【転職エージェントが語る】北海道、札幌での転職はじっくり慎重に見極めよう!
最近日本では、都心部から離れて自然豊かな地方へ移住する人が増えています。
移住はちょっとしたブームになっているのですが、求職者のみなさんのなかに移住を考えている方や移住を考えたことがあるという方はいますでしょうか。
私の友人にも何人か都心部から地方へ移住した友人がいます。
今の日本は移住しやすい環境にあり、国や地方自治体は活性化のために補助金などを用意して移住を推進する動きがあります。
移住先で人気がある地域はいくつかあるのですが、そのなかでも北海道は人気移住エリアになっています。
今回の記事の目次
今回のテーマは?
自然が多く食べ物もおいしい、そして物価が安いと、生活するには便利な面が多い北海道ですが、いくら国や地方が補助をしてくれても移住後に一生面倒をみてくれる訳ではありません。
一定期間は補助してくれますが、それ以降はすべて移住者の責任であり生活費は自分で稼ぐ必要があります。
当たり前の話なのですが、移住にあたり何より重要なことは仕事です。
今回のテーマは北海道の転職ということですので、移住だけではなく、既に北海道に住んでいる方で転職を希望する方にも役立つ内容にしたいと思います。
北海道の労働環境
私は現在転職エージェントとして活動していて、メインエリアは都心部になるのですが、いちおう日本全国の求人を扱える立場にあり、そのなかには北海道も含まれていますのである程度の労働環境などは把握しています。
そういった情報をもとにいろいろな角度から情報をご紹介できればと考えています。
まず、北海道には主要都市と言えるエリアがいくつかあのですが、やはり転職ということで考えると札幌地域が中心になるかと思います。
札幌以外の地域には農業や漁業の求人が多くあります。
私も仕事やプライベートで何度か北海道に行ったことがありますが、同じ北海道でも札幌と札幌以外では雰囲気が全然違いますし、経済の発達具合や人口も全く違います。
そのため、多くの企業が札幌に拠点を構えて事業を展開しています。
なかには本社を都心部に置き支店として札幌に拠点を置く企業もあれば、本社が札幌で日本全国に拠点を持つ企業もあります。
このような観点から、北海道ではビジネスの中心は札幌であり、札幌を中心に労働市場があると言って良いと思います。
札幌の転職市場
札幌には北海道を代表するメーカー企業も多くありますし、本社を都心部に置く支店も多くありますが、どちらの企業に転職するとしても面接場所は札幌であり、職場も札幌がメインになります。
札幌にある企業数は日本でも上位に入るレベルで、東京、大阪、名古屋、福岡の次に企業数が多いと言われています。
企業数は東北の中心地である仙台よりも札幌の方が多く、経済も発展しています。
転職市場は経済の影響を大きく受けますし、エリアごとの経済状況もそのエリアの求人数に影響しするので、転職しやすい環境と言えるでしょう。
地方に移住を考えている方の多くは仕事に不安を感じていますが、北海道に関しては十分な仕事の数があると思って良いと思います。
北海道には農業や漁業のイメージがあるため、一般的な職種の求人は少ないのではないかと心配する求職者の方もいると思いますが、実際には多くの業界・職種の求人があるためきちんと仕事を選ぶことができると思います。
北海道の労働条件
一応お伝えしますが、転職するエリアがどこでも転職活動の方法は基本的に変わりませんし、北海道と都心部での転職もほとんど変わりません。
私の転職エージェントに、地方へ移住するということで地方での転職活動のコツについて相談に来た方がいましたが、どの地方でも仕事は仕事ですし転職は転職です。
転職活動においても特別な違いはありません。
さて、札幌の労働条件からご紹介したいと思います。
札幌の給料について
冒頭で北海道は物価が安いとお伝えしました。
それは間違いありませんが、給料は物価に比例しするため、給料が高くないのではないかと考える方は多いと思います。
しかし、札幌は日本のなかでも中心的な都市です。
札幌は物価という意味では日本の中でかなり安いエリアに入ると思いますが、その物価の安さから考えると札幌エリアの給料は高いです。
都道府県別の平均年収の順位で北海道は20位ぐらいです。
物価の安さは確実に上位に入るにも関わらず、平均年収は日本でも20位前後です。
札幌というエリアは良い意味で物価と給料のバランスが崩れているため、移住後はある程度余裕のある生活ができるように思います。
私の友人に、北海道の大学を卒業してそのまま札幌で就職した友人がいますが、若いうちから車を持っていて家賃は安く、それに比べると給料は高いということで、余裕ある生活を送っています。
