企業の状況により求職者にも向き、不向きがある!

転職活動では、どのような求職者でも絶対に内定を勝ち取れるとは限りません。

むしろ、書類選考や面接など、いずれかの選考フェーズで見送りになることの方が多いかと思います。

現在、転職エージェントとして求職者の転職支援を行っている私も、かつて転職活動を行ったときは見送りになることのほうが多かったです。

実際、私の転職エージェントを利用していて1社の応募で転職決定した方は数名程度です。1割を切っています。

選考段階で見送りになるということは、これまでの経験が企業から評価されていないと捉える求職者も大勢います。

企業の選考は絶対評価か相対評価か?

先ほどご紹介したように、求職者の職歴や経験が原因で選考見送りになる場合もありますが、必ずしもそれが中心とは言い切れません。

というのも、企業の採用は必ずと言って良いほど、相対評価を導入しているのです。

その求職者だけを見ている絶対評価であれば人間否定されていると感じても仕方ないこともありますが、そうではありません。

企業は複数の応募者を相対比較して、それぞれの長所や短所を比較しています。

求職者が企業を選んでいるのと同じです。

見送りが続くと自信喪失につながる

企業は相対的な判断で内定を決めますので、十分に採用基準に足りている求職者が複数いれば、企業は求職者同士を比較して採用するかどうかを決めます。

企業は見送りになった場合に明確な理由を教えてくれませんし、自分がなぜ見送りになったのか分からないまま見送りの回数が増えると自信を喪失してしまう場合が多いです。

しかし、実際はあくまで相対的な判断をしているだけですので、単純に他の求職者の方が上回っていただけのことです。

『転職市場って広いな。自分のキャリアは転職市場ではそこまで高くないんだな。』ぐらいの軽い気持ちで捉えていたほうが良いです。

転職活動はネガティブになると何もいかなくなります。

企業の選考で見送りが続くと変に自信をなくし、異常に緊張したり自信がない発言をしてしまうことはありませんか?

本来はそのような人材ではないにも関わらず、メンタルが求職者をそのようにさせてしまいます。

その面接も見送りになり、完全に負のスパイラルに入ってしまいます。

相対的な比較の他に・・・

次にご紹介する内容は、企業の状況と求職者との相性です。

企業は時期によって状況が違います。その状況を鑑みて求職者を判断しています。

『本当は採用したい人材だけど、今はレベルが高過ぎて責任を持てない』ということで見送りになることもあるのです。

私が人事をしていた時代に、実際このようなことはよくありました。

『この求職者はすごい経験と実績があって採用したいけど、今の自社ではもったいない』として、泣く泣く採用を見送りにしたことが何度もあります。

このような企業のステージごとに合う求職者と合わない求職者についてそれぞれご紹介したいと思います。

企業の規模の分類

  • 大手企業
  • 中小企業
  • ベンチャー企業

企業の時期の分類

  • 草創期
  • 拡大期
  • 多角期
  • 変革期

大手企業の場合、変革期以外は他のステージにあるということはあまりありません。

今の転職市場には大手企業よりも中小企業やベンチャー企業の求人の方が明らかに多いので、今回はそちらについてご紹介させていただきます。

企業が草創期の場合

草創期はよくアーリーステージとも言います。

企業としては『安定感まるでなし』と言えるぐらい先行きが不安定であり、順調に業績や事業を拡大できるか分からない状況を言います。

内部的には経営者自らが実務に従事して、その他の従業員はアルバイトやパートで賄っている場合が多いです。

資金としても限られた資金内で事業を行い利益確保まで至っていないことが多く、人件費を削減するために余分な従業員を雇用することができない状況にあります。

このように企業として安定感に欠け、労働環境として良いとは言えない草創期の企業に向いている求職者と向いていない求職者はどのようなタイプでしょうか。

このステージに向く求職者のタイプ

草創期のステージにある企業に向いている求職者は、企業の将来的な飛躍を求めるタイプです。

最近、若年層を中心に将来的な飛躍を求めて中小企業やベンチャー企業への転職を希望する求職者が増えています。

20代であれば、その企業が仮に倒産などで事業を継続不可能になったとしても、再度転職することでリカバリーできますが、30代中盤以降の場合は正直リスクが大きいと思います。

