転職サイトで転職活動を成功させよう!
求職者の皆さんは、どのような転職方法を真っ先に思い浮かべますか?
恐らく現在の転職市場を考えると、真っ先に頭に浮かぶ転職方法は転職エージェントだと思います。
しかし、転職エージェントよりも、かつての日本では転職サイトを使った方法が主流でした。
転職サイトを使った転職方法は、現在は、転職エージェントに押され2番目の立ち位置にいます。
それでも求職者の中で2番目に人気のある方法である転職サイトですので、うまく活用することで求職者としては転職活動を円滑に進めることは可能です。
今回は、最近、日の目を浴びない転職サイトという方法にフォーカスして求職者の皆さんもお役に立てる情報をご紹介できればと思います。
まずは、転職サイトの歴史や転職サイトがなぜ現在、低迷しているのか、このあたりから今回は話を起こしていこうと思います。
転職サイトの歴史
転職サイトについては諸説ありますが、一般に広く知られていることは、2000年前後に創設されたということです。
つまり、20年ぐらいの歴史しかないことになります。
日本のビジネス文化はかつて終身雇用の時代が長く続き、そもそも転職という概念があまり浸透していなかったのです。そのため、転職サイトも歴史が浅いことになります。
転職は在籍する企業に伏せて水面下で行うことが一般的で、それは今でも変わりません。転職サイトは、日本の転職文化の定着と同時に急成長を遂げました。
衰退した背景
転職サイトは歴史が浅いとお伝えしましたが、そうなると、転職サイトがブームだった時代はかなり短かったということになります。
本当にその通りで、数年でピークを迎えて以降は右肩下がりで現在も衰退していることが現状です。
転職サイトがこのように転職エージェントに押され衰退している原因をいくつかご紹介したいと思います。
転職サイトの主な機能は今も昔もほとんど変わりませんので、この機能を求職者として理解することで転職サイトを利用して転職活動を円滑に行う基礎になります。
誰でも閲覧できる転職サイト
冒頭、インターネットの普及によりインターネット上にある転職サイトは親和性が高く主流となっても違和感はないとお伝えしました。
確かにその通り、インターネットと転職サイトは非常に近しい関係性にあり、誰でも閲覧することができることが長所です。
しかし、この長所はあくまで一般消費者や求職者視点の話であり、転職サイトに求人を掲載する企業からすると全くのデメリットにしかなりません。
企業の中には企業知名度を上げるために、転職サイトに求人を掲載することで広告としても活用していた企業もかつてはありましたが、あくまで転職サイトですから、一般消費者が積極的に転職サイトに訪れることはあまりありません。
そのため、この考えで転職サイトに求人を掲載することがなくなりましたし、一方で新卒サイトもあります。
広告という意味を持たせて求人を掲載するのであれば、1年程度、掲載され続ける新卒サイトの方が広告の代替となる理由で転職サイトへの広告代替として求人を掲載することはなくなりました。
ちなみに、新卒サイトは大学生の就活生が企業を探すためのサイトですが、就活生の就職活動期間は1年ほどとなっており、その間は常にどの企業も求人を掲載することが可能です。
また、1年間掲載することが可能でありながら費用も安く広告として活用するには転職サイトよりも安く、また、掲載期間も長いことから企業としてはメリットがあります。
企業からすると誰でも閲覧できるようでは困る
企業としては誰でも転職サイトを訪れることが可能な環境は非常に困るのです。
中途採用は企業の経営戦略の中核となるため、今後の企業戦略のヒントを提供することになってしまうからです。
今もそうですが転職サイトは訪問制限はありません。つまり、本当に誰でも閲覧することが可能ですし、インターネットは世界ともつながります。
極論、世界中に、自社の採用活動を公開して、そこから企業戦略が知れ渡るということにもなります。
どの企業も生き残りをかけて経営をしていますので、特に競合他社には動向を知られたくはないのです。
