【転職エージェントが語る】求職者は誰でも優良企業に転職したい!優良企業とはどんな企業か?
求職者のみなさんは、転職活動をする中で何を一番に考えていますでしょうか。
私がかつて転職活動をしたときは、まず『リスク回避』を重視していました。
そのリスクは、簡単にいうと『ブラック企業に転職しないこと』です。
ブラック企業に転職しさえしなければ、とりあえず失敗することはないと考えたためです。
今回のテーマは『優良企業』についてですが、優良企業を探すということはブラック企業には転職しないこととも言えると思います。
ブラック企業とは?
最近、国はブラック企業の撲滅ということで、企業規模の大きい企業から勧告を積極的に行っています。
ただ、現在転職エージェントとして活動する私から言わせると、ブラック企業は大手企業よりもベンチャー企業や中小企業に多いです。
ニュースで取り上げられているブラック企業の撲滅に関しても、ベンチャー企業や中小企業を先に対処した方が良いと思っています。
今の転職市場にある求人のうち大手企業の割合は多くても3割程度で、残りはベンチャー企業や中小企業です。
つまり、求職者はベンチャー企業の求人に応募する可能性が高く、その企業がブラックである場合も十分想定できます。
ブラック企業と社会保険労務士
近年の傾向として見られるものは、それぞれの企業が法令に詳しい社会保険労務士を採用しているということです。
社会保険労務士の本来の役割は、労働者にとって健全な労働環境を整備するために、企業にコンサルティングをすることです。
しかし現実はまるで違います。
社会保険労務士は企業と取引をして報酬を得ているため、どうしても労働者よりも企業側の立場に立ったアドバイスを繰り返す傾向にあります。
ブラック企業と労働基準監督署
また、国は労働基準監督署という機関を構えて法令違反をしている企業がないか確認していますが、この調査も非常に雑です。
私はかつて、企業の人事として労働基準監督署の調査を受けたことがあります。
労働基準監督署の調査は非常に緩いと感じましたし、この調査レベルではブラック企業を見つけることは難しいのではないかと思いました。
時間は30分程度で、企業の給与情報と出退勤の管理表を確認するだけです。かなり雑な印象がありました。
このような調査レベルですので、現在国はブラック企業の撲滅のために動いていますが、期待はしない方が良いと思います。
やはり、自分の身は自分で守る必要があるのです。
転職活動でブラック企業を回避していくことがリスク回避となり、転職後の求職者を救ってくれると思います。
ブラック企業の特徴
ブラック企業は会社の利益だけを考えて、労働者を捨て駒扱いすることがよくあります。
ブラック企業の経営者は『自分が労働者の給料を払っている』という一点だけを考えているので、すぐに給料を下げるとか言い出します。
普通では考えにくい高い成果を求め、基準に達しなければパワハラやモラハラは当たり前の厳しい叱責をしてきます。
ベンチャー企業では『アップorアウト』の考えを持つ企業もあります。
『アップorアウト』とは、給料や役職が上がるか、もしくは解雇ということです。
『アップorアウト』は外資系企業で生まれた言葉と言われていますが、日本にある外資系企業ではほとんど存在しません。
どこから仕入れたのか分かりませんが、昔の外資系企業の精神を自社の文化に持ち込んでいるベンチャー企業があるのです。
このような社風の企業に転職してしまっては、元も子もありません。
ブラック企業の見極め その1
転職前の企業を完璧にブラック企業かどうか見極めるのは至難の業だと思います。
転職エージェントである私も完璧に見抜く自信はありません。
ただし、求職者のみなさんが手にする求人にはヒントがあります。
求人からヒントをつかむことで完全な見極めはできなくとも、傾向はある程度つかめると思います。
私の転職エージェントでは、面談時に必ず求人の見方やブラック企業の傾向を伝えるようにしています。
大手の転職エージェントではこのようなアドバイスはあまりないようですが、私のような中小規模の転職エージェントであればアドバイスをしてくれるところもありますので、参考にしてみてはいかがかと思います。
モデル年収の項目をチェック
ブラック企業は求人に好条件と感じるような文言を並べます。
特に気にしてほしいのが年収など給料面の項目です。
私が転職エージェントとして違和感があると思うのは、モデル年収の幅が広いときです。
現職を持つ方であれば分かると思いますが、転職して1~2年で給料が一気に上がるということはゼロに等しいと思います。
しかし、ブラック企業はモデル年収で求職者に夢を与えて、これだけの報酬を手にすることができますと訴求しています。
モデル年収の最低額と最高額の間に300万以上の開きがある場合は、まず違和感を持つべきです。
従業員のモデル年収を改ざんしていることも想定できます。
