【転職エージェントが語る】年収アップは甘くない!?年収は上がることが例外と考えよ!
求職者が転職する際に期待することの上位に入ってくる事項で、最も多い内容は『年収面のアップ』です。
しかし、世の中はそんなに甘いものではなく、転職において年収が現状より上がることは少ないと考えた方が無難だと思います。
転職では、年収は下がることが基本で、上がることは例外です。
ですので、転職では年収が上がることに期待せず、現状より下がらないことを念頭に置いた方が良いと思います。
この理由や、年収が上がる枠内に入る方法を参考としてご紹介します。
しかし、ここで注意頂きたいことは、この後にご紹介する方法でも、必ず年収が上がるとは限りません。
それでは、早速、転職では、年収アップが期待できないことが基本である理由から今回の話を起こしていこうと思います。
今回の記事の目次
転職で年収アップが期待できない理由
転職方法には、転職エージェントを利用する他、転職サイトやその他の方法がありますが、どの方法でも、年収アップは難しいと考えて欲しいです。
その理由は、実は、企業側の理由が大きく影響しています。自分が採用する企業として、これからお伝えすることを読んで頂ければ、より分かり易い、納得できると思います。
労働者の給料は固定費である
企業は、経営にあたり、当然にコスト(キャッシュアウト)が発生します。このコストには、固定費と流動費に大きく分けられますが、労働者の給料は固定費に入ります。
この固定費とは、どのようなものかと言いますと、毎月または定期的に必ず、ほぼ同じ金額のキャッシュアウトがあることを言います。
給料は、毎月、企業から労働者に支払われるものですので、固定費に入る訳です。
更に、固定費の中で、最も大きい割合を占めるコストは、何かと言いますと、人件費です。つまり、企業が労働者に支払う給料です。
企業は、この固定費により、リスクを伴っているため、なるべく、固定費を下げたい思惑があります。
実力を把握し切れない労働者に高い給料を支払えるのか?
求職者からすると、必死に転職活動を行い、やっとの思いで勝ち得た内定ですが、企業からすると、そうではありません。
企業は、求職者の内定よりも、入社後の求職者の実力に重きを置いています。先述の通り、人件費が発生しますし、また、給料に見合う働きをしてくれるか、不確定であるからです。
企業は、面接などの選考フローを通じて、入社基準を超える人材だと思い、内定や入社を承認するのですが、そうは言っても、実際は、まだ、その企業で働いていないため、本当の意味での実力は分かりません。
もしかすると、面接での見極めを間違えて、期待した働きを下回ることも考えられます。しかも、そもそもとして、給料という固定費があり、リスクがありますので、企業は、最初から高い給料を出すことを嫌います。
選考フローを通して、優秀とは言え、それは、あくまで、過去の話で、その企業での実績ではないため、採用する企業からすると、それまでの実力通りに働いてくれるかどうか不安もある訳です。
試用期間の設定は何のため?
採用する企業は、転職して入社した求職者の実績や実力が、自社でも発揮してくれるかどうかを見極めるために、試用期間というものを設けています。
この試用期間は、法令上、認められたもので、企業は、この試用期間で、その労働者が、その後も、活躍できそうかどうかを見極め、場合によっては、試用期間で雇用契約を終了することもできます。
先程から、企業のリスクとお伝えしていますが、企業は、原則的に、労働者を解雇することは認められていません。
つまり、1度、採用すると、労働者が自ら退職をしない限り、半永久的に雇い続ける(給料を払い続ける)必要があります。
また、1度、決めた給料は、むやみに下げることができません。仮に、むやみに給料を下げてしまうと、法令上、不利益変更に該当して、法令違反となる場合も考えられます。
企業からすると、採用した後に、『あれ?面接で把握した実力と違う?辞めて欲しい』、『すぐに給料を下げたい』と思っても、法令的な規制があり、減給や解雇は、よほどのことがない限りできません。
採用後に、これらのリスクを軽減するために、試用期間があります。試用期間では、圧倒的に、企業が有利で、試用期間中に給料を変更、または、雇用契約そのものを終了することも可能です。
企業によっては、この試用期間を1年ぐらいとする場合もありますが、一般的には入社後6カ月以内となります。
試用期間が終わると、減給や解雇という意味での立場は一気に逆転して労働者が有利になります。理由は、法令があるからです。
基本的に、法令は、弱者である労働者を守るためにあり、企業のことはほとんど考えていません。
この観点から、企業は法令では自らを守ることはできないため、採用時の給料を低くし、または、唯一と言っても良い法令の企業視点である試用期間を設けているのです。
企業は、転職して入社した求職者を100%まで信頼できていないため、また、入社後は、むやみに減給や解雇ができないため、入社時の給料を上げることはしないのです。
これは、企業が法令に強く規制されていることが根本的な問題になります。
転職エージェントのサイトだと年収アップするみたいだけど?
