経理職の転職状況は売り手市場!

どの企業でも、組織をいくつかのセクションに分けて業務を行っています。

まずは、企業の売上や利益に直接関係する直接部門と直接部門のサポートを行う間接部門で分けます。

直接部門については、営業、企画、マーケティングなどがあり、一方、間接部門はと言いますと、経理、財務、人事、総務などが一般的だと思います。

間接部門は、企業からすると直接貢献するということはないものの、それぞれが重要な役割を担っている大切な業務です。

企業の経営資源は、ヒト・モノ・カネ・情報と言われますが、今回は、間接部門でこれらの経営資源のうち、『カネ』に関する業務をメインとする『経理』についてご紹介したいと思います。

経理の仕事内容

経理の仕事は基本的に月単位で行いますので、同じ業務を年間12回繰り返すことになります。

どれも数値を扱う仕事で正確さを求められるものが多いです。

緻密で数字に強い方や、我慢強い求職者が経理に向いていると言われています。

たまに企業の営業部門から、『経理ってノルマもなくずっと座っていて楽そう』という声がありますが、一歩間違えると経営を揺るがす業務になりますので、非常に神経を使い疲れる仕事と言われています。

具体的な業務内容は、月ごとの各事業における損益の状態を表にまとめて、月別決算書を作成することです。

この業務は経営に直結する仕事で、経営者も毎月、経理が作成したこの月次決算書を必ず確認します。

売掛金の回収と買掛金の支払い、月次決算書の作成

売掛金は取引において、自社の商品やサービスを顧客に販売したものの、その費用を回収していない金額のことを言います。

この状況が多かったり、売掛金の額が大きかったりすると、回収期間中に企業のキャッシュフローが回らず倒産してしまうこともあります。

逆に買掛金とは、取引先から商品やサービスを購入したものの、その費用を取引先へ支払っていない金額のことを言います。

常に発生する費用の他にも、突発的に発生する費用の管理もしなくてはならず、正確な管理を行うために1円単位での調整が必要です。

私の勤めていた企業の、ある新米経理は買掛金の支払いの期日を忘れて放置したため取引先からの信用をなくし、その後一切の取引がなくなったということもあります。

給与の支給

給与計算については、労働者全員が同じ金額ではありません。

経理担当者が給与計算の基礎となる労働者の出勤退勤などの勤怠項目、支給項目、控除項目など様々な情報から支給額を計算します。

特に出勤退勤などの勤怠項目はその月に有休の取得などもあり、労働者個人によって大きく変わりますので、特に正確な処理が大変な業務です。

経理の業務でこの月次決算書が、月の業務で最も大きい仕事と言えるでしょう。企業の経営状態を把握するために月ごとに決算を行います。

決算

企業の日々の仕訳から収益と費用を計算し、経営状態を明らかにする業務を意味します。

この計算や管理を間違えると企業の経営状態を正確に把握することができず、本来はその月は赤字だったにも関わらず黒字としてしまったり、その逆も起こり得ます。

そのようなことを行ってしまうと健全な経営を行うことができず、経営者としては非常に困ります。

経理の部長以上の役職

これまで経理の仕事内容について具体的にご紹介しましたが、どのような感想をお持ちでしょうか?

きっと、かなり業務範囲が広く難しいと感じる求職者の方の方が多いと思います。

この業務内容は経理でも一般求人では必要経験としてあるため、ストレートに言いますと普通の業務内容です。

部長以上となれば、これらの業務は当然に多くの経験があり、知識やスキルも相当です。

このクラスに該当する求職者の方は、転職市場に出たらすぐに引き合いがあるぐらい市場価値の高い求職者です。

また、部長以上の実業務としては企業の決算に関わる年次決算があります。

年次決算は月間の業務内容の延長線上にあるのですが、レベルが高いのでどの企業でも必ず必要とされることは間違いないです。

経理の部長以上の求人の場合は、最低でも1000万は普通に超えてくる年収の提示があります。

経理のハイスペック人材=上場請負人

最近ベンチャー企業でこの傾向が強いのですが、上場基準が下がったことにより、それまでは上場基準に満たなかった財務状況の企業にも上場のチャンスが出ています。

資金力に弱いベンチャー企業にとっては、上場が資金を集める最も良い方法です。

どの企業でも上場するためには経理関係の材料を纏めて整備することが必要ですが、経理の中でも上場準備に必要な業務に対応できる人材はハイクラス人材だけです。

このハイクラス人材を別名、上場請負人や必殺仕事人と呼ぶことがあります。

どういうことかと言いますと、上場を目指す企業が上場準備のために欠かすことのできない人材として経理のハイクラス人材を採用し、その人材の貢献により大きな資金を集めることができるために、その貢献度を称えて上場請負人や必殺仕事人と言います。