転職サイトを使って求人を掲載することは採用活動と共に自社の情報を提供することになりますので、この観点から企業は求人を掲載しなくなりました。
企業が求人の掲載を控えるということは求職者が閲覧できる求人数も少ないということになり、転職サイトの魅力が薄れます。
誰でも自由に手軽に情報を入手できる、便利なインターネットの特徴が、転職サイトとしては全くの逆効果となり、サイトパワーが欠けてしまっているのです。
誰でも閲覧できるということは・・・
誰でも転職サイトの求人を閲覧することができるということは、誰でもその企業の求人に応募することも可能ということです。
ちなみに転職サイトに掲載されている求人で応募を制限する機能はありません。
世界中どこからでも閲覧することができ、誰でも応募することが可能な環境に求人を掲載しているということになります。
一見、誰でも応募できるのであれば、企業としてはそれだけ母集団形成を作ることができるので有利ではないかと思う方もいるかと思います。
私はかつて企業の人事を担当していましたが、確かに採用する上では母集団形成は必須の条件です。 しかし、どの企業も質を求めます。
母集団形成した中にいる応募者がその求人の募集条件に合致していないとすればどうでしょうか。
採用決定につながることはないでしょう。
むしろ、採用に関係する選考の手間だけが増えて全く求人を掲載した意味がありませんし、掲載費用の無駄遣いで終わります。
いつだったか忘れましたが、エンジニア職の募集で転職サイトに求人を掲載したことがありますが、その中に、現職がトラック運転手という求職者からの応募がありました。
現職で書類選考が通過することはないだろうと思いながらも書類選考を丁寧に行ったのですが、結果的に書類選考を通過させる基準にははるかに及ばずでした。
転職サイトは誰でも閲覧することができるため、求人の募集要項とは全く的外れな応募も中にはあります。
特に不景気であり企業が採用を抑え気味になっている買い手市場であれば、求職者は転職活動をする上で重要な求人を拾うことすら難しくなります。
『だめだろうけど、とりあえず応募しよう』という心理状態になり、本人も選考通過する確率はゼロに近い求人に対しても応募するようになるのです。
転職サイトも応募制限など行うことが改善策なのですが、現在も応募制限機能はありません。
採用活動が大変
次も企業の視点になりますが、転職サイトからの応募は転職エージェントとは異なり直接応募になります。
直接応募ということは採用工程の全てを企業が行うことになります。
企業の人事は少数であることが普通で、誰でも応募できて、しかも書類選考や面接調整など全ての事務処理を企業が行うとどうでしょう。
恐らく業務量が増えて業務が煩雑になりミスも増え、そして採用の質も担保されない流れ作業になってしまう可能性もあります。
特に日程調整は単純作業のように思うでしょうが、人事は、面接官のスケジュールを聞いて、同時に求職者のスケジュールも聞いて、面接日時を決めなければいけません。
1回の調整で確定すれば良いのですが、そのようなことはレアケースで大体は2回以上の調整が入ります。
面接は複数名同時に行いますので日程調整も同時に複数名分、対応しなければなりません。
私も経験がありますが、この日程調整含めた事務処理の煩雑さは頭が混乱してパニック状態になるぐらい大変な業務です。
ドタキャンが多い
企業が複数名を同時に選考すると同じように、転職活動を行う求職者も同時期に、複数社の選考を受けていることがほとんどです。
中には、愚直に1社ずつ応募するという求職者もいるようですが、これは非効率でお勧めしません。
求職者の中には、応募した企業もランク付けしていて、『落ちてもOK』、『絶対合格したい』というように決めています。
後者の場合は、求職者も優先的に選考に進むと思いますが、前者の場合は、例えば、面接日に急に用事が入ったとすれば、簡単にドタキャンすることも当たり前にあります。
