営業の転職についてきいてみた
「誰に」「何を」「どう」売っていたのかの観点が大切
それでは、営業の転職についてお聞かせください。事務とか経理とかそれぞれによって転職の仕方は違うということですか?
進め方は基本的に一緒なんですけど、どこが行きやすい行きにくいとかみたいなことが職種によって変わってくるんですね。経理とか法務とかになってくると業界を動いても経理の仕事ってそんなに変わらなかったりするので、転職、異業界でもできたりするんですけど。
ふーん。
経理だと業界を超えてのスキルっていう部分は業界に縛られているものではないので、食品業界の経理やってて次は車メーカーの経理に行きますっていうのは可能なんですね。で、逆に例えば業界に縛られているような話で言うと、広告制作のディレクターとか。基本的に広告業界にいることになりますよね。ざっくり言うと、「その業界の中で転職をしやすい人」と、「業界を超えても転職しやすい人」がいたりするんですけど、営業ってその中間みたいな位置なんですね。
その商品知識とかを学ぶっていう部分では、その業界独自の限定されたノウハウだけど、営業っていう部分では汎用(はんよう)性があるっていうような感じですか?
はい。なんで、ここが年齢と関係してくる部分ではあるんですけど、若手だと営業経験があれば違う業界でもいいよ。っていう傾向が高くなります。年齢を重ねていくと、「この業界でこういう商材を扱っていて年間の売り上げがこのぐらいで・・・」みたいなふうに、注文がどんどん増えていくんですね。
ごめんなさい。若手だと営業で転職しやすいっていうのは、さっき言われた汎用(はんよう)性っていうか、どこでも一応やっていけるスキルだからということですか?
「営業であれば検討しますよ」っていうのが若ければ若いほど縛りがゆるいんですね。
ゆるいのは営業っていうスキルっていうか、それがどういった業種でも必要とされるっていうことですか?
説明難しいんですけど、やっぱり人に会ってものを売るっていう部分は共通してるじゃないですか。
はい、そうですね。
ものっていうかサービスの場合もありますけども。「営業の経験があるんだったらいっぺん検討しますよ」って、若手だとなりやすいですね。ただ年齢重ねてくると、転職できるのは同じ業界で、同じような商材を扱っているところというように変わっていきます。ここら辺はさっきの年齢の話と一緒です。第2新卒って若手から、スペシャリストっていう経験者の間を経ていくまで、異業界に転職しやすいかどうかなみたいな、みなさんがあんまり知らない部分のお話をさせていただきます。「未経験でもいいよ」「異業界でもいいよ」って言われてても受け入れられやすい経験とそうじゃない経験ってあったりするんですね。それが何かっていうと、例えば一口に営業って言っても、「どんな人にどんなものをどのように売っていたのか」っていうこの三つの観点で似ているところが多ければ多いほど転職しやすいです。
なるほど。
「誰に」が共通していると異業種でも転職しやすい
異業界であったとしてもですね。
それは――、
どんな人にっていうのが、個人なのか法人なのかとか。法人でも例えば社長に対する営業なのか、例えば担当者に対する営業なのかとか。個人も一般大衆向けの営業なのか、めちゃくちゃお金持ち、セレブの人に対しての営業なのかっていう感じで。「誰に」っていう部分が似ているところだと異業界でも転職しやすいんですね。
なるほど。
一般的に個人営業から法人営業って行きづらいって言われてるんですけどね。例えば個人と法人と違うって言っても、個人の証券会社の営業さんでお医者さんとか社長とかお金持ちばっかりを相手にしてる人だと、意外とその法人営業で取締役とか社長さんとかえらい人を相手にするような営業だと転職しやすかったりとかするんですね。さっきお話した誰に何をどのようにっていう部分を見ていくと、一見難しい業種って呼ばれても実は行きやすかったとか、異業種OKって言われててもなかなか通りづらかったりとかみたいなことが起きたときに、まあその三つの観点を見るとヒントっていうのが見えてきたりします。
パッケージされたものとカスタマイズできるものを売るのでは大違い!
その「どんなものを」っていうのは――、
ここは意外とみんな知らないっていうか、一般の人は気が付かずに活動してることが多いです。
「もの」の部分っていうのは、例えば高価なものだったら高価なものとかっていうことなんですか?
