【現役エージェントが語る】「面接確約」求人で注意するべきこと
私は現在、転職エージェントとして求職者のみなさんの転職サポートをさせていただいておりますが、以前は求職者として転職活動をした経験があります。
また、企業に在籍して人事部長として書類選考や面接などの中途採用にも関わってきました。
転職市場は
- 求職者
- 企業
- 転職エージェント
が、それぞれ目的が違うなかで活動している市場ですので、私はこのすべての立場を経験したということになります。
求職者の皆さんは、求職者以外の二つの視点や考え方を把握することで、より良い転職活動をすることができると思います。
書類選考をスキップできる求人?
みなさんは転職活動中に、転職エージェントなどから求人を拾い、企業の選考を受けると思います。
みなさんは企業の選考のなかで、どのフェーズを一番、苦手にしていますか?
私の転職エージェントを利用していただいている求職者のほとんどは書類選考を苦手としています。
私の転職エージェントを利用している求職者の方が特別ということはなく、求職者の方であれば誰しも、書類選考を一番苦手にしていると思います。
すべての選考フローのなかで通過率が最も低い選考フェーズが書類選考ですので、求職者の方が苦手にする理由は納得できます。
納得できると言った私も、求職者時代に書類選考を苦手にしていました。
最近の転職市場は求職者のみなさんが有利の売り手市場になっているため、企業からすると採用に苦戦するという状況になっています。
転職エージェントを利用しても、転職サイトを利用しても同じですが、最近、転職市場では大きな変化があります。
それが、書類選考がなく、応募した段階で面接が確約されることです。
この面接確約という条件は、書類選考を苦手とする求職者の方にとって好条件の選考になりますので魅力に感じる方が多いと思います。
この面接確約の選考フローは、企業と転職エージェントの連携プレーが裏事情にあります。
一部の転職エージェントでは、この選考フローを他の転職エージェントとの差別化として、求職者の方の登録を促進することがあります。
企業と転職エージェントの連携プレー
面接確約の選考フローは、はっきり言いますと、求職者のみなさんからするとほとんど意味はないと思います。
一見、書類選考がカットされると選考フロー自体が一つ省略されることになりますので、それだけ内定に近づくということになり求職者のみなさんにも有利になると思いがちですが違います。
面接確約の選考の裏事情をご紹介します。
まず企業視点です。
企業は、経営や事業を行う上での人員不足を補うために、即戦力の人材となる経験者の中途採用を行います。
採用活動が長期化するとそれだけ事業の遅れにつながり、業績拡大も遅れます。
そのため、企業はいかに採用活動を短期間で終わらせるかを重要な経営要素と考えています。
しかし、今の転職市場は売り手市場であり、企業からすると求人を公開しても応募数を担保することが難しく、採用活動の苦戦につながっています。
そこで、企業は求職者のみなさんが最も苦手とする書類選考をカットすることで、その選考に魅力を感じて応募する数が増えるだろうと考えます。
一方、転職エージェント視点で考えると、転職エージェントのビジネスモデルは求職者のみなさんの転職支援を行うだけでは利益になることはありません。
同時に企業の採用支援をすることが必要で、転職エージェントは成功報酬という形で採用支援をした企業から給料を得ます。
企業が採用活動に苦戦すると、転職エージェントも利益確保ができず、活動に支障が出ます。
転職エージェントは、企業の採用活動を順調に進めることで、自社の利益確保を目的に企業と連携プレーを図ることがよくあります。
両者の利害の合致=面接確約
このように企業と転職エージェントは両者の思惑が合致しますので、求職者のみなさんからするとメリットがあるように感じる面接確約という選考を行っています。
転職エージェントとしては求人が多ければ多いだけ利益機会となりますので、企業の数が増えればそれだけ利益に関係するということになります。
企業も、より多くの求職者数を抱える転職エージェントと取引した方が採用決定の確率は上がりますので、より求職者数が多い転職エージェントを利用する傾向があります。
企業、転職エージェントともに自社の利害を向上させるために、面接確約という選考を用意しているのです。
面接確約の選考は面接のハードルが異常に高いですし、面接前に転職エージェントが代理で書類選考していることもありますので、実質的に通過する確率は下がります。
面接確約の企業=人気がない!?
