MSジャパンを利用してみた(転職エージェントプロが語る)
皆さんこんにちは。
転職エージェントはこの業界に強い、あの職種に強いなどそれぞれ特徴を持っている場合が多いです。
私は経験職種として営業と人事の2つがありますが、今回は、数ある転職エージェントの中でも人事もそこに含まれる管理系に強い転職エージェントをご紹介したいと思います。
当時の私は、今回ご紹介する転職エージェント含めて複数社へ同時に登録して、幅広い転職活動を展開していました。
また私は人事担当として企業の中途採用にも関わっていたため、転職エージェントの特徴をある程度、把握していました。
そのため、自分の転職活動に有利に働く転職エージェントはどこかも迷うことなく選定できました。
皆さんも転職を考える際、どの転職エージェントを利用するかお悩みになることもあるかと思いますので、ぜひ、参考にしてください。
今回の記事の目次
MSジャパンはどんな会社?
今回ご紹介する、転職エージェントはMSジャパンです。
この転職エージェントは、以前株式会社日本MSセンターとして事業を展開していたのですが、社名を変更して現在に至っています。
本社を東京に構え、大阪、名古屋、横浜の拠点を持ち転職エージェントの事業を展開する、業界の中では中堅クラスに位置します。
MSジャパンの特徴としては業界では、メーカー、コンサルティングなどへの紹介ルートを豊富に持っております。
職種としては管理部門系(人事・経理・財務・総務・法務・一般事務など)と、士業系(公認会計士や税理士など)も得意としています。
登録すると分かりますが、紹介される求人企業の多くは、上場企業、大手企業、外資系です。
MSジャパンは転職エージェントの中でもかなり企業体質が固いイメージがあります。
企業の人事担当として、MSジャパンの営業担当にいろいろ聞いたところ、取引する企業については、与信を徹底しており、求職者にとって安心できる企業からの求人受注を心掛けているそうです。
そのため、新興的なアーリーステージにあるベンチャー企業については、求人発注の依頼があっても与信の結果次第では、断る場合もあるとのことでした。
この背景から、求職者にとっては、倒産リスクや企業として何か問題のある企業への転職はこの段階で、排除されますので、安心につながる一つの材料ではないでしょうか。
登録から担当者決定まで
私は、人事職を希望していたため、管理部門系に強い紹介ルートを持つ、このMSジャパンに登録することとしました。
MSジャパンは他の転職エージェントと同様に登録に関しては、自社ホームページ(HP)から個人情報などを入力して登録は完了となります。
また、登録の際、合わせて、履歴書と職務経歴書の送信もすることができます。
私は登録をその日の午前中に行ったのですが、その日の夕方にMSジャパンの方から電話がありました。
この電話の方が、私のキャリアアドバイザーとなります。
MSジャパンは、男性キャリアアドバイザーが多いです。私の友人も何人か同様に登録していたのですが、全員が男性のキャリアアドバイザーでした。
これは正確なものはMSジャパンへ問い合わせが必要かもしれませんが、女性のキャリアアドバイザーが担当となったケースをほとんど聞いたことがないため、ほぼ間違いない情報かと思います。
MSジャパンでのキャリアアドバイザーの決定については、職種単位で割り振りが行われた後に、その求職者の希望条件、特に現職の役職と転職後の希望役職を加味した上で決めるそうです。
なお、転職活動中のMSジャパンのキャリアアドバイザー変更は、よほどのことがない限り受け付けていないそうです。
更に現在は、ツーフェイス型の仕組みを取っていることもあるようですが、当時は、企業の採用支援のためのサポートをする企業営業担当と、求職者の転職支援のためのサポートをするキャリアアドバイザーの役割を一人で対応するワンフェイス型を採用していました。
転職エージェント1人が、企業側と担当もすれば、求職者の担当もするタイプ。
1人で、企業からの求人内容を把握し、また、求職者の転職条件を把握するため情報のズレがない。
転職エージェント内で割り振りが行われ、企業担当と求職者担当が分かれて転職を支援するタイプ。
役割がそれぞれ分担されているので、企業、求職者ともにきめ細かいサポートが受けられる。
MSジャパンへの転職活動の費用は、登録料は無料で、しかも、内定に係る費用も一切不要です。
担当者決定から面談まで
電話にて、簡単なあいさつが終わり、後日、来社し面談するために、日程調整となります。
私は現職でしたので仕事終わりの夜を希望したのですが、MSジャパンではあまり夜遅い時間帯からの面談は対応してくれません。
そのため、私は、当時の会社が定時は18時だったため、19時からのスタートとしました。
また面談に際して私は登録時に履歴書と職務経歴書の添付を行っていなかったために、面談までにそれらを準備するよう依頼がありました。
この他に、企業へ紹介する際の紹介状へ添付するためのデータ形式での写真を事前に担当者へ送付するよう指示があります。
また先述の通り、MSジャパンは外資系企業への紹介も強いことから必須ではないものの、英語訳の履歴書、職務経歴書を準備するよう言われました。
