東京都が保育士に家賃補助?

昨今の日本では、全国的に失業率が下がり、求人倍率も上向いている状況ですが、中でも超売り手市場といわれているのが保育業界です。

いわゆる待機児童問題を背景に、全国各地で新しい保育園が設立されています。

しかし、園が建ってもそこで働く保育士が圧倒的に足りていないということで、どこの保育園も採用活動に追われています。

保育士側からするとまさに“濡れ手に粟”の状態ともいえます。

ただ、いくら仕事には困らないといっても、できるだけよい待遇で働きたいのが人情ですよね。

特に保育士は他の職種と比較しても待遇が悪いと言われていますので、少しでも良い条件の職場を見つけて安心して保育の仕事に専念したいと思う方が多いでしょう。

さて、そうした中で今注目を浴びているのが、東京都が保育士に対して実施している「家賃補助」制度です。

今地方に住んでいるという保育士の方でも、この制度については一度は耳に入れておくべき情報と言えるでしょう。

今回は東京都が行っている保育士への家賃補助制度の概要と、留意点などについて一挙解説します。

筆者プロフィール
名前:諏佐諒次
保育業界専門の転職エージェントに勤務
転職経験:2回
現在の年齢:29歳

制度の紹介

そもそも東京都が実施している保育士への家賃補助制度とはどういった内容でしょうか。

これは、実は東京都に限った話ではなく、国(厚生労働省)が主体となって全国的に推し進めている政策なのです。

正式名称を「保育士宿舎借り上げ支援事業」といいます。

具体的には、保育士の雇用を促進するとともに、(残念ながら)待遇の悪なさなどにより高止まりしている離職率の高さを少しでも低減させるために、国・自治体・事業者(保育園を運営する法人)が一体となって保育士の住まう宿舎の家賃を補助するというものです。

実際、神奈川県の横浜市や埼玉県のさいたま市でも同制度の導入が図られていますが、最も制度の普及が広範に及んでいるのが東京都なのです。

どういう人がもらえるの? もらえる条件は?

では、東京都においてはどういった内容で、またどのような保育士がこの制度の恩恵を受けられるのでしょうか。

まず補助額についてですが、これは最大にして月額82,000円までと非常に手厚い内容です。

いくら家賃の高い東京都でも、住居費に対してここまでの補助があればかなり安心して暮らしていくことが出来るでしょう。

そして国の制度としては、基本的に採用5年以内の保育士に限定するものとして普及を進めているものではありますが、東京都は平成28年時点で独自の上乗せ制度を行い、採用6年目以降の保育士も対象とするなど、対象者の大幅な拡充を図っています。

これはひとえに、東京都がいかに保育士不足かということの裏返しでもあります。

ただし、細かな対象者の条件については各自治体によって微妙に異なっている部分もあります。

例えばある自治体では原則として「実家を離れひとり暮らしを行っている独身の保育士」に対象を限定していますが、また別の区では結婚して夫(妻)や子どもと暮らしを共にする住居でもOKとしているなど、各々の自治体に判断がゆだねられている点があります。

ここについては、実際利用を検討する場合に、園にしっかりと確認するのがよいでしょう。

また最後に、都内のすべての保育所でこの制度を利用できるわけではありません。

自治体に申し出て所定の手続きを済ませている園のみが対象となっていますので、この点も十分注意してください。

東京都の隣接件から勤務する人はもらえないの?

ところで、東京都の隣接県、例えば神奈川県や埼玉県、千葉県などから「通いで都内の園に勤務する方は、この制度を利用することができるのでしょうか。

これは、残念ながら難しいといわざるえをえません。

というのも、この居住地に関しては、ほとんどどこの自治体(あるいは保育園の運営法人)においても、勤務する園が所在する区の中にある住居に住まうことを利用の条件と定めているからです。

例えば厳しい園では、園から半径○Km以内の住居に住む場合に限る、と規定しているところさえあります。

自治体(あるいは園)としては、家賃補助を利用して園からなるべく近い場所に住み、労働環境を少しでも改善してほしいという思い(狙い)があるので、これはやむをえないと考えるほかないでしょう。

ただし逆にいうと、現在、東京から離れた地方在住の方でも、この制度を利用すれば、上京して都内の園に勤めることが比較的容易になるということです。

東京で働くことに魅力を感じている地方の保育士の方であれば、この制度を利用しない手はない、といっても過言ではありません。

この政策はずっと続くの?

ところで、この政策はいつまで続くものなのでしょうか。

残念ながら、未来永劫継続していく制度とは考えにくいでしょう。

月額82,000円を公費と園とで拠出するというのは、相当に大きい出費です。

国や自治体、園側としても、できるだけ制度を早めに切り上げたいと思うのが自然でしょう。

現在は待機児童問題が正にピークで、そのような制度が積極的に推し進められてはいますが、2020年ごろからは徐々に解消されていくものと見通されています。

その時期になれば、逆に保育士が“余っていく”状況が段々と生まれてくるはずですので、現在のような手厚い制度も必要性が薄まってくるものと考えられます。

つまり、この家賃補助制度を目いっぱい使えるのも、向こう5年程度が山場といえます。

その先についてはどのような代替制度が打ち出されるのか、あるいは一切の支援が消滅するのかはもちろんわかりません。

ただし、今使える制度はとことん使っておくことが重要だと心得ておきましょう。

この記事の筆者

名前:諏佐諒次
保険業界においてバックオフィスや営業など、様々な職種で7年間勤務。

その後、保育業界の転職エージェントを約1年間経験。

多くの保育士から転職相談を受け、よりよい職場を提供できるよう、転職理由の根本の把握に努めた。

現在は民間の教育機関の運営に携わり、主に人事関連の業務を行う日々。

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