売り手市場と言っても、それまでと変わらず求職者の方からの応募をしっかりと担保して、採用活動に大きな苦戦をしていない企業も多くあります。
面接確約をする企業は、応募数を担保できていないことの証明なので、面接確約する企業=求職者からの人気がないということも言えます。
また、ただ人気がないというだけであればまだましですが、面接確約の選考を行う企業のなかにはブラック企業もあります。
また、類は友を呼ぶではないですが、ブラック企業を取引先の企業とする転職エージェントも、ブラック企業の環境を持つ企業が多いです。
この観点でも、書類選考のある王道の選考フローを持つ企業に応募した方が、転職失敗のリスクが軽減されると思っています。
面接確約という選考フローは、新しいタイプの手法になりますので、一度経験する程度なら良いと思いますが、それを中心に活動するとちょっとまずい気がします。
時間は有限!必要な我慢と必要がない我慢
トレンドつながりでお話しすると、今の転職市場は多くの転職エージェントがあり、求職者も転職エージェントを利用して転職活動をする方が多いです。
この転職エージェントですが、求職者のみなさんの転職支援をする立場は、キャリアアドバイザーという肩書を持った転職エージェントで働く人です。
人であるキャリアアドバイザーが、人である求職者の転職支援をするということは、相性があります。
転職エージェントに登録すると、転職エージェントが主導で登録した求職者の方に担当となるキャリアアドバイザーがつきます。
求職者の方のなかには、担当するキャリアアドバイザーとの相性が合わないと感じてもそのままにしてしまう方もいます。
しかし、キャリアアドバイザーとの相性が合わないなかで、転職支援を受けると、転職活動が悪い方向に進むことがよくあります。
転職活動では多くの我慢が必要ですが、キャリアアドバイザーの転職支援については必要のない我慢です。
相性が合わないと感じたら、即座にキャリアアドバイザーの変更を依頼しましょう。
そうしないと、求人の紹介基準もブレて転職活動そのものがブレる可能性があります。
自分の意志をしっかり持とう!
キャリアアドバイザーのなかには、担当を変えられてしまうと自分の社内的な立場が悪化するといった理由で、担当変更を拒む場合もあります。
しかし、キャリアアドバイザーの社内的な立場は自分の転職活動を考えるとどうでも良いことです。
求職者のみなさんにとって、転職活動は人生を大きく左右するターニングポイントです。
キャリアアドバイザーが求職者の人生を考えて転職支援している場合はあまりありません。
求職者のなかには過剰にキャリアアドバイザーを信用する方もいますが、まず信用するべきは自分自身です。
自分自身の転職活動ですので、自分の意志を大切に持って転職活動を進めてほしいと思います。
『あの時、キャリアアドバイザーではなく、自分の意思を尊重しておけば…』
と後悔しても、キャリアアドバイザーが穴埋めしてくれることはありません。
転職エージェントやキャリアアドバイザーの転職支援は、あくまで転職までです。
それ以降はみなさんの自己責任の範囲になります。
転職活動は求職者のもの
転職活動は、何があっても求職者のみなさんのものです。
他の誰のものでもありません。
転職活動をしていると不安が大きくなり、転職支援をするキャリアアドバイザーを信用し過ぎることもあります。
しかしそのときに、ぜひ初心に戻り、職活動初期の気持ちを思い出してほしいと思います。
不安や焦りはどの求職者にもあることで、自分だけのものではありません。
転職活動の充実は、その後の人生の充実にもつながりますので、活動量で不安を解消し、前向きな気持ちで転職活動を楽しんでいただければと思います。
私も求職者時代に苦戦をしたことがあり、楽しむことは難しかったですが、今はもっと心に余裕を持てていたらと思うことがあります。
人生は1度きりです。
その人生で、転職活動は何度もあることではありません。
貴重な時間と考えて前向きに転職活動を楽しんでほしいと思います。
最後になりますが、求職者のみなさんの転職活動が有意義なものであることを祈り、これで話を終わりにしようと思います。