採用担当が語る「職務経歴書を有効活用しよう!」

これから転職をしようと考えている人が避けて通れないのが「職務経歴書」です。

今までどんな会社で働いて、どんな任務を担い、どれくらいの成果を得られたのか。

そんな経験が豊富な私は、御社できっと活躍しますよ!ということをうまくアピールするためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。

執筆者の情報
名前:きくくま(仮名)
性別:男性
現在の年齢:48歳
面接の経験人数:-
面接経験時の役職:採用責任者
企業・業種:IT上場企業

面接官の立場から

ある、既卒者(転職者)・新卒者対象の就職合同フェアでのことです。

Aさん(27歳の男性)が、私のブースに来てくれました。

ひととおり会社説明をした後に
「では、履歴書と職務経歴書を当社の方へお送りいただけますか?」
と、言ったところ

「これまで正社員で働いたことが無いので、職務経歴書は提出できません。」
との回答が・・・。

その顔は“いかにも当然!”と言いたそうな感じ。

その場では、
「では履歴書のみでも、あなたに入社したい意思があればご提出してくださいね」

とにこやかに言いましたが、履歴書のみだったら間違いなく書類選考は通過しないでしょう。

何が問題なのか(マインド編)

Aさんが既卒者採用を行ううえで、最も勘違いしている点は既卒者(転職者)の就活が新卒時の就活と同様と考えている点です。

企業は、新卒者採用と既卒採用では求めている人材が違うことを認識しておきましょう。

新卒者は、育てることが前提の採用です。
花屋に例えると種を買う様なもの。

将来会社の根幹を担って行けるかどうか・先輩や上司からうまく“教え”を引き出し、成長していけるかどうかなどを厳選します。

一方、既卒採用は即戦力の採用。
企業の生産や営業などの各セクションで不足している人材を補充する。

花屋に例えると“花を買う”と言った感覚です。

これは、「経験不問」とか「未経験者歓迎」という言葉が躍っている既卒を対象とした求人でも同様ですので注意しましょう。

ここでは、Aさんはわれわれに対して

  1. 新卒者との違い
  2. 現在、当社で働いている同年代と比較しても同等の働きができる

という点を認識させなければいけないのです。

この点を認識させるのは資格や人柄ではありません。
今までの仕事の振り返りや棚卸しが重要になります。

正社員で働いたことが無いのならアルバイトやパート・派遣社員、契約社員での就業経験を職務経歴書にまとめてみる事です。

その際に注意する事は「どの様な業界で」「どんな仕事をして」「何ができるのか」を考慮してまとめてみる事です。

職務経歴書の書き方

職務経歴書にはこれといったフォーマットはありません。
ホームページなどを参考に自分に合った職務経歴書フォームを選定しましょう。

職務経歴書で採用企業が確認したいポイント

  • 求める実務能力を満たせるような経験を積んでいるか
  • 仕事(働くこと)に意欲を持っていることが感じられるか
  • 転職目的が納得できるか
  • 読みやすいか、まとまっているか、書類作成能力があるか(フォーマットが決まっていないだけに)

以上のような点に注意して職務経歴書を作っていきます。

職務経歴書の記載は、直近の仕事の履歴から記載していきます。

現在から卒業時まで時系列で情報が書かれていることが望ましいですが職歴が多かったり、ブランク(離職)の時期があったりする場合には全てを同じように記載してしまうと、提出枚数の目安を超えてしまう可能性があります。

職務経歴書の目安はA4で2枚程度なので、アピールしたい部分の職務歴を詳しく書いたり、字体を変えてみたりとメリハリをつけて志望する企業と関連が薄い職務は簡潔に書いて枚数調整しても構いません。

その時、ブランク期間がある場合はその間何をしていたのかを簡潔に書くことも忘れないでください。

職務経歴の棚卸しの行い方

今までの職務経歴をワードやエクセルなどに入力し、その仕事をしてどの様なスキルが自分についたかを棚卸ししていきます。

仕事の成分は

  1. その会社でないと役に立たないモノ
  2. その会社以外にも活用できるモノ

の二つでできています。

例えば○○という製品を販売している会社のコールセンターでは
製品○○に関するコールセンター業務はその会社でしかできませんが、

  • 電話の応対スキル
  • クレーム処理の応対スキル
  • お客さまのニーズを電話の内容から察知するスキル

などは、どの会社でも応用がききます。

仕事には「その会社でしか活用できないスキル」と「パーソナルスキル(他の会社に持ち運べるスキル)」があることを認識しておくことです。

そして、新たに志望する企業の採用内容と比較して生かせるスキルが無いかを見極めていくのが職務経歴の棚卸しなのです。

職務の棚卸しの良い例

Bさんは、大学を卒業後アルバイトの延長でそのままゲームセンターに就職しました。

3年で店長になりましたが、もともとパソコンが好きだったのでIT会社に転職をしようと決心しました。

職務経歴の棚卸しがよく理解できていなかったBさんは、「ゲームセンター勤務」くらいしか思い浮かびません。

そこで、出勤してから退社するまでどの様な業務を行ってきたか振り返ってもらうと

  • 在庫発注(補充発注や定量発注など)ができる
  • 売り上げ報告(売り上げ日報・週報・月報)の作成ができる
  • テナント料など必要経費を算出でき、損益計算書が書け月単位での利益算出ができる
  • クレーム処理
  • 機器のメンテナンス
  • 無遅刻無欠勤(仕事の取り組み方のアピール)

などいろんなポータブルスキルを見つける事ができ、特に在庫発注の認識の高さから在庫管理が得意なIT会社への転職を果たしました。

転職者の行動特性

  1. 今までの職務を書いてみる
  2. 仕事の成分の中でもポータブルスキル(他の会社でも応用可能なスキル)
  3. 志望する企業の職務とマッチングできそうなポータブルスキルを探す。
  4. 自分に合った職務経歴書のフォームを選定する

この記事の筆者

きくくまさん(仮名)
1966年生まれの48歳。

地方のIT上場企業の採用責任者でありながら、8年前から専門学校の非常勤講師も行う。

非常勤講師先の専門学校生の就職活動に関する悩み・就活対策をアドバイスするうち、その評判が広がり現在では大学・専門学校・再就職支援の職業訓練校生にて就職活動に関するセミナーや講座を行っています。

モットーは、「就職活動とは、正社員化(内定)・維持継続・再雇用の三つのハードルがあり正社員化で悩むのではなく、バンバン内定を取ってどの企業に行くかで悩む。だから企業の考え方を徹底的に指導します。」特に、非正規社員の正社員化を積極的に応援中!

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