公式サイトを見ると、「○○パーセントの方が年収アップしてますといった記載があったりしますが、これも疑って見たほうが良いです。
からくりを説明すると、内定が出る際の年収って去年や一昨年の給与と賞与を合計したものなんですよね。
過去の年収が計算されているだけなので、実際にその金額がもらえるからどうかは分からないのです。
どこの企業でも、内定承諾書にこの年収を保証するわけではないといった旨の内容があって、計算上の年収から賞与が減らされたりすることが多いです。
賞与は企業の業績に連動する部分なので、企業側が好きに調整できてしまうんです。
一方、給与のほうは入社後に変えてしまうと労働基準法違反になります。
大半の年収は下がることになるので、これは転職エージェント良し悪しではなく企業の採用戦略ですね。
ただ、年棒制の会社の場合は給料が固定で賞与がないので、年収が下がる見込みがなくなります。
会社規定もあるので、無理に年棒制に変えてもらうのは難しいかもしれませんが、転職エージェントなどに年棒制の会社を教えたりすると良いかもしれません。
年収アップしている人の内訳
そして、なぜ転職エージェントが何パーセントとか紹介できるかというと、第二新卒とか若手の方はそれまでに貰っていた金額があきらかに低いことがあるのです。
そういった方が転職したときに、年収が上がったというデータになります。
そのため、年収が上がった人の内訳は大体が若手人材のはずです。私も実際にそういったデータを見たことがあります。
転職市場の中心的な人材って30代~40代なのですが、その人たちが20代の人のデータを見て登録を考えているわけです。
typeやパソナはそんなこと書いてますね。
転職で、年収アップする場合
原則的に、転職時の年収が上がることは少ないのですが、上がる場合があります。上がる場合は、求職者の状況や立場、または、企業の採用状況により異なりますので、いくつかのパターンに分けてご紹介します。
価値の高い職種の場合
世の中には、いくつもの職種が存在しますが、転職の年収アップが期待できる職種があります。大枠で言うならが、需要と供給のバランスが崩れている職種、つまりは、需要が高い割には、供給が少ない職種です。
この場合は、年収アップが大きく期待できます。
私は、転職エージェントとして、何人もの求職者を見てきましたが、この、需要と供給のバランスが崩れている職種の経験を持ち、その職種で転職希望する求職者で、年収が下がったというケースはありません。
企業からすると、採用しにくい職種ですので、当然に、他の企業との採用競合となり、取り合いになります。
では、どこで、求職者を惹きつけるのか、差別化を図るのか、いくつか方法はありますが、一番、求職者を惹きつけることは、年収です。
このため、求職者に入社してもらうために、給料面の労働条件を他社や求職者の現職よりも高く提示するのです。
需要が高く、また、供給が少ない職種は、その時々で変わりますが、ここ最近は、下記の職種になります。
■エンジニア系の職種
■経営企画系の職種
■経理、財務職
この3つの職種は、専門性の高い職種で、資格がなくとも経験やスキルにより、現在は、どの企業でも欲している職種で、人材不足に悩んでいます。よほどのことがない限り、転職時の年収アップは期待できると思います。
裏を返せば、これ以外の職種については、年収が上がるということは難しいと思います。特に、営業系や事務職系の職種は、需要より供給の方が多くなっていますので、企業かすると、大いた苦労なく、求職者の応募数を確保できるため、現状よりも年収が下がることが多いと思われます。
一定以上の役職の場合
職種や業界に関係なく、一定以上の役職の場合は、年収アップは期待できると思います。部長以上の経験があり、転職後も、それ以上のポジションを希望する場合です。
