30歳からの転職についてきいてみた
今回の記事の目次
年齢で四つのゾーンに分ける
それでは「30歳の転職」というテーマでお話を聞かせてください
はい。
年齢によって、転職のやり方もしくは難易度、見られ方とか。そういった部分は違ってきますよね?
そうですね。はい。
具体的には年齢によって、何が違ってくるんですか?
求められる経験だったりです。転職活動するってなると、最初に第2新卒っていう枠があるんですね。入社3年目ぐらいまでで、25歳くらいの社会人を指します。その次は25~30歳までの若手社会人。そして、30歳前後。ここら辺になると中堅みたいになってきますし、30代もやっぱり34、35だとまた別のくくりになっていく。
ああ、なるほど。
というようなイメージをまず持っていただけると話は進めやすいかなって思います。
すごいわかりやすいです。
第2新卒に経験・スキルは無い
第2新卒だと、そもそも社会人なりたてです。みたいなものなので、ぶっちゃけて言うと第2新卒って名前の付いてる通り、基本的には役に立たないというか経験持っていないです。「どんな経験持ってますか?」とか、「どんなスキル持ってますか?」っていうよりも、「何でわざわざ転職したいんですか?」とか、「何でこの会社に入りたいんですか?」っていう意欲の部分だったりとか、仕事に対してのスタンス・キャラクターの部分ですね。知性とか。そういったところのほうがより求められがちになります。
はい。
これ、そもそも経験してない人たちのゾーンに経験求めても仕方ないんですね。ここまで大丈夫ですか?
大丈夫です。
なのでイメージとして気持ちの部分、「何で転職したいのか」「入りたいのか」っていうことと、あと、「この人はうちの会社に入ってそもそも役に立つのか立たないのか」。スキルの部分ですね。その二つを企業は見てると思ってください。
「スキルの部分」と「なぜっていう部分」の二つですね。
そうです。
はい、わかりました。
年齢が上がるとスキルが重要になってくる
このウエイトが、年齢が上がれば上がるほど、気持ちよりもスキルのほうが重視されていく。ウエイトが大きくなっていくようなイメージを持ってください。
はい。
なので32~35とかになって「この会社に入りたいんです」っていうよりも、「そもそもあなた何ができるの?」みたいなもののほうが重視されるイメージですね。はい。ここまでいいですか?
大丈夫です。
そのスキルの部分もウエイトが高くなっていくだけではなくって、年齢が上がれば上がるほど具体的な部分を細かく求められるようになっていきます。例えば25から28の若手って言われるゾーンであれば、例えば「営業経験があるんだったら別の業界でもいいよ」、「異業界の転職でも同じ営業っていう職種を経験している人であれば受け入れますよ」っていうものが多かったとしても、例えば30超えてくると、やっぱり近しい業界で営業やったことがある人に限られる。35オーバーになってくると、同じ業界で同じ営業やってて、かつお客さん引っ張ってこられるような人。みたいな感じで求められる要件っていうのがどんどん細かくなっていく。
なるほど。
30歳の未経験転職はかなり厳しい
今、年齢によって四つのカテゴリーに分かれましたけど、「30歳転職」はやっぱり他の部分と見てどんな感じなんですか?
20代と比べて30代になるとやっぱり未経験の業界や職種への転職っていうのはかなり難しくなってきます。
なるほど。はい。
ただ、35歳以上と比べると全く可能性はゼロではないですけれども、なかなか難しい。かつ、いざ転職しようと思っても、本当に未経験となるとゼロからのスタートなので給料ががくっと下がったりとか。あと30になると主任とかリーダーとかになる人が増えますよね。課長、マネージャークラスとまでは言わなくても、役職に就いてくる人たちが増えていく中で転職することによって、役職の部分もリセットされた状態で始めなければいけないわけです。全く新しいところに足を踏み入れるっていうのが、30歳になると難しくなりがちになりますね。
例えば給料自体が新卒と同じぐらいだったら、雇われることは可能なんですか?やっぱりそれでも難しいっていう感じなんですか?
可能性はゼロではないですけど、企業にとってみると、そんな人を雇うくらいだったら新卒を雇うよね。っていうふうになります。
確かに。わかりました。
同じ金額を払うのであれば、まだまだポテンシャルが大きいとか、色が付いてなくて育てやすいっていうような観点で採用したいですよね。例えば受け入れた先の部署が、「新卒を育ててください」って言われるのと、「一から自分より年上の人を育ててください」って言われるのを考えてください。組織の他の人たちとの関係性っていう部分も考えていくと、やっぱりハードルは高くなりがちですよね。
確かに。そしたら未経験はだめっていうことなんですけど、なら経験がある人っていうのはいかがなんですか?
