【転職エージェントが語る】アパレル業界は一見、華やか。自分が働く側になると?
みなさん、こんにちは。
求職者の中には、希望を憧れと考えてしまい、この憧れで業界を決める方も多くいます。どうなっているかと言いますと、大体の方が早期に退職してしまっていることが良くあります。
では、このように憧れで転職活動を行なったり、憧れで転職を決めてしまう場合、その求職者の方々はどのような業界を考えるでしょうか。
今回は、憧れを抱く業界や職種の代表的な業界としてアパレル業界に特化してご紹介したいと思います。
アパレル業界は、たくさんのオシャレな洋服たちを扱い、消費者に商品を提供する仕事として、華やかなイメージがあります.
しかし、求職者の方々含めて消費者が見る表向きのものとは全く異なり、非常に労働環境が厳しいのです。
まずは、アパレル業界とはどのような業界特徴を持つのか、また、アパレル業界の労働環境含めて労働者の働き方について今回の話を起こしていこうと思います。
今回の記事の目次
アパレル業界の特徴
アパレル業界には非常に多くの企業が存在していて、その企業は自社ブランドを多く持ち事業展開しています。
洋服その他のファッション関係の物は大なり小なりオシャレに興味を持つために、市場規模は大きいものとなっています。
特に若者はオシャレに興味を強く持つ世代であるために、消費者の中でも若者がこの業界の市場を支えていると言っても過言ではないぐらいです。
アパレル業界は、歴史が古い企業もあれば新興的な企業もあります。また、新興企業の進出や台頭により業界として入れ替わりの早い業界の一つとして考えられています。
ファッションの流行やトレンドの回転は非常に早いため、どの企業もこの流行やトレンドに対してどんどん新しい商品を生み出す必要があるのです。
アパレル業界の労働環境
アパレル業界に転職するためには、労働条件を中心として労働環境をしっかりと把握しておくことが非常に大切です。
アパレル業界を転職業界として希望している求職者は、転職エージェントなどから紹介を受ける求人の情報だけではなく、求人企業との面接で求職者が質問などで確認しておきたいことも事前に把握しておいた方が良いでしょう。
特にアパレル業界については、憧れが採用活動においても求職者への訴求ポイントとしているために、優秀な人材に対しては、労働環境などの実情を教えてくれることが少ないからです。
アパレル業界の仕事内容
転職活動を行う上で、求職者にとっては求人の入社時の条件含めて仕事内容も重要なポイントになります。
アパレル業界と言っても企業それぞれに職種が多く、それに伴い仕事内容は違います。自分がアパレル業界でどのような仕事をしたいのか決めておいた方が良いでしょう。
消費者に一番近い販売員職種
消費者となる求職者として、ご自身に最も身近な職種は販売員だと思います。実際の店舗が仕事場となり、接客や販売、商品搬入・搬出などの業務がメインになります。
また、企業や店舗によっては、実際の店舗のレイアウトやディスプレイの作成や変更も行うことがあります。
路面店と言われるビルやテナントに入っていない店舗で、夜遅い時間帯に店舗のショーウインドーなどマネキンやマネキンが身に付けている洋服などを衣替えしている場面を見たことはありませんか?
憧れの裏に潜む重労働!?店舗レイアウト、ディスプレイ変更という仕事
この作業が今、ご紹介した店舗のレイアウトやディスプレイの作成や変更に該当します。結構、重労働ですが、男性や女性の性別も関係なく入社歴の浅いスタッフが行うことが多いです。
転職活動を行う求職者では、人気の高い職種の一つとなっているアパレル業界の販売員という職種ですが、この職種が最も求職者が憧れる要素が強いものとなっています。
つまり、非常に危険であるということです。
アパレル業界の販売員は危険
特に若年層の求職者にとっては危険度がかなり高いものと言えます。若年層からすると仕事をする上で、自由な服装でオシャレな洋服を着て仕事をしたいと考える方が多く、また、オシャレが好きな方も多くいます。
自分が好きな服を着て働けるわけではない
この2つの要素を仕事として叶えてくれる職業が販売員と勘違いする方がいます。確かにオシャレな洋服を着て、服装も一見、自由に見えますが、実際は大きくことなります。
販売員が店舗で身に付けている洋服などは全て、その店舗で販売している物であるために、自分が着たい洋服などを着て仕事ができるということはありません。
また、オシャレについても人によって異なりますが、大体は自分の好みの洋服などを着ることがオシャレと考える人が多いですが、アパレル業界の販売員は自分の好みの洋服を着て仕事ができる訳でもありません。
販売員は動くマネキン!?