部長以上となれば、企業の中核的なポジションであるため、どの企業も人材不足であり、求職者の現職よりも高い年収条件で提示してくる確率が高いです。
先述の職種で、かつ、部長以上となれば、その求職者は、まず間違いなく年収アップで、転職ができると思います。
転職エージェントの中では、『鉄板求人』と言われるぐらい、企業としては欲しい人材です。
逆に、部長未満のポジションとなれば、年収は下がる確率の方が高いと言えます。特に、社会人3年程度の役職が低いポジションは、企業からするとリスクを伴うことがあるため、年収は下がると考えた方が良さそうです。
私の転職エージェントとしての経験ですが、20代から30代前半までの求職者の方は、転職時の年収は現状維持か下がることが多いです。
このあたりを考慮して転職活動しなければ、『こんなはずじゃなかった』という、自分自身の中で、不完全燃焼の転職となりますので、お気をつけください。
企業の採用活動がうまくいっていない場合
次に、求職者というよりも、採用する企業側の採用活動がうまくいっていない状況のときは、年収が上がる場合があります。
言い換えると、企業が条件を上げて、再募集するということが言えます。
冒頭、お伝えしたように、企業は、特定の求人を除いて、大半の求人で年収面は低く設定します。
しかし、この場合、同じ求人でも年収面が高い求人に求職者が流れる傾向が強くあり、そうなると、母集団形成すらできず、採用活動で企業は苦戦します。
苦戦すると、求人内容、特に、年収面を必ず見直します。これは、例外なく絶対と言えます。
私は、転職エージェントとしての活動する前は、企業の人事としても経験があり、採用活動が苦戦している場合は、必ず年収面を上げて再募集しています。
他の企業人事にも話を聞いても、全企業の人事担当が同じことを言います。
ですので、求職者の中には、同じ求人を転職エージェントから紹介されて、年収面が上がっているものを見たという人も少なくないと思います。
この場合は、求職者からすると、かなりラッキーですので、積極的に応募しても面白いと思います。
売り手市場の場合
最後は、転職市場そのものが影響している場合です。転職市場には、求職者が有利と言われる売り手市場と採用する企業が有利の買い手市場があります。売り手市場ということは、求人するに比べて、求職者数が少ないことを意味しますので、企業は採用活動では苦戦することが予想されます。
既に市場が不利になっているため、企業は最初から求人内容の年収面で通常より高い条件で求人を公開することが多いです。
求職者の方は、この市場が今はどうなのか、見極めることで、現職よりも高い年収で転職できる可能性が高まりますので、転職活動を行う場合は、情報収集を行い、市場の変化に敏感であることが必要とされます。
転職方法での年収アップの可能性を広げる!
転職方法には、いくつかの方法がありますが、大半は自力で行う方法ですが、唯一、転職エージェントを利用すると、キャリアアドバイザーが転職サポートをしてくれます。
求職者が、転職エージェントを利用する目的の1つに、内定時の条件交渉を代理で行ってくれるためということがあります。
内定が出たとは言え、求職者からすると、入社前の企業と給与面の交渉はできれば避けたいことですが、転職エージェントの場合は、この点を代理で行ってくれます。
どの転職エージェントを利用しても年収面の交渉を有利に運んでくれるということではなく、また、どのキャリアアドバイザーも均一の対応をしてくれることはありません。
転職エージェント軸で考えると、採用する企業との信頼関係ができていることが場合は、この交渉はうまいです。
キャリアアドバイザー軸では、本来は、同じ転職エージェントですんで、どのキャリアアドバイザーでも均一でなければならないのですが、キャリアアドバイザーによっては、上手い、下手があります。
年収面での交渉が上手いキャリアアドバイザーの特徴は、フットワークが軽いこと、そして、企業へ直接、足を運んでいる場合です。