30代中盤の求職者は、自分の生活だけでなく家族を支える役割もあります。

タイプとしては向いていても、30代中盤以降の求職者は自分の生活環境を鑑みておかなければなりません。

創立した企業が創立3年を迎える割合は2割前後と言われています。

この確率の低さを参考にしていただきたいですし、めでたく3年を迎えても確実に飛躍しているかどうかは分かりません。

このステージに向かない求職者のタイプ

逆に草創期のステージにある企業に向いていない求職者は、企業に安定を求めるタイプです。

自分が草創期の経営者でなくとも、草創期のメンバーとして働くことは、経営者と同じぐらいヒリヒリする心境になり、落ち着く気持ちは持てないと思います。

極端なことを言えば、草創期のステージにある企業はとにかく事業を成長させなければなりませんので、その働き方は24時間365日フル稼働ということも想定できます。

ワークライフバランスは一切ないと考えた方が良いですし、家族や友人との時間は後回しになる状況は確実です。

もちろん、このステージを乗り越えて企業が成長した場合には、企業の経営陣となり高い給料は確実ですが、問題はその確率です。

私は個人的に、草創期のステージにある企業へ転職することは人生のギャンブルに近いと思います。

ギャンブルと聞くと聞こえが悪いように感じますが、人生を掛けて覚悟を持って転職しなければならないということです。

企業が拡大期の場合

拡大期とは、一般的に企業が事業の安定を確保して『さぁ、これから会社を大きくしていくぞ!』といったステージを言います。

まさに社内も活気にあふれ、自分のやりたいことができるような環境です。

株式上場を目指す企業も、この拡大期のステージにある企業が多いです。

ITバブル期はこの拡大期のIT企業が急増して、株式上場を目指す企業が多かったです。

業績も好調で、このステージで働く従業員もより高い還元を得ることができることが多いです。

私も、この拡大期の企業に在籍していたことがありますが、仕事は忙しいものの非常にやりがいを感じ、還元も多かったです。

転職市場で中小企業やベンチャー企業への転職を希望するのであれば、この拡大期のステージにある企業の求人をいかに拾うかが大切です。

このステージに向く求職者のタイプ

この拡大期のステージにある企業に向いているタイプの求職者は、安定感のある基盤のなかで企業と共に成長したいとしている求職者や、将来自分も起業したいと考えている求職者です。

