内定辞退をフェーズごとに流れで解説【現役エージェントが語る】

今の転職市場は空前の売り手市場で、順調に転職活動が進んでいるという方が多いのではないかと思います。

久々に到来した転職ブームとも言われています。

私は転職エージェントとして現在、求職者の方の転職支援をさせていただいていますが、転職ブームの動きを当事者としてリアルに感じています。

しかし、転職市場が盛り上がっているからこそ、内定のフェーズには十分注意しなくてはいけません。

今回のテーマは？

転職活動では求人を探す、企業に応募する、選考を受けるといった過程が一番、苦難の道だと思います。

とはいえ、内定が出たからといって転職活動が終わるわけではありません。

私も求職者のみなさんと同じように、以前転職活動をした経験がありますが、転職活動の前半と後半で感じる気持ちには雲泥の差がありました。

選考に苦戦していれば、後半の工程での安堵感は相当なものだと思います。

内定を巡る、私の悲惨な話

私は求職者時代に、企業の面接官から『ぜひ、入社してほしい』と言われたことがあります。

しかも、結局、その企業とは、その面接で見送りになっています。
求職者としてこんなむごいことはないと思います。

『面接の、あの言葉は何だったんだ？』と思いました。

他にも『私としてはぜひ、入社してほしいと思っています。次の面接官に伝えておきます』など、ほぼ内定だろうと思えるような言葉をもらったこともあります。
しかし結果はすべて見送りです。

