大手転職エージェントの特徴
私は、現在、転職エージェントとして求職者のみなさんの転職支援や企業の採用支援をさせて頂いています。
自分で転職エージェント業を運営していて感じることですが、大手の転職エージェントは、やはり昔から強いです。
なぜかと言いますと、求人の数が圧倒的で、企業からの支持率も高いためです。
求職者の方のなかで大手の転職エージェントを利用しているという方はどれぐらいいらっしゃるでしょうか。
転職エージェント業界のなかで言われている統計データでは、全求職者の方のうち、約60%~70%の方が大手の転職エージェントを利用しているということです。
この割合を見て頂ければ分かる通り、今の転職市場には、中小規模の転職エージェントが多く存在しますが、その中心は大手の転職エージェントということです。
- 筆者プロフィール
- 名前: 小玉崇
転職エージェント歴:10年
転職経験:3回
利用したエージェント:27社
現在の年齢:41歳
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大手のメリット
転職エージェントの規模別でみると、大手と呼ばれる転職エージェントは、数社ほどしかなく、他の転職エージェントは、すべて中小規模の転職エージェントです。
私の転職エージェントも中小規模の転職エージェントに属します。
冒頭でお伝えしたように売り手市場となれば、新規参入する小規模の転職エージェントが増えて、転職エージェントのなかでは競合が増えるということになります。
しかし、転職エージェントのビジネスモデル自体は、非常にシンプルなもので、難しい仕組みを持っていませんが、利益を出すことは非常に難しいと言われています。
そのため、新規参入しても事業を継続することができない転職エージェントが多くありますが、大手の転職エージェントであれば、地盤がしっかりしているので、そのようなことはないと思います。
大手の転職エージェントを利用することで、求職者のみなさんにとっては、十分なメリットがあるかと思います。
求人数が多く、多様な求人が揃っている。大手企業の求人も
大手の転職エージェントの最大の特徴は、規模を武器にした求人数の豊富さです。
この特徴は、中小規模の転職エージェントでは絶対に真似できないことです。
また、求職者のみなさんにとって転職活動をする上で、何より外せない生命線とも言える存在が求人です。
求人の数が多ければ、それだけ応募することができる企業数が増え、その分、確率論として内定確度が上がります。
私が、冒頭で売り手市場と買い手市場の話をした理由は、ここにあります。
求人の存在が、求職者のみなさんの転職活動の出来を左右し、求職者のみなさんがより求人を多く集めたいのであれば、大手の転職エージェントは必須です。
先程、大手の転職エージェントは数社しかないとご紹介しましたが、大手の転職エージェントを利用するためには、まず登録が必要です。
しかし、この登録は非常に簡単で、だれでもすぐに登録できます。
最近、大手の転職エージェントのなかで、登録時の面談を電話で行うケースが増え、求職者のみなさんにとっては、時間の生産性が上がる要素でしょう。
さらには、その後の求人の紹介も非常にスムーズで、電話面談のあと、すぐにメール添付形式で、求人の紹介があります。
このフローは、中小規模の転職エージェントにはありません。
大手の転職エージェントは、今、売り手市場になっているため、求人の数が、通常よりも多くなっており、求人の紹介率が上がっているのです。
また、転職市場において、一般的に、求人の規模別割合では、大手企業の求人は少なく、ベンチャー企業や中小企業の求人が圧倒的になっていることは、ご存知でしょうか。
つまり、求職者のみなさんからすると、大手企業への転職は、ベンチャー企業やその他の規模の企業に比べると、狭き門ということになります。
大手企業の場合、中途採用活動を積極的に行うことはなく、その分、新卒採用を積極的に行います。
その理由は、企業文化と新卒文化として構築したいという思惑があります。
中途採用者は、必ず前職があり、前職での社風や働き方、経験を持っています。
そうなると、だれしも過去の経験を現在に踏襲しようとし、企業からすると、その踏襲が企業文化を濁す一因になるということで、敬遠する場合もあります。
その典型が大手企業になるのです、そのため、求職者のみなさんからすると、転職エージェントを利用しても大手企業の求人の絶対数は少ないはずです。
それを踏まえて、お話しますが、大手の転職エージェントは、大手企業とのネットワークを強く持っています。
そのため、大手企業は中小規模の転職エージェントではなく、大手の転職エージェントへの求人発注を行うことが多いです。
大手企業への転職を狙っている求職者の方は、大手の転職エージェントを絶対に利用しましょう。
システム化がすすんでいる?
