転職エージェントから面談で切り捨てられないための対策

私は、転職エージェントとして求職者のみなさんの転職支援を日々、させて頂いている立場にありますが、転職支援をしていると、本当にいろいろなタイプの求職者の方がいらっしゃると感じます。

どのような求職者の方であっても、ほとんどの場合、転職活動の目的は転職をすることになり、この点については、同じであっても、個人の事情や目的が果たされるまでのプロセスは人それぞれに違います。

転職エージェントを利用する求職者のみなさんが多いと思いますが、転職エージェントを利用するためには、まずは、登録が必要で、そして、実際に転職支援を受けるためには、面談が必須です。

求職者のみなさんは、登録後に行われる初回の面談をどのような位置づけにしているのでしょうか。

登録面談では求職者も市場価値が試される

求職者のみなさんからすると、転職エージェントを利用するためには、避けて通れないために、仕方なく、面談を受けるというスタンスの方も実は多くいらっしゃいます。

しかし、視点を転職エージェントに変えてみると、求職者のみなさんのこのようなライトな思いとは真逆で、転職エージェントとしては、非常に重要な位置づけにしています。

登録面談の内容は、簡単に説明すると、求職者のみなさんのこれまでの職歴を聞き、そして、今回の転職希望条件を聞きます。

その後、転職エージェントによっては、求人を紹介するケースも多いのですが、表向きは、この内容になりますが、転職エージェントからすると、この面談を通して、求職者のみなさんを見極めています。

転職エージェントは、慈善活動で求職者のみなさんの転職支援をしているのではありません。

横並びの存在で、ハローワークという転職方法がありますが、ハローワークは、国が行う手職支援で、言ってみれば、慈善活動に近いものです。

これと混同してはいけません。

転職エージェントは、民間の利益を追求する企業が運営する事業です。

そのため、どの転職エージェントであっても、大なり小なりビジネス的な考えを持っています。

転職エージェントは、転職支援において、求職者のみなさんと直接、面談する機会はそこまで多くはなく、　場合によっては、内定まで初回の面談だけしか会わないということも珍しくないのです。

転職エージェントからすると、求職者のみなさんを転職支援して、求職者のみなさんの満足度を上げるだけであれば、ビジネスとしては成立しないのです。

やはり、ビジネスですから、求職者のみなさんの満足度も上げ、そして、利益に繋がることが求めれます。

面談において、求職者のみなさんの人となりを判断し、この求職者の方は、利益に繋がりそうにないと判断されれば、それは、言い換えると、その求職者の方には商品価値がないということになります。

非常にドライな冷めた言い方になってしまい、申し訳ないのですが、求職者のみなさんは、転職エージェントから登録面談を介して、自分に商品価値や市場価値があるかを見極められていると思ってください。

そのため、登録面談において、下手なことや失礼な態度や言動があっては、いけないのです。

あらゆる求職者に対して平等に接するわけではない

このような背景があるため、求職者のみなさんに対して、どのような場合であっても、転職エージェントが平等に接するということはないのです。

現役の転職エージェントである私が言うのですから、間違いないです。

平等に接するわけではないということは、登録面談において、キャリアアドバイザーに対して、求職者である自分が優秀で、自分を積極的に転職支援をすることで、利益に繋がると思わせることです。

自分には、市場価値があり、商品価値があり、キャリアアドバイザーが転職支援に割く時間が費用対効果として高いんだぞというところを、登録面談で見せることで、他の求職者との差別化をつかむことができます。

平等ではない＝転職支援の質が下がるというだけではないです。

当然のことながら、逆も十分あり得るのです。

転職エージェントの登録促進の売り文句として、登録面談後は、キャリアアドバイザーがすべて能動的に転職支援をしてくれますなどという表現があると思います。

この言葉を鵜呑みにしてはいけません。

物事には本音と建て前があるように、転職エージェントにも同じことが言えるのです。

売り文句は、あくまで建て前であり、求職者のみなさんの登録を促進する材料に過ぎません。

転職エージェントからすると、どのような求職者か分からないなかでも、求職者のみなさんからの登録がなければ、良し悪しを知ることはできないのです。

単なるそのためだけに売り文句があると思って頂いてOKです。

特に大手の転職エージェントの場合は、数で勝負していることが多く、まずは、多くの求職者の方に登録してもらい、登録者数を企業との営業交渉で利用するのです。

転職エージェントはビジネスで行う事業です。

このあたりをしっかり理解することで、求職者のみなさんの登録面談への意識は上がると思います。

転職成功の条件＝担当者のやる気を引き出すこと

今からご紹介することがすべてではないですが、転職成功＝キャリアアドバイザーのやる気という考えを取ることもできると思います。

やる気＝利益を得るです。

本音の部分は今、お伝えした方程式になるのですが、キャリアアドバイザーからすると建て前は、やる気＝求職者のみなさんの満足度（内定獲得）です。

いかに、キャリアアドバイザーのやる気を引き出すか、そうすることにより、求人の紹介も変わり、また、紹介するための社内データベースにある求人検索能力も変わります。

キャリアアドバイザーに対して、自分は金になるんだぞと思わせることこそが、キャリアアドバイザーのやる気を引き出すことになり、最終的には、自分の転職活動の環境を引き上げる術だと思います。

