エン・ジャパンを利用してみた(転職エージェントプロが語る)
私が20代後半で転職活動をした際、いくつかの転職エージェントを利用したのですが、今回ご紹介するエン・ジャパンについては良くも悪くも印象に残っています。
当時の私は営業職から人事職にキャリアチェンジして3年ほど経ち、そろそろ違う会社も見てみたいという好奇心で転職活動を始めました。
企業の人事としてエン・ジャパンとも取引があり、親しい友人も複数在籍しているため、いろいろな情報を紹介できると思います。
今回の記事の目次
エン・ジャパンてどんな会社なの?
エン・ジャパンは新宿区西新宿に本社を置く大手の総合人材サービスを手掛ける企業です。
業界では業績上位に位置しており、日本全国に拠点を持っています。
転職エージェント事業の他に、自社で転職サイトを運営したり新卒事業にも力を入れたりしている会社です。
また、転職エージェントには女性が多いことが業界の特色ですが、こちらの企業には男性も多いです。
そして、エン・ジャパンはベンチャー体質の組織風土を持っているため、営業的な要素を多く持っています。
この後紹介する内定後のやり取りについては、求職者視点では要注意となります。
登録から担当者決定まで
エン・ジャパンは転職サイトと転職エージェントを併用しているため、転職サイトに登録すると転職エージェントにも情報が流れる仕組みとなっています。
そのため、私は転職サイトから登録しました。
後日担当のキャリアアドバイザーから連絡があります。
キャリアアドバイザーはエージェント社内で自動的に決定していますが、職種や年齢、役職に応じて、割り振られる仕組みになっています。
担当の変更も可能ですが、先ほど伝えた通り営業体質の企業体であるため、個人の営業実績に影響する担当変更にはあまり応じてくれませんので、ご注意ください。
登録料・転職にかかる費用は0円です。
担当者決定から面談まで
キャリアアドバイザーが決まると電話があり、簡単なあいさつと後日に行われる面談の日程が決まります。
面談は基本的に終日可能となりますし、激務であるため夜遅い時間帯からでも面談対応をしてくれます。
この点については融通が利くサービスではないでしょうか。
面談に向けて準備するもの
- 履歴書(データとペーパーの両方)
- 職務経歴書
- 履歴書用写真
転職サイトに登録する際に写真をアップデートしている場合は、履歴書用写真は不要となります。
それと、今回の転職理由と転職条件や転職軸について整理しておくようアドバイスがあります。
当時の私は、現職を持っていて積極的には活動する気もなかったため、これらをあまりきちんと準備しませんでした。
特に職務経歴書については、本当に簡単に箇条書きという程度です。
積極的に行うつもりでいる方は、この準備は徹底して詳細まで詰めておいた方が良いでしょう。
と言うのも、この面談がその後の企業への面接にもつながりますし、これまでの自分を見つめ直すことにもつながります。
実際の面談内容
面談はエン・ジャパンの本社で行いました。社内は非常にきれいです。
また、受付で待っている間に従業員とすれ違うのですが、営業会社であるためかあいさつもしっかりしていました。
あいさつは体育会系といった感じです。
営業体質、体育会系に不慣れな方は驚くかもしれませんが、サービスには特に支障はありませんのでご安心ください。
その後面談ブースに通されますが、個室ではなくブースでした。
時間帯によって個室になる場合もあれば、パーテーションで仕切られたブースになることもあるようです。
私の場合、個人情報が他ブースに聞こえないか若干不安もあったので、神経質であれば個室にしてもらうよう頼んでみた方が良いです。
そして、面談では次のことをヒアリングされました。
面接でヒアリングされたこと
- 弊社サービスを知っていましたか?
- なぜ弊社サービスを利用しようと思いましたか?
- 結婚の有無と扶養人数
- 転職サイトは利用しますか?
- 自己分析の結果、長所と短所
- 現職の職場環境と業務内容
- 転職理由
- 転職の条件(会社規模、職種、年収、勤務地、年収などの労働条件)
- 今後のキャリアビジョン
上記の他にも、職務経歴書を中心に具体的なエピソードを交え、成功も失敗も含めてヒアリングがあります。
それと、アンケートのようなものに回答記入し、個人情報同意書と誓約書のサインがあります。
面談では求人の紹介はありません
エン・ジャパンはその他の転職エージェントと異なり、面談内で求人の紹介はありません。
既に他社のエージェントでの紹介を経験していた私は、やや拍子抜けし『面談で紹介ないのか・・・』と思いました。
しかし、求人をその場で紹介しない理由は情報漏えいを防ぐためだったそうです。
求人票はペーパーで渡されますが、その求職者が仮に落としてしまった場合は取引する企業に対して大きなイメージダウンになってしまいます。
また、その場で求人を紹介しても的外れなものがあっては求職者の信用を得られないとの理由で、面談内容を再度確認してから確実に条件がマッチする求人のみを紹介するためでもあるそうです。
面談は1時間半ほどで終了し、後日私の希望条件に合致すると思われる求人を紹介するとのことでした。
メールに求人票が添付されている場合の他、個人情報が含むものについてはパスワード形式になっています。
個人情報を大事に扱う企業らしく、情報セキュリティーは徹底しています。
応募企業の選定と決定まで
面談の翌日にはメールで求人の紹介がありました。
エン・ジャパンは全体的にフットワークが非常に良いです。営業体質の企業らしいですよね。
業績を常に意識しているために、他社の転職エージェントよりも早く内定が出るようサポートをしているのです。
求職者は同時に転職エージェントを数社利用しますし、転職エージェントからすると早い者勝ちという風潮があります。
実はこんな「本音」も
エン・ジャパンから紹介を受け、求人票をゆっくり自宅で見ていると、たまたまキャリアアドバイザーから電話がありました。
『求人は見ていただけましたか?いかがですか?興味がある求人はどんどん応募した方が良いですよ。』
この電話があったのが面談翌日であることを考えると、かなり押し気味だと思いませんか?
