新たな転職方法「紹介予定派遣」について紹介
みなさん、こんにちは。
現在の転職方法で人気があるものは、
- 転職エージェント
- 転職サイト
- 転職フェア
- ハローワーク
という順になっています。
上記の転職方法は、求職者が企業に入社した段階で後戻りすることができません。
求職者の中には「転職決定はしたものの、実際に働いてないため自分に合うか不安が大きい」という声が多くあります。
しかし、今回紹介する「紹介予定派遣」を使うことにより、入社後に自分に合わないと思えば一定期間で簡単に契約を解除して退職することが可能になります。
まずは、紹介予定派遣とは?ということから話をしていこうと思います。
今回の記事の目次
紹介予定派遣とは?
紹介予定派遣とは、労働者派遣法に規定がある転職方法です。
名称にあるように、もともとは派遣希望者の雇用が目的でした。
正社員を希望している求職者が派遣スタッフとして入社して、一定期間の就業を経て正社員を目指すというものです。
ですので、紹介予定派遣を利用する場合は転職エージェントではなく派遣会社に登録することがスタートになります。
派遣会社への登録方法
紹介予定派遣は、入社後の一定期間まで派遣という形態であるため、登録手順は通常の派遣スタッフと変わりありません。
登録すると簡単な面談とPCスキルチェックがあり、自分の希望する仕事内容を担当者に伝えてその日は終了です。
希望に合った仕事があれば随時紹介するという流れになっています。
紹介予定派遣としての職場見学
正社員の転職では、選考過程で企業に面接をしに行くのが普通です。
紹介予定派遣も同じように面接に出向くのですが、雇用形態の関係で表現方法に規制があり、面接を「職場見学」と表現します。
企業は、入社前に派遣登録者を面接で選んではいけないということになっているのです。
職場見学では氏名や年齢を聞いてはならず、個人情報に該当する住所や最寄り駅も聞いてはいけないことになっています。
この背景には、正社員での就業が難しいレベルの求職者を何とか仕事に就かせてあげたいという国の苦肉の策があります。
そのため派遣では、なるべく登録スタッフに就業の機会が確保されるように、企業が知ることのできる情報をなるべく少なくしているのです。
実際の紹介予定派遣としての職場見学
法的にはかなり厳しい規制がありますが、実際の職場見学は異なります。
派遣登録スタッフも法的な規制は気にしていないこともあり、職場見学だけではなく、派遣登録スタッフの氏名、年齢、住所や職歴における企業名も公開されます。
派遣の場合、交通費は自腹であるため、最寄り駅が分からなければ交通費を配慮することもできませんので、この観点からも情報の共有があります。
また、職場見学では必ず派遣会社の営業担当が同席します。
そのため、職場見学の冒頭は、派遣登録スタッフではなく派遣会社の営業担当が発言することが一般的です。
派遣含めた紹介予定派遣の規制が厳しいもう一つの理由
先ほど、自身の経歴が浅く仕事が決まらないことを考慮して規制が厳しいとお伝えしましたが、実はもっと大きな問題があります。
立場が弱く、早く仕事を決めたい求職者の弱い心理をつき、ピンハネや中間搾取が横行した時代があり、派遣社員として働く求職者を保護しているのです。
求職者の雇用に関して、本来の法令ではどのような理由であれ中間マージンを得てはならない規定があり、ピンハネや中間搾取はこれを指します。
紹介予定派遣のニーズ
近年ニーズが高まっていることから、どの派遣会社も紹介予定派遣の事業を積極的に行っています。
この背景には、先述の通りスキル不足や経歴不足を補う以上に、前向きな理由で紹介予定派遣のニーズが高まっています。
求職者のメリット
経歴は申し分なく正社員でも転職することができる求職者も、あえて紹介予定派遣を選択することが多くなりました。
これには、冒頭でお伝えした入社後に契約を解除して後戻りすることが可能であることが大きな理由です。
通常、どのような企業も試用期間を設けていますが、正社員として試用期間中に退職するとなれば、その後の職歴的にはダメージが大きく、その後の転職活動に悪影響をもたらします。
しかし、紹介予定派遣で派遣期間中に退職しても契約終了というだけで済みます。
派遣期間中の退職は職歴的にリスクを負うことはありません。
世間的には正社員としての退職と派遣社員としての退職は重みが違います。
このように職歴という観点でのリスク回避ができるため、前向きに紹介予定派遣での転職を探す求職者が多くなっています。
紹介予定派遣は求職者の不安を解消する
紹介予定派遣という転職方法は、入社前の求職者の不安を解消してくれる意味でもメリットがあります。
正直なところ、入社前の不安を本質的な意味で解消する方法は正社員での転職では存在しません。
本質的な解決は、実際にその企業で働いてみなければ解決することはないからです。
紹介予定派遣での転職を希望する求職者には、心理的な不安解消と職歴に傷がつくことを防止するリスクマネジメントができています。