ただ、私は外資系企業への転職を希望していなかったため未提出となります。
外資系企業への転職も視野に入れている方は、必ず準備するようにしましょう。
実際の面談内容
実際の面談ですが、まずキャリアアドバイザーからの自己紹介があり、その後私に関するヒアリングと求人紹介という面談構成になっていました。
時間にして約1時間半でしたので、この所要時間は転職エージェントとしては平均的なものです。
注意点として面談を軽視している方もいるかもしれませんが、転職エージェントを利用して転職する場合は、面談はかなり重要になりますので、しっかり対応しましょう。
中には、面談時間を省略して10分とか20分とか短縮される方もいるようですが、その後の紹介求人に影響します。
面談でしっかりとヒアリングしてもらうことでキャリアアドバイザーも転職条件を把握しますので、ここがズレると後々の紹介に影響すると言う意味はここにあります。
面談の初めにキャリアアドバイザーの自己紹介があります。
その後すぐに転職エージェント利用に伴う誓約書と私の個人情報を扱うため、個人情報保護に関する同意書にサインを求められます。
次に本題のヒアリングとなります。事前に準備した履歴書と職務経歴書をもとに細かい数字的な実績や個人に関わる性格や考え方についても内容に含まれています。
ちなみにMSジャパンは、面談を個室で行いますので、他の方に個人情報を聞かれるリスクはないと思いますのでご安心ください。
面談ではさまざまな質問をされます。
面談でのヒアリング内容
- MSジャパンに登録した理由
- 自分の強みと弱み
- 学生時代に力を入れてきたこと、また、そこから何を学び今に生かしているか
- 現職の社風と上司のタイプ、また、自分の所属する部署の組織構成
- これまでの会社への入社理由と今回の退職理由
- 転職の諸条件(会社規模、職種、勤務地、年収、労働時間などの労働環境)
MSジャパンではスキルシートというものを活用して、キャリアアドバイザーはそこにその求職者ができる業務を具体的にチェックするやり方を採用しています。
キャリアアドバイザーの対応は非常に丁寧で安心感がありました。
企業の社風が影響しているのだと思いますが、転職活動で不安のある求職者にとってはありがたいことだと思います。
ワンフェイス型のため、求人紹介も早い
MSジャパンでは、当時ワンフェイス型を採用していたため、求職者からヒアリングが終了すると、その場で、求人の紹介となります。
MSジャパンのそのキャリアアドバイザーは、『企業担当と求職者担当を一人で行うことで情報のズレをなくして、また企業、求職者それぞれにフットワーク良くサポートするためにワンフェイス型を採用している』とのことでした。
補足情報ですが、ワンフェイス型にするとキャリアアドバイザー一人の業務量が膨大となるため、転職エージェント内で長時間労働により退職したり、業務量により対応が遅れることもしばしばあります。
私個人としては、ツーフェイス型を採用している転職エージェントの方が小回りが利いて良い転職支援を受けられると思います。
紹介された求人は評判通り、中小やベンチャー企業のものはほとんどなく、大半が大手企業や上場企業でした。
外資系企業を希望される方は、これに加えて外資系企業の求人も加わると思います。
求人数としては多くなく、15社程度というところでしょう。
これは、その時の転職市場の景気によって数は変動します。
ただ、MSジャパンについては平均的に多いか少ないかで言えば多くの求人数を持っている訳ではないので、少ない部類に入ると思います。
求人の質としては、しっかりとしたヒアリングであったため、的外れは少なかったです。中にはキャリアアドバイザーが独自に、新しい可能性という前向きな意味合いで、希望する人事職ではなく他職種を紹介されました。
また、これはよくあることですが、紹介求人の中に自社キャリアアドバイザーの求人があることもあります。
実際、MSジャパンから、MSジャパンのキャリアアドバイザー求人がありました。
応募企業の選定と決定まで
求人を紹介してもらいますが、求人票はもらえません。
面談後に私のメールアドレスに添付ファイル形式で、面談内で紹介された求人を送付する仕組みです。
その日の夜に、約束通りキャリアアドバイザーから求人ファイルが送信されており、自宅で再度確認してその日に応募手続きの依頼をしています。
15社のうち5社ぐらいに応募しました。その他はミスマッチではないのですが個人的な理由で応募はしませんでした。
書類選考のために、MSジャパンから企業へ紹介する際にヘッダー用紙として紹介状を添付します。
面談終了後の求人ファイルの中に紹介状のフォーマットもあり、応募する場合はここに自分で記入する必要があり、これが結構手間だったです。
ただそれは1回だけで、その後はキャリアアドバイザーがその内容を確認し応募企業に合わせてカスタマイズしてくれます。
その他、MSジャパンではレジュメの添削サービスもしてくれる・・・と言いたいところですが、添削サービスもあるのですが、人的リソースや選考の結果次第で、添削したキャリアアドバイザーの責任にもなるとのことで消極的です。
狭き門の書類選考通過率!!