本来、キャリアアドバイザーは、企業側とのコミュニケーションは取らないのですが、求職者へ、よりリアルな情報を提供するため、自主的に企業へ足を運んでいるキャリアアドバイザーがいます。
このキャリアアドバイザーは、どの転職エージェントにもいますが、かなり数は少ないです。登録面談の際、求職者から、『企業へ直接、訪問したことはありますか?』と聞いて確認してみると良いでしょう。
転職エージェントの場合は、求職者を集める売りの一つに、年収面の交渉があります。年収面でのアップを狙い、転職したい求職者は、必ず転職エージェントを利用した方が良いと思います。
逆に、転職エージェント以外の方法であれば、求職者自身が交渉のスペシャリストでない限り、現状維持かダウンが普通です。
この他、転職エージェントを利用する場合で、年収を上げる確率を高める場合があります。
それは、小規模の転職エージェントを利用することです。
小規模の転職エージェントは、取引している企業数は少ないですが、決裁権を持つ、企業の経営層とのネットワークを強く持っているため、大手転職エージェントのキャリアアドバイザーよりも遥かに、交渉が出来ます。
私は、これまで、転職を何度か経験してきましたが、小規模の転職エージェントを利用して、年収アップを実現した経験がありますし、小規模の転職エージェントは、この点が大手転職エージェントとの差別化としています。
転職エージェントや企業との駆け引き
転職エージェントを利用すると、または、自身で転職活動をすると、必ず、現職での年収を聞かれます。
これは、裏技ですが、ずる賢い求職者は、良く使っていますが、現年収を、在籍していた年度で、最も高い年収を伝えることです。
毎年、年収が同じということは、少ないと思います。現職の評価結果によって、現職の業績によっては、年収が変動することの方が多いと思います。
特に賞与については、最近は、どの企業も業績連動型をひいているため、業績により賞与額や賞与係数が変わります。
現職の業績が悪く、賞与がそれまでよりも低く、そのため、求職者自身の年収が低ければ、その求職者の実力ではなく、その企業の実力が反映されてしまいます。
それでは、求職者にとっては、不合理ということで、本来であれば、または、業績が良かった年度の年収を現年収とする求職者も中にはいます。
求職者からすると、内定を貰った際の年収が、転職後の企業の給与や賞与の基礎となるため、現職の業績が悪く、たまたま、転職活動をして内定をもらった年度の現年収が低ければ、かなり損です。
このようなテクニックを利用して、転職エージェントや企業との年収面での駆け引きを行う求職者もいます。
一見、年収がアップしているように見えるが・・・
企業によっては、自社の残業代を考慮して年収面の条件を提示することがあります。ちょっと分かりにくい部分ですので、細かく説明したいと思います。
企業では、給与体系を基本給と役職手当や能力手当という2階層の形態を取っています。
管理監督者以外の労働者の場合は、法定の労働を超えた場合は、その都度、残業代が支給されます。
この残業代は、残業がなければ支給されない不確定要素が強いものです。基本給や役職手当、能力手当は、必ず支給されるものですので、残業代は、性格や性質が異なります。
企業の中には、『当社は、残業時間が毎月、○○時間ぐらいは想定できるため、残業代を含めれば、現職より年収が上がります』とか、『当社は、残業してはいけないという文化ではないため、どんどん残業することで、その分、残業代は支給しますので、そうすると、現職よりも年収面でアップします』と、一見、良さそうなことを言う企業があります。
しかし、残業代は、先述の通り、不確定要素が強く、仮に、その企業が、企業の方針が変わり残業時間を削減したり、内定時に想定した残業時間に満たない場合は、どうなると思いますか?
