内定取り消しは転職活動でも起こる?【現役エージェントが事例で語る】

みなさん、こんにちは。

求職者のみなさんが転職活動をする上で、一旦のゴールは内定を勝ち取ることだと思います。

転職活動をしても必ず内定を勝ち取れるという保証はどこにもなく、常に不安が付きまとうことだと思いますが、その不安から解放される瞬間が内定です。

筆者プロフィール
名前: 小玉崇
転職エージェント歴:10年
転職経験:3回
利用したエージェント:27社
現在の年齢:41歳
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今回のテーマは?

大体の求職者の方は、人生にも大きな影響をもたらす可能性がある転職活動や転職に対して不安が大半だと思います。

不安が大きい分、転職活動の結果、勝ち取った内定は何より嬉しいものだと思いますが、その後に何らかの理由により、ウソのように消えてなくなるということもあり得ます。

今回のテーマは、内定と内定取り消しを主人公にして、内定を取り巻く環境を含めて話を起こしていこうと思います。

さて、そもそもとして、求職者のみなさんは内定という意味をご存じでしょうか?まずは、内定とは?というところから今回の話をご紹介できればと考えています。

そもそも、内定とは何?

内定とは、簡単に言ってしまえば、労働者が企業に入社する権利を言います。

この内定は、内々定とも言われるのですが、内々定と内定の大きな違いはありませんので、ここでは内定という言葉で共通とさせて頂きたいと思います。

労働者からすると内定は企業に入社する権利を得たという証明になりますが、企業側からすると内定はどのような意味があるのでしょうか。

内定は入社確約という意味ではない!?

企業側から内定を考えると、自社の入社選考に合格した労働者へ入社する権利を付与することになります。

つまり、入社する権利を与えるというだけで、入社確約ということではありません。

もちろん、労働者側からしても同じことが言え、入社する権利は得たとしても入社確約の権利を得たという段階までは至っていないのです。

最近は、日本経済の景気が回復傾向にあり、どの企業も積極的に求人を公開して新規人材の確保をしていますので、『内定取り消し』という言葉は聞くことは少ないと思います。

そのため、年齢が若い求職者のなかには、内定という言葉は知っていても、内定取り消しという言葉は知らないという、幸せな求職者の方もいます。

退職タイミングの兼ね合い

企業の都合によりいったん付与された、入社する権利の証明である内定を取り消すということは、求職者の方からすると、不測の事態以外の何ものでもありません。

では、なぜ、求職者の方からすると内定を取り消されてしまうと困った事態になるのでしょうか。

求職者のみなさんは、大体の場合、現職に在籍して現職には転職活動をしていることを伏せて、内定後に現職に退職する意思を表示すると思います。

現職に退職を伝えるタイミングが問題

現職に在籍しながら、内定を勝ち取ったタイミング、つまり、次の企業に入社する権利を持ったタイミングで現職に退職することを伝えることがベストのタイミングだと思います。

これ以上できないというぐらいリスクテイキングした転職活動だと思いますし、求職者の方自身に何の落ち度も見当たらないと私は思います。しかし、内定取り消しとなった場合はどうでしょうか。

内定を勝ち取り、満を持して現職に退職意思を伝えたにも関わらず、その後、内定先の企業側から内定取り消しの連絡を受けることになった場合、労働者の方のその立場はどうなるでしょうか。

天国から地獄へ・・・

既に現職には退職届により退職意思を伝えて、内定期間中に内定の取り消しを受けた場合、現職の退職日を過ぎると無職ということになります。

求職者のみなさんは、これから経験するかと思いますが、現職を退職したいという希望を持って転職活動を行い、その結果、内定を勝ち取った場合の内定獲得から内定期間は、天国です。

退職したいと願っている現職を退職することができて、しかも、内定先の企業に転職するまでは、何のプレッシャーもなく時間を過ごすことができます。

内定取り消しによって職を失うのは天国から地獄に落ちる感覚!