正直なところ、多くの企業は従業員個々の昇給を大雑把にしか把握していないことが多いです。
私も人事担当として企業の採用に関わったことがありますが、転職エージェントの営業マンからモデル年収を聞かれて困ったことがあります。
『不問』という言葉はマジック
『不問』の組み合わせで応募資格の範囲を広げる手法はブラック企業の典型です。
未経験者歓迎という言葉も、場合によっては『不問』と同じになります。
ブラック企業でなかったとしても、かなり採用に苦戦していることが容易に想定できます。
なかなか母集団を確保することすらできないため、ハードルを下げて『求職者なら誰でも良いから、まず母集団』という心理になっています。
このような求人の場合は、ブラック企業か不人気企業である可能性が高いです。
どれだけ転職活動に苦戦していても、このようにハードルを下げている企業への応募は控えたほうが良いです。
選考ハードルも低くなっているため内定確率は高いと思いますが、転職活動は内定のためではありません。
あくまで、転職後に長期的に活躍するに転職活動をしているのですから、本末転倒にならないようにしてほしいと思います。
実力主義や成果主義は危険度が高い
実力主義や成果主義は、自分の働き次第でどうにでもできる最高の環境だと思う方も多いと思います。
しかし、世の中はそんなに甘いものではありません。
転職後に『前の会社の方が良かった。前の会社の評価は妥当だった』と後悔する方は非常に多いのです。
転職活動がうまくいかない求職者や、現職で自分の働きに見合う給料や評価を受けていないと考えて転職活動する求職者の方は、この実力主義や成果主義という言葉に魅力を感じてしまう傾向があります。
みなさんの働きぶりをじかに見ている訳ではないですが、そういった場合、現職での評価や給料は適正である場合が多いです。
現職での評価や給料に不満を持って、実力主義や成果主義をアピールする企業に転職しても良いことはないと思います。
営業職の求人は実力主義の傾向が強いですが、営業職は甘くありません。
未経験で転職しても、そう簡単に高い評価や給料を得るのは難しいです。
ブラック企業の見極め その2
求人からのブラック企業の見極めをご紹介してきましたが、次は法令的な観点です。
法令はデリケートな範囲になりますので、面接で面接官に法令を確認することは、面接評価を下げる一因にもなります。
転職エージェントを利用されている方はキャリアアドバイザーを通して確認した方が良いですし、転職サイトを利用している方は内定時に確認した方が良いです。
何と言っても残業代と残業時間
ブラック企業の典型は、やはり残業関係だと思います。
労働基準法では、『ノーワーク・ノーペイの原則』というもので労働に対しては成果に関係なく賃金を支払うことを義務付けています。
しかし、ブラック企業は『自己啓発』や『自主的』という、訳の分からない解釈をして残業代を払わないことが多いです。
弱者である労働者は何も言えず、泣き寝入りして最終的には自分が辞める事案が多いのですが、このような企業は求人を見れば何となく分かります。
最近多い残業代の仕組みは『みなし労働時間制』という、給料にあらかじめ一定の残業時間を含めて、別途で残業代を支払わないというものです。
しかし、中には『みなし労働時間制、100時間の残業代を含む』としている求人もあります。
100時間は労災認定の基準になり得ないことですし、企業は月の残業時間を40時間前後におさえる必要が企業にはあります。
しかし、ブラック企業は、法令も無視して堂々と40時間を超える残業時間を求人に記載することがあります。
この求人を見つけたら、むしろラッキーです。確実にブラック企業に応募しないことができるのですから。
有休取得率をチェック
有休を付与するかどうか経営者判断にする企業がありますが、これは完全なブラック企業だと思った方が良いです。
付与されているとしても、有休を自由に消化させない企業もあります。
このような企業は有休取得率がカギになります。選考中にキャリアアドバイザーを通して確認しましょう。
10%前後の取得率だと自由に有給を取得することができないと思った方が良いですし、50%未満の場合も忌引など以外では使えない場合が多いです。
離職率もチェック
また、離職率も重要です。
ブラック企業は離職率を求人に記載しないことが多いですし、記載したとしても適当に記載していることが多いです。
離職率には特に定義はありませんが、1年単位で見ることが一般的です。
しかし、1年単位で離職率を計算すると異常に高い数値となるため、ひどい場合は5年~10年単位で離職率を算出している場合があります。
求職者は必ず『離職率は1年単位かどうか』を確認しましょう。
私はかつて人事を経験していて、他社の離職率の算出期間を調べたことがありますが、優良企業は絶対に1年単位で測定しています。
ブラック企業はそもそも測定していなかったり、数年単位で算出していたりすることがほとんどです。
優良企業とは?
