転職は求職者にとってどのようなメリットとデメリットがあるのか!
求職者のみなさんは転職活動をしているなかで、転職が自分にどのようなメリットがありデメリットがあるのか、じっくり考えたことはありますか?
抽象的にしか考えたことがないという求職者の方は、これを機会に自分が転職することでどのようなメリットやデメリットがあるのか整理をしてみると良いと思います。
転職市場は情報が錯綜(さくそう)することが多く、それにより自分が本来、転職にどのようなメリットを期待して、どのようなデメリットに不安を持っているのか分からなくなることもあります。
求職者のみなさんは、自分自身の転職になりますので、自分になるべくメリットがある転職をすることが必要です。
今回のテーマは?
今回は転職にどのようなメリットやデメリットがあるのかを、客観的に、そして一般的な範囲でご紹介したいと思います。
私は現在、転職エージェントとして求職者の転職支援をしていますが、こちらからしか知り得ないメリットやデメリットもあります。
また、転職エージェントとして活動する前は、求職者として転職活動をした経験がありますので、当時の経験から思うメリットやデメリットも含めていきたいと思います。
いったんゴールとなる転職にどのようなメリット・デメリットがあるのかを知っておき、その結果によっては転職活動をして内定が出たとしても転職しないという判断もありだと思います。
ぜひ、今回のテーマを自分の転職に役立てていただければと思います。
転職が求職者に与えるメリット
まず、転職が求職者のみなさんに与えるメリットから。
自分のキャリアを作ることができる
求職者のみなさんは、新卒で企業に入社して、周りの協力を受けながらキャリアを積んできたと思います。
このキャリアは経験と言い換えることができるのですが、これまで積み上げてきたキャリアを転職した先の企業で生かしたいと考えることもあるでしょう。
今の時代は、転職が一つの文化になっていて、一つの企業に長年勤めてもキャリアを積み上げることが難しいという面もあります。
そのため、求職者の多くは、自分のキャリアをさらに積み上げるため、また、現職では積み上げることができないキャリアを目指して転職することが多いです。
この「新しいキャリアを積みたい」という理由で転職することは前向きな要素が多く、転職エージェントとして私は賛成です。
ビジネスマンとしての市場価値を上げるためには、何よりキャリアです。
求職者のみなさんのなかには、生涯で何度か転職することを想定している方もいると思います。
今回の転職で新しいキャリアを積むことで数年後に控える転職では、さらに高いキャリアへ転職することができます。
これまでと同じ職種での転職、これまでとは違った職種での転職、どちらにおいても、転職に新しいキャリアを希望することは良いと思います。
解決できないことを解決することができる
現職で不満はないとしても、自分がやりたいことができないということはないでしょうか。
私は求職者時代にこの理由で転職しています。
求職者のみなさんが在籍する企業は、どの企業でも多くの従業員がいる組織で成り立っています。
企業は個を見て組織を考えるのではなく、組織を見て個を考えることが基本です。
そのため、自分がやりたいことができない、「個」である自分が解決できないことが多くあります。
そこで、自分がやりたいことをやるために転職をするということは、メリットとして挙げられます。
実際に、現職では大手企業に在籍し、転職先にベンチャー企業を選ぶという求職者の方が多くいます。
こういった転職者の多くは、大手企業では裁量のある仕事ができないため、まだ成熟していないベンチャー企業で裁量のある仕事に関わろうとするのです。
こういった転職理由は求職者の方の今後のキャリアを考えても前向きなことであり、面接官も好感を持ちます。
自分の市場価値を確認できる
私は、民間企業で十数年にわたり人事を経験しているのですが、他の企業の人事はどのような面接を行い、どのような選考基準を持っているのか知りたいと考え、フェイクで転職活動をしたことがあります。
同時に、今の自分の経験は転職市場でどれぐらいの価値があるのか知りたいとも思っていました。
求職者のみなさんも現職の社内からだけでなく、社外からどのような評価を受けるのか、また自分にどれほどの価値があるのか知りたいと思います。
私のようにフェイクの転職活動で市場価値を確認しても良いですし、現職よりも高い価値をつけてくれた企業にそのまま転職しても良いと思います。
今の日本の労働市場が終身雇用制度ではなくなった理由に、市場価値という概念があります。
1社に長年働いていると、本当はもっと高い価値であるにも関わらず、それを知らないままビジネスマン人生を終えるということも考えられました。
しかし、今では転職が文化になり、多くの求職者が自分の市場価値を再確認することができているのです。
中には、自分が思うよりも市場価値が低いと知り、転職はしないという選択を取る方もいます。
転職は無理に行うものではなく、メリットがないのであれば現職にとどまった方が得策です。
現職を退職してしまうと後戻りはできませんが転職はいつでもできます。
新しい自分に会える
会社では在籍期間が長ければ長いだけ古株となり居心地が良くなると思います。
経営者と同じぐらい企業のことを知っている場合もあり、従業員から慕われる存在になるでしょう。
しかし、その現状に満足せず、いかに企業の業績に貢献できるかによりビジネスマンとしての評価が決まります。
マンネリ化してしまった不満がない現状が不満と考えて、転職する求職者の方もいます。
不満がない現状は普通です。
現状に満足して普通のビジネスマンライフを送ることが悪いこととは言いませんが、進化しているとも言えません。
