【現役エージェントが語る】転職に失敗する人の特徴とは
現在は求職者有利の売り手市場と言えます。
求職者が複数の内定を勝ち取り、企業を選べる時代です。
しかし、このような状況でも、希望通りの転職ができないまま転職してしまった、転職を見送ったという方はいるでしょう。
そんな方に、かつての人事経験、そして現在の転職エージェントとしての活動経験からアドバイスをさせていただければと思います。
こんな人が転職で失敗する!?
転職の失敗は結果論です。
つまり、失敗するか成功するかはその前の段階である程度決まっていると言って良いと思います。
ですので、まずは結果が出る前の前提についてお話ししようと思います。
転職を甘く見ている人
転職という行動に対して認識が甘い人の転職活動はうまくいかないでしょう。
特に若年層に多いのですが、考えの甘い人は、『仕事は世の中にいくらでもある』という考えに陥りやすいです。
仕事をしてお金を稼ぐことがいかに大変か知らずに育ってきたのだと言われています。
現在の売り手市場だと簡単に内定をいくつかもらえて、『何だ、かなり楽勝だな。仕事なんていくらでもあるんだな』という思考が身に付きます。
これが当たり前だと感じ、仕事をしてお金を稼ぐ大変さを理解できない人になってしまうのです。
アドバイスとしては、まず思考を変えてください。
そしてできれば同世代ではなく、30代、40代以降の上司や先輩とのコミュニケーションを取ってください。
その方々の仕事で大変だったことや苦労したことを聞くと、今の時代とは明らかに違うことが分かるはずです。
そうするとことで意識が変わり、行動も変わり、転職で失敗する確率はかなり軽減されるはずです。
もっと言うならば、意識が変わると転職活動を行わないという判断に至る人も多いと思います。
転職を逃げ道として考えている人
転職は自分のキャリアを見つめステップアップする手段であり、逃げ道ではありません。
転職を逃げ道と考えている人も年齢に関係なく多いのですが、このタイプは直近の転職は成功したとしても、中初期的な場合は失敗している場合が多いです。
逃げ道として転職をする方は、仕事に就く度に、
『この会社はここが嫌だ』
『入社前にこんな話は聞いてなかった』
『こんな環境、他の会社だったらない』
などと、周りの環境のせいにして自分を正当化しようとします。
何か少し嫌なことがあると少しの不満ですぐに転職しようとしてしまうのです。
この場合、本人は転職を逃げ道と考えていない場合が多いですから、転職を考える際に自分の身近な人の労働環境を聞いてみると良いです。
「結構、どの会社にも同じようなことがあるんだな」と気付くことが大半です。
転職が癖になって最終的に無職になるなんてことがないよう、『我慢』という手段で現職になじむ努力をしましょう。
転職において、本来履歴書に職歴として記載するに値する勤続年数は3年以上です。
『石の上にも三年』という言葉もありますが、一度入社したのであれば我慢を続けて3年は在籍した方が良いでしょう。
嫌なことはどの会社に行ってもあります。
上司と相性が合わないとかは、かなりくだらない転職理由に該当しますので、絶対通過しません。
もっと高い給料が欲しいと思って転職しようとする人
『今の会社での仕事量だったら、他の会社ならもっと稼げる』といったことを考えている人はいませんか?
実は、私はかつてこのタイプでした。
今、振り返って考えると、非常に浅はかとしか言いようがないですし、自分の経験を過信していましたね。
このパターンは20代の人に多くあって、中でも社会人経験が5年6年とそれなりにある場合に多いです。
この場合、転職活動はして良いと思いますが、自分の職歴が市場ではどれぐらいの価値なのか情報を仕入れるべきです。
これは転職エージェントに登録して求人を紹介してもらうことですぐ分かります。
当時の私は市場価値を確認して『これだけやったのに市場的にはこれぐらいなの?』とがっかりして転職を諦めました。
自分が思うほど、世間一般で自分の経験や実績は高く評価されません。
恐らく今の会社の収入が妥当だと思います。
年収アップの一番の近道は、他社から引き抜きに遭うぐらいの実績を積むことです。
希望通りに転職成功できなかった人へのアドバイス
転職こそできたものの、希望の企業から内定が出ず第2志望以下の企業へ転職した人も多くいます。
希望通りに転職できなかった場合はいくつか理由が考えられます。
本人の我慢の限界説
これはメンタルの問題です。
転職活動は現職と同時進行させる必要があり、仕事が終わってから夜に面接ということも多いと思います。
そんな中、友人からの食事の誘いなど楽しいことがあると面接をリスケジュールしてしまうなんて経験ありませんか?私はあります(笑)
転職活動をする人の多くは、何が何でもすぐ決めたいという人の方が少なく、転職活動の優先順位を下げることがあります。
そうすると、自分が思っていた以上に活動期間が長くなり、転職する意欲すら失い、希望でなかった企業に入ってしまうことになりかねません。
この場合のアドバイスですが、転職活動は期間をあらかじめ決めて短期集中型で行きましょう!
