転職活動は、人生活動そのもの!!
仕事は人生の大半を占めるものです。
転職を安易に考えていては、その後の人生に悪影響をもたらすことは目に見えています。
今回は、転職活動と人生という深いテーマについて紹介していきましょう。
今回の記事の目次
転職活動とは?
転職活動を単純に「仕事を変えること」と考えている人は要注意です。
転職活動は、求職者のその後に人生を良くも悪くもできる、ある意味恐ろしい行為です。
ある程度の年齢を重ねた方は、現実が分かっているため安易に転職活動をということはしないと思いますが、問題は若年層です。
若年層の早期離職が社会問題の一つとなっています。
就活で適当に企業を決めた
「就活で適当に会社を決めて自分に合わなかった」という理由で、新卒で入った会社を辞めようとする若年層が多いです。
学生最後の時間を遊びに費やしたいがために、少しでも早く就活を終わらせるため、内定が出た企業に簡単に入社を決めてしまう。
私は企業の人事として学生の就活に関わった経験もありますが、『この学生は大丈夫かな?』と思ってしまう学生が多くいました。
もうこの段階で、近い将来の転職は決まっているに等しいです。
学生が社会人となっても連絡を取ることがありますが、就活で頑張った学生はほぼ確実に早期離職することなく頑張っていますし、就活を適当にこなした学生は数カ月~3年以内には転職活動を始めています。
若年層の転職理由の多くは、先を見たものではなく「今その会社が嫌だから」というものです。
若年層の転職活動
入社3年以内で転職活動を行うと、社会では人生の負け組と表現されます。
20代前半で人生の負け組とレッテルを貼られるのです。
一度決めた企業に3年も在籍することができない。
きっとこの人は、その後も嫌なことがあるとすぐ逃げるだろうと思われるのです。
あながち、この意見は間違っていません。
若年層で転職を繰り返し、最終的には日払いの派遣でその日暮らしをしている人は何人もいます。
転職エージェントでは「本当に転職して良いのかどうか」というような本質的な話し合いはありません。
転職支援はあっても人生支援はないのです。
特に大手の転職エージェントはこの傾向があります。
転職支援が右から左に流れるようなベルトコンベヤーのような作業となっています。
転職のときしか関係がないので、その後は求職者が会社内でどうなったとしても知らんこっちゃないのです。
若年層の方は転職エージェントを全面的に信用するのではなく、転職後の自分の人生を考えた上で転職支援やアドバイスしてくれるか見極めた方が良いです。
大げさなことではなく、たった1回の転職が転落に変わる可能性があることを認識してもらいたいと思います。
ある就活中の学生の話
ここで、私が人事時代に出会った、ある学生との話をご紹介します。
その学生は、私が当時に勤めていた企業へ面接に来ました。
「新卒で入る会社はどこでも良い。2社目でどんな活躍ができるかが大事で、1社目は練習台」と言っていました。
この言葉は一見先を見据えたように聞こえますが、学生のうちから転職前提に就活をしているのは仕事を甘く見ていますよね。
この考え方は、非常にリスクのある考え方です。
できることなら、新卒で入社した企業に納得のいくまで勤め上げることが必要だと思います。
その学生は「今の日本は学歴社会で、自分のように三流大学の人間は良い企業に入社できない。少し頑張って2社目で良い企業へ転職を目指す」と言っていたのです。
確かに、この学生が言っていることは間違っていません。
今の日本の新卒採用は、学歴偏重主義で一流大学の学生はそこまで頑張らなくとも一流企業への入社ができます。
この学生のように二流、三流大学であれば、頑張っても一流企業へ入社できる可能性は低いです。
しかし「少し頑張って2社目」という考え方が大きな間違いです。
転職市場は学歴よりも経験を重視します。
学歴が三流でも一流の経験があれば企業は必要とします。
ただ、一流の経験は少しの頑張りでは得ることはできません。
転職を一流企業への手段とするこの学生の考え方は素晴らしいとは思いますが、少し頑張るだけで一流の経験は身につくはずがありません。
一流企業はおろか、新卒で入社した企業よりレベルダウンすることが予想できます。