店舗では、販売員もマネキンと全く同じ立場の要素があります。求職者の方々も洋服などを購入するために店舗に足を運んだことが一度はあると思います。
消費者の購買意欲を掻き立てるために、マネキンと同じように店舗で働く販売員のその店舗で販売している洋服などを身に付けて仕事をしているのです。
販売員を別名、『歩くマネキン』、『動くマネキン』と呼ぶことがありますが、この表現の背景には今、ご紹介したような要素が販売員には含まれているからです。
長時間労働で低賃金
一般的には、販売員という職種は、アパレル業界では最も地位の低い職種です。
既にアパレル業界を経験した求職者はご存知かと思いますが、アパレル業界で働く労働者が目指す職種は、本社勤務のデザイナーや商品仕入れを行うMDと呼ばれる職業です。
求職者の方で、憧れを持つこの販売員という職種は、アパレル業界の中では最も地位の低い末端の職種になっています。
長い残業と低賃金という労働条件
どの業界や企業でもその業界や企業の中で末端と言われる職種については労働条件が厳しい場合がほとんどです。
この労働条件とは主に労働時間や賃金が中心になりますが、販売員は、労働時間が非常に長く、賃金が低いです。
労働時間に関しては、早番と遅番の2交代制の労働制を持つ場合が多く、早番、遅番ともに実働は8時間となりますが、残業時間が長いのです。
年間休日は90日前後!正月でも出勤します
販売員は土日や祝祭日に休日ということはほとんどありません。どの店舗でもシフト制を組み、月間の休日日数は8日前後ということが普通です。
年末年始休暇については、販売員は本当に大変です。消費者商売という特性を持つために、消費者が店舗に来店する機会の多い日や時間は仕事をする必要があります。
日本には正月の福袋という文化があり、アパレル業界でもこの福袋は売上確保のための大きなイベントになっています。良くニュースなどで『デパートの福袋セールがありました』というものがあります。
日本の企業の年間における休日日数は120日前後となっていますが、アパレル業界の販売員については90日前後ということで極めて少ない休日日数です。
本社勤務なら待遇が良い場合も!販売員の中から選ばれし者のみが勝ち取れる本社勤務
ちなみに、先程、アパレル業界は縦社会であるとお伝えしましたが、本社で働く労働者は上位の立場を持ち、労働環境の待遇も良い場合もありますし、一般の業界や企業と同じような働き方であることがあります。
そのため、同じアパレル業界でも販売員とは異なり、夏季休暇もあり、年末年始休暇ももちろんあります。
私の友人にアパレル業界で販売員を経て本社勤務となった友人がいますが、その友人は、正月の福袋セールをテレビのニュースで見ながら『福袋って販売員からすると本当に嫌な行事なんだよなぁ』と言っていました。
その友人も厳しい労働環境で末端である販売員から本社勤務を勝ち取ったのですが、販売員時代は休みも少なく労働時間が長い、そして給料もそれに見合った金額ではなく非常に安い中で頑張っていました。
販売員のノルマがきつい
アパレル業界には営業という職種がありますが、この営業という職種は消費者への営業ということではなく、テナントを探すことや洋服などを製造するために必要な生地などを仕入れるということなどが主な仕事内容になります。
また、販売員のいる店舗をエリアに分けて管理監督するという仕事も含みます。
営業と言えば、どの企業でもノルマや営業目標がありますが、販売員も例外なくこのノルマや営業目標は店舗ごとや個人単位で与えられます。
店舗の営業に関するノルマは、店舗を管理する店長と呼ばれる労働者が持ちますが、それ以外の販売員は個人ごとに与えられます。この営業ノルマが、非常にきついことで知られています。
ノルマ達成の瀬戸際で行われる自腹購入