未経験がだめっていうわけではないんですけど、極めて難しい――、
っていうことですね。
経験だけではなく、実績も重視される
経験がある人に関して言うと、同じ業界だったりとか、同じ職種とか、生かせるものが多いかどうかっていうのはやっぱりかなり見られてくるところになると思います。
なるほど、なるほど。
はい。経験だけじゃなくって「どういう実績を上げてきたんですか?」みたいなところだったりですね。
なるほどねー。
同じ“経験”でも、その前いた会社で「どういう実績を積んだのか」とか、例えば営業であれば同年代の営業の人と比べて「どういうところが優れているのか」とかっていう部分を見られたりします。あるいは受け入れたあとのイメージ。さっき役職の話をしましたが、やはり30歳前後ぐらいだと、リーダー候補ですよね。もちろん、受け入れるタイミングで役職に就いているわけではないですが。20代の人を面接するときと比べると、むこう1、2年ぐらいでリーダーになれるかどうかっていう視点で企業は見ていると思います。
若手社会人は異業界へも転職できる
そうですね。それでは、若手社会人の場合の転職はどうなのかなあ?
若手社会人の場合だと、第2新卒よりも経験は見られるようになります。比較的異業界とか違う職種っていうのには行きやすい年齢ではあります。ただ、未経験の転職っていうのは、これは年齢の話じゃなくなる。別の“変数”が入っちゃう。受け入れ企業の景気の良さにもよるんですね。やっぱり今伸びている業界、景気のいい業界だと人手が足りないので未経験でも育てていく余力もあるし、猫の手でも借りたいみたいな状態だったりする。だから、未経験の求人って出やすいんですね。一方あまり景気が良くない業界、あるいは会社だと、育てる余力もないし、そんなに人も欲していない中で中途採用するんだったらもう経験者に絞る。みたいな傾向は出てきますね。
異業種に行く場合っていうのは、年齢が若いほうがやりやすいっちゃやりやすいんですか?
そうですね。景気の変動を見ないで考えると一番やっぱり年齢が若ければ若いほど行きやすいです。
若手社会人のリーダー経験は買われる
ありがとうございます。そしたら、先ほど30歳の場合って例えばリーダーシップとかの部分が見られるって話でしたけど。若手社会人の場合、そういった部分に関してはいかがなんですか?
もちろんあるに越したことないと思います。そこは受け入れる企業側の「だいたいどのくらいの年齢でどんな役職が就くのか」みたいな、会社の一人前になるまでのスパンだったりとか、役職が就き始めるときの時期によっても変わってはくると思います。
例えば、ちなみにどんな感じですか?
例えば、35歳になって課長になり始めるみたいな会社の場合だと、別に25、26歳にリーダー経験って求めないことが多いと思います。一方、平均年齢が27、28歳の会社の場合。25、26で優れてる人だと、マネージャーになることも多いと思うので、そういう会社さんだと「今まででリーダーやったことあります」っていう場合だと、プラスに見られる可能性は高いかなあと思います。
ちなみに、その会社さんが「だいたい何歳で課長職とか?」っていうのは、多分エージェントを使えばわかると思いますけどエージェントを使わない場合とかってわかるんですか?
面接で聞くとか、知っている人に聞くとか、そういうことになってくると思います。あとは一般的には業界ごとに早い遅いみたいなのは調べると出てくることが多いかなあと思いますね。
なるほどですね。ある程度業界ごとにあるっていうことですね。
そうですね。
35歳の転職では即戦力が求められる
そうしましたら、ありがとうございます。そしたら35歳の場合、転職っていうのはどんな感じなんですか?
35歳以上になるとやっぱり即戦力で企業が求められていくことが多いです。基本は自分が持っている経験ベースで転職していくっていうことが中心になってくると思います。
なるほど。もう未経験とかはもちろんバツだし、あとは――、
まあゼロではないと思うんですけどね。なかなか難しいと思います。
もちろん会社の風土によると思いますが、35歳以上になると、さっき言われたリーダーシップとかも求められるというか前提になるような感じなんですか?
そうですね。なので、もう35歳以上になると「コストをかけて採用するんだから、どれだけのメリットをすぐにうちの会社にもたらしてくれるんだろうか」っていう視点に企業はシフトしていきます。じゃなきゃ採るメリットがないっていうふうに判断しますね。
40を超えるとエージェントではなくヘッドハンター
今、年齢で四つに分けていただきましたけど、35歳より上っていうのは、もうほぼ一緒っていうイメージなんですか?