結局、この学生は自分の意見を貫き通して新卒で入社した企業は1年で退職して2社目へ転職したのですが、2社目の転職先はブラック企業でした。
この学生にとって「一流企業=報酬が高い企業」だったようで、転職エージェントから紹介された報酬に引かれて入社をしたのですが、非常にもったいないと思います。
嫌なことがあってすぐ頭に浮かぶ転職は前向きな転職ではありません。
悩んで悩みにいた先にようやく浮かんだ転職が前向きな転職です。
夢や目標をもった転職が大切
私は転職活動をしない方が良いと言っているのではなく、安易な考えで転職してはいけないと言っています。
後ろ向きの転職に良いことは一つもありません。
最初は嫌なことから逃げることができた満足感があるでしょうが、最終的に前職と同じく嫌なことがあればすぐに逃げて転職しようとします。
それでは、何度転職しても意味がありません。
後ろ向きの転職に夢や目標はないと思います。夢や目標を持った上で、転職することが非常に重要です。
夢や目標があれば、転職先でどのようなことを実現して将来どうなりたいのかまで見据えることができるでしょうし、嫌なことからも逃げることなく目標に向かい続けることができると思います。
転職活動を通して自分磨きをしながら、自分も将来設計ができる夢や目標が欲しいです。
特にこれからの日本を支える若年層の求職者には、前向きな転職活動で前向きな人生が送れるような転職であってほしいと思います。
年齢の重ねた人の転職活動
次は、社会人を何年も経験した、言ってみれば社会人もベテランの求職者です。
年齢を重ねるごとに転職でつぶしがきかなくなります。
また、転職先の選択肢も選ぶまでできない状況になります。
それぐらいの年齢になると結婚し家族を持ち、背負うものができています。
求職者は自分とその家族を生かす義務があるのです。
年齢の高い求職者は、当然次の転職が最後だという覚悟で転職活動をしなければいけません。
もし、それらの年齢で転職した結果、長く続ける自信がなくなっても、もう転職はしない方が絶対に良いです。
転職活動の年齢でリミットと言われる年齢は45歳です。45歳限界説があります。
この45歳付近の求職者は、今の職場から何があっても離職してはいけません。
私は転職エージェントとして活動し多くの情報を仕入れていますが、45歳以上で転職できる確率はゼロに近いです。
退職金も限界説の一つの理由となっています。
45歳以上で転職となるとその後、勤続年数は20年程度しかなく、退職金はかなり低いです。
このあたりも踏まえると今の企業に残って大きい額の退職金を得た方が将来的に得策です。
45歳前後の求職者は、20代前半のような働き方やアグレッシブな考えを転職に求めてはいけない年齢です。
転職活動は何回できるのか?
45年の仕事人生のうち、日本人の平均転職回数は3回だそうです。
今、この話を読んでいただいている方は、現時点で何回の転職を経験していますか?
20代で3回という求職者は、もう平均を超えようとしています。
これはヤバいと思ってくださいね?
20代で数回の転職を経験している求職者は、もう転職が癖や習慣になっています。
転職が癖や習慣になっている人に天秤論を紹介します。
今、嫌なことがあって転職して楽になり将来的に苦労することと、今、嫌なことがあっても我慢して現職に残り将来的に楽をすること、どっちを選びますか?
前者を選んだ人は、頭を冷やした方が良いです。将来のハローワーク通いが目に浮かびます。
後者を選んだ方は、ぜひ、今よりもっと我慢してみてください。
我慢することが癖になりそして習慣になり、今、嫌なことは大したことないように感じます。
きっと、この我慢が将来の自分を助けてくれるはずです。
我慢が自分の人生支援をしてくれるはずです。
若いうちは苦労と我慢
年齢が若いうちは体力的な無理ができます。
睡眠時間を削ってでも、よく仕事をしてよく遊びましょう。仕事も真剣、遊びも真剣、全て真剣に頑張りしょう。
転職を希望する求職者の中に、現職の給料が安いと嘆いている人がいますが、若いうちは給料が安くて当然です。
給料は責任や権限にひもづいて上がるものです。
給料が安いからと言って転職活動するのではなく、給料が上がるように若いうちはたくさんの苦労をしましょう。
この苦労が数年後の給料に反映されます、必ず!
