転職後、出戻りが許されるのは上司に可愛がられてた人だけってホント?
今回は、転職者の『出戻り』というイレギュラーな話題についてご紹介できればと思います。
転職先の企業を何らかの理由で退職して、前職となる企業へ再び転職すること。
『出戻り』を復職と呼ぶ場合もありますが、復職は、病気やケガ妊娠などの理由で休業しいた人が復帰することを言います。
今回は、『出戻り』という言葉を使って話を進めていきましょう。
復職とは違って、『出戻り』とは、求職者のみなさんにとっては、想定外のことだと思います。
求職者のみなさんにとって、決して良い形ではないことをあらかじめ認識した上で『出戻り』するかどうか考えた方が良いと思います。
- 筆者プロフィール
- 名前: 小玉崇
転職エージェント歴:10年
転職経験:3回
利用したエージェント:27社
現在の年齢:41歳
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今回の記事の目次
出戻りは、そう簡単ではない
転職活動は、新しい企業を希望すると同時に、『現職との決別』を意味しています。
しかし、求職者のみなさんのなかには、転職したにも関わらず現職に戻りたいと言い出す方がいます。
先述の通り、これを『出戻り』と言いますが、決して良いことではないです。
『出戻り』が意味するものは、『転職の失敗』です。
『出戻り』はそう簡単にできることではありません。
みなさんが退職した場合、企業は転職市場に求人を公開して、欠員部分を解消するのが一般的です。
基本的には、みなさんが退職すると同時に欠員補充を完了させていますので、現職にはもう元のポジションはありません。
退職表明から退職までの期間、そして内定から転職までの期間
求職者のみなさんは転職が決まると、晴れて現職に退職表明をすると思います。
そして、一定期間の引き継ぎ期間と有給消化を終えて、転職先に転職すると思います。
転職決定と退職の流れ
- 求職者の転職決定
- 求職者が現職に退職表明
- 1カ月の引き継ぎ期間
- 1カ月の有給消化
- 転職
求職者の退職表明から求職者の退職まで約2カ月あります。
企業はこの2カ月の間に引き継ぎとともに採用活動を行い、欠員補充をします。
欠員補充が完了した企業にとって求職者のみなさんが退職しても特別な問題はなく、それまで貢献してくれたことと、転職先でも頑張ってほしいということで、送別会などを行うと思います。
みなさんは、転職先で頑張ることだけを考えていると思いますので、このタイミングで前職に戻ることは考えないと思います。
しかし、転職後に・・・
次の職場に晴れて転職して、新しい環境と前職を退職できた喜びもあり、最初は順調に事が進むと思います。
しかし、選考期間中には分からなかった社内環境を知るたびに、少しずつ気持ちの変化があり、最終的に『この会社は辞めたい』と思う求職者の方もいます。
割合としては、もちろん『出戻り』は少ないものですが、私も前職で経験があります。
私は転職エージェントとして活動する前に、企業の人事を十数年経験しているのですが、退職後に数カ月で『出戻った』方がいました。
転職先の企業を退職したいと思っても、その期間が短ければ短いだけ、今後転職活動をするには不利になるので、前職に戻ることを考えるのです。
知らない企業の選考を受けるよりも、自分が知っている前職に転職(つまり、『出戻り』)した方が、気楽で、安心できると考えます。
出戻りが可能な期間は?
転職エージェントとして活動していると、よく出戻りを希望する方から相談を受けます。
出戻りが許される期間についての質問が一番多いのですが、1年で出戻りする方が一番多いです。
長くても2~3年というケースがほとんどでしょう。
もちろん、ある程度長い間他社で勤務した後に、キャリアアップして出戻りというケースもあるにはあります。ケースは少ないですが。
また、出戻りができるかどうかは、基本的に会社とコネ次第なので、期間はそこまで重要なファクターではないです。
かつての上司と連絡を取り、出戻り?
実際に出戻りする方のほとんどは、かつての上司との間にあるコネを活用しています。
元上司が関係部署と掛け合うことによって出戻りが成立する、というケースが多いのです。
ただし、こういった上司との親密な関係は誰しもが得られるわけではありません。
特に仲の良い上司がいない、という場合は出戻りできる可能性はとても低くなります。
上司はいいが、同僚は?