大体の場合は、月単位でノルマが設定されますが、このノルマが達成できない月もあるでしょうし、または、達成するかしないかの瀬戸際という月もあるでしょう。
この場合、販売員は、ノルマが達成できるかできないかのギリギリの状態のときは、販売員は良く自腹で商品を購入して達成するということが多いです。
アパレル業界の企業や店舗では、ファッションの流行やトレンドの動きが早いために、売れ残った商品はアウトレット対象となるために、定価からかなり値下げして販売することになるために、利益率が下がり、そうなると業績にも影響します。
そのため、どのアパレル業界でも商品の売れ残りは非常に嫌う傾向が強く、売れ残りは消費者への接客で営業を行う販売員の責任になることが多いです。
現在にも残る自腹購入の文化
昔はどのアパレル企業でも企業の文化としてこの風潮はあり、中には店舗を管理監督する営業からの業務指示で販売員に対して自腹で購入してノルマを達成させるということもありました。
この風潮が労働問題に発展したことがあり、最近では企業の業務指令ということはありませんが、販売員が本社勤務するためには、個人のノルマを達成して評価を上げるという文化は変わりません。
結果として販売員が自腹で商品を購入して目標やノルマを達成するという文化は残っています。
販売員の仕事
販売員は消費者への接客を行って営業目標さえ達成していれば大丈夫ということではありません。
販売員は商品の入った段ボールを持ち運ぶこともありますし、段ボールに入った商品を店頭に陳列するという仕事も行います。
そうなると数字に直接関係ない裏方の力仕事はいつやるのでしょうか。店舗の営業時間外に行うのです。しかし、この裏方の仕事に対する残業代の支給はありません。
販売員はこのような理由で休日が少ないことはもちろんのこと労働時間も残業代なしで長くなっています。
販売員の離職率
販売員のこれらの労働環境を見て分かると思いますが、非常に厳しいことが現実としてあります。
このような労働環境が転職後には必ずあります。では、販売員が最終目標である本社勤務をどれぐらいの割合で勝ち取ることができるでしょうか。
大体のアパレル企業は、販売員が本社勤務に異動する確率は数パーセントのようです。
多くの販売員は自分なら大丈夫ということで本社勤務を目指して頑張るのですが、大半の販売員はノルマの厳しさや労働時間の長さ、休日日数が少なさにより途中で諦めてしまいアパレル業界を去るのです。
花形職種以外の職種の現実
アパレル業界の花型職種
- 洋服をデザインする『デザイナー』
- 洋服の仕入れを行う『MD』
本社勤務であっても、この2つ以外についてはどの職種もあまり評価を受けないことが多く、一般企業とほとんど変わりません。
この2つの職種は、販売員としての経験も必要ですが、それ以上にセンスが重要と言われています。
また、花形であり、販売員であれば誰しもなりたい職業であるため、競争率が高く、誰でもなれるという保証がない職種です。
成果が出せず転職を考えるデザイナーも多い
販売員として実績を出してデザイナーやMDになったとても、思うように売れない商品だけのデザインを出掛けるデザイナーや売れない商品ばかりを仕入れるMDはすぐに異動対象となる本社の違う職種へ異動となる厳しい世界です。
成果を出せず花形職以外に異動となった販売員や花形職以外で本社勤務となった販売員はモチベーションが一気に下がり他の企業で仕事をすることを考えるようになります。
しかし、転職市場ではアパレル業界のデザイナーやMDのような求人は非常に人気が高い割には求人数が販売員と比較しても極めて少なく転職できる求職者の方が圧倒的に少ないです。
アパレル業界の転職市場
アパレル業界の転職市場では、ある決定的な特徴があります。求職者としてはこの特徴を確実におさえることが転職決定の絶対条件と言われていますので、必ず把握しておきましょう。
販売員の求人はエージェントよりも求職情報誌に多い
