配せして一生懸命返答をしていたつもりでも、印象の悪さを挽回するのはまずもって無理です。

では、実際のところ視線が定まらないとはどんな状況なのか、具体的な事例をあげ詳しく紹介していきます。身に覚えのある人は、是非、意識して直す努力をして下さい。

面接室に入室直後からキョロキョロ

どんな応募者も、面接室に入ったことあるなんてことはありません。初めて入る部屋の様子を見たいのは山々ですが、入室してまず見るのは面接官です。

一礼をして、次は指示された自分の座る椅子を探すぐらいで、その他の部屋の景色には目をやらないというのが常識です。

ところが、その応募者は入室してきて一旦われわれの方に視線を向けた後、物色するかのように部屋の中の様子をチラチラ見出しました。

入室から案内したイスに座り、最初の質問までのわずかな間に、たまたま部屋の隅に置いてあった脇机、壁の掛け時計、その反対側の窓といったように忙しく視線を動かし、最後やっとわれわれの方に視線が戻ってきました。

さて、いよいよ最初の質問に移ろうとして「本日は私どもの社員募集にご応募いただきありがとうございます。早速ですが、まず最初の質問に移りたいと思います。」とイントロの口上を述べました。

その時、隣の面接官が手元の応募書類をスッとめくったのですが、応募者がそちらに視線を送ったのが見てとれました。

メモする度に感じる視線

この辺りから、よく視線の動く人だなぁと思いました。あとで聞けばもう1人の面接官も同様のことを感じていたようです。いくつかの質問をすると、それ自体にはなかなか反応が良くて質問の趣旨を外さず、的確に答えてくれました。

視線の動き以外は、ほぼ合格圏内といえる応答内容でした。ただずっと気になっていたのが、応募者が答えた内容をわれわれがメモする時、彼は必ず私たちの手元に視線を落としてくることでした。

応募者との距離はそこそこあり、いくら手元に視線が向けられたからといって、メモした内容が分かるはずありません。しかし、メモする度に手元を見られると気になり、書類を応募者から遠ざけました。

もう一点、視線が定まらないのが、答えている時の面接官への視線です。普通は質問した面接官に向けられるのですが、その応募者はチラチラともう1人の面接官を伺うように見るのです。

質問した面接官以外を見ることは、自分の意見を両方にわかって欲しいという思いから時々視線を送るなど、それ自体は問題ありません。しかし、その応募者は自分の答えの反応を観察している感じがしました。

時間を気にする応募者って

面白かったことは(その応募者には失礼ですが)私の隣の面接官が時間を気にして腕時計に目をやった時、ほぼ同時に面接室の壁に掛けてある時計に目をやったことでした。

面接官が所定の時間に終わらせるためにタイムコントロールするのは当たり前です。しかし、応募者が時間を気にするのは前代未聞で、経過時間?を気にするなんてことはありえません。

部屋の掛け時計であろうが自分の腕時計であろうが、時計に目をやるのは変な行動です。

応募者が質問に答えながら視線を外した時、最初は何を見たのかわかりませんでした。しかし、彼の位置から見るものは右斜め上の掛け時計しかありませんでした。この時、思わず手元採点表の評価欄にバツ印を付けていました。

グループ面接で必ず落ちる人

これまでの事例は個人面接での事例です。これがグループ面接だともっと顕著な例があります。

個人面接とグループ面接の大きな違いは、個人面接では面接中は待ち時間が無いのに対して、グループ面接では他の人が話している時に待ち時間が必ずできます。

待ち時間といっても、面接官の前で座っているわけですから休憩などできるわけもなく、ひたすら次の自分の発言機会を待つことになります。

この時、じっとしているのが苦手で、視線が定まらずにキョロキョロしてしまう人は要注意です。実は面接官は発言中でない応募者もじっくり観察しているのです。

しかも、グループ面接の場合、数名の応募者を一度に面接するので面接官を必ず複数名配置します。内1人は、質問はまったくせず、ひたすら観察のみを行うこともあります。

発言待ち時間中の落とし穴

グループ面接の基本は共通質問で、順番に応募者に聞いていきます。自分の発言が終わった時が危険で、次の発言指名が来るまで少し余裕があるため、ついつい余計に視線を動かしてしまいがちです。

私の経験で1番多いのが、前に並ぶ面接官の顔ぶれをしみじみ見てしまう人です。前段で述べたように、質問をしない観察専門の面接官とバッチリと目が合い、気まずくなることもあります。次は、天井を見てしまう人です。

前に座っている面接官と視線が合うのがイヤで、視線をそらそうと上を見てしまう人も結構います。

その他、目線が面接官のデスクの上を行ったり来たりとか、膝上に置いた自分の手の指先を見たり、足元の靴に目をやったりする人もいます。いずれも、本人たちの考えはどうであれ、印象は悪くなります。

上を向く傾向にある人は不遜に見え、下を向く傾向にある人は、元気がなくうなだれている感じがします。

一方、グループ面接の注意点として他の応募者の発言もよく聞いておくようにと言われます。だからと言って、これは発言者側に顔を向けて聞くことではありません。

グループ面接が5人として、自分以外の4人の発言の度に視線を移すのは面接官側からするとおかしく見えます。

次に発言する人は誰なのか、自分の順番を伺いながら待つという意味では一瞬見て発言内容を聞いておくことは大切ですが、発言者が変わる度に右左と向きや視線を変えるのは、落ち着きなく映ります。

前をしっかり見据え、ひたすら自分に指名がかかるのを待つというのがグループ面接での正しい待ち方です。

面接で視線を定める方法

面接では不慣れなこともあり、また緊張のため普段とは違う行動に出てしまいがちです。この視線もそうです。ついつい落ち着きのなさを露呈してしまいがちですが、視線を一定の方向に保ち続けるにはコツがあります。

座った時の姿勢がポイントで、まずアゴをできる限り引きます。

一度やればわかると思いますが、アゴを引くと顔の向きを変えづらくなります。その体勢のまま視線を動かそうとすると、強く意識しないと視線は動きません。

つまり、アゴを引くことで知らず知らずのうちに視線が流れるのを食い止めることができるのです。

次は、視線をどこにもっていくかです。視線は、正面に座る面接官の襟元に優しく置きます。ネクタイを締めていたら、ちょうど締めた位置です。

背筋を伸ばしてアゴを引き、視線の定位置をここにすると、しっかりと前を見据えた凛々しい応募者が出来上がります。

いかがでしたでしょうか?面接で1番惜しいと思われるのが、今回の事例の視線のように、応答内容以外のことで不採用となることです。これまで述べてきたように、ちょっととした工夫で必ず克服できるので是非実行して下さい。

この記事の筆者

永井 成果(仮名)

企業で何人も転職者の面接をしてきました。

その後、私自身が転職し、今度は反対にその経験から転職者を支援する仕事もしました。

企業の面接経験では、こんな人は絶対受からない、逆にこういう人は非常に好感を持たれ面接をパスできる人だというのがよくわかり、一方、支援する仕事ではそれを転職者にアドバイスしてきました。

この両経験から、転職者の役に立つ体験談とヒントを紹介したいと思います。

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