細かく分けるともっとあるとは思うんですけど、ケースとしてはそんなに多くなかったりします。あとはヘッドハンティングとかを使うようになってくる年齢になるので、あんまり転職エージェントを経由してっていうケースがそんなに多くなくなってくるのは一つあると思います。なので人脈、つまりヘッドハンティングとか知り合いの紹介で転職することが増えてくる年齢になってきますね。45、50とかになってくると、転職サイトや転職エージェントを使わなくなってくる年齢です。
案件的に難しいっていうことですか?
案件的にというより、採用する企業にとって要件がもっともっと細かくなっていくので。例えば業界の中で、だいたい「誰とかさんだったら知ってる!」みたいな人づての話になったりとか、エージェントを使うよりもヘッドハンターを使ったほうがピンポイントにその経験を持った人にアプローチしていってくれたりするので。
なるほどですね。
年齢が上がると、そのニーズに合った採用の手段を選んでいくっていうふうに変わっていくイメージを持っていただくといいんじゃないかなあと思います。
すごい細分化されてしまうから――、
なので一概にもう35歳より上になっていくと、年齢だけの話じゃないことがすごく増えてくるので、あまり業界の中ではそこから先を細かく分けるっていうのはあんまりしていないですね。
30歳に求められる「スキル:意欲」は「7:3」
なるほど。例えばご自身が30歳で転職をするってなった場合って、どういった部分に気を付けるっていうか、もしアドバイスとかがあれば教えていただきたいなっと思ったんですけれども。
人によりけりなんで難しい質問ですね。ただまあ、自分が「転職したい」とか「入りたいから」っていうよりも、「自分はこの会社」、「入りたいと思っている会社にどんな貢献ができるだろうか」とか、「自分の何が役に立つのだろうか」っていうような視点をより多く持ったほうがいいと思います。
先ほど、年齢が経ると同時にスキルが求められるという話でしたけど、30歳の場合はアバウトに、比率として何:何ぐらいなんですか?4:6でスキルとかですかねー?
例えば、第2新卒がスキル2:意欲8だとすると、30歳前後になるとスキル7:意欲3ぐらいですかね。若手、25から28だと半々ぐらいのイメージですかね、ざっくり言うと。
35歳だとスキル9:意欲1とかですか。
そのぐらいになってくると思います。
それぐらいなんだー
35歳以上ぐらいになってくると、ヘッドハンティングを使うことも出てきますがね。個人が転職しようと思って活動するというよりも、企業側があなたの経験をかっているから、「うちに来て!」っていうアプローチになっていくんですね。なので個人がその会社に入りたいかどうかっていうことよりも、いかにして企業が、自分たちの会社に興味を持ってもらうか。っていうふうに個人を説得していくようなケースがヘッドハンティングとかだと出てくるんですね。なので、ウエイトっていうのが限りなくスキルのほうによっていくことになります。その意欲の部分は企業側の努力で作っていくっていうアプローチが増えていくので。
マネージャーに上がりやすい年齢を知ろう
ありがとうございます。先ほど、30歳前後で「こういったリーダーシップの力が求められる」という話がありましたが。一般的にはそうだけど、各企業によってまたちょっと微妙に違ってきたりってのがあるわけですよね?
はい。それはもちろん。
それ、面談とか、ネットでやっぱりわかるもんなんですか?
これは、私自信が細かく調べているわけではないんですけれどね。いろんな情報が載ってて、例えば平均年齢だったりとか、マネージャーに上がりやすい年齢だったりとかっていうのを見ていったりすると、「リーダーシップが求められているかどうか」はおのずと出てくる可能性は高いと思います。
転職の、口コミサイトとかありますよね。
はい。そういうところで探せば、規模の大きい会社さんの情報はあるのかなぁと思いますし。あとは、面接に行ったときに面接官って自己紹介してくださるので「このぐらいの年齢の人がこういう仕事に就いているんだなあ」とか、あるいはホームページをしっかり作り込んでいる企業さんであれば、企業に社員紹介なんかも出てくると思うので、そういうところを見ると分かりますね。まあ見た目だけじゃ判断できない部分はありますけど、意外と若い人がマネージャーやってるんだなあとか。
っていうことですよね。
こんな具合で見える部分はあるかなあと思います。
情報収集手段としてのエージェントは使うべし
ちなみにご自身は今まで転職ってご経験されたことってございます?
はい、あります。
その際ってエージェントは使われました?
使ってないですね。
それ何か理由とかってあるんですか?