ネガティブな発言連発はよくない？

キャリアアドバイザーに対して、自分の商品価値を引き上げ、キャリアアドバイザーのやる気を引き出すポイントをご紹介したいと思います。

まず、キャリアアドバイザーは、求職者のみなさんのスキルの部分、つまりは、職歴や実績よりも、求職者のみなさんの人間性を見ます。

この部分は、転職エージェントからすると、基本的な部分であり、この部分が欠落している求職者の方に対しては、良い印象を持つことはありません。

登録面談において、厳しく指摘してくれる転職エージェントもなかにはありますが、ほとんどの場合、顔では笑いながらも、心の中では、『この求職者は、ないな』と思う訳です。

人間性を疑われ、キャリアアドバイザーに悪い印象を与える代表例は、ネガティブワードです。

ネガティブワードを具体的に挙げると、他者批判でしょう。

自分の同僚を批判、自分の現職や前職を批判・・・。

批判、否定のオンパレードでは、どう考えても良いイメージをキャリアアドバイザーに与えることは難しいでしょう。

ネガティブなワードを連発する求職者の方に対して、キャリアアドバイザーは転職後のことも想定し、きっと、企業からクレームがあるかもしれないと考えるため、紹介すら控える可能性もあります。

面談は不満をぶちまけるだけではダメ

面談においては、当然、初対面になりますので、私は個人的にはネガティブなワードは使わず、キャリアアドバイザーの出方をうかがいながら、当たり障りない対応をした方が良いと思います。

登録面談中に、このキャリアアドバイザーとは親しくなれそうだと油断して心を開き、本音を語り、不満、否定を繰り返すと、キャリアアドバイザーの思うつぼです。

面談においては、他者批判、現職や前職の批判は絶対してはいけません。

退職理由はどう話せば建設的な面談に？

どのような求職者の方であっても、満足している企業をわざわざ退職しようとする人はいないでしょう。

このことは、転職支援実績が豊富な転職エージェントも当然、把握しています。

だからと言って、退職理由、特に企業批判に繋がるような退職理由をそっくりそのまま伝えることはいかがなものかと思います。

求職者のみなさんは、今後、そのキャリアアドバイザーから転職支援を受けることになる訳ですから、どうすれば、良い転職支援をしてもらえるかを念頭において、退職理由も本音と建て前を使い分けた方が良いと思います。

建設的な退職理由としては、建て前として、今後のキャリアビジョンを考えると、もっと違う環境で仕事をした方が良いと考えたなど、将来のことを中心に退職理由を伝えることです。

過去の失敗や批判などを理由にしてしまうと、人はあまり良い印象を持つことはないのです。

また、否定的な意見からは否定的な将来しか見込めないということもありますので、前向きな考えのなかで、前向きなキャリアを描いていると思わせることが退職理由としては大事です。

希望を伝えないと始まらない

冒頭で、いろいろな求職者の方がいらっしゃるという話をしたと思います。

求職者の方のなかには、登録面談時点で、自分の転職希望条件などが全く不明、ノープランという方もゼロではありません。

ちなみに、登録面談はもちろんのこと、転職エージェントを利用するしないに関係なく、転職活動をするのであれば、希望条件がなければ、転職活動をする資格はないと思ってください。

ノープランで転職エージェントを利用して、転職エージェントが助けてくれると思ってもらっては困ります。

あくまで、転職するのは求職者のみなさん自身です。

転職エージェントのサービスは、『転職』ではなく、『転職支援』であることをご理解ください。

希望が固まっていない人には求人を紹介しにくい

転職エージェントとしてお伝えすると、転職に関する希望条件などが決まっていない求職者の方については、かなり時間的な工数を要しますし、また、仮に、どこかの企業から内定が出てもリスクがあります。