そして、このエージェントは以下のような言葉で求職者を煽(あお)ることがよくあります。
『今回ご紹介した求人はどれも人気企業ですので、早めに応募しなければどんどん埋まってしまいます。』
私の友人も同様のことを言っていました。転職未経験の方はお気を付けください。
確かに最近の選考スピードは速まっていますが、担当のキャリアアドバイザーが言うほどではありませんから。
エン・ジャパンは書類選考が通過すると面接辞退は許してもらえませんので、応募手続きの段階で慎重に行ってください。
また、キャリアアドバイザーによるレジュメ添削も少々曲者です。
嫌いではありませんが、押しがものすごく自分の利益を優先的に考えている気になってしまい、その添削サービスも、
『結局、求職者が入社したら、自分に利益になるから、添削もやるんでしょ』
という風に思ってしまいました。
書類選考は最大の難関!!!
転職で最も難しいのは書類選考です。
面接は、本人が受けるので良くも悪くも自分の力で評価されますが、書類選考は企業が、気になることがあっても弁解やフォローができないのです。
その結果、そのまま書類見送りとなるケースがあります。
私は人事としてそのの現場を知っているので、間違いありません。
ですので、レジュメはすごく大事です。
転職エージェントもしっかりと見てくれますが、自分の転職ですから頼り過ぎないように注意しましょう。
選考から内定を勝ち得るまで
転職における選考通過率が1割前後の書類選考を通過すると、次は複数回の面接になります。
企業によっては、面接前後に適性検査を実施する場合もあります。
面接は、どの会社も2回~4回が多いです。
この面接中も面接の感想を連絡し合うのですが、実にすごいプッシュです。
どの面接の感想でも、『志望する気持ちが高まりましたと先方に伝えて良いですか?』と聞いてきます(汗)
電話の時間も長い時は1時間を超えたりします。
あまりに個人業績が厳しく、顧客視点や求職者視点にはなれない環境なのだと思います。
彼らも慈善活動ではないので気持ちは分かりますが、求職者としてはあまり良い気持ちにはなりませんよね。
ただもちろん、しっかりと求職者目線を持ったキャリアアドバイザーも多くいるようですので、ご安心ください。
面接後の電話では、志望度が高い場合は企業へプッシュして求職者の後押しをしてくれます。
その他、後に面接を受ける求職者のために面接でどのような質問があったか収集することがあります。
これは求職者によっては良い気がしないと言う方もいますが、ご自身も面接前に他求職者の面接の質問を事前に共有されているはずですので、ご理解された方が良いかと思います。
内定後の入社条件の調整
私はエン・ジャパンを通じて内定をもらったと伝えましたが、そもそも転職することは考えていませんでした。
全ての転職エージェントは内定後の入社に伴う諸条件についても、調整するサービスがあります。
特に金銭面の条件交渉は、入社前でまだその企業に不慣れな求職者にとってはできれば避けたいと思います。
そこで転職エージェントの出番な訳ですね。
エン・ジャパンは例外なく、必要以上に調整してくれます(笑)
ただ、エン・ジャパンは非常に入社を押してくるため、本当に見極めが重要ですし流されない強い意志が必要です。
ここで条件が良いからと言って、適当な会社に入社を決めてしまうと、後々早期退職のリスクが高まります。
内定後、また、内定辞退について
結局、この転職エージェントで頂いた内定は私の意思で辞退しました。
エン・ジャパンはかなり押してきていましたので、残念だったと思います。
内定段階では企業から紹介手数料はありませんので。
内定を辞退する場合は電話で終わりではなく、来社した方が無難だと思います。
電話ですと断り切れないと言いますか、営業力が強いのでそのまま押し切られることにもなりかねません。
私は、後日担当をしてくれたキャリアアドバイザーを訪問し、内定辞退を正式に伝えたのですが、キャリアアドバイザーの上司である方も同席して内定辞退を考え直してほしいとのことでした。
ここまで来ると、情が移ってしまいそうになりますが、内定辞退をするのであればしっかりと意思表示をしましょう。
意志が強い人にはお勧め!!
最後にエン・ジャパンについてまとめますと、求人数も多く転職サイトも併用でき、フットワークが軽いため良い面が多いと思います。
しかし、営業体質であるため、個人の営業成績にこだわるあまり何とか入社させたいという思いが強く伝わります。
ビジネスで取引する求人企業としては非常に良いとは思いますが、意志の強くはない方や気持ちが優しい方にはお勧めとは言えないのが正直なところです。
ただ、エン・ジャパンにもいろいろなタイプのキャリアアドバイザーがいますので、まずは自分の目でキャリアアドバイザーを見極めることが大事です。
この記事の筆者
小玉 崇(仮名)
1975年生まれの40歳。
人材業界にて転職者の支援に一貫して従事。
転職者に常に寄り添う事をモットーに、転職後のフォローも行いながら、これまで数百名の転職者を支援。
特にIT業界やベンチャー企業へのパイプが強みとしながら、現在も初心を忘れず人材業界で日々、精進中。
人材業界は経済の波に左右されやすい業界であるため、先を見ながら転職者のエージェント活動を行っている。