理由は特にないんですけれど、使わずに転職先が見つかったので使わなかっただけです。
そうなんですね。
あと、中身も知っているし別に使わなくてもいいかなあ。みたいなところは思いました。
ちなみにそれは何で使わなくてもいいかなあ?って思ったんですか。
転職エージェントを個人が使うメリットって、古くは「非公開求人が探せる」っていうことなんですけど。企業さんは割と求人情報を公開してることが多かったりしますので、あんまりそのメリットもなくなってきてます。あと、間に入って面接のアドバイスをしてくれるとか、企業の情報を教えてくれるとか。こういうことをやったことがない人にとってはメリットが大きい部分があると思うんですけど。私の場合は、自分でエージェントを経験しているのでね。
なるほど。それで、エージェントは使わなかった。
簡単に言うと、本当に転職しようと思って転職したというよりも、独立する準備のためにちょっと仕事を変えた。というところがあったので、少し皆さんの転職活動と違うっていう部分もあったんですね。
なるほどですね。承知しました。ちなみにもしもご自身が「まっさらな状態」つまりエージェントの経験とかがなくて、通常の転職って場合ですと、エージェントは使いたいと考えますか?
私がですか?
はい。
私の話ではないんですけど、転職エージェント、人材業界専門の転職エージェントさんとかもいたりするので、エージェント経験者はみんな転職エージェントを使わないかっていうとそんなことはないです。
はい。友人にならエージェントって勧めます?
情報収集手段の一つとしては勧めますね。使うメリットは多いと思うので。ただ背景はちゃんと知っておかないと。お金を出してくれるのは企業側なので、個人は無料で使えるじゃないですか。そのカラクリは把握した上で相手の話は聞いたほうがいいよっていうのは言ってますけど。
エージェントの言う全てを鵜呑みにしてはいけない
転職を急かされたら注意
例えば、エージェントから企業を左右されるというか、そういったリスクっていうことですか?
リスクというか、転職エージェントにしてみれば転職してもらってなんぼじゃないですか。なので、仮にその人が今転職しないほうがいいようなタイミングでも急かしてくる可能性っていうのはありますよね。
なるほど。っていうことは、ご自身がエージェントを使うデメリットと思われている一つは、「タイミングが、そうじゃないときにも関わらず転職を勧めてくることがある」っている部分ですか?
そりゃ、転職しないってわかってる人に時間をかけて相談に乗ってあげることはしないですよね。
なるほど。
例えば、1年後でも転職してくれるかもしれない。と思ってアドバイスをするはしますがね。転職エージェントさんもも営業マンとして仕事している以上、そういうケースに当たる可能性はゼロじゃないですよねっていうところですね。
なるほど。
なので賢く使わないといけないんじゃないかなとは思います。
そうしたら、実際にもう転職するって決めている人の場合は使うべきなんですか?
はい。
どちらかと言うと、転職しようか迷ってる人は、ちょっと斜めから見る目が必要ってことですか?
そうですね。
そういうことですね。
いただける情報を参考にしつつも、鵜呑みにしないっていうところですかね。
企業にねじ込もうとする強引なエージェントに注意
なるほど。ありがとうございます。ちなみに転職したいっていう人がエージェント使う場合、エージェント側さんからその求職者の方をどこかの企業に「どうにかねじ込みたい」っていう少々強引な姿勢は実際あるのでしょうか?それともそれに関してはほとんどないみたいな感じですか。
あるところもあると思います。企業の方針や営業さんによって、一概にどのエージェントも、どの会社も、どの人もそうとは言えないですけれども。タイミングや会社さんによっては、そういうことは起こり得る。十分に起こり得ると思います。
それは大手っていうことですか?
大手に限らないです。
大手、中小、どれでもっていうことですよね?
極端な例ですが――。中小のエージェントさんでも、懇意にしていただいている企業さんから「どうしても何月何日までに何人欲しい。それ埋められなかったら取引停止ね」っていうふうに言われているとします。その中小の企業さんの中で、その会社さんが売り上げの半分を占めてましたみたいな状況だと、何とかしたいですよね。そんな場合になると、何とかそこに入ってくれる人を探さなきゃっていう力は働くことはあるんじゃないかなあと思います。
それは、大手でも同様ということですよね?
大手でもあると思いますし、それは転職エージェントだからっていうよりも、どういう業界でもあり得ることですよね?
っていうことは――、
なので、転職エージェントも普通の事業会社ですよ。っていう視点で見ていったほうがいいと思います。ボランティア団体ではないので。
ありがとうございます。ちょっとそれてしまいましたけど、了解です。そしたら、30歳の転職の総論として「スキルの部分のほうが重視されることを踏まえ、自分が何を提供できるか」っていうのをまず考えるべきっていうことですよね?
はい。