転職エージェントは、たくさんの求職者の方を登録し、また、たくさんの求人を扱います。
また、転職エージェントのビジネスモデル上、労働集約型であるため、多くの人材が必要になります。
このような環境であるため、ミスや抜け、漏れをなくすために、社内体制を強化、システム化を行うことが多いです。
登録者や求人をシステム化することで、同じ時間帯に、複数のキャリアアドバイザーが情報を閲覧、共有することができます。
また、求職者のみなさんの選考において、だれがいつ、どのような求人に応募し、選考状況はどうなっているかも一目で知ることができます。
また、選考結果の理由や求職者のみなさんの前職情報もシステム化することで一目で確認することができます。
企業の求人情報もすべてシステム化することで、すぐに求職者のみなさんに紹介することができます。
このような業務フローの簡素化を行うことで、転職エージェントのキャリアアドバイザーや営業担当者は、事務処理の時間を削減し、求職者のみなさんの転職支援や企業の採用支援に時間を割くことができます。
しかし、中小規模の転職エージェントは、どうかと言いますと、システム化するためには、莫大なコストが必要になり管理体制も不十分で、行っているとしてもエクセルやアクセスで管理するぐらいのものです。
数が少なければ、エクセルやアクセスで十分なのですが、なかなか利便性の意味では難しいものがあります。
大手の転職エージェントを利用するメリットとしては、大手の転職エージェントの社内体制がシステム化されています。
ですので、情報の伝達スピードが早く、その分、求職者のみなさんの転職活動のスピードも上がるということだと思います。
大手固有のデメリットとは?
ここまでは大手の転職エージェントを利用するメリットについてご紹介しました。次は、大手の転職エージェントを利用するデメリットです。
大手の転職エージェントの最大の特徴は、求人数ですが、数を担保する代わりに転職支援の質が下がると言われています。
これは、何と比較しての話かと言いますと、中小規模の転職エージェントです。
特に小規模の転職エージェントは、求人数では、大手の転職エージェントに敵うことは難しいため、その分、1つの求人、1人の求職者の方を大切にする文化があります。
大手の転職エージェントの場合は、言葉を選ばず言いますと、流れ作業的な転職支援を行うことが多いです。
と言うのは、現状では仕方ないことかもしれません。
なぜかと言いますと、大手の転職エージェントには、多くの求職者の方が登録しているため、1名のキャリアアドバイザーが担当する求職者の方の数が1名や2名単位ではないです。
1人のキャリアアドバイザーが数十名の求職者の方を同時に担当することも珍しくありません。
私の実は、以前、求職者として大手の転職エージェントを利用して転職活動をした経験があるのですが、この機械的な流れ作業のような転職支援は強く感じました。
また、転職エージェントである私は、転職エージェント業界の交流会に出席することも良くあり、大手の転職エージェントの方と意見交換をすることもあります。
大手の転職エージェントの方自身も、流れ作業になっている感は否定できないと言っています。
求人の数で、求職者のみなさんにメリットはありますが、転職支援の質としては、非常に淡泊で、あまり、対応を良くしてくれるということはないでしょう。
対応を良くしてくれないという具体的な意味は、必要以上に転職支援を掘り下げて行うことはなく、日ごろの応募手続きの連絡、選考結果の通知がメインです。
その他の面接の練習や履歴書や職務経歴書の添削は、積極的に行うことは少ないということです。
ツーフェイス型であるため、情報伝達のミスもある
大手の転職エージェントのメリットで、社内体制がシステム化されていて、その分、抜けや漏れ、ミスがなく、情報伝達スピードが早いとお伝えしたかと思います。
しかしながら、このミスや抜け、漏れは、大手の転職エージェントでも存在します。しかも、求職者のみなさんにとっては、致命的とも言える企業情報において。
システム化されているとは言っても、求職者のみなさんの転職支援を担当するキャリアアドバイザーと企業の採用支援を行う営業担当者は別部隊です。
この別部隊が同時に同じデータベースを見ることが情報漏えいの観点でできない大手の転職エージェントも存在します。
大手の転職エージェントの転職支援、採用支援のスタイルは、ツーフェイス型です。
そのため、1名のキャリアアドバイザーが求職者のみなさんの転職支援と企業の採用支援を兼務するということはないです。
両者別々に担当になるので、営業担当者が吸い上げた企業の情報をキャリアアドバイザーに伝え、それをキャリアアドバイザーが求職者のみなさんに伝えるのです。
企業から求職者のみなさんに情報が渡るまで、キャリアアドバイザーと営業担当者の2人が存在することになります。
人と人のコミュニケーションは齟齬が生まれやすいことはご存知かと思いますが、転職エージェントのなかでも同様です。
言葉のニュアンスが違うだけで受け取る側の取り方は変わります。
それが、求職者のみなさんが企業の選考を受ける際に、事前にキャリアアドバイザーから聞いた情報と実際に面接に企業の面接官から受けた情報に齟齬が生まれることがしばしばあるのです。
大手の転職エージェントを利用する際には、この点に注意をして頂きたいと思います。
また、少しテクニカルな方法としては、大手の転職エージェントは求人の数だけを期待して、その他の転職支援はあまり期待しないこと。
または、大手の転職エージェントから受けた求人を同時に利用する他の中小規模の転職エージェントに横流しする方法もあります。
大手のアドバイザーはどんなキャリア?
