ベンチャー求人は見極めが重要!転職失敗のリスクあり!
私の転職エージェントとしての経験上、大体の求職者の方は大手企業かベンチャー企業かで企業を分けています。
大手企業は資金や企業規模が大きく、安定した環境で労働ができますが、問題はベンチャー企業です。
私もかつてベンチャー企業へ転職をした経験がありますが、自分が担当できる業務範囲は広く、責任ある仕事を早々に担当することができますし、成果に応じた報酬や職位のスピードは非常に速かったです。
一方で、実力主義の社風であるため入れ替わりが早く、労働時間も非常に長いタフな環境であることは間違いありません。
今の転職市場にはベンチャー企業の求人がものすごい数あります。
私の転職エージェントで抱える求人の企業規模データでは、全体の約7割がベンチャー企業の求人です。
求人が多いという安心感だけではなく、求人の質にもこだわって転職活動しなければ、転職後に今よりきつい状況になるように思います。
今回の記事の目次
ベンチャー企業の求人
世間一般的にベンチャー企業とは「創業したてで、従業員が100~300名前後の新興企業」という場合が多いです。
業界や業種は一切関係ありませんが、ベンチャー企業の先駆けはIT業界です。
ベンチャー企業の求人にはいくつか共通したキーワードがあります。求人に記載されていなくても、転職エージェントからこのキーワードは出ると思います。
- 自由度が高い
- 風通しが良い
- 上司部下の関係がフラット
- 服装自由
- 大手よりも昇格や昇給スピードが速い
転職エージェントとしての経験上、これらのキーワードのうち三つが同時に使われていることが多いです。
大手企業の堅苦しさが嫌で転職活動する求職者にとって、これらのキーワードは絶対に前向きに感じると思います。
私の転職エージェントにもラフな環境で仕事を頑張りたいという求職者が多いのですが、ほぼ全員ベンチャー企業の求人に興味を持ち、応募します。
ベンチャー企業の風土は本当か?!
ベンチャー企業の求人にある上記のような風土は、実際に本当の場合が多いです。
私もベンチャー企業で仕事をしていましたし、転職エージェントとして取引しているベンチャー企業や私の友人を見ていてもこれは間違いないと思います。
ただ、問題はどれだけその風土が自分に合っているかということです。
ある人は『風通しが良い』という環境に満足していても、違う人から見れば『風通しは良いと言えば良いけど、人に自慢できるほどではない』と感じる場合もあるでしょう。
求人にあるこれらの社風は、その企業の人事担当が感じることであり、同じ企業でも仕事内容や部署により違いがあります。
ベンチャー企業の求人の特徴はあくまで会社全体のことを指していますし、イメージアップを目的とした場合もありますので理想と現実は違いがあると思うということです。
理想と現実が違うと、そこには必ず問題が発生します。
どれだけ実力のある人材でも、その企業の環境や社風になじめなければ、実力の半分も出し切れず早期退職してしまったりします。
ベンチャー企業の求人の選考フロー
ベンチャー企業は大手企業やメガベンチャー企業に比べると知名度がなく、採用活動に苦戦することがよくあります。
そのため、求職者が興味を持つだろうキーワードを並べて採用訴求を図っていることがあります。
また、ベンチャー企業の求人に『適正検査なし』という注意書きを見たことはないでしょうか?
一時期は、どの企業も適性検査を導入している時代がありましたが、最近は適性検査を行わない企業がベンチャーに増えています。
適性検査を嫌う人達が、適性検査のない企業へ流れることを狙っているのです。
書類選考通過率100%!?
これまた、すごい選考フローの一つとなりますが、ベンチャー企業のなかには書類選考をカットして面接からスタートするという企業もあります。
最初にお伝えしますが、このようなベンチャー企業は極めて危険です。
今の時代、アルバイトやパートでも書類選考は普通にあります。
どの企業も将来の中核人材として正社員を迎えるなかで、書類選考がない企業をみなさんはどのように感じるでしょうか?
