売り手市場と買い手市場で自分の相場や価値を決める!
私は現在、転職エージェントとして求職者のみなさんの転職支援をさせていただいているのですが、かつて3回ほど転職しています。
1度目や2度目はある企業からお話をいただき、そのまま無難に転職しています。
問題は、3回目です。
3回目の転職はそれまでとは違い、転職エージェントや転職サイトを活用して活動をしたのですが非常に苦戦しました。
当時の転職市場と自分の年齢を深く考えず転職活動をしてしまったため、とんでもないことになってしまいました。
当時は人事としてかなり仕事をしてきていたため自己評価はかなり高く、転職市場でも高い評価を受けるはずだと勝手に思い込んでいました。
この自信は転職活動をするなかで『過信』であることに気付かされました。
今回の記事の目次
自分の市場価値は、自分が決めるものではない
私のように、仕事を一生懸命頑張り成果を出してきたため、どこでもやっていけると思って転職活動している求職者の方はいませんか?
その自信は『過信』の可能性も高いです。
一生懸命に仕事をしてきた、成果も出したという事実は確かにそうだと思います。
しかしそれはあくまで狭い世界での話で、転職市場は自分が思う以上に広く成果はそこまで市場価値が高くないということが多いです。
私も当時は、自分を過大評価し過ぎたため描いた転職活動プランが完全に崩壊して、ボロボロの精神状態でした。
今回は、『売り手市場と買い手市場で自分の相場や価値を決める!』というテーマで、求職者自身の市場価値についてご紹介したいと思います。
年齢によって市場価値は変わる
ご存じの求職者の方も多いと思いますが、転職市場には『年齢により求人数が減る』という法則があります。
求人では年齢や性別など一切関係なく公開されていますが、どの企業でも、自社の採用ニーズに合わせて応募資格を設定しています。
大体の企業は20代から30代前半の、伸びしろの高い求職者を採用したいと考えています。
では30代中盤以降はどうでしょうか。
求人はかなりの数があるにも関わらず、転職エージェントからなかなか紹介がないという経験はありませんか?
転職サイトであれば、求人検索で自分の年齢を入れると検索結果が異常に少ないという経験をしたことはないでしょうか。
私はこのどちらも経験済みです。
特に転職サイトを利用したときは、心からがくぜんとしたことを覚えています。
当時は買い手市場だった・・・
人事としては、算段が甘いとしか言いようがないことですが、求職者の転職活動はそのときの転職市場の動向に大きな影響を受けます。
今はこれまでにないぐらいの売り手市場で、求職者はかなり有利だと思います。
当時私が転職活動した時代は、今とは真逆の買い手市場で明らかに企業が有利でした。
ある企業がある職種で求人を公開するとします。
買い手市場の場合は、求人に特別な変化や付加価値をつけなくても苦労なく母集団形成が可能です。
このような買い手市場の場合は、企業の人事は『寝てても仕事が終わる』と言えるぐらい採用に苦労することはありません。
当時、私は転職活動がうまくいかないなか、人事として表向きでは何事もないように現職に応募していただいた求職者の面接を行っていましたが、心の中では
『この人、うらやましいな…たぶん採用されるだろうな。本当は他人の選考を判断するような立場ではないのに…』と悲しい気持ちでした。
求職者の価値は転職市場の動きで激変
今、転職活動をしている求職者のみなさんは本当にラッキーです。
市場の動向により、適正とは言えない実績や経験も高く評価されるのが今の売り手市場です。
求人数も買い手市場とは比較にならないぐらい豊富にあります。
転職エージェントとして活動していますが、登録いただいている求職者の方は転職活動が順調で、自分も驚くような、『この実績で、この企業から内定が出るのか』と思うような場合もあります。