求職者としては志望度が低くドタキャンの結果選考見送りとなっても痛手はないのですが、採用側としては、面接のために煩雑な面接調整をした結果ドタキャンをされては非常に落胆してしまいます。
どの企業も転職エージェントを介して採用活動するよりも転職サイトからの直接応募の場合は、ドタキャン率が高いです。
求職者が自分で活動しなければいけない
企業も自社で採用活動の全てを行わなければならないことと同様に、求職者としても転職エージェントとは異なり転職活動の全てを自分で行わなければなりません。
転職エージェントを利用することで、まず求人の発掘は転職エージェントのキャリアアドバイザーが行ってくれます。
しかし、転職サイトの場合は、多くの求人も中から検索して探す手間が入ります。
また、職種単位で似たような求人が多くあることから整理が大変です。
応募する際も、転職サイトの管理画面内で、自分でレジュメを校正しなければなりません。
求職者の多くは、現職で働きながら転職活動を行う場合が大半ですが、そうなると少しの手間も省きたいと思いますし、面倒になって転職活動の進行が遅れることも想定できます。
転職エージェントから受ける求人と同じように転職サイトに掲載された求人にも掲載期間があり、進行の遅れは応募すらできないという結末を迎えることになり求職者としてはチャンスロスになります。
また、選考中の日程調整もいちいち管理画面で行うことが必要で、転職サイトの管理画面のユーザビリティはあまり良くないのでさらに面倒に感じます。
そして極めつけは内定時です。
内定時に入社条件の交渉がありますが、転職エージェントの場合は、キャリアアドバイザーが求職者の代理として企業とやり取りしてくれます。
一方、転職サイトの場合はキャリアアドバイザーがいませんので全て自分が企業と交渉することになります。
どの求職者も内定時の交渉はできれば避けたいと考えています。 というのも、自分も言いたいことが言えず企業有利の条件で落ち着くことが多いからです。
せっかく苦労して得た内定も自分の希望が全くかなわないのであれば喜びも半減してしまうでしょう。
転職エージェントを求職者が利用するメリットの中にこの内定時の交渉を行う必要がない点があります。
私も求職者として企業と直接、内定時の交渉を経験したことがありますが、まだ入社してもいない立場の自分が強く主張することはできませんでした。
ブラック企業が多い
求職者としては、転職先に求める大前提条件はブラック企業でないことだと思います。
日本は法規制が厳しくなりブラック企業は昔よりかなり減ったと言われていますが、それでもまだまだ多く存在します。
応募段階でブラック企業と見抜ける求職者はまだ良いでしょうが、選考を経て入社して初めてブラック企業と気付く求職者も多くいます。
入社後はもう後戻りはできませんので後悔しても後の祭りです。
転職サイトには掲載基準が一応はありますが、審査が厳しいことはありません。
審査は、その企業の与信を取るために用いられて、どちらかと言えば転職サイト自身の利益確保が目的で、求職者視点で審査基準を設けているということではありません。
転職サイトの営業マンは自分の営業ノルマがあります。どのような企業であっても掲載してくれさえすれば営業成績に反映されますので、掲載後にその企業がブラック企業で求職者が入社しようと一切気にしません。
そのため、求職者は自分で求人内容を見てブラック企業かどうか、ブラック企業に類似しているかどうか見極める必要があります。
しかし、一般の求職者は法令などに詳しいという方は少ないと思いますし、求職者自身で法令と照らし合わせてブラック企業かどうかを判断することは簡単なことではありません。
結果的に転職サイトを利用してブラック企業に応募してしまった、入社してしまったというケースは多くありました。
昔は、転職サイトが主流でブラック企業も混じっていたことが非常に多くありました。
今は掲載求人数が少なくなりましたが、ブラック企業が混在していることも事実としてあります。
ぜひ、転職サイトを利用して転職活動を考えている求職者の方は十分、気を付けた方が良いです。
転職サイトを使って転職決定する!!
