ランスタッドを利用してみた(転職エージェントプロが語る)
ランスタッドは東京に本社を構え、全国に複数の拠点を構える非常に大きい規模の転職エージェントです。
実は外資系であり、グローバル展開もしていて世界第二位のシェアを誇っています。
外資系企業の求人が豊富で、業界は満遍なくカバーしています。
転職エージェントとしてだけではなく総合的な人材サービスを展開しており、優良事業者の認定も持っています。
しかし、どういう訳か日本では有名な転職エージェントとしては言えないようです。
私は人事として中途採用にも携わっていた経験もあり、現在は転職エージェントとして活動もしているのですが、いずれの経験でもランスタッドの名はあまり聞いたことがありません。
今回の記事の目次
登録から担当者決定まで
通常の場合は、公式ホームページから個人情報などを入力することになります。
時間帯によっても違いますが、午前中に登録すると午後には連絡が来るとのことで、フットワークが良いと言えます。
私は転職サイト経由での連絡をしたのですが、掲載されていた求人へ応募したい旨を連絡すると翌日電話があり、求人紹介含めて一度面談したいとありました。
この電話をくれた担当者が私のキャリアアドバイザーになるのですが、とても印象の良い男性の方でした。
何気なく聞いてみたのですが、活動途中にキャリアアドバイザーを変更したい場合でも、基本的にはそのようなことは行っていないと断られます。
担当者決定から面談まで
電話内容としては、後日、具体的に職歴やこれまでの経験をヒアリングしたいとのことでした
私の場合、面談時間は19時からでしたが、ランスタッドは従業員の労働時間に一定の規制を設けているため、あまり残業してはいけない文化があるようです。
ですので、面談を希望しても時間が合わずになかなか進展がないという場合もあるようです。
このような場合に備えて電話での面談も可能としている転職エージェントも多いのですが、かたくなに拒まれます。
これは情報漏えいを防ぐ目的がありますが、融通が利かない面もあるとお考えください。
また、面談前に下記のものを準備するよう指示があります。
- 履歴書(データとペーパーの両方)
- 職務経歴書
- 履歴書用写真
外資系企業の求人も多いことから、この転職エージェントは英訳版の履歴書と職務経歴書の準備を強く勧めてきます。
外資系企業への転職を希望される方については、それらも準備した方が得策と思います。
これらの準備の他に、職歴や経験において具体的な数値も交えて準備した方が良いです。
また、面談ではかなり細かいヒアリングがありますので、無駄な時間を過ごさないようした方が良いと思います。
転職活動は大きなターニングポイントであるため、自分の性格や経験を自己分析することで、また違った視野が見えることもあります。
実際の面談内容
面談では、あいさつが終わるとすぐに、個人情報保護の同意書とサービス利用規約にサインが必要となります。
その後、キャリアアドバイザーからサービスの紹介と説明があります。
キャリアアドバイザーも自分たちのエージェントが日本でなじみがないことを把握しているようで、面談の場を認知度を高めるためのプロモーションの場としても考えているのだと思います。
それが終わると、本題の職歴の紹介と、キャリアアドバイザーからのヒアリングになります。
面談時間は、1時間程度でした。
他の転職エージェントの面談と比べると短いと思います。
- 現在の転職状況。具体的に何社応募してどうだったのか。
- 他の転職エージェントの利用状況
- これまでの成功体験と失敗体験
- 自分の長所と短所
- キャリアチェンジできる場合は、それも視野に入れたいかどうか。
- 現職の入社理由と退職(希望)理由
- 転職の諸条件(会社規模、職種、勤務地、年収、労働時間などの労働環境)
外資系の転職エージェントであるため、結構ドライな面談だと感じました。
前向きになれる言葉もなかったですし。
求人紹介について
私は転職サイト経由で既に応募したい求人があって訪問したのですが、応募手続きはありませんでした。
「転職サイトに載せた求人はもう締め切っていて、応募ができない状況だ」と言われたのです。
けっこう不信感が募ったのですが、その代替として他の求人を紹介するとのことで、その日は納得はいかなかったものの帰りました。
ランスタッドを通常利用する場合、面談でヒアリングした結果を踏まえて企業担当と打ち合わせを行い、後日求人を紹介するといった流れです。
ですので、面談の場で求人の紹介はありません。
私の場合、面談でやけに外資系企業への転職を勧められました。
求人数自体があまりないため、自社が得意とする外資系企業への紹介で実績を積みたいのではないかと感じました。
それと、第2新卒や未経験などの若手層の求人はかなり少ないようですので、これらに該当する場合は、メインで利用するのを控えた方が良いでしょう。
応募企業の選定と決定まで
面談を終えて1週間ぐらいたってから、ようやく連絡がありました。
数多くの転職エージェントを利用してきましたが、ランスタッドの連絡が一番遅かったと思います。
恐らく、求人がなく連絡できない状況だったのではないかと思います。
その電話では断定的に求人がないとは言いませんでしたが、それに近いことを言われたので。
求人の紹介があったのはそれからさらに数日後のことです。
しかも求人数は3社。
そのうち私の希望条件に合った求人はゼロでした。
『もうここに登録しても意味ないな』と思いましたが、当時は本当に転職活動に苦戦していて求人数すら少なかったですし、費用はかからないので登録だけしておこうというぐらいに考えていました。
そしてさらに後日連絡があり、「前回紹介した営業系の求人に応募してほしい」といったことを言われました。
応募してほしい!?