販売員の求人は、数としては非常に多いですが、その求人の多くは転職エージェント以外で探すことができます。残念ながら販売員という職種はアパレル業界のどの企業も、低賃金で長時間労働となり、また、比較的、若い世代を対象としています。
また、アパレル業界の裏事情を知らず、表向きの華やかなイメージを持ち憧れる若者が多いために、低賃金であっても販売員であれば十分に中途採用できる採用環境にあります。
販売員の求人は転職エージェントよりも転職サイトや求人情報誌の方が拾える可能性があるでしょう。
一方、本社勤務の求人については、一般の企業が公開する求人と同じように転職エージェントを多く利用します。
本社勤務の職種は直接的に業績に影響を持ちません。また、アパレル業界は人気業界であるために、転職エージェントを活用してより優秀な人材を確保したいと考えています。
特に花形職については、転職サイトなど誰でも閲覧することが可能なロケーションとなれば、同業他社が閲覧することも可能で、そうするとブランド戦略が他社に知られてしまうということも想定しています。
そのため、クローズ求人として転職エージェントへ依頼するケースが多いです。
アパレル業界はピラミッド
アパレル業界は、どの企業でもプラピッド組織です。ピラミッドとは三角形型の組織を言い、どの企業もこのピラミッド型で、価値の高いポジションの数は少ないです。
販売員のように数が異常に多く一つの組織からすると1名ぐらいいなくなっても特に影響がない場合がほとんどです。
また、販売員はすぐに採用できる人気職種でもあるために、価値としてはあまり高いとは言えず底辺に位置することになります。
さらに、ファッション系の業界はかなりの縦社会で体育会系の文化を持っています。この文化が強いために、自分より目上の人からの指示は絶対です。
男性の求職者とアパレル業界
求職者の中には男性である求職者も多くいますが、男性の求職者はアパレル業界へ転職することは長期的な意味では不向きと言えるでしょう。
実際、私の転職エージェントには、アパレル業界の販売員として現職を持ち、結婚後に生活が苦しいとして販売員以外の職種を希望して転職活動を行う男性の求職者がいます。
男性の場合は、生計維持のために家族の大黒柱として家計を支える立場になることが多いです。そうなれば、当然、ある程度の給料がなければ生活は厳しくなるでしょう。
一人暮らしの求職者とアパレル業界
男性の求職者と同じ理由ですが、一人暮らしの方はアパレル業界では成功を掴むことはなかなか厳しいと思います。賃金が安く生活が厳しくなるからです。
ちなみに、アパレル業界の販売員の給料は、ノルマの達成はほとんど考慮されませんし、基本給が安いために、月の手取りは、20万円は普通に下るレベルです。
ここから、自腹で商品を購入すると社割があっても数万は消えます。
実際、私の知人に給与明細を見せてもらったことがありますが、自腹で商品を購入したため、手取り額が18万だったにも関わらず、それにより12万円というものでした。
アパレル業界は華やかですが・・・
アパレル業界や営業系に関する職種については、かなりの覚悟が必要で、『洋服が好き』、『オシャレが好き』というレベルで転職活動を行い転職してはいけない業界です。
このような憧れや安易な理由で転職して早期退職する人がアパレル業界には多くいます。また、販売員については労働者数が非常に多く、その分、企業からするとあまり価値の高い職種とは思われず、賃金も安いです。
今回は、人気もあり、転職数としても最も多い販売員を中心にアパレル業界についてご紹介しましたが、華やかに見える業界であればあるだけ、裏側は泥臭く厳しい労働環境であることを理解した方が良いと思います。
最後になりますが、皆さんの転職活動が成功することを祈りながら今回はこれで話を終わりにしようと思います。最後までお読み頂きありがとうとございました。