派遣から正社員に転職したものの少人数のブラック企業だった体験談
私は派遣社員として就業中の1年で社会保険労務士の資格を取り、念願の正社員として職場に転職することができました。
その会社は7名ほどの少人数の会社だったのですが、その転職は成功だったのでしょうか。
正社員としての転職体験についてご紹介していきます。
- 執筆者の情報
- 名前:大杉律子(仮名)
性別:女性
転職経験:5回
現在の年齢:37歳
転職時の年齢と前職:25歳 業務管理事務の派遣社員
この会社への転職が決まった流れ
私がこの会社への応募をしたのは就職情報誌でした。
インターネットも並行して見ていましたが、事務系職種がその就職情報誌にたくさん求人が載っていたので毎月のように買っていたのです。
応募した理由は念願の未経験職であった社会保険手続きの募集であったことと、家から通いやすい場所にあったこと、「第二新卒歓迎」と書いてあったので自分にもチャンスがあると感じたことです。
少人数規模の会社だったので、選考試験も社長による面接一回のみでした。
書類選考もなく当日履歴書を持参して、そのまま社長との面接になりました。
社長自体はとても素晴らしい人柄で会社経営をしているカリスマ性があり、面接の中でもとてもためになる話が聞けました。
1時間ほど社長との話は盛り上がり、その場で採用が決まりそうな勢いでもありました。
実際に面接のあった日の当日の夜に社長から電話があり、その会社に入社することが決まりました。
そのタイミングでは他の会社を受けておらず、すぐに転職活動が終了したわけですが、正社員としての転職と希望職種に就けることに舞い上がった私は他の会社を受けようとは全く思いませんでした。
少人数の会社の実態とは
それまで働いていた会社は従業員が900人以上いるような大きな会社だったので少人数の会社がどのような雰囲気なのかと言うことは全くわかっていませんでした。
びっくりしたのは特に管理する人もおらず、社長は仕事にノータッチだったことです。
仕事は他の会社の社員に教えてもらい、少人数ならではのアットホームな雰囲気に初めは喜んでいましたがそれは初めの1か月だけでした。
入社し2か月をも経つ頃には心臓が苦しくなり精密検査を受けに行ったこともありました。
その会社にもよるものかもしれませんが、少人数の会社はいる人数だけで必要な仕事を回して行かなければならないので、大抵は業務量がどんどん増えていくことになります。
また、昔からいる人ほど偉く、逆らえない雰囲気なので厄介な仕事ほど新人に回ってくるような場合があります。
上の立場の人も何かが起きた際に責任を取ってくれることもありますが、それが毎回ではありませんでした。
上司の部下もない関係なので何かあった時は自分で対処しなければならないというのが少人数の会社ならではの苦しさでした。
私がいる4年半の間に毎年一人は辞めていくような状態であり、全員が苦しみながら毎日を過ごしている、そんな印象の会社でもありました。
自分が思い描いている仕事ではなかった
更に致命的であったのが求人票に表記されていた仕事は同時入社した他の同僚に任され、私は数字のチェックや入力などの他の仕事に回されました。
社長曰く、その方が私に合っている仕事だ、とのことで、そのことは後々に考えると正しい判断であったのですが、当時の私は希望の仕事に就けないことに大変がっかりしました。
なんで他の会社にも応募しなかったのだろう、なんで良く考えずに一社目に内定をもらった会社にすんなりと入社してしまったのか、後悔の日々でした。
その仕事に就いたことを無駄にしないためにもその仕事に関連する日商簿記の資格を取ったりして気を紛らわせていましたが、何のために社会保険労務士の資格を取ったのかとむなしい日々を過ごしました。
仕事の閑散期である夏には必ずどこかの会社を受けるちょっとした転職活動などもするようになっていったのです。
正社員は責任が重いことを実感する
今思えば、派遣時代は給料の安さや待遇の悪さにとにかく正社員になりたい、もっとやりがいのある仕事をしたいと考えていました。
しかし、派遣はそれだけ仕事が簡単で気持ちが楽だというメリットを忘れていました。
正社員としての仕事にはそれだけの責任が伴います。
特に少人数制の仕事では面倒な仕事をおしつけ合ったり、場合によっては責任のなすりつけあいにもなったりするので正社員の場合は大変です。
自分一人ですべての責任は負えませんし、何かあったらどうしようと戦々恐々とした日々が続きました。
正社員として働くのならば、社員の管理体制がしっかりしたところや、業務内容が明確であるところで働いた方が、安心しては働いて行けるものではないでしょうか。
少なくとも、1社だけ受けてすぐに入社を決めてしまう、というのは転職活動として危険な行為であると感じました。
正社員として働くからこそ、自分が仕事のしやすい環境というものを、よく考えた方が良かったなと強く思いました。
どのように転職活動を行えばよかったのか
正社員としての転職はそのままその会社で長く働く可能性が強いので、転職先を吟味する必要があります。
私もせっかく社会保険労務士の資格を取ったのですから、もっと資格を有効活用できるような職場を自分なりに考えてみるべきでした。
キャリアカウンセリングを受けて客観的な判断を仰いだり、複数の会社に応募をして雰囲気を見比べたりするとよかったなと思います。
就職はご縁があってこそのものであり、どの就職先にも良いところがあります。
実際にこの職場でも楽しいことも良い同僚との出会いもありましたが、すぐに転職を決めてしまったことで後悔を感じることが多かったです。
正社員としての転職活動は一生ものなのだということを肝に銘じて、もっと長い期間をかけて転職活動に取り組むべきでした。
この記事の筆者
大杉律子(仮名)
1978年生まれの37歳。
大学卒業後にメーカーの人事採用業務を2年ほどしたのちに派遣社員として業務管理事務を1年。
派遣社員として就業中に社会保険労務士の資格を取り、労働保険事務組合に転職。
4年半勤務した後に結婚などの事情で退職。
その後は独立行政法人や労働局などで社会保険労務士の資格を活かした仕事に就く。
出産のために一旦、働くことから遠ざかって3年後、採用業務経験により転職ノウハウなどの記事を執筆するライターとしての在宅業務を育児のかたわら行っている。