買い手市場で30代中盤以降の求職者
転職市場が買い手市場で求職者自身が30代中盤以降であれば、よほどのことがない限り転職活動は行わない方が良いと思います。
私は当時、転職活動により、かなり自信を失っています。
私のように実績や経験に自信があっても転職市場はそんなに甘くないです。
自分が持っている実績や経験は、転職市場には普通にいます。
また、求人数が少ないなかでも応募できたとしても、書類選考で粉砕されることが多いです。
30代中盤以降になると、書類選考の基準が一気に上がります。
20代を対象にする求人の書類選考は比較的甘めで通過率も高いのですが、30代中盤以降ともなれば、書類選考する目も厳しくなります。
書類選考の方法
20代の求職者を対象にした書類選考は、人事担当者が1回で判断します。
また、その求人のポジションはそこまで重要なポジションではない場合が多いために、書類選考のチェックポイントも少ないです。
ただ30代中盤以降ともなればそれなりのポジションを想定していますので、企業としても採用には慎重になります。
書類選考のチェックポイントも多いですし、書類選考を担当する人も人事だけではなく現場の責任者や社長まで回ることがあります。
書類選考の段階で、何回かの選考を受けているということになります。
私も企業の人事として30代中盤以降を対象とした書類選考を担当したことがありますが、私はこう思いました。
『書類選考でここまで厳しく判断されると、かなり30代中盤以降の求職者は、自信を無くすだろうな』と。
まったく同じ現象が、求職者として自分に舞い降りてきました…
あのような転職活動は絶対にしたくないと今でも思いますし、転職エージェントとして活動する今は、当時の私のような思いを求職者の方にしてほしくないと思いながら求職者のみなさんの転職支援をさせていただいています。
売り手市場の恩恵を存分に受けるべし!
今の日本経済は転職活動を行うには最高の環境だと思います。
ちょっと視点を変えて新卒採用に目を向けてみてください。
3年ぐらい前までは業績が低迷していたため新卒採用の数を減らしたり、採用を行わなかったりする企業が多かったのですが、今はまったく違います。
どの企業も将来の戦力として考え、積極的に新卒採用を行っています。
このように、現在の人材市場は最高の環境ですので、求職者のみなさんはこの時期を逃してはいけません。
転職しようかどうしようか迷っているならば、ためらう事なく、転職活動した方が良いです。
採用する企業は不利の状況ですので、他社差別化を図るために条件を引き上げていることも多くあります。
売り手市場で30代中盤以降の求職者
求職者自身が30代中盤以降の場合でも、比較的応募することができる求人は確保できます。
- 人事
- 経理
- 総務
- 法務
- 広報
これらの求人であっても十分転職できる環境にあります。
私は立場を隠してある大手の転職エージェントに登録してみましたが、登録した段階で70社ほどの求人が一気に紹介されました。
この数は正直あり得ない数です。
かつて苦戦した私の場合、登録した際に紹介を受けた求人は数社だけです。
転職をあおっているつもりはないのですが、今の転職市場はそれだけ求職者にとって有利で、短期的に複数社からの内定を得ることも可能だと思っています。
女性の求職者も今がチャンス!
本来、転職市場においては、男性よりも女性の方が優先度は低くなりますが、今の転職市場は、空前の売り手市場です。
性別の不利も関係なく転職できる可能性があります。
女性の40代となればあまり求人数がないのですが、私の40代の友人は短期間で転職することができています。
一般の転職市場でありながらも、感覚的にはヘッドハンティングを受けている感覚です。
どの企業も採用に苦戦していますので、書類選考含めて面接なども本来よりも選考基準が甘くなっているようです。
第2新卒の求職者のチャンス!
