採用担当が語る 正しい転職活動のための極意
- 執筆者の情報
- 名前:きくくま(仮名)
性別:男性
現在の年齢:48歳
面接の経験人数:-
面接経験時の役職:採用責任者
企業・業種:IT上場企業
私は採用担当として、書類選考や面接を通して多くの転職活動をされている方々にお会いしますが、中には「転職活動、分かってらっしゃる!」と言ってしまいたくなる方がいらっしゃいます。
その様な方は総じて、自分の考えを主張し迎合する感じもありませんし、自信があるように感じます。
今回は転職活動をより良いものにするための大原則を紹介します。
転職活動極意中の極意
私は講師活動の中で、「転職活動の極意(最も大事なもの)は?」というお問い合わせをよく頂きますが、そんな時は開口一番「転職先を決めてから辞めること」と答えます。
今までいろんな方の転職に関わってきましたが、“この極意に勝る極意無し”という感じです。
転職の当てもないのに「充電して体と精神をゆっくり休めてから転職活動を行う」とか「仕事の区切りをつけて前職を辞めてから…」などと、言われる方が多いのには驚かされます。
「精神的・肉体的に限界」とか、これ以上勤務していると生命の危険があるような場合なら致し方ありませんが、それ以外であれば転職活動は在職中に行うことを強くお勧めします。
特に現在、正社員で就業されている方で転職後も正社員を希望される方はなおさらです。
2015年11月4日に発表された厚生労働省の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」では、非正社員の割合が40%を超えたことが報告されました。
この数字の背景には、いろんな要因があるのですが、あえて単純に考えてみると転職した2人に1人しか正社員にはなれない可能性があるという事になります。
そのリスク対策をせずに転職活動を行う事は、無職になってしまいブランク(離職期間)を作り悪循環にハマってしまうか、転職をしても非正社員としての勤務で、かえってキャリアダウンになる確率が高くなるという認識を持っておきましょう。
退路を断つと余裕がなくなる?
転職者の方々と面接をする採用官としての立場から言っても、在職中の転職活動を進める気持ちは変わりません。
応募者の方々の中には私たちが意見を言うと、その意見に過剰反応してしまう方も少なくありません。
例えばAという面接官が「今日は良い天気だね」みたいなことを言って「そうですね。私もそう思います」と回答するとします。
その直後、面接官Bが「いや、今日は雨だよ」というと、そちらにも「そうですね。そう思います」と合わせてしまう方が意外にも多いのです。
この様な方は面接官の後ろに、この会社が不合格になった時に再び行わなければいけない、あてのない転職活動や落胆する家族などの姿を見ているのです。
ですから、より良いパフォーマンスなどができるはずもなく相手に自分の考えを伝えずに迎合してしまったり、流されてしまったりするのです。
この様なパフォーマンスでは合格できるものもできません。
「この会社がダメでも、今の仕事があるし思い切って自分の考えを言おう!」という心もちはパフォーマンス向上に必要不可欠なのです。
とにかく転職活動は、正社員の有無に関わらず、パートでもアルバイトでも良いので何か仕事を持って行う事が重要になります。
私は体重が115kgあった時に、転職活動先にダイエット食品を扱う通販会社を受けたことがあります。
「そんなにデブなのにうちの商品を販売しようなんて、無謀にもほどがある。うちの会社合ってないんじゃないの?その気持ちにはあきれてものが言えないよ」
なんて威圧面接を受けたことがありましたが、「この会社がダメでも今の会社がある!」とばかりに、反論および入社後の取組を説明したところ内定を頂いたという経験があります。
何事も心に余裕が一番なのです。
時間を“足かせ”にしない
退職をせずに、仕事を続けながら転職活動をすると以下のようなメリットがあります。
- 生活面での不安が無い
- ジックリ転職と取り組める
- 心的に余裕が生まれる(採用活動でのパフォーマンス向上)
その反面、転職計画をしっかり立てないと“だらだら”と取り組むことになってしまい転職活動がいつまでたっても終わらない可能性があります。
また、時間が無い中からさらに転職活動に時間を割くわけですから、だんだん現職に気持ちが向かわなくなってしまいます。
思わぬミスをしてしまったり、現職での就業意欲を途切れさせてしまったりして、結局退社してしまいブランクを生じさせたなどということにもなりかねません。
転職スケジュール、特にゴールの目標時期を明確にして毎日振り返ってみる事をお勧めします。
最近では、転職サイトや転職エージェントなど転職の手間を省いてくれるシステムも充実していますので活用を検討してみるのもお勧めです。
この記事の筆者
きくくまさん(仮名)
1966年生まれの48歳。
地方のIT上場企業の採用責任者でありながら、8年前から専門学校の非常勤講師も行う。
非常勤講師先の専門学校生の就職活動に関する悩み・就活対策をアドバイスするうち、その評判が広がり現在では大学・専門学校・再就職支援の職業訓練校生にて就職活動に関するセミナーや講座を行っています。
モットーは、「就職活動とは、正社員化(内定)・維持継続・再雇用の三つのハードルがあり正社員化で悩むのではなく、バンバン内定を取ってどの企業に行くかで悩む。
だから企業の考え方を徹底的に指導します。」
特に、非正規社員の正社員化を積極的に応援中!