ビジネスの世界は日々変化している状況を踏まえると、転職して自分を厳しい状況に置いてみるということもメリットだと思います。
こういった考えで転職する方は若い男性に多く、将来は経営者や企業の幹部になりたいと考えています。
経験を生かすことができる
転職職市場は、求職者のみなさんの経験を、採用活動を行う企業が評価する市場です。
そのため、みなさんの最強の武器は、それまで仕事で身に付けた経験です。
これまでの仕事に成功も失敗もあったと思いますが、そのすべてが経験です。
20代はインプット、30代はアウトプットの時期とよく言われますが、30代の求職者はこの「経験を生かす」というメリットを感じて転職することが多いです。
管理職として転職をする方は、マネジメントスキルの向上も含めて、これまで得た経験を転職後に役立てて自分もそれを通じて成長したいと考えています。
人脈が広がる
現職では毎日同じメンバーと顔を合わせることになり安心感があると思いますが、一度転職してしまえば、職場の全員が会ったことがない人達です。
その環境に身を置くだけでも人脈は広がります。
違う業界に転職すれば、それまで全く関係なかった人達と仕事をする機会ができますので、この場合でも人脈が増えます。
この人脈を転職のメリットとして考える求職者は男性に多く、特に営業系の職種の方が多いです。
企業の直接部門として仕事をする求職者の方は、このメリットが大きくなります。
転職後にこのメリットを強く感じる求職者の方も多いですし、私は転職エージェントとして全うなメリットだと思っています。
ここまで転職における求職者の方が受けるメリットをご紹介しましたが、いかがでしょうか。
求職者の方がいる現状を踏まえて、この一般的なメリットに肉付けしてみるとより多角的な視点で自分の転職活動を把握することができると思います。
転職が求職者に与えるデメリット
続いて、転職におけるデメリットです。
リスクを徹底的に排除してから攻める方が安全だと思います。
転職に絶対の保証はないからです。
転職前に面接官などから受ける印象はあくまで表面上のものです。
面接官も面接のプロですので、求職者のみなさんに良い印象を与えるような面接をします。
なかには、面接とは全く違うブラック企業もあります。
求職者のみなさんが転職したあとも、一定期間は非常に気を使い表面上の付き合いになることは否めません。
そう考えると、求職者のみなさんも企業でうまくやっていくことができるかどうか不安が残ると思います。
求職者のみなさんは、転職の成功の前に絶対に失敗しないようリサーチをした方が良いと思います。
成功は転職後に分かることで転職時には分からない
転職エージェントをしていると、企業から希望通りの内定が出て非常に大喜びする方もいます。
この気持ちは分かります。
不安が大きいなかで自力で転職活動を頑張り、ライバルとなる他の求職者に勝ち、内定を勝ち取ったのは賞賛に値します。
しかし本当に喜ぶべき段階は、転職後に自分がその企業でやっていけると感じたときです。
企業には試用期間があります。
この試用期間は企業が求職者の方を採用後に見極めるためのもので、採用した方の継続雇用が難しいと判断した場合、容赦なく雇用契約の終了を通達できます。
これは法的にも認められた企業に与えられる当然の権利です。
購入した商品が自分が想定していたものと違かったら返品できるのと同じ仕組みです。
求職者のみなさんは、内定が出て転職したと言っても、気を抜いてはいけません。
企業によって試用期間の長さは違いますが、最長で半年ぐらいを試用期間にしている企業もあります。
また、試用期間中に企業が期待した労働の質ではないと判断した場合、給与や役職などの労働条件を変更することもできます。
試用期間にはまだ選考が続いているようなもので、その期間は企業に見られています。
本当に喜び、安心する段階は、試用期間が終わり、自分もその企業でやっていけると思ったときだと思います。
コラム:転職エージェントとして思うこと
求職者のみなさんは、転職に対して過度な期待はしない方が良いと思います。
人は感情が高ぶりモチベーションが上がるときは、冷静に判断することができず、その時点での不安は解消されます。
本当は、「転職後はどういった働き方ができるのか?」という不安があるべきところですが、喜びが強くなりそれを忘れてしまう方もいます。
大喜びする気持ちも分かりますが、内定後にいったん落ち着いて転職後のことについて考える時間や機会を作った方が良いと思います。
そうすることで、不安はまた戻ると思います。
不安を持ってくださいと言いたいのではなく、少しでも転職後の不安を解消する準備をしてほしいということです。
転職エージェントとして、希望通りの企業から内定をもらって喜んだ求職者の方が、転職後にふたを開けてみると自分のイメージと違ったという方も知っています。
最悪、労働条件そのものが違うブラック企業だったという人が私の友人にいました。
それでは内定時の喜びはぬか喜びになってしまいます。
内定から転職日までの間にできることはあると思います。
内定期間中に怪しい情報などが見つかれば、退職表明を取り消すことはできます。
転職活動で大切なこと
求職者のみなさんは転職活動において、それぞれに独自の考えを持って活動されていると思います。
ただ、転職活動で大切なことは、メリットとデメリットのバランスです。
転職には必ずメリットとデメリットが混在します。
メリットだけの転職は絶対にありません。
デメリットへの妥協のバランスをコントロールしましょう。
そうすることで、転職後にデメリットを見つけて相性が合わなくなるということにはならないと思います。
最後になりますが、求職者のみなさんの転職活動が充実し有意義なものであることを祈り、これで話を終わりにしようと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。