転職市場ではあまり高い評価を受けない第2新卒の求職者も、今はチャンスです。
先ほど、新卒採用の話を軽くしましたが、新卒採用市場も売り手市場であり就活生が有利です。
そのため、企業は本来の人員を充足できずに若手の人材が不足しています。
そこで、新卒ではなくても若い人材をと、第2新卒の求職者で穴埋めしようと考えています。
求職者のみなさんとしては『穴埋め』というのは良い気がしないかもしれませんが、それでもチャンスであることは変わりありません。
私の転職エージェントでも、今一番採用実績がある年代が第2新卒の求職者です。
売り手市場で気をつけること
ここまでご紹介したように、売り手市場の場合は本来苦戦することが予想される求職者であっても、十分自分の希望する企業へ転職できる可能性があります。
売り手市場の場合は、求職者からすると良いことだらけですが注意点もありますので紹介していきます。
キャリアアドバイザーは敵になる・・・
売り手市場となると、採用する企業としては条件を引き上げたり、選考基準を引き下げたりすることが必要になります。
せっかく内定を出しても辞退されてしまうこともあります。
この状況を企業はどうしても避けなければならないため、転職エージェントにオーダーを出します。
『内定を出した求職者を絶対に口説いて辞退しないように説得してほしい』といったものです。
転職エージェント自身も自社の収益や、個人業績を考えて内定を受けた企業に転職するように説得するケースが増えます。
営業体質の転職エージェントを利用している場合、説得というよりもゴリ押しで内定先の企業へ転職するよう言われますが、しっかりと自分の転職軸を見定めて断る勇気が必要です。
女性の求職者や第2新卒の求職者は説得やゴリ押しに負けてしまう傾向が強いので、特に気をつけてほしいと思います。
転職エージェントは現在スタンダードな方法ですが、このようなデメリットがあるということも求職者のみなさんは理解しなければなりません。
売り手市場になると人材業界に参入する企業が増える
その業界が好調であれば、それまでその業界に参入していなかった企業もその業界へ参入する傾向があります。
実際に、インターネットで転職サイトを調べていただければ分かりますが、新しいビジネスモデルを搭載した転職サイトが急激に増えています。
最近は新規の転職エージェントも増えています。
転職エージェントや転職サイトは、ほかの業界や業種に比べると初期投資のコストも少なく済みますし、小規模でも十分な収益性がある事業になります。
特に転職サイトについては、サイトを構築すれば、あとは求人企業と登録者を増やすだけでいい、ストック型とも言えるサービスになります。
このような状況になると、どの転職エージェント・転職サイトを利用すれば良いのか迷うかと思います。
この場合でも転職活動の基本を忘れないでいただきたいです。
1社だけでは相対的な判断ができないため、中小規模の転職エージェントを2、3社程同時に利用することをおすすめします。
求人の選択も重要
これだけ求職者が有利の売り手市場となると、転職エージェントからの求人数の紹介もかなり増えます。
大半の求職者の方は、現職に在籍しながら転職活動を同時に行っていると思います。
いくら求人数が多く、選考基準が甘いとは言え、まともな準備がなくては受かるものも受かりません。
求職者は紹介を受けた求人すべてに応募するのではなく、優先順位をつけて選考を受けた方が良いです。
大手の転職エージェントを利用されている求職者の方はご理解いただけるかと思いますが、応募するかどうか管理画面で求職者が判断します。
そこで優先順位が低いということで多少、興味がある求人をその段階で応募しないとするのではなく保留状態にしておくのです。
そうすることで応募辞退というステータスにはなりませんし、応募した企業で見送りになった場合は保留にしていた企業に応募できるのです。
現職で忙しい中でも万全な準備なく面接に向かうということも回避できると思います。
売り手市場と買い手市場で自分の相場や価値を決める!
ここまで売り手市場と買い手市場について、そして求職者自身の相場や価値についてお伝えしました。
今は売り手市場ですので当時の私のような状況にはならないと思いますが、今後一気に市場が変わることもゼロではありません。
市場が変わり企業が有利の買い手市場となった場合は、私のエピソードを参考にしていただければと思います。
最後になりますが、求職者のみなさんは今、ビッグチャンスを迎えています。
転職に迷いがある求職者の方は、市場価値を確認するだけでも十分です。
きっと良い結果が得られると思います。
そのなかでも、転職エージェントなどの説得やゴリ押しに負けず、最高の転職を目指してください。
最後までお読みいただきありがとうとございました。