MSジャパンも同様ですが、転職において面接や適性検査含めて選考通過率が最も低いフェーズが書類選考です。
私の実績や友人同じことを言っていますが、MSジャパン経由の書類選考通過率は、悪い部類に入ると思います。
これには理由があり、MSジャパンはワンフェイス型のサポートであるため、小回りが利かずあまり書類選考に力を注ぐことができないためのようです。
紹介状のカスタマイズはあるものの、ほとんどが求職者から受け取ったレジュメをそのまま企業へ紹介するため、また添削サービスも消極的であることが理由としてあるでしょう。
MSジャパンの書類選考通過率は悪いとあらかじめ思っていなければ自信喪失にもつながりますので、心の準備が必要です。
実際私は最初の5社を含めトータルで10社程度の応募をしましたが、書類選考を通過した企業はそのうちの2社です。
結果的に2社のうち1社からは内定を頂きましたが、あまり納得いくものではなかったです。
スカウトサービスという機能
MSジャパンでは、転職活動中に、担当のキャリアアドバイザーではない方から突然連絡があることがあります。
これはMSジャパンでは通常の転職支援の他にスカウトサービスがあります。
社内では求職者の情報を閲覧できるシステムがあり、その他のキャリアアドバイザーが担当する企業の求人に合致する求職者を、のシステムを使って確認しているのです。
これをスカウトサービスと言います。
当時は珍しかったのですが、今では形をやや変えて他の転職エージェントでも同様の機能があります。
選考から内定を勝ち得るまで
先述の通り書類選考を通過した企業は2社ですので2社の面接へ進むことができました。
MSジャパンのキャリアアドバイザーは業務量が多いのか、選考中はあまりこまめに連絡を取ることはなかったです。
どちらかと言えば転職エージェントを利用している理由は求人紹介のみという印象を受けます。
ただ、面接後の電話連絡は義務付けられています。
私は一度、連絡をしないことがありましたが、キャリアアドバイザーから逆に電話があり若干、怒られました(汗)
どの転職エージェントもそうですが、面接後の電話には面接感想を把握すると共に、他、職者へ面接内容を共有する意味もあり、これにより面接通過率を上げる施策となっているためキャリアアドバイザーといては重要な役割です。
なお、MSジャパンは1社の求人に対して上限なしに複数の求職者を紹介するため(また、私の面接の後にMSジャパンの求職者の面接となることもあるようで)、面接後の電話連絡にはシビアになっています。
内定後の入社条件の調整
2社の面接を受けた結果、1社から内定を頂きましたが、私は他の転職エージェントから紹介された企業の方が魅力があったため辞退しています。
ただその企業への入社ギリギリまで、辞退はしないことが私の転職活動におけるポイントとしていたため、MSジャパンにもすぐに辞退の連絡はせず内定後の条件交渉も行っていただきました。
ここについては、ワンフェイス型が大きく機能して、キャリアアドバイザーが企業とも親しい関係にあったため条件交渉がスムーズに進んだようです。
結果的に賃金面で私の希望より若干良い形で着地しています。
内定後、また、内定辞退について
MSジャパンでは内定を辞退したとお伝えしましたが、中には内定辞退を何が何でも避けるために入社をゴリ押してくる転職エージェントもあります。
しかし、MSジャパンは内定辞退を嫌がるような様子が一切なく丁寧に対応してくれました。
これは私の個人的な意見ですが、内定後の交渉は頑張ってくれますが、転職活動中のサービスもあまり充実していませんし内定辞退の連絡をしてもあまり興味を持たないため、会社として大丈夫かな?とやや心配になりました(笑)
今で言う、草食系転職エージェントではないかと思います(笑)
MSジャパンのサービスに不満は持たない
MSジャパンは、転職サポートする質という意味では物足りなさを感じました。
ただ私自身いくつかある転職エージェントのサポートで、求人紹介と内定後の条件交渉がしっかりしていれば問題ないタイプですので大きな不満はなかったです。
一方でこの転職エージェントは良いということで他の方に積極的に紹介しようとも思いません。
ただし、冒頭のように特定の紹介ルートに強みがあるため、MSジャパンが得意とするジャンルへの転職を希望される場合は登録はしておいて損はないかなと考えています。
また転職エージェントの利用目的が、転職ではなく、転職前の情報収集としてお考えであれば、求人の紹介は定期的にありますし、選考辞退、内定辞退しても押し込まれて不快な思いもないでしょうから、登録しても良いと思います。
今回はMSジャパンを取りあげてみましたがいかがでしょうか。皆さんの転職活動が成功することを祈り、今回はこれで終わりにしたいと思います。
この記事の筆者
小玉 崇(仮名)
1975年生まれの40歳。人材業界にて転職者の支援に一貫して従事。転職者に常に寄り添う事をモットーに、転職後のフォローも行いながら、これまで数百名の転職者を支援。特にIT業界やベンチャー企業へのパイプが強みとしながら、現在も初心を忘れず人材業界で日々、精進中。人材業界は経済の波に左右されやすい業界であるため、先を見ながら転職者のエージェント活動を行っている。