あまりにリスクがあり過ぎますし、転職しないにしても、その企業へ投資する時間やお金がもったいないと感じてしまいます。
書類選考100%通過とする企業は、とにかく労働量を確保したいブラック企業である場合がほとんどです。
この手の選考を行うベンチャー企業は、通信業界の2次代理店、3次代理店、不動産業界や生命保険業界によくあります。
職種としては、営業職や電話業務の職種にこの傾向があります。
ベンチャー企業にはブラック企業が混在している
ベンチャー企業にはブラック企業が混在していることを求職者のみなさんは事前に理解しておかなければなりません。
特に20代で社会経験が浅く、企業情報についての理解度も低い求職者は要注意です。
また、応募する求人が少ない40代以降の求職者も同様です。
この両者に共通していることは、転職活動に対する『焦り』です。
とにかく安心が欲しいということで、楽な選考フローの企業へ積極的に応募する傾向があります。
このような場合、自分ひとりで転職活動を進めるのではなく、転職エージェントなど客観的な視点でアドバイスをしてくれる相手を探すのが一番です。
私の友人や知人は、何人もブラック企業の面接テクニックに負けて転職してしまっています。
一度転職で失敗すると、その一回は職歴に記載され、傷がつくということになります。
こんなベンチャー企業の求人は回避!
先ほど書類選考100%通過はブラック企業である場合が多いとご紹介しましたが、その他にも応募を回避した方が良い場合があります。
異常に年収が高い
営業職でなくとも、その職種の相場よりも明らかに高い場合があります。
人事的には『お金で求職者を釣る』と言いますが、恐らく内定時にこの年収は提示されないと思います。
また、求人に記載されている異常に高い年収に本来含めてはいけない残業代を含めている場合があります。
これは、みなし労働制という仕組みをうまく活用しています。
労働者が事業場外で業務に従事し、かつ労働時間の計算が困難な場合には、みなし時間により労働時間を計算できる場合があります。
みなしの対象となるのは所定労働時間が原則ですが、所定時間を超えて労働することが通常必要となる場合には、そのような通常必要となる時間がみなし時間となります。
※労働政策研究・研修機構HP(http://www.jil.go.jp/rodoqa/01_jikan/01-Q05.html)より
みなし労働に含める1カ月あたりの残業時間は平均40時間前後となりますが、異常に高い年収を記載している求人企業の場合は100時間を軽く超えてくる場合もあります。
ちなみに労災保険では、数年前から過重労働による過労死・精神疾患を起こす労働者が増えているとして、1カ月の残業時間が80時間か100時間を超えて、病気やケガになった場合は労災認定としています。
100時間は明らかに労災認定を超えてしまっているので、そのような企業はコンプライアンスは一切考えていないことは分かると思います。
新卒採用に異常にこだわっている場合
私がちょっと危険だと私が思うベンチャー企業は、新卒採用に対して異常な情熱を燃やしていることが多いです。
ベンチャー企業では、新卒文化を作りたい、少しでも優秀な人材を集めたいということで、派手な説明会をおこなったり、選考で異常な課題を出してそれを乗り越える人材だけ採用したりするというような動きがあります。
このタイプの企業は、中途採用においては特に負荷の高い選考を行いませんが、転職後は『即戦力だ』、『新卒より高い給料を払っている』として、異常に圧力をかけてきます。
ベンチャー企業にはブラック企業やそれに近い企業が混在してますが、情報は新卒採用情報からも仕入れることができます。
今の新卒採用はインターネット上のナビサイトで選考フローを簡単に確認することができますので、確認しておくことをおすすめします。
ベンチャー求人は見極めが重要!転職失敗のリスクあり!
ベンチャー企業は確かに給料、昇格スピード、フラットな環境、福利厚生面で良い面がありますが、それが満足できる環境かどうかは人により違います。
ベンチャー企業のデメリットは、やはりハードワークだと思います。
女性は特にそうですが、長期的に働くことは難しく、結婚後は家庭との両立ができないと思います。
また、性別に関係なく24時間、365日、結果が出るまで働き続けろといった精神の企業もあります。
このような企業は、転職で現状を解決して得るものが多いことを願っている求職者からすると、失うものの方が明らかに多いと思います。
転職成功は、『太く短く』ではなく、『細く長く』だと私は思います。
ベンチャー企業の求人は慎重に!
求職者は、転職活動で応募した企業の選考を受ける度に、企業のエントランスなどの付帯設備や面接官を通して入社意欲が上がることが多いものです。
しかし、あくまで実態はどうかを探りながら、得た情報を中心に考えた方が良いです。
面接官も選考となれば良いところを中心に話しますし、悪いところをわざわざ伝えることはありません。
最近はどの企業でも面接官の面接練習で、いかに求職者に訴求を与えるかを訓練しています。
企業からすると求職者を1人採用して失敗しても大してリスクはないのですが、求職者は1回の失敗がその後の人生にも大きく関わってきます。
最後になりますが、求職者のみなさんの大切な転職活動が最高の結果となることを祈り、これで話を終わりにしようと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。