ブラック企業に転職することがなければ、それ以外の企業は優良企業の範囲だと私は思っています。
優良企業は求職者のキャリアビジョンや価値観により違いますので、一概に『優良企業はこれだ!』とは言えないのです。
しかし、そうは言っても優良企業の基準は法令順守です。
法令に準じた施策を積極的に行っている企業も優良企業と言えるでしょう。
最近は『ワークライフバランス』という言葉が浸透していて、女性の働き方についても強く見直す企業が多くなっています。
女性が働きやすい環境を整備している企業も法定順守していると言えます。
優良企業と言える企業の特徴
私は今回の執筆で、何度か『長く働く』という言葉をお伝えしてきましたが、やはり一番は離職率だと思います。
従業員の満足値が高ければ、離職率が上がるはずがないのです。
有休取得率や、残業代の集大成であり、すべての結果が離職率に表れていると思います。
離職率が低い企業は採用のアピールポイントとして大々的に謳っていますし、離職率が高い場合は聞かれるまで公開しないようにしていることがほとんどです。
私が転職エージェントとして数多くの企業と取引するなかで、離職率が低い企業は成長している企業が多く、法令順守もしっかりしていることが多いです。
ちょっとぜいたくを言うならば・・・
福利厚生が充実している企業は、従業員を本当の意味で家族や仲間と考えています。
毎月、従業員同士や経営陣とランチ会があり、その費用はすべて企業が持つということもあります。
また、男性の育児休業を整備している企業は本当に温かい社風を持っていることが多いです。
福利厚生の範囲を従業員の家族まで広げて、家族の誕生日には贈答品が届くような企業もあります。
女性に優しい企業も優良企業である可能性が高い
一般的にどの企業も女性より男性を優遇することが多いです。
しかし、これだけ女性の社会進出が増えているなか、女性の労働環境を軽視するのは避けるべきだと思います。
このようななか、一緒に働く女性労働者に対して結婚や出産を終えても長く働いてほしいと考える企業があります。
くるみんマーク取得の企業はワークライフバランスが充実している証拠
このような企業は、先ほどご紹介したワークライフバランスが整備されていて、国からも認定されるレベルの企業が多いです。
優良企業は『人』を財産だと考える
優良企業は何と言っても『人』を『財産』として考えていると思います。
企業は人なりという言葉がある通り、すべての経営は人が支えています。
つまり、企業が優良企業かどうかは経営者次第ということが言えるのです。
求職者としては、経営者がどのような人物であるかを見極めることは重要なことだと思います。
福利厚生なども経営者が最終的に判断しますし、企業の性格や考え方は経営者次第です。
インターネットで経営者の情報を検索することでも情報は得られると思います。
転職活動の成功の極意!
求職者は、転職活動する際に大きな妥協をしてはいけません。
『不問』のマジックに引っかかり、ブラック企業の網に捕まります。
また、自分の希望の企業を探す前に、ブラック企業を排除する動きが必要です。
ブラック企業をしっかり見極めることができれば、本当の意味で優良企業ではなくても普通の企業に転職できます。
優良企業かどうかは求職者それぞれに異なるかと思いますので、ブラック企業を排除できている状況であれば不安なく選考を進めることができると思います。
最後になりますが、求職者のみなさんが絶対に失敗しない活動ができることを祈り、今回の記事をこれで終わりにしようと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。