大手の転職エージェントのキャリアアドバイザーのキャリアについて、ここではご紹介させて頂こうと思います。
まず、大手の転職エージェントの場合、年齢や経験がさまざまで、求職者のみなさんが、登録した際に、どのようなキャリアのキャリアアドバイザーが担当になるのかは、求職者のみなさんでは選ぶことはできません。
そのため、大手の転職エージェントでは、柔軟にキャリアアドバイザーの担当者変更を行ってくれます。
大手の転職エージェントのキャリアは、一概に言えることはできないのです。
もし、求職者のみなさんの年齢が若い場合は、若手のキャリアアドバイザーが担当になることが多く、そのキャリアアドバイザーのキャリアは、新卒でその転職エージェントに入社した人材です。
そのため、あまり転職支援に関する実績がなく、転職に関する情報も不足していることが多いです。
一方、年齢がそれなりに高い(30代以降)の求職者のみなさんであれば、キャリアとしては十分なキャリアアドバイザーが担当になるでしょう。
大手の転職エージェント業界に限らず、転職エージェント業界では、人の入れ替わりが激しいです。
基本的に、キャリアアドバイザーとして従事している人材は、前職などで他の転職エージェントで同じ業務に従事していたことが多いです。
これは、転職エージェント業界の離職率が起因しているのです。
大手の転職エージェントの転職支援の戦略としては、やはり数で勝負という部分が大きく、転職支援の質はそこまで重視していないことが現実的にはあります。
ですので、平気で若手人材を経験がないなかでも、キャリアアドバイザーとして従事させる傾向があります。
また、大手の転職エージェントだからできることですが、職種や業界ごとに課で割り振り、その職種や業界に強いキャリアアドバイザーを専任に持つこともあります。
とは言え、専門分野に長けているとは言え、小規模の転職エージェントと比較すると、その質は劣ります。
この他、大手の転職エージェントのキャリアアドバイザーが持つキャリアとしては、営業経験を持つ方が多いです。
これは、転職エージェント業界の経験だけではなく、その他の業界の営業経験を持つことも普通にあります。
転職エージェントのビジネスは人ビジネスで、人と関わった業務に携わっている場合は、十分、業務としては対応できるためです。
とりわけ、他の業界から転職エージェントのキャリアアドバイザーに転職する傾向が強いのは、通信業界や不動産業界と言われています。
この2つの業界は、転職エージェントが属する人材業界と同様に、離職率が高く、似た体質を持っているためと言われています。
大手エージェントの紹介
さて、ここまで大手の転職エージェントについて、ご紹介してきましたが、次は、具体的な社名を挙げて、それぞれの特徴について、ご紹介していこうと思います。
先述で、日本の転職エージェント業界には大手の転職エージェントは数社しかないとお伝えしたかと思いますが、これから、ご紹介する転職エージェントがそれとなります。
リクルートエージェント
まずは、転職エージェントのなかで最も業績が高く、転職支援実績がトップとなっているのが、リクルートエージェントです。
リクルートエージェントについて、社名を知らないという方は恐らく求職者の方のなかではいないのではないかと言うぐらい、世間的にも知名度があります。
東京に本社を置き、全国展開している転職エージェントです。
私も求職者だった当時、リクルートエージェントを利用した経験がありますが、求人の紹介数では、やはりトップだったと思います。
求人の種類も豊富で、大手から中小、ベンチャー企業とさまざま持っています。
ここで、リクルートエージェントの特徴をお伝えしたいところですし、後述の他の大手の転職エージェントの特徴もご紹介したいところです。
ぶっちゃけますと、大手の転職エージェントは、どこも求人の数で勝負しています。
そのため、他の転職エージェントとの差別化を図るために、具体的なアクションやサービスはあまりありません。
どの大手の転職エージェントを利用しても、求人紹介以外のその他の転職支援では、差別化を感じることは難しいと思います。
リクルートエージェントは、老舗であり、総合人材企業ですので、転職エージェント事業の他、適性検査サービスを企業に拡販もしています。
その意味では、適性検査の対策については、知識や情報を持っているので、求職者のみなさんは、このあたりを意識して利用すると良いかもしれません。
