保育士の転職先、東京で探すには?
待機児童問題が社会的に大きく取り上げられている今、保育園はもとより、そこで働く保育士の確保が急務となっています。
保育士不足という状況自体は全国どこにいっても変わりありませんが、深刻さにはバラツキがあります。
中でも、とりわけ緊急性・重大性が高いのがズバリ東京都です。
東京はいうまでもなく日本の中心であり、女性の社会進出も急速に進んでいます。
しかしその分、保育園のニーズも図抜けて高く、つまり保育士不足という問題がより鮮明に浮き出ています。
ここからいえることは、保育士は東京で職場を選べる余地が大きい、すなわち転職がしやすいということです。
今回は、東京で働きたいと考える保育士にとって、抑えておくべき前提条件や、職場選びのポイントなどについて解説します。
- 筆者プロフィール
- 名前:諏佐諒次
保育業界専門の転職エージェントに勤務
転職経験:2回
現在の年齢:29歳
都内求人の傾向
東京都で転職先(保育園)を探すにあたっては、幾つか心に留めておきたい点があります。
まず真っ先に認識しておくべきことは、東京都は全国の中でもダントツに保育士の求人倍率が高い地域であるということです。
全国的にも、平均して求人倍率が2倍程度とそもそも引く手あまたな職種ですが、東京都では5倍を超えるといわれています。
つまり、どこの園も保育士獲得に向けてまさに血眼になっているといっても過言ではありません。
ここからいえることは、保育士を獲得したいあまり、園側が自園の情報を若干“盛る”ことがあり得るということです。
一般企業でも、採用にあたり自社のことをよく見せようと思うのはある意味当然のことですが(これは面接を受ける側からしても同じことでしょう)、やはり人員の採用が死活問題となっている状況では、その傾向は強まってしまうのは致し方ないのでしょう。
保育業界は残念ながら離職率が高い業界です。
給与の低さや労働時間の長さなど、他業種と比べて恵まれていない点が多くあります。
聞きづらいことではありますが、都内の園で面接を受ける際には、募集の背景などを特にきちんと確認しておく方が、後々のリスクは低いといえいます。
また、東京都はいわゆる大手といわれる株式会社が多数の園を展開している地域でもあります。
代表的な企業としては、日本保育サービスやポピンズ、サクセスホールディングス、グローバルキッズなどがあります。
これらの企業は都内に多くの園を抱えています。
こうした大手の園への転職を検討する場合は、情報が比較的多く出回っていますので、実際働いている方の口コミなども探すことができます。
もちろん情報源がインターネットだけでは完全に信頼を置くことは難しいですが、できるだけ情報収集には努めた方がよいでしょう。
今ホットなエリアはどこ?
では、東京都の中で特にホットなエリアはどこでしょう?
厳密なデータがあるわけではありませんが、エージェントとしての肌感覚からいうと、都心部の方が採用熱が高く、また労働条件も比較的恵まれている求人が多い印象です。
具体的には渋谷区、大田区、新宿区、台東区などです。八王子や町田など、都心から離れると、もちろん各保育園の採用熱は高いですが、そもそも園の絶対数が都心よりも多くはないので、保育士側からすると自ずと選択肢も減ります。
また、23区では多くの区が保育士の採用・定着を促進するため手厚い家賃補助を実施しています。
額は各区によって微妙に違いますが、おおむね月額80,000円以上と、非常に魅力的な制度です。
東京で園を探すからには、都心部の方が何かと便利なことが多いでしょうし、またこうした制度を利用すればひとり暮らしでも負担が低くて済みます。
優先順位としては、都心部を先に検討した方が良いでしょう。
上京を伴う保育士就職ってありえる?
さて、就職・転職と言えば一般的に自身の居住地の通勤可能な範囲で検討するのが一般的かと思いますが、上京を伴うパターンはあるのでしょうか?
これは、特に保育士に関していうと十分あり得るケースです。
というのも、東京都には先に挙げた手厚い住宅補助制度があるからです。
保育士に限らず、地方出身で東京への憧れを持つ方は少なくないでしょう。
上京を考えたときに大きなハードルとなるのが家賃や物価の高さですが、80,000円以上もの家賃補助があれば、その負担はかなりの程度軽減することができます。
現に、エージェントとしての経験の中でも、件の家賃補助実施する都内の園へ転職する地方出身の保育士は徐々に増えていました。
園側としても、とにかく質の高い保育士を採用するためには幅広い地域から募る方が可能性は高まるわけですから、地方出身の方でも全く問題なく、むしろ歓迎する傾向にあるといえるでしょう。
東京の保育士求人を探す上で有効な方法は?
さて、実際に東京の保育士求人を探すうえで有効な方法はどういったものがあるでしょうか?
最もおすすめなのが、「保育士バンク!」や「保育のお仕事」など、保育士専門の大手求人サイトを利用することです。
これらのサイトは情報量も豊富で、また家賃補助がある園など、詳しい条件で求人を検索することもできるので、効率的な検索が可能です。
ただし気を付けるべき点は、これらのサイトに出ているのは「求人“広告”」であり、園が広告費を出して掲載しているものだということです。
つまり、求人があったとしても、広告費を払ってまで“表”には出したくない、という園については、これらのサイトで検索しても情報が出てこないことがあるのです。
ただ、これら大手求人サイトは、サイト運営と並行して人材紹介業も行っていることがほとんどです。
人材紹介とは、園から求人情報を提供してもらい、職場を求める保育士と園とを結びつけることを目的としたビジネスです。
つまり、人材紹介業を営む各企業は、広告として表には出ていない多くの求人情報を抱えている可能性が高いのです。
より幅広い情報にアクセスし、東京都での転職を成功させたいと思うのであれば、求人サイトでの検索とともに、こうした人材紹介サービスを利用するのがよいでしょう。
この記事の筆者
名前:諏佐諒次
保険業界においてバックオフィスや営業など、様々な職種で7年間勤務。
その後、保育業界の転職エージェントを約1年間経験。
多くの保育士から転職相談を受け、よりよい職場を提供できるよう、転職理由の根本の把握に努めた。
現在は民間の教育機関の運営に携わり、主に人事関連の業務を行う日々。