求職者の方によっては、この期間を利用してリフレッシュの意味も含めて旅行など自分が普段できないことをする方も大勢います。

本来、このように天国期間とも言える状況のなかで、内定取り消しという事態により、一気に天国から地獄に突き落とされることになってしまいます。

私は求職者時代にこのような経験を受けたことはありませんが、想像するだけでもこの恐怖感があります。

実際にあった内定取り消しの事例

求職者のみなさんには内定取り消しという最悪な事態を経験して欲しくないですが、私の友人に内定取り消しを実際に受けて、その後の人生が変わってしまった友人がいます。

そのエピソードを踏まえて、どれだけ内定取り消しが求職者の方にマイナス的なインパクトを残すのか、リカバリーにいかに多くの時間が必要なのか知って頂ければと思います。

本来は、この内容は求職者のみなさんではなく、企業の採用に関わる人に読んで頂きたいのですが、求職者のみなさんも自分には関係ない話だとは考えないで欲しいです。

ベストタイミングでの転職

私の友人は、当時、年齢が30歳で、転職市場としては、ベストのタイミングでした。

しかも、それまでの転職経験がゼロで、新卒で入社した企業にそれまで一貫して在籍していました。

その友人の経験職種は人気職種とも言える広報の仕事で、しかも、当時は、今の転職市場と違って、求人数が少ない求職者の方にとっては不利な買い手市場でした。

苦戦の末、内定獲得!!

人気職種、かつ、買い手市場ということで、転職活動に苦戦していたのですが、何とか自分が希望する条件通りの企業から内定を勝ち取り、翌日には現職に退職意思を伝えたそうです。

私の友人は、有休日数が多く残っていて、現職での1カ月の引き継ぎ期間後は、在籍しながら有休を消化することのできるスケジュールで最高の状態でした。

業績悪化により内定取り消し

引き継ぎ後から転職日の1カ月間は、有休消化で海外旅行へ出かけたそうですが、その海外旅行中に利用した転職エージェントから内定取り消しのメールが入ったそうです。

私も、その友人から転職エージェントが送信した内定取り消しのメール内容を見たのですが、理由は、企業の業績が悪化して、雇用することが難しくなったためということでした。

企業からすると、企業としても不可抗力ではあるのですが、業績不振と言っても、その企業は倒産するという事態ではなく、企業として継続できる状況にありました。

無職期間への不安で頭がいっぱい

しかし、内定取り消しを受けたその友人は、既に現職を退職することは決定していて、内定先の企業にも転職することができないということは無職です。

私の友人は、海外旅行を終えると、何の当てもない無職になってしまうことが、この段階で決定しています。

こうなると海外旅行どころではないですし、無職期間をどう回避するのかで頭はいっぱいだったとのことです。

内定取り消しに対する補償は一切なかった

弱者となる求職者である私の友人は、その立場を更に弱くする無職になってしまうというこの状況は、求職者の方からすると無力感とむなしさがいっぱいだと思います。

その友人は、何とか転職できないか交渉したものの、それも叶わず、しかも、内定取り消しの補償は、業績不振によるものであるため、何もありませんでした。

私の友人は、不安がいっぱいの転職活動の結果、無職になるという本人も全く想定していない結末を迎えたのです。

無職状態から再び転職活動をスタート

私の友人は、幸いなことに、ある程度の貯金があったため、気持ちはなかなか切り替えることはできなかったようです。

それでも再度、無職状態で転職活動を行いましたが、先程もご紹介した通り、広報という人気職種であり、しかも、当時は買い手市場ですので、思うような成果を得ることができませんでした。

広報ではない営業職での転職

結局、貯金との兼ね合いもあり、長い期間、広報に拘り転職活動をする余裕がなかったため、私の友人は、本来は希望していなかった、未経験の営業職での転職をしました。

業界はIT業界で、女性の体力としてはハードな労働環境でしたが、私の友人は何とかその過酷な労働環境を3年耐えて、その後、その企業の社内異動で広報に戻ることができています。

私の友人は、内定取り消しから約4年かけて、本来の広報に就くことができたのですが、この友人のように期間はかかっても内定取り消し前の職種に就くことができたことは、まだ幸いなことです。

内定取り消しを受けても良い状態を作る

これからご紹介する、内定取り消しを受けても求職者のみなさんが自分を守るためには、現職に多少の被害をこうむることになりますが、これは仕方ないことだと割り切る勇気が必要です。

弱者である求職者のみなさんが内定取り消しなど不測の事態に陥った場合、最悪の無職期間を回避する方法が一つあります。

その方法は、内定後すぐに現職に退職意思を伝えるのではなく、内定先の企業への転職日の直前に退職を伝えることです。

退職申請と退職日に関する取り決めに法的拘束力はない

一般的に、どの企業にも就業規則により退職意思から退職日まで最低でも1カ月ぐらいの猶予を労働者に義務付けています。

しかし、それは法的には何ら効力のあるものではないため、ある意味では、無視できる範囲のことです。

若干、倫理観や道徳観に欠ける部分は否定できませんが、万が一、内定先の企業から内定取り消しを受けた場合、無職になり不遇の状況になるのは、求職者のみなさん自身です。

ドライに構えて、自分の身を守ろう!!