そうですね。金額とかもそうですし、あるいはすでにできあがっているものを売るのか、いろいろ組み合わせてカスタマイズしていくものが必要なのか。
例えばどういうものですか。
例えばソフトウェアの話で言うと、「給与計算のパッケージとしてできあがってます」っていう箱に入っているものを売るのか、「システム自体はその会社さんに合わせていろいろこう組み合わせていって売っていくもの」なのかで、同じソフトウェアを扱う営業さんでも身につけるスキルだったり、必要なものだったりっていうのが微妙に変わっていくんですね。
同じソフトウェアだけど変わってくる。
どんなもの、できあがっているものなのか、カスタマイズが必要なものなのか。
ごめんなさい。ちょっとイメージがわかないんで、もしよろしければもっと具体的な例とか教えてもらえるとありがたいなと思って。
ヨドバシカメラとかに行くと弥生会計とかソフト売ってますよね。あれって、買ったらインストールして使い始められると思うんですよ。同じ会計経理処理に使いたいシステムを欲しいですって言っても、例えばその会社に合わせたユーザビリティだったり機能だったりっていうのを、要望を聞きながら一から作っていくっていうものだと営業の仕方が違うんですね。できあがっているものを「はいどうぞ」と売るのとは勝手が違うんです。
なるほど、なるほど、確かに、確かに。
その会社さんから話を聞かないと作れないものって、やっぱり同じソフト売ってる営業さんでも仕事内容って違いそうなイメージしますよね。
そうですね。ヒアリングしないといけないみたいな感じですよね。
なので、営業でどんなものを売っているのかっていう部分が似てたり似てなかったりっていうことは、自分の今までのスキルが異業界であったとしても生かしやすいかどうかにつながります。
わかりました。ありがとうございます。
なのでちょっとソフトウェア以外の例をもう一つ挙げると、転職市場。人材業界においても、転職サイトの広告枠を売るのと人材紹介の営業をするのだと、やっぱり求められる部分で違ったりするんですね。広告は先にお金をいただいて広告枠を買ってもらうので、最終的に採用できようができまいがお金は頂くので、最初に「よし、じゃあお願いします」っていうふうにお金を出してもらえるようにしないといけないので、傾向として話がめちゃくちゃうまい人が多いです。お客さまにわくわくさせて、「ここに広告載せたらいい人採れるかもしれない」っていうふうに期待感を持ってもらうためのアプローチっていうのが必要になってくるんですね。一方人材紹介の場合は、最終的に候補者が入社していただいて、採用ができましたっていう状態にならないとお金が入ってこないので、どちらかというと聞き上手になる人が多かったりします。なので相手の企業の要望をきちんと聞いていかないとどれだけ働いても、「この人じゃない、この人じゃない・・・」っていうふうになっちゃうと、無駄働きになっちゃいますよね。そんなふうに一節に営業って言っても、やり方とかが違ったりするので、そういう部分が近しいと違う業界でも行きやすくなったりします。
全然違う業界へも転職できる!
これすごいわかりやすいですね。ありがとうございます。先ほど、営業が比較的受けやすい職っていうお話でしたけど、経理っていうのはどんな企業も必要だから比較的転職しやすいとかっていうことなんですか?
業界を超えて転職をしやすいっていうだけですね。どんな企業もっていうのはちょっと違います。
ごめんなさい。業界を超えてって言うのはどんな企業も。
年齢を重ねると異業界の転職しづらくなるっていう話をしたと思うんですね。それって基本的にはだいたい多くの職種では言えることなんですけど、経理みたいな、どの業界にもいるようなポジションの人に関して言うと、35歳でも異業界への転職をするケースがあります。それは業界で見ているっていうよりも会社の規模とか、経理会計の進め方みたいなところが企業が見ているポイントになるので、一見全然違う業界に見えても、扱うような金額とか会計処理の進め方が似ているようなところだと行きやすいとか。切り口が変わるっていうだけの話なんですけどね。
業界としては超えやすいけれど、転職しやすいかといえば、そういうわけではないっていうことですね。しやすさっていうのは別、経理だからしやすいっていうわけではないっていうことですかね?
見てるポイントが違うだけですね。
詳しく、説明お願いしてもいいですか?
通常だと業界が同じほうが生かしやすい。例えば営業さんとかマーケティングとかだと、業界が一緒のほうが自分の知識や経験って生かしやすいんですけど、経理の場合とかだと、もちろん業界が近しいに越したことないんですけれども、経理処理の仕方、会計処理の仕方、例えば連結でやってますとか、会社の売り上げとか利益がこのぐらいですとか。っていういろんな数字の部分が近しいところが行きやすい。その結果全然違う業界に転職するケースがあるみたいなところですね。
どちらかと言うとスキルというか、ノウハウというかそこら辺のほうがっていうイメージですか。
それもスキルなんですよ。なのでスキルの評価の仕方が職種によって違うっていうだけの話です。ちょっと経理の話はもともとないお話だったのでこの辺でいいですか。
大丈夫です。そうですね。営業の転職でキーワードになるのは、「誰に何をどのように」という部分ですね!
そうですね。