現職より年収面は下がります。この事案で、転職した友人がいますが、今、お伝えしたように、入社後、想定の残業時間を確保できず、結果、年収が下がったという人がいます。
是非、不確定要素の残業代を含めて年収を考慮することはリスクがありますので、絶対やめましょう。
現職と比べる転職時の年収は、あくまで、固定的賃金(基本給など)で対比することが必須の条件です。
なお、残業代を考慮して年収を比較する企業は、特徴があり、大体が、一般的にブラック企業と言われる企業です。
また、残業代の他に、営業職の場合は、固定的賃金の他に、毎月のインセンティブがありますが、このインセンティブを考慮して、『頑張れば、これだけ支給されますので、そうすると、現職と比べると、かなりの年収アップです』と、入社していない中で、営業成績が高いという断定的な見解で、話をしてくる場合があります。
不動産業界に良くあることですが、インセンティブも残業代と同じように不確定要素の賃金ですので、気を付けましょう。
転職時の年収が下がる企業の入社後について
転職時だけを見ると、現職よりも年収が下がることは求職者にとってデメリットになると思いますが、入社後を見ると、デメリットというだけではない場合があります。
企業は、雇用契約で試用期間を必ず設けるとお伝えしましたが、試用期間後に、年収をそれまでの金額に戻す場合や、または、実力によっては、上がることがあります。
また、試用期間が以外でも、求職者の成果によっては、『入社の時は、年収を下げてでも、入社してくれた』ということで、その段階で評価されており、入社後の査定で、上乗せということで、給与のベースアップをしてくれる企業もあります。
これは、結構なレアケースですが、中には、そのような企業もあることを知っておくと良いと思います。
実際、私が転職エージェントとして転職支援した、ある求職者は、転職時は、年収が下がっても、入社後に一気に上がったという人も何人かいました。
どの企業にも共通して言えますが、どれだけ実績があっても、入社前に年収面でアップを主張する求職者は、その段階で、厳しい目を持ちます。
転職時の年収面では、あまりゴリ押しすることはしない方が、入社後の人間関係や、評価結果に影響してきますので、控えた方が良さそうです。
コネ転職は、年収が上がるって本当か?ウソか?
コネでの転職が、年収アップに繋がるという噂を聞いたことがありませんか?自分もネットワークを活用して転職する訳ですから、年収面も考慮されても不思議ではありませんよね。
しかし、結論から言うと、コネ転職で、年収が上がることは、ほぼないと思ってください。
コネ転職は、あくまで、転職し易いというだけで、年収などの条件面は、また違った話です。
私は、人事担当として、コネでの入社をした方を多く知っていますが、転職時に年収が上がったという人は、一人もいません。
転職で年収アップ枠に入る為には?
職種やポジションなど、転職時に年収が上がるケースをいくつかご紹介しましたが、最後に、1番スマートは方法をお話します。
ヘッドハンティングです。転職エージェントなどの転職方法は、自分が企業へ売り込むという工程ですが、ヘッドハンティングは、企業から求職者へ声を掛ける工程であるため、立場が違います。求職者が断然有利になります。
やはり、立場が強い状況をつくることで、転職時の年収は上がると思った方が良いと思います。しかも、ヘッドハンティングの場合は、自分が思う以上に企業から高く評価されていることが多いため、現職よりもかなりの年収アップが期待できます。
年収面は後からついてくるもの!
これまで、色々とお話をしてきましたが、転職において、年収を上げるということは、採用する企業からしてみれば、それだけ、経営リスクを高めることになります。転職の主導権は、採用する企業ですから、企業が経営リスクを下げるためには、必然的に求職者の転職時の年収を下げる必要があります。
このように企業の経営に関する裏側の事情を理解することで、なぜ、転職では、年収アップが難しいのか分かると思います。
また、企業はリスクと同様に、法的な観点からの強制的な縛りがあり、転職時の給与条件を上げることをためらいます。
求職者の方は、企業視点に立って、転職活動を行うことで、それまで見えなかったことが理解できるようになり、転職時の年収アップを強く期待することはなくなると思います。
この年収面を期待し過ぎると、良い転職は出来ないことが多いですから、注意が必要です。
私は、転職エージェントとして、求職者の方々の転職支援をする際に、必ず言っていることがあります。
転職では、年収面を第一に考えるのではなく、やりがいを第一に考えるように伝えています。
年収面は、結果であり、結果は後から必ず付いてきます。転職は、自ら希望して行う行為ですので、どれだけ、それまで実績があっても、転職後は、新入社員です。
新入社員のうちから、企業は、高い年収を出すことは、まずないと思うべきです。転職は、そんなに甘いものではく、また、転職はゴールでもありません。
あくまで、自分のキャリアを磨くために行う『手段』に過ぎません。手段の段階で、年収を上げようとすることは不毛そのものです。
最後になりますが、皆さんの転職が、自分の将来を見据えた最高の『手段』となるよう祈り、今回は、これで終わりにしようと思います。