また、求職者のみなさんが現職に退職直前に退職意思を伝えた場合、一時は引き継ぎなどのことで困ることにはなりますが、企業は組織ですので、他の従業員でカバーすることができます。

是非、ドライな考え方を持つことも大切で、労働市場、転職市場ともに弱者である自分の身を守るためにどのようなことが考えられるのかを優先的に考えて良いと私は思っています。

直前と言っても転職日前日に伝えることはあまりに厳しいと思いますので、1週間前ぐらいに退職意思を伝えることで、十分だと思います。

企業の引き継ぎ対応

求職者のみなさんのなかには情に厚く、退職するとは言え、しっかりと正規のフローに乗って退職手続きを行いたいと考える方も多いと思います。

みなさんは、企業は労働者が退職することで、後任を採用する必要もあり、また、引き継ぎまでに時間が必要ということで、急な退職に対して困惑すると思われるでしょう。

しかし、私はかつて人事といて企業に在籍していたため、企業の本音を知る機会が多かったのですが、ある労働者が退職するからと言っても、引き継ぎにそこまで時間を必要とすることありません。

また、後任についても社内異動で対応すれば事足りる状況ですので、本当は、1人が退職するぐらいで、困るということはあまりありません。

急な退職を拒むのは上司の仕事量が増えるから!

では、なぜ急な退職を拒むのでしょうか。その理由は、求職者のみなさんの直属の上司です。急な退職となれば、その分、上司がその仕事を担当することになります。

それは仕事量が増えることを意味しているため、後任が決まるまでは、退職する労働者でもある求職者にみなさんに退職して欲しくないと考えます。

企業としては、退職によりそこまで困ることはありませんが、上司としては非常に困る状況になります。

内定取り消しで何の補填もないことは違法ではないのか?

私の転職エージェントを利用して頂いている求職者の方から、『内定取り消しの場合、その企業から何かしらの補償がないのは違法ではないか?』という質問を受けたことがありました。

結論から言いますと、業績不振などやむを得ない理由による内定取り消しの場合は、その企業は特別な補償をする必要はありません。

ただし、業績不振などの場合は、明確な証明書を発行する必要がありますし、それが行政に認められない場合は内定取り消しは不当であるとして争うことができます。

内定取り消しには法的手段で対抗できる可能性がある!

この場合、労働基準法はあくまで、求職者のみなさんが転職後に労働者となった場合に適用される法律ですので、民法などその他の法律で争うことになります。

また、内定取り消しという事実は、求職者のみなさんからすると死活問題に発展する重大な問題ですので、余程のことがない限り、企業は内定取り消しを認められることはありません。

なお、私の転職エージェントが取引する企業には、業績不振となった場合は、入社時期を延長し、その延長期間については、給料に見合う補償金が支給されたこともあります。

内定取り消しは基本的に違法!!

内定取り消しは、企業としては最後の手段であり苦渋の選択ですが、求職者のみなさんは、自分の今後の人生を補償してくれることはありませんので、変に優しくなる必要はないと思います。

内定取り消しは、余程の理由がない限り、違法になりますが、業績不振などやむを得ない理由の場合は、補償がなくても違法ということはありません。

内定はあくまで内定!本当の安心は転職後!!

求職者のみなさんは、内定が出ると、風船の空気が抜けるようなイメージで一気にその緊張や不安から解放されて安心感が出ると思います。

この気持ちは、求職者だったことがある私も同じ経験がありますし、気持ちは痛いほど分かります。しかし、本当の安心は、内定ではないです。

内定はあくまで内定で、入社する権利を得たというだけに過ぎません。内定は転職ではないです。

求職者のみなさんは、是非、自分の転職活動を長い目で見て頂き、内定や転職という一点で安心や喜びに浸ることは控えた方が良いと思います。

求職者のみなさん自身の人生でありビジネスライフです。自分の身は自分で守る決意を持って転職活動を行って欲しいと思います。

最後になりますが、求職者のみなさんの転職活動が充実し有意義なものであり、転職後も自分らしく仕事ができることを祈り、今回の話を終わりにしようと思います。

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