保育士転職、40代からの立ち回り方
2016年、社会的な話題をかっさらった「保育園落ちた…」のブログを例に出すまでもなく、日本で今は保育園に入れない子どもたちの存在、いわゆる“待機児童”が大きな問題となっています。
女性の社会進出を考える上で、保育園の増設が非常に重要であることは間違いありません。
しかし、実は保育園の数以上に深刻なのが保育士不足です。
どこの保育園も、保育士獲得にむけて正に血眼になっているのが現状です。
- 筆者プロフィール
- 名前:諏佐諒次
保育業界専門の転職エージェントに勤務
転職経験:2回
現在の年齢:29歳
売り手市場=どんな年代でも簡単転職?
そうした意味では、保育士目線に立つと、資格(保育士資格)さえ持っていれば職場選びは比較的容易ともいえます。
また、潜在保育士と言って、保育士資格だけ保持し、今まで保育業務の経験がない方でも、歓迎してくれる園も多いでしょう。
例えば子育てがひと段落した女性で保育士資格を持つ方ならば、社会的な情勢をふまえ、職場復帰するなら保育士をしようか…と考えている方も少なくないでしょう。
しかし、幾ら引く手あまたとは言っても、十分に気をつけておかねばならないのは、一般に保育士は激務と言われる仕事であることです。
特に40代頃を境に、様々な部分で支障が多く出やすくなる仕事でもあります。
今回は、特に40代以降の保育士の方に向けて、よりよい職場選びを行うための考え方等について徹底解説いたします。
パートを狙う? それとも正社員?
まず、40代の方が保育士として新しい職場を探すとき、パートか正社員のどちらが有利なのでしょうか。
これは、正直なところ一概にどちらが良いとは言い切れません。
というのも、既に述べた通り、保育園は“超”がつくほどの人手不足であり、パートでも正社員でも、保育士資格さえ持っていれば、とにかくすぐにでも来てほしいという園が多いからです。
ただし、正社員よりはパートの方がやや充足している傾向にはあるので、パートを希望される方のほうが若干求人(それも、自分にとってより良い求人)は見つけにくいかもしれません。
ここでポイントですが、例えばパート希望でより良い待遇を望むのであれば、いわゆる「早番・遅番」が可能な方の方が、臨む条件(時給など)は“断然”得られやすいでしょう。
多くの園では、早番だと7時出勤、遅番は8時過ぎまで業務を行わなけらばならず、この時間帯を回避するパートの方は多いです。
それゆえに、早番・遅番に勤務できるパート人材は大変貴重なのです。
特に40代の方であれば、子育てもひと段落し、時間の融通が利く方が多いでしょうから、パートとして働きたいのであれば、ぜひ早番・遅番(どちらかでも)の勤務を検討するのが良いでしょう。
職場によっては体力面を不安視される?
次に、40代の保育士の方が留意するポイントしては、「体力面」の不安が挙げられます。
保育士は見かけとは裏腹に、非常に体力を要する仕事なのです。
子どもたちを抱っこしたり、遊び相手になったりと、エネルギーあふれる乳幼児の世話をするということはもちろんですが、園内の飾りつけ作業や給食の用意など、とかく力仕事が多いのです。
その点におて、40代の方はどうしても20~30代の方と比べると体力が落ちている面も多いので、園によってはそれを理由に40代の方の採用を渋るというケースあるようです。
ただし、そうした面もアピール次第でいくらでも克服可能です。
既に保育士としてのキャリアがある方であれば、そうした力仕事のほかに、例えば書類作成などの事務作業に慣れている方も多いでしょうし、何より40代の保育士は保護者に与える信頼感も20~30代より大きく優ります。
そのように、自ら培ってきた能力や、年齢を武器としたアピールが採用面接などで十分にできれば、体力的なマイナスは決して大いきなものではなくなるのです。
場合によっては、自身のキャリアを活かして、主任や園長候補など、即座に役職を狙うことも十分に可能なのです。
未経験でスタートする場合の注意点は?
一方、40代の方でも、保育士としての業務が初めてという方はどのような点に注意すればよいでしょうか。
先に述べた通り、日本には潜在保育士といって、資格だけ所有し保育業務に関わったことがない方が非常に多くいます。
しかし、保育士不足という社会的な背景をふまえ、初めて保育士としての仕事にチャレンジしようという方も徐々に増えてきます。
30代ぐらいの方であれば、体力面も含め、それほど問題ないでしょうから、あまり心配になる必要はないでしょう。
ただし40代の方で未経験の場合、力仕事はもとより、未知の業務を新たに習得するという点で大きな苦労を伴う可能性は少なからずあります。
その点は十分に心構えをしておく方がよいでしょう。
ただ、40代で特に女性の方であれば、保育士業務の経験はなくとも、ご自身の子育て経験がある方は多いと思われます。
もちろん自分の子と他の子の世話という点では大きく違うことも多々ありますが、幼い子どもに接し、育てたという経験は、保育士の仕事において大きな武器となります。
40代の方であれば、そのように自身の子育て経験を存分に活かすことで、スムーズな業務の習得も可能になるでしょう。
また、保育園によっては、新たに勤務される方に先輩保育士が半年間なり1年間なり、サポートにつく場合も多々あります。
そうした体制がきちんと敷かれていれば、例え40代未経験、かつ子育てもしたことがないという方でも、誠実に仕事の習得に励めば、問題はないでしょう。
この記事の筆者
名前:諏佐諒次
保険業界においてバックオフィスや営業など、様々な職種で7年間勤務。
その後、保育業界の転職エージェントを約1年間経験。
多くの保育士から転職相談を受け、よりよい職場を提供できるよう、転職理由の根本の把握に努めた。
現在は民間の教育機関の運営に携わり、主に人事関連の業務を行う日々。