これまで転職サイトがなぜ衰退しているのか企業視点、求職者視点でご紹介してきましたが、最近は転職サイトが盛り上がりを見せています。
今まで言ってきたことと違うではないか?と思うかと思います。
字面だけみればその通りなのですが、もっと具体的に説明すると転職サイト&転職エージェントの組み合わせが盛り上がりを見せているということになります。
この後、詳しくご紹介しますが、この仕組みを理解していただければ転職サイトでも十分に転職決定につながる可能性が高いということはご理解いただけると思います。
転職エージェント事業への参入
どの転職サイトを運営する企業も転職サイトだけでは事業拡大や利益拡大は期待できないと判断して、転職サイトと共に転職エージェント事業も行うようになっているのが現在です。
転職サイト運営は、サイト構築など多額の資金を要するために大手の人材企業が運営することが多いです。
そもそも、転職サイトを運営している企業は転職サイト事業で企業としての知名度は高く求職者からの広く知られている存在です。
その知名度の高い企業が転職エージェントを行うと、登録数が簡単に増えるのです。
転職サイトへ登録すると転職エージェントも利用することができ、逆に転職エージェントに登録すると転職サイトも同時に利用することが可能になっています。
1度の登録で、転職方法として人気のある二つの方法を利用できる環境は、求職者にとっては都合の良いものでしょう。
転職エージェントからのスカウト
「転職サイト&転職エージェント」は、どちらかに登録した情報が社内で一元管理されています。
そのため、転職エージェントが抱える求職者以外にも、転職サイトの登録者から適切な人材を発掘できるのです。
データベースから合致する求職者を発見すると、そのキャリアアドバイザーはメールで求職者に対して求人の紹介をすることが可能になっています。
転職サイト&転職エージェントの両方をサービスとしている場合、転職サイトに登録すると転職エージェント機能も同時に利用するかというチェックボックスがあります。
そこにチェックするだけで、両方のサービスを受けることが可能になります。
この転職サイト&転職エージェントは、求職者としては1度で2度おいしいと言える転職方法だと私は思います。
転職エージェント業界は私のように小規模で事業展開している転職エージェントが圧倒的に多く、私のように転職サイトを運営したくてもできない転職エージェントが山のようにあります。(お金、人という経営リソース不足により難しいです)
これにより転職サイトは一番底から脱却して最近、少しずつ人気を回復しています。
小規模の転職エージェントと求職者の出会いの場
小規模の転職エージェントの課題は、認知度が低く求職者の数が少ないことです。
求職者の課題は、大手の転職エージェントでは求人の重複があり新規求人に出会う確率が減ることです。
今の転職エージェントはこの課題を解決すべく、求人を掲載することができるようになっています。
このように、「転職サイト&転職エージェント」のサービスは転職に関わる全ての人にwin-winの関係性を提供しています。
この機能により多くの求人を転職サイトは掲載することが可能で、それに魅力を感じて登録数も増えます。
また、小規模の転職エージェントから掲載費用などの費用を受けることが可能で利益の確保にもつながります。
転職エージェントとしても自社の知名度アップにもなり、また、自社が抱える求人をより多くの求職者に知ってもらえる機会が増え、企業に紹介する数も増えます。
このビジネスモデルは転職サイト、転職エージェントともに画期的な機能です。
この3者の中でも最も恩恵を受ける対象が求職者ではないかと思います。
転職サイトや転職エージェントを同時に利用することが可能で、しかも、どちらも無料のサービスです。
そして、転職エージェントの転職支援の強みであるレジュメの添削や内定時の交渉など事務処理も全て転職エージェントが対応してくれます。
こんな素晴らしい転職環境があるのであれば転職サイトを利用しない手はないと思います。
また、求職者の中では小規模の転職エージェントは優秀であるため、小規模の転職エージェントを登録したいということで探す求職者もいますが、転職サイトを利用することで小規模の転職エージェントとは数多く出会うことが可能です。
私が求職者として今、転職活動するのであれば転職サイトにまず登録します。
そして登録時に、同時に転職エージェントも利用しますか?というチェックボックスにチェックを入れて転職エージェントも同時に利用します。
そのチェックボックスへのチェックで求職者としては転職活動をする上での全ての課題が解決できると思います。
転職成功しよう!!!
転職サイト&転職エージェントの組み合わせサービスが登場して転職市場は随分変わりました。
中には、まだまだ転職サイトとしては知名度が低いのですが、企業の口コミ情報を集めている転職サイトもあります。
この転職サイトでは皆さんが転職したいと思っている企業の評判を知ることができます。
実際の労働環境や社風や労働条件はどうなのか、そして転職成功の前提であるブラック企業ではないかといった情報も仕入れることが可能です。
また、この他でも過去の各企業の面接を受けた求職者の書き込みとして面接体験談を確認することが可能で、面接対策にも役立てることができます。
このように転職サイト単体では採用する企業、転職する求職者にとってデメリットが目立ちあまり有効な方法とは言えません。
しかし、転職エージェントとの組み合わせによりデメリットが解消され、これ以上ない転職環境が転職サイトにはあります。
転職サイトは転職エージェントとのレバレッジモデルにより生まれ変わり今後はさらに人気が上がるように思います。
皆さんの転職活動が早期に決定し転職成功となることを祈り、今回はこれで終わりにしたいと思います。