また、上司とのコネで仮に出戻りができたとしても、元の職場に馴染めるかどうかはまた別の問題です。
転職エージェントとして、現職に未練なく転職したにも関わらず、『出戻り』しようとする考えそのものが、求職者として甘いとお伝えしたいです。
求職者のみなさんは、現職に不満や不安を持ち、何ら未練なく転職という選択を選んだと思います。
自己都合で、自分の意思で退職した方がほとんどだと思います。
転職後に思うように働けないとして、転職先を退職し前職に『出戻る』ということは、かなりの自己中心的な考えで、既に時間や費用をかけて穴埋めをした企業にも失礼です。
良好な関係で引き継ぎもしっかりやり、立つ鳥跡を濁さずの状態で退職したため、『自分なら出戻りも可能だろう』と楽観的に考えている方もいますが、そこまで甘いものではありません。
前職となる企業もビジネスです。
アマチュアやボランティアで経営しているのではありません。
『出戻り』自体が、できるかできないかは会社によりますが、少なくとも簡単にできるようなことではありません。
仮に出戻りに成功しても、年収や待遇は下がる
企業側は、退職した従業員を、元従業員という以上に他社の労働者と考えることの方が多いです。
退職後も、プライベートで親しいということで、元同僚に相談しても『はい、分かりました』とは絶対になりません。
私は転職エージェントとして、『出戻り』を考える以前に転職に失敗しないようにしましょうとアドバイスしたいです。
ここでは割愛しますが、転職に失敗しない方法については転職後に失敗した場合のリカバリー方法の記事をご覧ください。
運よく、前職の好意により『出戻り』できたしても、退職前のポジションは埋まっていますので、経験がない職種で仕事をすることになります。
それまで経験がない職種ですので、給料も退職前に比べると確実に下がります。
自分が得意ではない・経験がない職種で仕事をし、給料も下がり、役職もなくなり、同じ職場に退職前は自分が担当していたポジションに自分の後任で転職した人が働いている光景を目にしながら、働くことが果たして求職者のみなさんにとって良いことでしょうか。
『出戻り』後は、一度退職した訳ですので、企業との力関係は明確になります。
転職者本人も後ろめたさや恩義があるので、肩身が狭い思いをすると思います。
私は、基本的に『出戻り』には反対です。
『出戻り』するぐらいなら、転職先がブラック企業だったとしても、とにかく時間が解決するということを優先に考えて、何が何でも3年ぐらいは踏ん張る方が良いです。
3年と言わなくとも最低1年は転職先に在籍した方が良いです。
1年以上あれば、何かしら成果は出ますし、転職エージェントとして求職者の方の経歴を見ると、1年ぐらいで退職している方もいます。
もちろん、苦戦はすると思いますが、『出戻り』するよりもマシだと思います。
『出戻り』は、一見簡単そうに見えますが、門戸も狭いですし、労働条件や立場もかなり厳しくなります。
大企業の場合、出戻りはかなり厳しい
出戻りが可能かどうかは、基本的に上司とのコネで決まってきます。
社内でも有力な元上司が積極的に動いてくれ、人事部からの同意を勝ち取ってくれた時、はじめて出戻りが可能となります。
よって、社内でのコンセンサスが調達しにくい大組織=大企業への出戻りは必然的にハードルが高いです。
業界大手企業の場合そもそも社則によって、出戻りをすることが制度的に不可能というケースもあります。
出戻りができるのは基本的に中小規模の企業に限られると思っていた方がよいでしょう。
逆に、亀田製菓など、出戻りを積極的に推奨しているような会社もありますので、チェックしてみてもよいかもしれません。
『出戻り』は可能!でも、戻ってはいけない
『出戻り』は、無理ではないです。
可能と言えば可能です。
しかし、逃げ道として出戻ったところで良いことはありません。
私は、転職エージェントとして、元人事として、退職後に、『出戻り』した方を見てきていますが、退職前よりも肩身が狭く自分の立ち位置をつかめず苦戦しています。
『出戻り』という選択は持たず、前に進みましょう!
前職は過去のものです!!!
最後になりますが、求職者のみなさんの転職活動が充実し有意義なものであることを祈り、これで話を終わりにしようと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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