札幌の労働時間について
次に札幌に拠点を置く企業の労働時間ですが、札幌は地方とは言えど労働時間が短いということはありません。
一般的に、地方の場合は生活リズムがゆっくりしていて、仕事に対してもある程度ゆとりを持って進める雰囲気がありますが、札幌は事情が違います。
もちろん企業によって多少の違いはありますが、所定労働時間を8時間として残業も普通にあります。
ただ、札幌を離れるごとに仕事に対する向き合い方は変わり、労働時間が短く残業もほとんどない企業が多くなります。
札幌というエリアは、物価と給料の関係性を見ても分かる通り、都心部の要素と地方の要素が混在している不思議なエリアと言われています。
札幌の休日、休憩について
休日と休憩も労働時間と同じようなイメージです。
都心部に本社を持つ企業の場合は、本社と同じ労働時間、休憩、休日の規定が適用されます。
逆に本社が札幌である地場の企業は、独自のスタイルで労働条件を組んでいることが多く、休日、休憩については、業界や業態により異なり、サービス業などのBtoCとして顧客に直接、商品やサービスを提供する職種については、休日日数は少なく、平日に休むのが基本です。
その他の一般的な職種については、土日、祝祭日が休みで、年間休日日数も平均の120日とほぼ同じである企業が多いです。
札幌で転職しようと考えている求職者の方は、仕事については都心部と変わらない感覚で良いと思います。
転職においても都心部で転職活動した通りにすることで良いと思います。
札幌での転職方法
札幌以外のエリアの転職方法は後述でご紹介しますが、まずは札幌で転職を希望する求職者の方に向けて転職方法をご紹介したいと思います。
基本的には、都心部の転職活動の方法と変わることはなく、転職エージェントをうまく利用して転職活動をした方が求人を多く拾うことが可能です。
ただ一部違いがあり、観光業を事業とする企業の多くは、採用コストを削減することを目的として転職サイトや就職情報誌を多く活用している傾向があります。
観光業に限らず、幅広く転職活動をするためには転職エージェント以外の転職方法も軽視することなく、活用した方が良いと思います。
また、転職エージェントは札幌を事業拠点とする企業の場合は、本社を都心部に置く大手の転職エージェントへ求人を多く出している傾向が強いです。
逆に地場の企業は、地場の転職エージェントを利用して採用活動を進めていることが多いですので、このあたりを使い分けて転職活動をすることをおすすめします。
札幌以外のエリアの労働市場
先ほど札幌についての労働市場についてご紹介しましたが、ここでは札幌以外のエリアの労働市場についてご紹介したいと思います。
札幌以外では、一般の都心部に多くある業界や職種よりも、何と言っても農業や漁業、観光業が中心です。
北海道は広いため、交通関係の業界に属する企業も多くあります。
北海道と言えばおいしい農作物、おいしい魚介類という印象を持つ求職者の方が多いと思いますし、労働市場においてもまさにその通りになっています。
どの地域でも、そのエリアの特産品に係る事業は発展していますし、多くの労働者がその事業で生計を立てています。
北海道の内陸部は農業が中心で、海沿いのエリアは漁業が労働市場の中心になっています。
都心部から北海道に移住する人は、都心部ではサラリーマンやOLをしていて、移住後は農業や漁業を仕事にしたいと考える方が多くいます。
また、北海道では農業や漁業が事業の中心ですから、移住者に対して農業や漁業への就職を斡旋し、いろいろな補助を用意する体制が整っています。
札幌以外の労働環境
札幌以外のエリアの労働環境は札幌とは大きく違います。
札幌は求職者のみなさんにとっては有利な物価は安く、給料はそれなりに高いのですが、その他のエリアは物価の安さと比例してどのような業界や職種であっても給料が低い傾向があります。
ぜひ、北海道のハローワークのホームページを見ていただきたいのですが、北海道の最低賃金は、都心部と比べるとかなり安くなっています。
都心部も含めてどの地方でも、そのエリアの賃金は最低賃金をベースにして決まります。
この最低賃金は最低賃金法という法律により規定がありますので、併せて最低賃金法も一読していただければ、より良いと思います。
札幌以外のエリアの代表的な事業である農業や漁業については、かなり過酷な労働環境だと思った方が良いです。
都心部から移住する方にしてみれば、都心部で働いていた時代は、大きなビル群のなかで仕事をしていて、自然への欲求から農業や漁業に魅力を感じる気持ちも分かります。