経理の求職者の転職市場

経理はどの企業でも在籍人数は少ないです。割合としては50名から100名規模の企業で多くても2人という場合が平均です。

50名前後の場合は1名であることがほとんどですので、そもそもどれだけ転職においては狭き門であるかご理解頂けるものと思います。

そうは言っても今も昔も経理のニーズの高さは変わりません。

先述の通り、お金に関する専門知識や専門用語を必要とし、業務内容も広く細かい業務が多いため、経理人材は常に買い手市場となっています。

経理人材が少ないため、企業が外注する

間接部門は、直接部門と違い定着率の高い職種が多いです。

そのため、なかなか求人が公開されることがなく、求人を公開してもなかなか経験者の母集団形成を確保することができず、内製で行いたいところを外注で凌ぐことが多いです。

中でもベンチャー企業は経理業務をアウトソーシングする傾向が強く見られます。

この背景を経理の求職者は把握することで、現職では役職がない一般社員だったとしても、転職後はワンランク上の役職で仕事ができる可能性もあります。

転職エージェントとして活動する私は経理の求人を受けることが多く、経理求人の依頼を頂いた企業へ訪問したときのことでした。

コストも非常に高く、できれば早く経理の人材が欲しいとのことで『うちに転職してくれたら今のポジションより2ランクぐらい上げて採用しても良いから、求職者を説得してくれないか?』とありました。

このような企業は結構あり、経理の求職者としては、今は本当にチャンスです。

昔から買い手市場で有名な経理のポジションですが、特に現在は追い風が吹いています。

経理としてキャリアアップするために

経理は専門性が求められるだけに、他の職種よりも年齢制限はあまりなく、他の職種での経験を生かすこともできます。

たとえば、経理と親和性の高い財務系の職種を採用したい企業にとって、経理の実務経験者は活躍できる可能性が高いと判断されます。

財務系の職種以外でも経営企画や新規事業企画でも親和性は高いでしょう。

また、求職者自身が専門性に自信がなかったとしても、幅広く業務に携わってきたという経歴は特にベンチャー企業にとって大きな魅力的に映るはずです。

そもそも、経理は業界に縛られず専門性を磨けることが特徴です。

将来、どのような知識を吸収し、どんな経験を積みたいか明確にした方が良いと私は思います。

どれだけ能力が高くスキルや経験が高いとしても、キャリアビジョンをしっかり見据えていなければ、求職者自身と企業のどちらにとってもメリットがありません。

転職エージェントとして私は思うことは、今後のキャリアビジョンをしっかり考えておくことこそ、良い企業や良い職場環境を見つける上で必要なことだと考えています。

経理求人の選考内容や選考基準

職務経歴書

経理の求人の選考内容ですが、書類選考で必要な職務経歴書には必ず数値的な内容を多めに記載した方が良いと思います。

私もかつては、企業で人事経験があり、経理求人の書類選考を行いましたが、書類選考で見送りになる方の多くは数値的な内容が弱かったことがあります。

どの企業でも経理のポジションには、書類選考からどれだけ数値に強いのか判断基準を持っていますので、自分に強みである数字には特にこだわった方が良いと思います。

逆を言えば、経理の求職者は転職市場ではかなり少ないために、この点さえしっかり押さえておけば、かなりの確率で書類選考は通過できると私は思います。

適性検査・性格診断

書類選考が通過すると次は適正検査か面接ですが、経理の求人は適正検査が特徴的です。

絶対ではありませんが、ある程度の企業は経理の人材については、経理業務に関係する私が冒頭でご紹介したような用語解説や具体的なケーススタディーを用いて計算問題があります。

もし、その企業が税理士などにアウトソーシングしている場合は、その求人で経理の業務を内製化することが目的になりますので、アウトソーシング先の税理士からの問題が出題されることが予想されます。

ただ、この問題についても基本的なものがほとんどで、100点満点中70点程度の点数を獲得することができれば問題なく通過できると思います。

適性検査にはこの業務的な問題のほかに性格診断もあります。

経理ポジションの人材は内向的な性格とお伝えしたかと思います。

また、業務としてもデスクワークが中心ですのであまり他の同僚と関わりを持たない経理もいますが、経理の唯一と言って良い欠点であり、企業からすると懸念材料が性格です。

経理という仕事は確かに日々デスクワークが主で数字とのにらめっこという面も多分にしてあるのですが、他セクションの業務をサポートする立場にあり、実は結構他セクションとのやり取りが多いポジションです。