私もそうですが、長くなると本来慣れてしまってはいけない転職活動が日々の生活になってしまい、妥協しがちです。
タイミングが悪い説
これは本人どうこうではなく、外的要因が大きいです。
転職活動期間中に良い求人に出会えれば良いのでしょうが、こればかりは企業の問題です。
求人はあるけど良い求人がなかった。でも、それらの求人もなかなか悪くないということで、トントン拍子に選考が進み内定ということがよくあります。
私も転職エージェントをしていると、このような求職者の方にはよく出会います。
この場合のアドバイスとしては、自分のキャリアビジョンを中長期的に見極めて焦らないことです。
同じ企業が何度も同じ求人を出す可能性は低いですが、同じような内容の求人は、時が経てば必ず出ます。
それまで現職にとどまった方が得策です。
他のアドバイスは、転職エージェントを増やすことです。
新しく登録した転職エージェントしか持っていない、希望に近い求人があるかもしれませんので。
希望条件と本人のスキル経験のアンマッチ説
これは転職エージェントが本人の希望を尊重するあまり、応募する求人が求める条件と明らかに異なる場合です。
この場合、書類選考の通過率はかなり落ちますし、面接でも見送られます。
面接の合否基準には他の候補者との相対的な比較も関わっていますので、求人条件と本人のスキルや経験に開きがあれば他の候補者を採用する訳です。
これは、理想と現実をしっかり自分でも見極めるなり、他のキャリアアドバイザーにしっかりヒアリングや指摘を受けた方が良いです。
本人にとって第2希望以下の企業への転職だとしても、客観的にはスキルや経験に合った良い転職とも言えるかもしれません。
転職できずに現職に残る道を選んだ人へのアドバイス
最後に、転職活動はしたものの現職に残った場合ですが、これはこれでありだと思います。
転職失敗という程のことではありません。
先述の通り、求人のタイミングもあって希望通りの企業からの内定を得られなかったのであれば、運の問題です。
この場合は、転職エージェントへそのまま登録し続けて長期的な活動をするのがベストです。
私は転職活動エージェントとして、内定は出たものの、納得いくものではない場合は希望の求人が出るまで待つことを勧めています。
中には内定した企業へ押し込む転職エージェントもありますが、自分の希望や意思を尊重しましょう。
また、記事冒頭のように、ネガティブな理由で転職活動をしたもののうまくいかず、仕方なく現職に残る場合もあるでしょう。
この場合はむしろラッキーです。
ささいな理由で我慢できず転職しようとして転職できなかった訳ですから、その方にとっては我慢を身に付ける最高の状況です。
我慢が身についた状況で転職すると、その分企業の見極めが鋭くなります。
総括的なまとめ
『転職は慎重に』、『転職は前向きな理由で』が転職の基本線です。
この理由なく転職しても、その転職先で良いことはまずないと思った方が良いでしょう。
転職は中長期的な視点で5年後、10年後を見据えて逆算的な思考で行いましょう。
短期的な視点=ネガティブとなることが多いので、このあたりを注意してみてはいかがかと思います。
また、本人からすると転職失敗と思うことも周りからすると、それは成功となることが多くあります。
それでは、皆さんの仕事が順調に進み最高のビジネスライフを送れることを祈り、今回はこれで終わりにしようと思います。