くるみんマーク取得の企業はワークライフバランスが充実している証拠
女性と言えば、男性とは違い結婚を機に退職するケースも多いです。
そのため、なかには女性の求職者を敬遠する企業もあります。
しかし、その一方で女性の社会進出が増え、女性の能力を高く評価する企業が増えているのも事実です。
今回の記事の目次
女性の求職者の長期休業
女性は特別な事情があり、男性のように長期間仕事を行うことが難しいです。
休業させるのは法的に義務となりますが、企業も業績がある以上、本音としては長期の休業は労働力の低下につながる休業は避けたいと考えています。
労働力の低下はもちろん、労働力を提供することがない休業中の女性労働者の社会保険料を毎月支払うことになるのです。
産前産後休業と育児休業を通算すると2年半ほどの長期の期間になります。
ある経営者は『産前産後休業や育児休業中は、雇用契約をいったん解消して復職後に再雇用できないのか?』と言っていましたが、これはできません。
労働者にとって不利益ということで、国はこういった行為を禁止しています。
今回のテーマ
今回は女性が働きやすい環境や、その環境を持つ企業などについてご紹介したいと思います。
女性が働きやすい職場環境とはどのような職場か求職者のみなさんは具体的なイメージはありますか?
一見、関係がないように思える男性の求職者はどのような影響を受けるのかといった話もしていこうと思います。
女性が働きやすい職場環境とはどのような職場か?
今の時代は、女性も男性と同じように新卒として企業へ入社して給料をもらい、そのうち結婚するという流れが一般的だと思います。
かつては寿退社をする女性が大多数でしたが、現在は退職をせずにそのまま働き続ける女性が増えています。
ここまでは問題ないのですが、問題はこの先です。
女性が適齢期となれば出産を考えるようになり、妊娠すると休暇を取得することができます。
このタイミングから企業と女性労働者の間に摩擦が生じてくる訳です。
会社の目的と女性の目的が違う
会社は利益を追求して経営を向上させることが目的です。
しかし、労働者の立場である女性は、仕事よりも子供を大切にしたいという目的や希望があります。
このズレや溝を埋めることができずに、関係性が悪化してしまうのです。
労働者は弱者の立場にありますから、本当は休業後に復職を希望していても、そのまま退職してしまう女性が多いです。
企業で同僚として働いていた女性の姿を見ていて、自分も同じ状況になるのであれば転職したいと思う女性も多いです。
私は現在転職エージェントとして転職支援をしていて、多くの女性の求職者の面談も担当してきました。
なかには、在籍する企業が出産や育児への理解がないと涙ながらに語る女性もいます。
女性の求職者が働きやすいと考える職場イメージ
「仕事と結婚・出産の両立が難しい」と考える女性が転職先に求める職場環境は、必ず『働く女性の立場を理解してくれる職場環境』となります。
転職は、現職では解決できない課題を解決する良い方法です。
中には手段ではなく逃げ道と捉えてしまう求職者の方もいますが、この女性の求職者の求める内容は正当だと思います。
では、もっと具体的に『働く女性の立場を理解してくれる職場環境』とはどのような環境なのか見ていくことにしましょう。
産前産後休業や育児休業を積極的に推進している
やはり、一番に来る内容は産休や育児休業です。
この休業をいかに企業全体として推奨しているかがポイントになります。
部門や部署単位レベルで育児を推進しているぐらいでは、労働環境の改善には至らない可能性もありますので注意が必要です。
『働く女性の立場を理解する職場環境』の代表的な要素である、産休や育児休業の推進は100%の確率でなければ危険です。
女性労働者が時短勤務を取得しやすい環境がある
次に、休業後に復職したあとの労働環境の話です。
時短勤務は法的にお子さんの年齢制限があるのですが、実際のところ、お子さんが規定の年齢を超えても育児に係る時間は多いです。
『働く女性の立場を理解する職場環境』としては、法令の年齢を上回る期間で時短勤務を認める企業が望ましいです。