そして、給料が安い時代は我慢しましょう。
我慢して苦労していれば誰かが必ず見ています。そしてチャンスが必ず回ってきます。
そのチャンスを転職活動して転職先に求めてもチャンスはつかめないと思います。
若いうちの転職は、新卒と同じ扱いですから、またゼロからのやり直しです。
若年層での転職は、新卒をまたゼロからやり直すことを意味しますので、全く前に進んでいないのです。
履歴書に書けない!?
いきなり履歴書の話?と思わないでください。今、お話した続きです。
若年層の方は、3年以内に転職すると、正確には3年の経験がない職歴を履歴書に書いても意味がないのです。
履歴書は経歴を書く書類ですが、3年の経験がなければ記入しても実質は空白期間と思われます。これは人事の中では通説です。
新卒から3年以内に転職活動する求職者の面接で、どんな退職理由を並べたとしても、心の中では、人事は、『我慢できなかったのですね・・・』としか思いません。
ですので、本心では、どれだけ素晴らしいロジックの転職理由を伝えても100%信用されることはないと思った方が良いです。
3年以内というだけで、企業の人事はネガティブに取ります。
ぜひ、自信を持って履歴書に3年以上の経験を太字で書けるようにしてみてください。
転職にするのか、転落にするのか
転職は、人生を決めます。転落は転職が生む結果です。
転職が当たり前になっている今、転職によりその後の人生が最高になる求職者もいるでしょう。
私の経験上、転職後の人生が最高になっている求職者は、転職の前に我慢の連続を経験しています。
実は、転職でその後の人生が最高になったのではなく、その求職者自らの我慢が転職後の人生を最高にしたのです。
逆に、我慢できない求職者は、転職が転落人生を呼ぶのではなく、我慢できなかった自分自身が転落人生を招くのです。
転職するのであれば、我慢しながら、そして常に3年後、5年後の自分像を照らし合わせながら転職活動を心掛けてください。
求職者は、今の企業に何らかの不満を持って転職活動する求職者が多いので、どうしても求人の良いところだけを見て余計な期待をしてしまいます。
企業も面接で企業の悪いところをべらべらしゃべったりはしませんよね。
転職エージェントも企業から紹介手数料が入るため、求人企業の悪い面はなかなか教えてくれません。
本当の意味で信じることができるのは自分だけなのです。
まとめ
転職活動とは、人生活動と言っても過言ではありません。
人生活動と考えるなら、嫌なことからすぐに逃げる道、つまり転職活動という選択肢は取らないと思います。
人生と仕事をつなげて考えてみてはいかがでしょうか?
転職は仕事人生を決める大きなイベントです。
その大きなイベントを何度も経験する必要はどこにもありません。
転職回数が多いと、社会的な信用を失います。
例えば車や家を買うとき、大体の求職者はローンを組むと思いますが、ローンの審査では勤続年数が基準の一つになっています。
転職回数が多いと勤続年数は短くなり審査基準に満たないため、ローンを組めず人生にも影響を与えてしまいます。
私が転職活動は人生活動と同じという意味は、このようなことも関係してくるために言っているのです。
人事として、そして転職エージェントとしてたくさんの求職者を見てきましたが、転職活動を通して自分がどうなりたいか明確でない求職者は転職しても良い仕事はできません。
100歩譲って転職前提の転職活動をしても良いと思います。
しかし、次の転職までどれぐらいの期間を持ち、その期間でどのような人間になっていたいのか、逆算して考えましょう。
考え無しの転職は転落しかありません。
最後になりますが、我慢があって転職活動があり、転職活動は人生活動です。軽々しく行うことではありません。
求職者の皆さんの人生設計が転職活動によって崩壊することがないよう祈り、今回はこれで終わりにしようと思います。