性格診断ではこのあたりについて十分な柔軟性があるかどうかを判断されますので、うまく対応して欲しいと思います。

面接

面接では、当然業務的な質問が多くなりますが、選考難易度はそこまで高いとは言えません。

企業は当然、欲しいポジションですし、この求職者を逃すとまたしばらく求職者の紹介すらないのではないか?と思っているはずですので、余程のへまがない限りは大丈夫だと思います。

余程のへまとは具体的に言えば、コミュニケーション能力の問題です。

経理の人材は内向的である場合が多く、対人関係が不得意な方がいます。

面接では当然、コミュニケーションがしっかりできるかは重要なポイントになりますので、質問に対してあまりに淡泊な返答は控え、笑顔を忘れずに面接対応してみると良いでしょう。

経理求人の場合は、他の職種の求人と異なり、選考に進んだだけで十分なアドバンテージになりますし、企業側としても必要不可欠なポジションですので、選考を有利に進めることが十分に可能だと思います。

実体験

私もある企業の経理の求人に何名か経理の求職者を紹介したことがあります。

その求人は1名だけの採用で、残りの不合格者は全員友人の企業に紹介したいとのことで、不合格となった求職者全員が内定を勝ち取るという、普通ではなかなか考えにくい結果になりました。

これぐらいどの企業でも経理の人材は不足しているのです。

私は転職エージェントでありながら、あまり転職を積極的に勧めるタイプではありませんが、経理は転職市場で強者となれるため、楽しんで活動してはいかがかと思います。

必要なスキルや資格

経理に必要なスキルは色々ありますが最も大切な重要なスキルは、『正確さ』です。

経理は大きな金額、小さな金額それぞれに多くの数字を扱います。

数字の桁を間違えてしえば経営に与える影響も大きく、他のセクションに大きな迷惑となってしまいます。

そのため、経理の仕事はスピード感よりも正確性と言われています。

毎日、数字を計算し管理することになりますので、集中力や忍耐力ももちろん求められる仕事です。

それと、PCスキルは絶対に必要なスキルです。

特にエクセルを活用する業務が1日1回は必ずある業務内容ですので、中級レベルではなくできれば上級レベルのPCスキルは欲しいです。

このPCスキルにより、他の求職者よりも差別化を強く図ることができます。

また、資格とも関連性が強い職種ですので、簿記の資格(できれば1級)があれば、それだけで内定確度が上がります。

また、もっと高い経理のポジションで内定を狙う求職者には会計士や税理士資格があればスーパースキルですので、どの企業でも採用されるぐらいものです。

未経験の場合は転職可能?

求職者の中では経験はないものの、経理の求人に応募して経理として転職を希望する求職者がいます

経理のポジションは専門性の高いポジションで、お金に関する知識や用語を、業務経験を持って把握していなければ、ただPCスキルがあるだけでは使いものになりません。

そのため、未経験者と経理は相性が悪く、未経験で採用されるのはかなり難しいです。

未経験者で経理を希望するならば業務経験がない分、簿記・会計士・税理士などの資格を取得しなければ、企業は書類選考の段階で見送りにすると思います。

ただ、何度も言うように転職市場では経理が不足しているので、未経験の方にも転職のチャンスはあります。

女性求職者と経理職の相性

経理は何となく男性社会のイメージがある求職者がいるのですが、これは大きな勘違いです。

そもそも経理は人材不足ですし、女性求職者であっても経理の求人については何ら差別や区別を受けることなく十分に勝負できると思います。

他の職種は、妊娠や出産、育児のリスクがある女性の求職者の優先順位は下がりますが、経理では男性と同じ土俵で活動することができます。

また、女性は性格的にも緻密で正確な求職者が多いため、職業としての相性も良いと言われています。

実際に企業では女性も多く活躍していますが、女性を経理に配置するという企業も少なくありませんし、経理のトップが女性ということも良く耳にします。

経理に強い転職エージェント!

転職市場では企業のニーズに全く追いつかないぐらい経理の求職者が少ないです。

そのため、転職エージェントも求職者の登録を促進するような動きを活発に行っています。

MSジャパンなどは法務・経理・財務などのバックオフィス系の求人に強いと謳っています。

ただ裏話をすると、私も登録したことあるのですが差別化はそんなに無いです。

マイナビなどの大きめの会社とも求人が被っているので、そちらに登録しておけばカバーできると思いますね。

経理の求人は、どの転職エージェントにも全てのランクが揃っているほど充実しています。

また、転職市場においても、どのクラスの経理人材であっても強烈な追い風が吹いているため、積極的に転職活動して自分のキャリアアップを目指せる絶好のポジションにいます。

私は経理の経験はありませんが、もし生まれ変わって自分の好きな仕事を選んで良いと言われたならば経理は選択肢に絶対に入れます。

それだけ、経理という職業は安定感もあり社会的な信頼もある素晴らしい職業だと思います。

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