DODA
DODAですが、これは、正式にはDODAインテリジェンスと言います。
社名は株式会社インテリジェンスです。
リクルートエージェントと同じく東京に本社を置き、面白いことに東京駅を挟んだ位置にオフィスを構えます。
リクルートエージェントも同じですが、非常に大きなビルに本社を構えていて、オフィス内は、『儲かっているな』という非常にきれいな環境です。
DODAは、転職エージェント事業の他に転職サイトもありますが、やはり、注目すべき点は、転職フェアを行っていることだと思います。
昔は、転職フェアは流行でありましたが、今ではDODAとあと2社、3社程度しか転職フェアを開催していません。
転職フェアにご興味がある求職者の方は、DODAに登録することで、特別な申込をせずとも出席することができます。
一時、低迷していた転職エージェントですが、今はリクルートエージェントについで、2位の業績、転職支援実績を持っています。
JACリクルートメント
次にJACリクルートメントです。
この転職エージェントは、業界3位とされていて、第二新卒や外資系企業への転職を希望する求職者の方はオススメとなっています。
先程、大手の転職エージェントであれば、それぞれに特徴を打ち出しているとしても、求職者のみなさんにはなかなか差別化を感じることができないとお伝えしたと思います。
ただ、利用経験があり、また、転職エージェントとしての交流がある私から言わせると、他の大手の転職エージェントと対比しても、第二新卒や外資系企業の求人が抜群に多いということは感じないと思います。
ただ、大手の転職エージェントのなかでは、キャリアアドバイザーへの社内教育が整備されているため、非常に丁寧な対応をすることはあります。
あくまで個人的な意見ですが、キャリアアドバイザーの対応力という点においては、大手の転職エージェントのなかでは一番優れているように感じます。
パソナキャリア
パソナキャリアは、転職エージェント事業としては、後発ですが、それまで注力し成功してきた派遣事業のネットワークを活かし、一気に転職エージェントとしても拡大した転職エージェントです。
これまた、東京駅に本社を構えています。
社内は、草木を植えているなど、なかなかユニークな雰囲気で、求職者のみなさんも一度、訪問するとわかると思います。
大手の転職エージェントのなかで、パソナキャリアが最も差別化を図るため、転職支援実績などを数値化してサイトなどに掲載していますが、そこまでの差別化を感じることはないと思います。
また、大手の転職エージェントのなかで、後発であるため、最も求人数が少ない転職エージェントがパソナキャリアだと言われています。
マイナビエージェント
マイナビは、パソナキャリアと同じく、数年前から転職エージェント事業を行い、それまでは新卒事業と転職サイト事業で業績を拡大しています。
マイナビの売りは、確固たる地位を確立した転職サイトを同時に利用することができる点だと思いますし、転職エージェントを転職サイトから探すことも可能な点だと思います。
ここ最近で最も成長している転職エージェントで、今後に期待を持てる転職エージェントだと私は思います。
第二新卒者向けの転職エージェント事業を立ち上げるなど、事業戦略も多岐に渡り、求職者のみなさんにとっては利用価値の高い転職エージェントだと思います。
エン・ジャパン
最後は、エン・ジャパンです。
エン・ジャパンは、大手の転職エージェントと言えるかどうか微妙なところですが、企業としては大手の人材企業ですので、ここに含めています。
エン・ジャパンは、もともとは新卒事業で伸びた企業で、その事業を撤退して、転職エージェント事業にシフトしています。
転職サイトも運営していますし、マイナビと同様の仕組みを取っています。
ただ、この企業は、転職エージェントのなかでも、非常に営業体質ですので、ごり押しには気を付けたい転職エージェントです。
今回は、大手の転職エージェントについて、ご紹介してきましたが、どのような感想をお持ちでしょうか。
求職者のみなさんの転職活動が有意義なものであり、最高の転職ができることを心から祈っています。
今回のテーマである、『【大解剖】大手転職エージェントのすべて【現役エージェントが語る】』は、ここで話を終わりにしたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。