これまた部門や部署単位で推進している企業もあり、ポイントは休業と同じです。
企業全体としての取り組みができていることが大事で、就業規則にそれがしっかり明記されているかどうかもポイントとなります。
また、『働く女性の立場を理解する職場環境』を推進する企業は、離職率が低いのが特徴です。
産前産後休業や育児休業の社会保険料を負担してくれる
社会保険はその名の通り、社会相互の観点で企業に在籍する労働者であれば、加入と負担義務を負います。
産休や育児休業中の間は給付金が支給されるとは言え、給料の約3分の2という額になります。
そこに、休業前と同じ額の社会保険料を負担することになりますので、痛い出費であることは間違いないです。
この事情を考慮して、休業期間中の社会保険料を企業が負担する企業もあります。
社会保険料はそもそも半分を企業が負担していますし、約2年半の間2倍の社会保険料を負担するということになります。
本当にこんな会社はあるのか?と疑問を持つかもしれませんが、実際にあります。
転職エージェントとして私が知り得る限り、このような施策は『働く女性の立場を理解する職場環境』の施策のなかで最も好待遇だと思います。
育児関係の施設や育児手当がある
企業の社内に託児スペースを完備する企業もあります。
企業内に託児スペースを完備することはかなりのコストを使います。
短期的な判断で大きなコストを投資するはずはありませんので、その企業は長期的に『働く女性の立場を理解する職場環境』を推進すると考えて良いと思います。
企業としての業績も好調であり、今後の事業展開も読めているとも取れます。
『働く女性の立場を理解する職場環境』を別に考えても、安定的な働き方ができると思います。
また、託児スペースとは違い育児手当を別途支給する企業もあります。
国からの給付金とは別に、例えばお子さんが小学生入学までなど一定の期間、毎月の給料が通常よりも多くなるのです。
「通常の給料よりも高すぎるため社会保険料も引き上げられて、最終的な手取り額は通常と変わらない」
なんてオチを持つ企業もありますが、一般的には通常の社会保険料と変わらない範囲を把握していますので、安心だと思います。
産前産後休業や育児休業も復職している先輩女性が多い
『働く女性の立場を理解する職場環境』を推進している前例が多くあるということです。
これから転職を希望する女性の求職者にとっては、前例は安心につながる要素だと思います。
この点は企業の特徴ということで、求人にも記載している場合があります。
男性の求職者としての影響は?
働く女性を支援する企業の環境は、男性の求職者にとってはどのような影響があるのでしょうか。
最近は男性の育児休業も話題の一つになっていますし、育児は男性も積極的に参加する時代になっています。
『働く女性の立場を理解する職場環境』の恩恵として、男性の求職者も長く安定的に仕事ができると言われています。
男性の育児に関する支援はそこまで積極的ではないとしても、企業全体として従業員を大切に考えていることが多いのです。
そのため、男性の求職者も『働く女性の立場を理解する職場環境』を特徴にする求人には応募している傾向があります。
ワークライフバランス
ここまで『働く女性の立場を理解する職場環境』についてご紹介しましたが、これらの施策を最近では『ワークライフバランス』と呼んでいます。
『仕事と生活の両立』を意味していて、男性よりも女性に意味のある言葉になっています。
転職サイトにもワークライフバランスという言葉はよく利用されていて、女性の求職者を積極的に採用する戦略の一つとしています。
このワークライフバランスの施策を導入することで、企業の経営としては法定外の福利厚生費が増えて、利益率を圧迫する大きな要因になります。
しかし、それ以上に従業員が生き生きと長期的に働いて、企業に費用を上回る個人業績をもたらすことで、中長期的には十分に採算が合うと考えられています。
企業としては、女性の優秀な労働者が、結婚や出産をきっかけに退職してしまうことは大きな損失です。
中長期的な観点で、本来は退職してしまってもおかしくない優秀な女性労働者が残ることで、企業メリットは大きいと考えています。
くるみんマークとは?