企業からみる紹介予定派遣のニーズ
いくら求職者からの紹介予定派遣のニーズが増えていると言っても、企業のニーズがなければ紹介予定派遣は成立しません。
求職者からの認知度が低いなかで紹介予定派遣の機会が増えている理由は、企業にも大きなメリットがあるからです。
人件費的なメリット
派遣労働者は派遣会社と雇用契約を結びますので、企業は派遣労働者に間接的に給料を支払うことになります。
この三者間契約と言われる関係性により、企業側は派遣社員の社会保険料を負担する義務がなくなるのです。
企業にとって社会保険料は大きな負担となるため、明らかに人件費の削減としてメリットがあります。
雇用リスクの回避としてのメリット
また、無期契約の雇用契約を結ぶと「社会通念上、明らかに労働者側に否がある場合でなければ解雇することは許さない」との規定があります。
社会通念上明らかというのは、労働者が会社の物品を盗んだとか、刑事事件の加害者になったというような場合です。
そのため、『労働者と相性が合わなかった』とか『業務態度が悪い』といった理由では解雇できないため、紹介予定派遣でリスクを解消できるようになっています。
紹介予定派遣のデメリット
紹介予定派遣を選択する求職者にメリットは大きいのですが、デメリットもあります。
ご存じの通り、派遣労働者は非正規雇用であるため社会的な立場が低く、社会的な信用もあまりありません。
クレジットカードを申請しても審査が通らないことがありますし、どれだけ長く働いていてもこの信用度が上がることは極めてまれです。
こういった理由があるため、紹介予定派遣という転職方法を選ぶ男性求職者は少ないです。
派遣期間について
紹介予定派遣の場合、試用期間とも言える派遣労働者で就業できる期間は最長6カ月です。
この6カ月の期間が、企業と労働者が互いを見極める期間となります。
この期間内であれば、お互いの合意が前提で派遣という立場から直接雇用の正社員に切り替えることができます。
最長で6カ月ということは、派遣労働者として入社して1カ月後に正社員としても全く問題ないことになっています。
正社員への切り替え
紹介予定派遣は正社員前提の派遣採用になりますので、派遣期間終了後に正社員に切り替わる可能性は高いです。
面接で見極めるのではなく、実際に業務を通して労働者の働き方や人間性などを判断することができるため、採用ミスマッチのリスクが少ないのです。
労働者もこの派遣期間を経ることにより、その企業が自分に合うかを見極めることが可能であるため、正確な判断ができます。
事実として、正社員での転職よりも紹介予定派遣から正社員への切り替えのほうが長期就業率が高いのです。
なお、正社員への切り替えの場合、企業と派遣労働者の間であらためて面談することになりますが、業務を通してお互いに判断ができているため形式的なものとなり、それほど重要としていない企業が多いです。
紹介手数料の発生
紹介予定派遣が転職エージェントのサービスに似ていると言われる理由はここにあります。
紹介予定派遣は、派遣労働者から直接雇用に切り替わったタイミングで、企業から派遣会社に紹介手数料として年収の15~20%の報酬が支払われるようになっています。
紹介予定派遣は人気が上がる
紹介予定派遣という転職方法は、社会的な信用というデメリットを除くことができればメリットが大きいです。
しかも、社会的な信用が低いのは最長でも6カ月です。
何年も続くことはありませんし、6カ月程度であれば信用が下がってもあまり影響はないように思います。
昔の紹介予定派遣は年収の低いポジションの求人が多かったのですが、今はIT分野の職種を中心として年収面でも優遇される場合が増えてきています。
年収面が確保されるため、男性の求職者でも紹介予定派遣を選ぶことが増えていて、転職方法としては今以上に人気が上がると言われています。
そのため、転職エージェントでも紹介予定派遣の事業を新設する企業も増えています。
今と昔は違う
以前の派遣のイメージは
『作業系の仕事をする労働者』
『仕事が決まらない労働者』
というあまり良くないものでしたが、今は違います。
労働者派遣法という法令にしっかりと保護され、一定の基準を超えた事業者のみが行うことができる転職方法です。
採用する企業からの評価も高く、紹介予定派遣の求人を積極的に公開する企業も増えています。
企業、求職者にとってメリットの大きい、転職失敗のリスクを回避することができる極めて優秀な転職方法だと私は感じています。
そもそも、正社員の転職方法は書類選考や面接だけで採用するしない、入社するしないを決めなければならず、本当の意味での求職者選びや企業選びにはなっていません。
派遣期間を利用して給料をもらいながら働く中で企業や企業で働く人を知ることができるということは、本当に最高だと思います。
求職者の皆さんは、昔の世間的なイメージに流されることなく紹介予定派遣という方法を今一度、正しく理解して転職方法として幅広い選択を持っていただきたいです。