私の経験上、面接で軽々しく内定や面接通過のような言葉を伝える面接官はあまり信用しない方が良いです。

面接官からの内定を匂わせるような、選考が有利に進んでいるような言葉は、話半分で聞いた方が良いです。

内定は求職者の精神安定剤

転職者の不安や焦りは、活動そのものを狂わせる非常に厄介な要素になります。

この非常に厄介な要素である不安や焦りを一気にかき消してくれるものが『内定』です。

私の経験上、転職活動の不安や焦りをかき消すことは内定しかないと思っています。
他のことでどうにかしようとしても無意味です。

求職者のみなさんは適度なリフレッシュをしつつ、何より転職活動に集中して内定を勝ち取り、まずは不安や焦りをなくしましょう。

内定さえあれば、その後の転職活動は間違った方向に進まないと思います。

内定とは？

求職者のみなさんの精神を落ち着かせる内定ですが、そもそも内定とは何かご存じでしょうか？

内定とは企業に転職することができる権利ですが、それを軽く考えてはいけません。

複数内定の場合でも求職者のみなさんの体は一つしかありませんので、転職できる企業は1社だけです。

一方企業からすると、一つの求人で1人だけに厳選して内定を出します。

内定の意思確認を前提に内定を出す企業もあり、その企業は内定を出した＝求職者は転職するという確実な認識を持っています。

求職者のみなさんは、企業がどのような思いで内定を出すのかもしっかり理解してほしいと思います。

なかには、絶対に転職しない企業の選考を受けて内定をもらい、入社ギリギリで内定を蹴る方もいます。

そうなると企業の採用活動は振り出しですし、他の求職者に内定を出せていたかもしれません。
人としてやってはいけないことはやめましょう。

内定承諾とは？

転職する求職者の方、採用する企業ともに、内定を受けただけでは、内定を出しただけでは、転職や採用とはなりません。

内定には必ず、承諾するかどうかの判断がつきます。

この判断は内定を受けた求職者の方がするのですが、企業の多くは内定を出した段階で承諾されると考えています。

私は転職エージェントとして多くの企業と取引しますが、ほとんどの企業は上記のような気持ちで採用活動を行っています。

私を介して求職者の方に内定を出した場合『承諾するでしょ！』ということを言います。

求職者のみなさんは、内定承諾すると、そこに転職するという約束をしたことになりますので、軽い気持ちで内定承諾してはいけません。

企業は転職前に懇親会を開いてくれたりしますし、その気持ちをむげにすることはあってはいけないことです。

内定辞退とは？

内定承諾に責任があるということはご理解いただけたと思います。

次は、内定承諾とは真逆の意味を持つ内定辞退についてご紹介します。

内定取り消しとは違い、内定辞退とは求職者のみなさんが自由意志のもとで行う決断です。
内定承諾と同様です。

ただ内定辞退は内定承諾とは違い、内定先の企業に転職しないという意思表示をすることになります。

内定辞退をするということは、その企業がどうあれ、二度と転職することはできません。

どの企業も、一度、内定辞退した求職者の方を数年後であっても、採用することはありません。

もし求職者のみなさんが複数の内定をホールドしている状態であれば、複数のうちの一つに転職することが普通です。

他の企業の内定を辞退しても、全くと言って良いぐらい影響はないと思います。

エージェントのしつこい追撃を振り切る方法

私は、現役の転職エージェントとして求職者のみなさんの転職支援をしていますが、以前は、求職者として自分も転職活動をした経験があります。

ちなみに、自分で言うのも何ですが、私は、かなり、転職には慎重だったので、希望条件に合致していても、最後の最後で辞退することも多かったです。

辞退経験が豊富な？（笑）、私から、アドバイスさせて頂きます。

また、もし転職エージェントを利用されている場合、担当のキャリアアドバイザーが内定を受け入れるよう勧めてくることでしょう。

辞退マスター？（笑）の私から言わせて頂くと、転職エージェントに本当の理由を伝えることは不要です。

一番、波風立たない理由は、面接官との相性が合わなかった、で良いです。

この理由は、転職エージェントからすると、実際に面接官と会っていないため、そんなことはないのでは？という反論素材を持つことができません。

この理由を使うことで、その転職エージェントをその後も、継続的に利用することができます。

逆にもし、「現職をやめられない」などの理由をあげてしまうと「じゃあそもそもなぜ転職活動をしているのか？」と突っ込まれてしまいます。

求職者のみなさんからすると、不都合ですので、現職を理由にすることはやめましょう。

内定先を優先しよう！

1社の内定を勝ち取っていて、まだ本命の企業の選考を継続中といった場合は非常に難しい局面です。

内定には承諾・辞退期間があり、一定期間内に内定承諾するか内定辞退するかの決断をしなければなりません。

内定承諾における期間について、触れておきたいと思いますが、企業によって、その期間は様々ですが、平均的には2週間程度になっています。

また、その期間を交渉により延長することができるかと言いますと、可能と言えば、可能ですが、劇的に延長されるということはなく、できても、数日、1週間以内という感じです。

期間を過ぎると必然的に内定承諾の意思がないということになり、結果的に内定辞退となります。

この場合、賭けに出るしかなくなります。

1. 既に内定が出ている企業に転職する
2. 志望度が高い企業を優先して、内定先の企業を断る

この場合、２の方がギャンブル性が強いです。

転職活動はタイミングと運が大きく働くことがあります。

私は、タイミングが合わなかったと考えて先に内定が出ている企業の内定を承諾した方が良いと思います。

内定通知書と雇用契約の違い

次に雇用契約についてですが、雇用契約とよく似た書類として内定通知書があります。

内定通知書はあくまで、『この内容で内定を出し、雇用契約する』ということを示す通知です。

一方雇用契約とは、民法に準拠した企業と求職者の契約になります。

内定通知書は内定時の予定で、雇用契約は転職後の確定の労働条件です。

また最近は、内定通知と雇用契約が一致するということで『内定通知兼雇用契約』というものを通知する企業があります。

雇用契約は、内定通知よりも規定する範囲が広く、就業規則と同じような内容が記されていることもあります。

転職活動中のそれぞれの工程や書類の理解度は重要

企業から内定を受けると、内定通知書が配布されます。

ちなみに、この通知は、口頭でも書面でもOKなのです。

口頭でも良い理由は、入社に際して、雇用契約書を締結するためです。

雇用契約書は、絶対的明示事項と相対的明示事項の２つがあり、前者は、絶対に書面で取り交わす必要があります。

なかには、内定通知書だけで、雇用契約書を取り交わさない企業もありますが、これは、NGです。

つまり、違法ということです。

内定通知書と内定労働条件通知書の2種類があり、このどちらかを企業は内定時に求職者の方へ配布するのですが、後者があれば、入社時の雇用契約書は不要です。

なぜならば、内定通知と労働条件が1セットになっているためです。

転職活動中は、普段は見ない、見慣れない書類がちらほらありますので、ある程度の法令知識は装備しておいた方が良いです。
最後になりますが、求職者のみなさんの転職活動が充実し有意義なものであることを祈り、これで話を終わりにしようと思います。

最後までお読みいただきありがとうとございました。