転職エージェントがあまり言わない発言ですよね?
本来は求職者の同意なしに行ってはいけないことなのですが、この求人を公開している企業に氏名などの個人情報をマスキングした状態で私のことを紹介したようです。
そこで、「この方を一度面接に」と言われたようなのです。
転職に苦戦して許容範囲が広がっていた私は、仕方ない気持ちもあり応募手続きに踏み切りました。
ランスタッドでは応募手続きに関して特にアドバイスはありません。
他の転職エージェントではよくある履歴書と職務経歴書の添削サービスは一切ありません。
他の転職エージェントも同時に利用している場合は、他の転職エージェントへ添削依頼してからランスタッド経由で応募した方が良さそうです。
書類選考について
その企業の書類選考は企業からのオファーですから、当たり前のように通過しました。
ただ、私の友人も数人ランスタッドへ登録しているのですが、書類選考通過率はべらぼうに悪いです。
通常の書類選考通過率は1~2割と言われていますが、ランスタッドはそれを大きく下回り、中には通過率ゼロの友人もいました。
ちなみにこの友人は他の転職エージェントを介して同じ求人に応募したのですが、そっちは通過したのでランスタッドと企業の関係が良好ではないのではないかと感じます。
補足ですが、このようにある転職エージェントでの書類選考がだめでも他の転職エージェント経由で再トライをするのはアリです。
応募程度の段階では企業の人事担当もデータベースを管理しないため、一度書類選考で見送られてもデータベースに情報を残していないことがよくあります。
選考から内定を勝ち得るまで
書類選考を通過した私は、その企業との面接に進むことになりました。全部で3回です。
ランスタッドから応募したからといって面接で何か優遇されることもありませんでしたし、この転職エージェントだから安心というような言葉も面接官から聞けませんでした。
ですので、ランスタッドから応募した企業への面接は自力で頑張る必要があります。
結果的に安心を手に入れるために面接を続けて、内定を頂きました。
当時は本当に転職活動に苦戦していて現職に退職する意向を伝えていたため、最悪はこの企業へ入社するしかないと考えていました。
担当者の方から特に面接フォローなどはありませんでしたが、面接後の電話は義務になっています。
その企業の面接での質問を把握し、次に応募する求職者に役立てるために結構必死です。
え^ジェント側にそこまで恩義がある訳でもなかったので、そこそこの報告で済ませたように思います。
ただ、ここは営業体質の企業ではないのでゴリ押しはしてきません。
内定後の入社条件の調整
紹介された企業への内定が出た後も、他の転職エージェントを利用して活動は続けていました。
その時はまだ他社で内定を頂けていなかったため、内定交渉を行ってもらっています。
ランスタッドは内定後の条件交渉もそれほど得意ではないようですし、対応は誠実ではあるものの特に頑張ってくれたという印象はありませんでした。
結局、企業から提示された条件は求人内容と100%一緒です。
私の友人も私と同じ感想を持っていましたし、キャリアアドバイザーによる話とも言いづらいです。
転職エージェントを利用する目的の一つに内定後の条件交渉を代理で行ってくれる点がありますので、物足りなさは残ると思います。
内定後、また、内定辞退について
もし、他社から内定がない場合はその企業へ行かざる得ない状況でしたが、ようやく他の転職エージェントから条件に合った内定を頂きました。
そのため、保険で残しておいたランスタッドからの紹介企業は辞退しています。
その際、当然キャリアアドバイザーへ辞退の報告をしたのですが、びっくりするぐらい冷静に『了解しました。大したサポートもできず申し訳ありません』という返事がありました。
冒頭でキャリアアドバイザーの対応が良いとお伝えしましたが、この時の対応が最も良かったです。
キャリアアドバイザーは自分の責任を認めて、特に言い訳することもない様子でした。
もしエージェントが営業体質だったり、キャリアアドバイザー自身が不誠実であれば入社をゴリ押している気がします。
ランスタッドは外資系希望にはお勧め
これまでいろいろとお伝えした通りで、ランスタッドは決して優秀な転職エージェントとは言いがたいです。
ただ、自社が外資系企業であるため、外資系求人は他の転職エージェントと比べると多いと思います。
サービスの面では物足りなさは否めませんが、対応は誠実です。
連絡が遅かったこともありましたが、求人がなかったために連絡したくともできなかった状況だと思いますので、その点はフォローします(笑)
転職エージェントは、登録料は無料です。
そのため、どの転職エージェントに登録しておいたままにしても全く問題ありません。
ランスタッドに独占求人が入ってくる可能性もゼロではありませんので、登録して損はありません。
ただ、このエージェントだけに絞った登録は控えましょう。
まだまだ日本では後発の転職エージェントであるため、企業からの求人発注が少ない環境が求職者に影響を与えているように感じます。
最後に、皆さまの転職活動は自分の希望通りの企業に内定を頂き成功しますよう、心より祈り、今回は、これで終わりにしたいと思います。
この記事の筆者
小玉 崇(仮名)
1975年生まれの40歳。
人材業界にて転職者の支援に一貫して従事。
転職者に常に寄り添う事をモットーに、転職後のフォローも行いながら、これまで数百名の転職者を支援。
特にIT業界やベンチャー企業へのパイプが強みとしながら、現在も初心を忘れず人材業界で日々、精進中。
人材業界は経済の波に左右されやすい業界であるため、先を見ながら転職者のエージェント活動を行っている。