前者は『おいしいところ取り』に聞こえますが、労働環境はハードワークで成果に厳しい環境を持つ企業が多いです。

また、将来自分も起業したいと考えている求職者には、この拡大期は最高だと思います。

草創期は確かに創立間もない会社状況を一番近くで経験することはできるのですが、あまりにリスクが大きいです。

拡大期となれば、企業に安定感があるなかで経営者の近くでダイレクトにコミュニケーションを取ることができます。

運が良ければ株式上場により株での収入も確保し、将来の起業の際の資金に回すこともできるでしょう。

私の友人のなかには、まさにこの典型的な恩恵を手にしてそのまま起業した友人が何名かいます。

今も成功をおさめている友人もいれば、倒産して転職活動している友人もいますが。

このステージに向かない求職者のタイプ

逆にこの成長期にあるステージの企業に向かない求職者のタイプは、成長意欲はあまり高くなく競争を好まないタイプの求職者と言われています。

転職エージェントとして、成長期のステージにある企業の社内環境や従業員と接することがありますが、従業員の成長意欲や仕事に対するモチベーションはものすごく高いです。

このような環境になじめなければ早期に退職してしまうと思いますので、転職後にどのような働き方ができるのかイメージすることが大切です。

この成長期にある企業は、どの企業も従業員に対して高い成果を求める実力主義を引いている場合が多いです。

年齢が若い人材でも実力や実績があれば自分の上司になることがありますし、その逆もよくあります。

企業が多角期の場合

次に『多角期』にある企業についてです。

企業は、成長すると一つの事業を中心にいくつかの事業を展開することが多いです。

複数の事業を持つことで、一つの事業で収益性がなくなっても他の事業で補えるためです。

この時期にある企業は、実は草創期ほどではないもののリスクが高いと言えます。

成長期を経て成長している企業でも、新規事業のすべてが成功するとは限りません。

それまでは企業として成長していても、新規事業の失敗が大きく倒産や業績低下しているということはあります。

このステージに向く求職者のタイプ

この多角期にある企業に向いている求職者のタイプは、株などの恩恵はなくとも自分の経験を生かしたいと強く思っていて、自信を強く持っている求職者です。

多角期のステージにある求人の多くは新規事業に関わる中心的な人材であることが多いです。

年齢よりもそれまでの実績や経験を重視されます。

また、選考基準も極めて高く相対的な評価も強く受けます。

自らは経営者としての働き方は希望しないとしても、経営者と同じような立場で仕事がしたいという求職者は向いていると思います。

企業のトップではなく事業のトップとして仕事をしたいと考えている求職者はオススメです。

このステージに向かない求職者のタイプ

多角期に向かない求職者のタイプは、あまり責任を持ちたくないと考える求職者です。

この多角期の求人は、責任の大きいポジションの求人が多いため、転職後に経営にも実務にも半分ずつ関わりたいと考える求職者は控えましょう

私は個人的に、多角期のステージにある企業に向かない求職者は、成長期のステージにある企業が向いているように思います。

中小企業やベンチャー企業が変革期のステージの場合

次は『変革期』のステージにある企業です。

この変革期とは、企業としては今後さらに成長するために方向性を再検討しているステージです。

企業によって業態を変えることも視野に入れている企業もありますし、日本だけではなく海外で事業展開すると考える企業もあります。

極端な話、企業の文化を刷新するとして経営陣を入れ替える企業もあります。

変革期にある企業は、企業内・事業ともにマンネリ化していることが多く、何かを変えなければ時代の流れについていけないと危機感を持っている場合が多いです。

もちろん、転職後はしっかりと仕事をすることができる環境はありますが、それまで積み重ねた仕事が意味のないものになることもあるようです。

このステージに向く求職者のタイプ

このステージに向く求職者のタイプは、変化に柔軟に対応できる求職者です。

すでに企業規模としてその枠を超えている企業も中にはあり、メガベンチャー企業と呼ばれることもあります。

やりがいもありますが、変化が多いステージになりますので総合的なビジネススキルをアウトプットしたいと考える求職者は良いと思います。

ちなみに、ここまで企業として成長すると株式関係の恩恵はまずないと思った方が良いです。

このステージに向かない求職者のタイプ

この多角期のステージにある企業に向かないタイプの求職者は、柔軟性に欠ける求職者や、自分の専門分野でスキルを生かしたいと考える求職者です。

このステージの企業の社内的な特徴は、社内異動が頻繁にあります。

転職時だけではなく、転職後のことも想定して内定が出た場合にどうするか決めた方が良いでしょう。

転職活動は相性と相対評価

どれだけ優秀な人材でも、応募した企業との相性や、ニーズが合わなければ内定はでません

ネガティブになって焦って不本意な会社に転職するのはやめましょう。

転職活動は自分自身との闘いでもあります。

理由も教えてもらえず見送りになった結果だけを悩んでいては、前に進めません。

結果に対して前向きに捉えるか後ろ向きに捉えるかにより、求職者に与えるものは違います。

最後になりますが、求職者のみなさんの転職活動が最高のものとなることを祈り、今回の話を終わりにしようと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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