このワークライフバランスという言葉と一体的なものが『くるみんマーク』です。
国がワークライフバランスをもっと推進しようと打ち出した施策の一つです。
『くるみん』を取得した企業が社会に対してアピールするために、企業のホームページやパンフレットに付けることが許されています。
このくるみんマークは、私がかつて企業に在籍して人事を務めていた後期に出回り始めました。
人事経験をもとに、今後の労働環境では絶対に成長すると予測して、当時の部下にくるみんマークについて理解するよう指示してきました。
私の予測は見事に当たり、今の労働環境でくるみんマークは企業のPRや企業の採用活動にかなり役立っています。
当時の予測を見事に当てた私を信じてほしいのですが、このくるみんマークは、今後さらに発展的な内容・文化になると思っています。
転職市場においても、くるみんマークをうまく活用して中途採用活動を順調に行っている企業は多いです。
法律的なくるみん
難しい法令を紹介してしまいますが、くるみんは次世代育成対策推進法に内容が明記されています。
社内で企画立案した行動計画に定めた目標を達成した事業主がくるみん認定されます。
この行動計画は、企業が独自に計画してすぐに運用することができるというものではなく、法律に基づいて国からの承認が必要です。
また、運用してすぐに認定されるということもなく、運用期間は3年が目安とされています。
多くの企業がくるみん認定を目指して国に行動計画を提出して運用しますが、これがなかなか大変で、途中で中止する企業も多くあります。
くるみんマークを持つ企業は、この厳しい工程をすべて踏んでいますし、想像以上にハードルが高いのです。
「ブームに乗っかりたい」など安易な考えで認定を目指す企業は途中で失敗していますし、ワークライフバランスの社風を持つ十分な証明になると思います。
くるみん取得後の効果
私はかつて在籍したある企業で、くるみんの取得のため認定のプロセスをすべてクリアして、会社をくるみん認定企業にしたことがあります。
くるみんの認定マーク自体は当時の奮闘から比べると安っぽいのですが、その安っぽさからは想像もできないほどの効果がありました。
商品のパッケージや商品ページにくるみんマークを乱発しまくったところ、効果測定の結果、それ以前に比べると売り上げが約2倍にもなっていました。
採用においても、当時取引していた転職エージェントや転職サイトからこれまでと比較にならないくらい女性の応募者が急増して、ありがたい悲鳴の嵐でした。
また、女性従業が結婚や出産をしてもその後全員が復職したようで、復職率は100%とのことです。
私はくるみん取得後に1年で退職して既存の女性従業員の退職関係をこの目で見れなかったのですが、そのまま在籍した元部下に聞いて驚きました。
このようにくるみんは、企業にとって採用だけに限らず人材獲得にも大きな効果をもたらし、商業的な部分においても大きな効果をもたらします。
こういった効果があるため、最近も多くの企業がくるみん取得に向けて行動計画の立案、運用などを頑張っているのだと思います。
働く女性の立場を理解する職場環境
女性の求職者にとって『働く女性の立場を理解する職場環境』は大切なことで、転職希望の1番にしている方も非常に増えています。
何よりの証明はワークライフバランスという文化から発祥した『くるみん』です。
この『くるみんマーク』を取得している企業は国からの認可を受けていますので、間違いなく『働く女性の立場を理解する職場環境』があります。
ただ、現在『くるみんマーク』を持っていなくても、取得に向けて運用をしている最中の企業もあります。
または、取得していなくても企業独自に『働く女性の立場を理解する職場環境』を整備している企業もあります。
そのため、『くるみんマーク』だけを絶対視して転職活動をするのもあまり良くないと思います。
最後になりますが、求職者のみなさんの転職活動が有意義なものであることを祈り、今回の話を終わりにしたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。