しかし、農業や漁業は欲求だけで続けることができるほど甘い仕事ではありません。
ほぼ毎日休みなく仕事をしますし、漁業については北海道特有の極寒のなかで冷たい海水を浴びながら仕事をするのが当たり前です。
また、北海道と言えば酪農もメジャーな事業の一つですが、動物を扱う事業ですので農業や漁業以上に毎日休むことは許されない過酷な労働環境です。
札幌以外のエリアで転職を考えている方に・・・
今、ご紹介したように、北海道が特産とする事業の労働環境は本当に過酷です。
私の友人にも農業や漁業を仕事にしている友人がいますが、どれをとっても明らかにサラリーマンやOLの仕事よりもハードな仕事をしていると感じます。
都心部ではブラック企業うんぬんと言っていますが、農業や漁業などについては、ブラック企業を超える過酷な労働環境があると思ってください。
ちなみに、農業や漁業、酪農については特殊な事業の範囲になっていて、個人経営で事業をしている場合が多いため、ブラック企業を超えても法的な問題は何もありません。
農業や漁業、酪農については、インターンという仕組みが用意されていますので、移住前に一度、実際に仕事をしてみて判断した方が良いと思います。
札幌以外の地域で転職活動をする方法
札幌以外の地域で転職活動をする方法は、転職エージェントよりも転職サイトや求人情報誌を中心に使った方が転職活動の効率は良いと思います。
北海道は広く、札幌ほど経済やビジネスが発達しているエリアはそこまで多くないですし、転職エージェントが札幌以外のエリアに拠点を持っても収益性が見込めないため転職エージェントはほとんどありません。
そのため、転職サイトや求人情報誌を多く活用して転職する以外方法がないと思います。
また、観光業についてはアルバイトやパートの求人も多いため、求人情報誌で採用活動をしている企業が多いです。
それと、忘れてはいけない転職方法はハローワークです。
ハローワークは地方の企業が多く利用するため、求人の数や種類が豊富です。
札幌以外のエリアで転職を目指すのであれば、ハローワークは絶対に外せない転職方法です。
都心部とはこの点はかなり違いがあると思います。
都心部や札幌の場合は、ハローワークを利用しなくても多くの求人を拾うことができますし、逆にハローワークが役立たないということがあります。
ハローワークを利用することで、助成金や手当金の対象になることもありますので、その点においてもハローワークはぜひ、利用した方が良いと思います。
北海道への転職で得られることと失うこと
北海道に移住する方については、生活の拠点を丸ごと移す訳ですから『やっぱり都心の方が良かった』となっても簡単に後戻りすることはできません。
都心部から転職をするということは、相当な覚悟がなければしてはいけませんし、成功することも難しいと思います。
北海道での転職が成功した場合は、生活環境の改善にもつながるでしょうし、何より家族との絆が深まるものと思います。
当然そうなると、家族も転職先の仕事を応援しようとするでしょう。
北海道は確かに住みやすいですし、転職先も豊富にあります。
ただ、札幌か札幌以外かにより、転職先となる業界や職種はまるで違います。
札幌は北海道でありながら、都心部と同じような感覚でいた方が良いかもしれません。
その意味では、北海道の転職の中心は札幌以外とも言えると思います。
私も転職エージェントとして北海道の求人を扱っていますが、都心部から北海道への転職は時間がかかり、簡単に決まるとは言えません。
面接に必要な移動費も基本的には自腹になりますし、移住、転職どちらとも慎重に行った方が良いです。
得られるものもありますが、失うものも多いです。
転職は人生を左右することを今一度、再認識しましょう!
転職エージェントとして、北海道への転職を肯定も否定もしませんが、何より転職はそもそも人生がかかった大切なターニングポイントです。
家族がいれば、家族も巻き込むことになる大きな決断です。
そもそも大きな決断となる転職に移住が加わるということは、どれだけの負荷があるかぜひ考えていただければと思います。
特に札幌以外を移住、転職のエリアに考えている方は、熟慮に熟慮を重ねたうえで判断した方が良いです。
私は何人か移住や転職で失敗して、その人や家族の人生が大きく変わった人を知っています。
最後になりますが、求職者のみなさんの転職活動が充実し有意義なものであることを祈り、これで話を終わりにしようと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。