そのリスクとは、転職エージェントからすると大きなダメージを受ける内定辞退です。

内定辞退ということは、転職エージェントからすると、それまでの転職支援が無駄になり、取引する企業に対しても失礼にあたります。

条件が定まっていないため、内定を貰っても、そこから悩み、そのまま辞退するケースが高いのです。

紹介のフェーズでも、特に範囲を特定せずに幅広く、この求人はどうですか？などと、ゼロから積み上げていく必要があり、非常に手間がかかります。

転職エージェントによっては、登録面談でノープランの求職者の方に対しては、希望条件が決まってから転職支援をスタートさせるということもあります。

どの程度まで希望を固めていればスムーズに進む？

では、転職エージェントを利用するまでに、どれぐらいのレベルまで希望を固めておけばスムーズに転職支援を受けることができるでしょう。

最低でも、職種と希望年収はほしいです。

業界まで絞りこむことは必要としませんが、どのような仕事をしたいのか、どのぐらいの稼ぎが必要なのかぐらいは、転職においては、必要です。

なぜかと言いますと、労働者と企業の関係性は、労働力を提供して、給料をもらう訳です。

この明確な関係性がある以上、転職活動においても、この2つは必須の条件だと思ってください。

スムーズに進まないということは、それだけ、求職者のみなさんの転職活動が円滑に進まないということです。

転職エージェントのことよりも、自分の転職活動がうまくいかないことを重点的に考えて頂ければ、転職エージェントを利用する最低限の条件は必然的に準備することができるのではないかと思うのです。

ちなみに、どれだけ考えても最低限の条件すら定まらないという求職者の方は、今、そのタイミングで転職をすることはやめましょう。

キャリアダウンにつながる恐れが十分にあります。

社会人マナーの基本を守れない人

求職者のみなさんは、求職者である以前に社会人です。

そして、社会人である前に、人です。

社会人であり、人である以上、周りに迷惑や不利益を与えるような言動や行動や控えましょう。

対転職エージェントで考えても同じことです。

基本的なことができない求職者の方に、それ以上のレベルのことができると思うでしょうか。

求職者のみなさんが、転職エージェントだったとして、基本的な挨拶や礼儀がない方を商品価値が高いと考え、積極的に転職支援しようと思うでしょうか。

きっと、思わない方が多いと思います。

それと全く同じことです。

基本的なことが抜けている求職者の方を転職エージェントは、好印象を持つことはないですし、商品価値が高い、この求職者の方に多くの時間を投資しようとは思わない訳です。

時間厳守

社会人として、大事なことのひとつに時間厳守があると思います。

たかだが、転職エージェントとの登録面談と軽く考えていると、登録面談の約束の時間に大きく遅れてしまったり、約束した面談自体を忘れることも可能性としてあります。

このスタンスがある限り、良い転職支援を受けることはできないと思ってください。

登録面談ぐらいで時間を守れないということは、面接においても、同じことがあり得るぞと転職エージェントは思う訳です。

スケジュール管理をしっかりするなり、何かしら対策を講じて、時間に厳しい求職者であってほしいと思います。

一事が万事です。

服装

次に服装です。

服装も大事なビジネスマナーとして挙げられますが、転職エージェントとの面談では、現職を持っている場合で、かつ、現職がビジネスカジュアルでOKの場合は、正装でなくても問題ないです。

ただ、あまりにラフすぎる服装で登録面談に向かうと、服装からくる、求職者の方のイメージがついてしまうので、このあたりは、注意しましょう。

第一印象がその人の印象を決めると言われていますし、服装も第一印象の要素に含まれます。

会社の名刺は使うとよくない？

私も転職エージェントとして、このような経験を受けたことがあるのですが、ある転職情報サイトに、このような意見がありました。

『登録面談で求職者がキャリアアドバイザーに自分が在籍している企業の名刺を渡すことはNG』

結論から言いますと、この行為自体は、否定することはありません。

転職活動は個人の行動で、名刺は会社のものという観点から、公私混同の行為ではないかという意見もありますが、そのようなことはないです。

転職エージェントによっては、名刺を頂けますか？という場合もあるぐらいですから。

なぜかと言いますと、転職エージェントは、その名刺により、現職に在籍しているかどうか、職歴に誤りはないかなどの事実確認を結果的に取ることができるのです。

ただ、転職エージェントに対して、名刺を渡すことは不要です。

むしろ、渡さなくても良いと思います。

渡してもマイナスイメージを与えることは決してないですが、渡さない求職者の方の方が多いですので、渡したところで、求職者のみなさんにメリットはありませんので・・・。

転職エージェントに登録して、その後、切り捨てられないというよりも、求職者である自分に他の求職者の方よりも商品価値があり、時間投資の価値があることをしっかり見せましょう。

そうすることで、求職者のみなさんに必ず良い形で帰ってきます！！